第5章 カナダ・日本における事務所建築建設に伴う
5.5 部材量の比較
建築物の建設に伴う主要建築部材の消費量を分析するにあたり,事務所建築1(カ ナダ),2(カナダ),3(日本),4(日本)それぞれの建設工事見積書からその消費量 を算出する。表5.5-1が示すように,分析対象とする建築部材は,現場打ちコンクリ ート,鉄骨,鉄筋とした。
19.2 18.9 20.5 18.9
39.6 55.2 79.5 68.9
49.3 90.4 67.9 71.1
71.9 111.9 57.9 58.4
180
276.4
225.8
217.3
0 50 100 150 200 250 300
事務所建築1(カナダ) 事務所建築2(カナダ) 事務所建築3(日本) 事務所建築4(日本)
工事分類 別に よる工事 費 (千円 /m 2)
仮設工事費(千円/m2) 躯体工事費(千円/m2) 仕上げ工事費(千円/m2) 設備費工事費(千円/m2)
図 5.3-1:工事費用の比較
表 5.5⁻1:単位面積当たりの部材量比較
事務所建築 1 (カナダ)
事務所建築 2 (カナダ)
事務所建築 3 (日本)
事務所建築 4 (日本)
コンクリート(m
3/m
2) 0.52 0.54 1.13 0.89
鉄骨(kg/m
2) 12.58 18.4 0 0
鉄筋(kg/m
2) 48.96 68.8 143.6 134.3
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5.5.1 現場打ちコンクリート現場打ちコンクリートの消費量の差は,構造及び,基礎形式の構造の違いに因る ところが大きいと考えられる。まず,事務所建築3(日本)を除き,事務所建築3棟は 地下一階の事務所建築であるにもかかわらず,事務所建築3(日本)におけるコンク リート使用料が他の事務所建築よりも多い。このことより,地下一階の事務所建築 建設におけるコンクリート使用量は,全コンクリート使用料に大きな影響を与えて いないことが分析できる。
第一に,基礎形式の違いがコンクリートの消費量に影響を及ぼしていると考えら れる。両国の基礎形式を比較してみると,事務所建築1(カナダ),2(カナダ)は独 立基礎形式であるのに対して,事務所建築3(日本),4(日本)はべた基礎形式であ る。一般的にべた基礎形式の現場打ちコンクリートの消費量は,独立基礎形式に比 べ大きい。べた基礎形式は地面から上がくる湿気を防ぎ,施工手間がかからない理 由から日本では多く使用されている。
第二に,事務所建築1(カナダ),2(カナダ)ではスラブ以外にコンクリートを使 用していなことがあげられる。特に外壁,窓等の構造としてコンクリートを使用せ ずスチール製の柱(HSS)を用いることがカナダの建設手法と考察できる。大きな理 由として,コンクリートの使用を削減し,建築全体の重量を下げる意図がある。こ のことより,建物全体の構造を低減しコストもしくは建築物建設におけるエネルギ ー消費量の削減につながっていると考えられる。
このように両国の建築文化・技術の相違における構造及び,基礎形式の違いが大 きく影響して,事務所建築 1(カナダ),2(カナダ)の現場打ちコンクリートの消費 量が事務所建築 3(日本),4(日本)より平均 1.9 倍大きいと考えられる。
5.5.2 鉄骨
本研究のモデル事務所建築1(カナダ),2(カナダ),3(日本),4(日本)は4棟と も鉄筋コンクリート造である。このことより,図5.5-1が示すように事務所建築3
(日本),4(日本)の鉄骨使用量は0(kg/m2)である。しかし,事務所建築1(カナダ) は12.58(kg/m2),事務所建築2(カナダ)において18.4(kg/m2)の鉄骨が使用されてい る。カナダの鉄筋コンクリート造の特徴として,HSS(Hollow Structural Section)
というスチール製の柱が使用される。このHSSというスチール製の柱は,鉄筋コンク
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リートや鉄骨のような主要部材ではなく,カーテンウォールや階段,キャノピーな どを支えたりするための柱で,建物に付随するもののための部材である。そのため,
日本の鉄筋コンクリート造と違い通常鉄筋コンクリートを使用して補強する箇所を,
カナダではこのHSSを使用して補強している。このことより,事務所建築3(日本),
4(日本)のコンクリート・鉄骨使用量が,事務所建築1(カナダ),2(カナダ)より 約2倍以上高いことが考えられる。
また,HSSの特徴としては建築費,耐火性,耐久性,そしてリサイクル性が高いこ とがあげられる。HSS全体の再生利用率は66%で,建築産業の木材消費を抑え耐久性 は118年という理論数値が出ている。事務所建築1(カナダ),事務所建築3(日本)の 躯体工事における建築費を比較してもわかるように,HSSの使用により,カナダの事 務所建築は躯体工事費を日本の事務所建築に比べて大きく削減しているのが分かる。
また,カナダにおける耐火建築物における木材の使用は非常に規制されており,ス プリンクラーの使用が義務図けられている。このことよりも,HSSの使用がカナダの 事務所建築建設において重要な役割を担っていることが分かる。
5.5.3 鉄筋
事務所建築 3(日本),4(日本)の平均コンクリート使用料は,事務所建築 1(カ ナダ),2(カナダ)における平均コンクリート使用料の 1.9 倍である。同様に鉄筋量 について考察してみる。事務所建築 3(日本),4(日本)の平均鉄筋使用料は,事務 所建築 1(カナダ),2(カナダ)における平均鉄筋使用料の 2.4 倍である。コンクリ ートでも考察したように,コンクリートの使用料の差が鉄筋の使用量に表れたと考 えれれる。
また,コンクリートに対する,平均鉄筋使用量を考察してみる。事務所建築 3
(日本),4(日本)におけるコンクリート(m3/m2)に対する平均鉄筋使用量の事務所建 築 1(カナダ),2(カナダ)の約 1.2 倍となった。これは,日本とカナダにおける耐 震設計による相違とみられる。カナダのバンクーバーは地震の多い西海岸に位置し ている。しかし,カルフォルニア地域などと違い地震発生率は極めて低いとされ,
バンクーバーにおける建築基準法の特徴として,“耐震構造”よりも“耐火構造”が あげられる。よって,事務所建築 1(カナダ),2(カナダ)の柱に作用する曲げモー メントを発生させる大きな要因は,軸力の偏心,風の作用などである。いずれも地
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震作用に比較すれば相当に小さいと言え,軸方向の鉄筋量ならびに有効高さ(柱断面 寸法)は小さくて済む。このことより,事務所建築 3(日本),4(日本)の平均鉄筋 使用量は事務所建築 1(カナダ),2(カナダ)の約 1.2 倍となった。
5.6 モデル事務所建築のエネルギー消費量原単位及び CO2排出量原単位の分析結