第6章 建築物の外皮性能向上に伴う
6.3 建築物外皮性能技術の評価・分析
6.3.4 省エネルギー基準“PAL*”による建築物外皮性能の分析方法
(独)建築研究所のホームページ「住宅・建築物の省エネルギー基準及び低炭素建 築物の認定基準に関する技術情報」1)で公開されている,PAL*算定用WEB プログ ラムを使用してPAL*の分析を行う。表6.3-19に事務所建築A(カナダ)及び,事務 所建築B(日本)におけるPAL*基準値(MJ/m2年),及びPAL*算定用WEB プログラムで 使用する両事務所建築の基本情報を示す。
“PAL*”は各階の屋内周囲空間の年間熱負荷(MJ/年)を屋内の床面積(m2)で割っ たもので計算され,ASHRAE90.1,2010とは異なり空調ゾーン,外壁構成,窓仕様,外 皮仕様すべてを総合して計算される。
ステップ1
国土交通省:平成25年省エネルギー基準(平成25年9月公布)等関係技術資料-非住 宅建築物の外皮性能評価プログラム解説(以下,外皮性能評価プログラム解説と記 す)-にある“表2-1-1省エネルギー基準における地域区分”よりカナダの気候を選 択することはできない。そこで , ASHRAE90.1,2010 にある“ TABLE B-2 Canadian Climate Zones ” を 参 照 す る と , “ British Columbia (B.C.) Vancouver
表6.3-19 省エネルギー基準におけるカナダ・日本のPAL*基準値
バンクーバー 東京
ソフトウェア PAL*算定用WEBプログラム (Ver1.1.1, 2014.06)
PAL*算定用WEBプログラム (Ver1.1.1, 2014.06)
気候区域 2 6
建物用途 事務所等 事務所等
PAL* 基準値(MJ/m
2年) 430 450
算定基準階 3F 1F
5F B1F
外壁構成
室内側 室内側
-石膏ボード -非密閉中空層
-吹付け硬質ウレタンフォーム A種1号
-ハードファイバーボード -押出法ポリスチレンフォーム 保存版3種
-アルミニウム
-石膏ボード -非密閉中空層
-押出法ポリスチレンフォーム 保存版2種
-コンクリート
室外側 室外側
窓仕様 6mm透明+13mm空気層+6mm透明 透明+透明
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International A ” は 気 候 区 分 5 で あ る 。 “ TABLE B-3 International Climate Zones”の“Japan”を参照すると,“Sapporo”がバンクーバーと同様に気候区分5 であることがわかる。そこで,“表2-1-1省エネルギー基準における地域区分”より 札幌気候区分2を選択し,これを事務所建築A(カナダ)の気候区分とした。またこ の表より,事務所建築B(日本)の気候区分は5を選択した。
ステップ2
事務所建築A(カナダ)及び,事務所建築B(日本)におけるPAL*算定用WEB プロ グラムで使用する以下の入力シートを作成する。
様式0. 基本情報入力シート
様式2-1.(空調)空調ゾーン入力シート
様式2-2.(空調)外壁構成入力シート
様式2-3.(空調)窓仕様入力シート
様式2-4.(空調)外皮仕様入力シート
様式8.(空調)非空調外皮仕様入力シート事務所建築 A(カナダ),事務所建築 B(日本)における PAL*算定用 WEB プログ ラムで使用される建築材料及び,建築材料の熱伝導率は,外皮性能評価プログラム 解説の“表 1-2-2 建材の種類と物性値一覧”,ガラスの熱貫流率及び,日射熱取得 率は,外皮性能評価プログラム解説の“表 1-2-3 ガラスの種類と物性値一覧”を参 照した。
ステップ3
事務所建築A(カナダ)及び,事務所建築B(日本)は以下の外皮性能状態で評 価・分析される。
I. -既存の開口面積
-透明単層ガラス(熱貫流率:3.27,日射熱取得率:0.72)
*事務所建築B(日本)で使用されているガラス II. -既存の開口面積
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-高性能熱線反射複層ガラス(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37
*事務所建築A(カナダ)で使用されているガラス III. -カーテンオール(床上から天井下)
-高性能熱線反射複層ガラス(熱貫流率:3.45,日射熱取得率:0.37)
ステップ4
事務所建築A(カナダ)は“ケース1”,“ケース2”,“ケース3”,“ケース4”に おける仮想水平日射遮蔽物をモデル事務所建築に設置し分析を行う。事務所建築A
(カナダ)は環境配慮方事務所建築のため,南・東の両側に異なった幅の水平日射 遮蔽物が使用されている。そのため,事務所建築A(カナダ)における“ケース3”,
“ケース4”はそれぞれ以下の“a”,“b”,“c”の方位によって異なる3種類の幅の 組み合わせによって分析されている。純粋な水平日射遮蔽物の影響を分析するため,
事務所建築の窓の高さは既存の状態を維持した。
事務所建築B(日本)は同様に,“ケース1”,“ケース2”,“ケース3”,“ケース 4”,“ケース5”における仮想水平日射遮蔽物をモデル事務所建築に設置し分析を行 う。一般的な事務所建築のため,既存の事務所建築は水平日射遮蔽物が使用されて いない。そのため,事務所建築B(日本)における“ケース2”,“ケース3”,“ケー ス4”,“ケース5”はそれぞれ以下の“d”,“e”の方位によって異なる2種類の幅の 組み合わせによって分析されている。“e: 東側(主要立面)の水平日射遮蔽物幅の みを変更”の分析は事務所建築が密集地帯に建てられている状態を想定したもので,
道側に面した外壁にのみ採光利用できる窓がある状況を分析する。また,事務所建 築A(カナダ)で使用されているSHGC数値の低い窓を措定し,同様の分析をした。純 粋な水平日射遮蔽物の影響を分析するため,事務所建築の窓の高さは既存の状態を 維持した。
ステップ5
図6.3-20に示すように水平日射遮蔽物係数(pi)を求め,“様式2-4.(空調)外皮 仕様入力シート”に水平日射遮蔽物係数(pi)を投入する。与えられたSHGC係数を事
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務所建築に使用されている窓のSHGC数値に乗じることにより,水平日射遮蔽物を使 用したときの窓のSHGC数値を算出する。
ステップ6
事務所建築 A(カナダ)に事務所建築 B(日本)の気候区分6を,事務所建築 B
(日本)に事務所建築 A(カナダ)の気候区分2を用いて仮想的に PAL*値を評価す る。これは,両国の事務所建築の性能が互いの相違する気候区分で設計された時の 特徴を把握するものである。
ステップ7
表6.3-5に示すように,事務所建築A(カナダ)に事務所建築B(日本)の既存の窓 をカーテンウォールに変更し,ステップ1~ステップ6の分析を同様に行う。この分 析は,多くのカーテンウォールを使用した事務所建築に水平日射遮蔽物使用した改 築もしくは新築におけるPAL*値の変化を把握するものである。
表6.3-20 省エネルギー基準におけるオーバーハング係数(pi)
pi≦0 0<pi≦3 3<pi≦10 10<pi
オーバーハング型
の庇
1.000.60
0.90 1.00
サイドフィン型の
庇
0.80オーバーハング型 及びサイドフィン 型の庇
当該庇のうちオーバーハング型の部分とサイドフィン型の部分のそれぞれの 日よけ効果係数を乗じて得た数値
piは、オーバーハング型の庇の場合にあっては窓の高さを庇の出寸法(庇と窓の上端が離れて いる場合にあっては、庇の出寸法から庇と窓の上端との距離を差し引いたもの)で除した数値とし
、サイドフィン型の庇の場合にあっては窓の幅を庇の出寸法(庇と窓の側端が離れている場合にあ
っては、庇の出寸法から庇と窓の側端との距離を差し引いたもの)で除した数値とする。
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6.3.5 省エネルギー基準“PAL*”による建築物外皮性能の評価結果