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平成 26 年度は, 昨年度の分類した航空機の電磁干渉に対 する耐性のタイプに分類するべく, 7 機種の評価を行った。

裏口結合については,機体が有する強電界(

HIRF; High

Intensity Radiated Field

)耐性の証明の有無で評価した。玄 関結合については,各航空会社の協力の元,定期運航便に 使用されている機種について測定を行った。評価した

13

機種については,干渉経路損失が国際規格で定められた最 小値を下回ることが無いことが示された。これにより,

HIRF

耐性の有無により,航空機はタイプ

I

,タイプ

II

に分 類されることとなった。

この評価結果を受けて,平成

26

9

月より,告示の改正 が行われ,航空機のタイプ別に乗客が持ち込む携帯電子機 器使用の制限緩和が実施された。

図 評価した航空機

尚,本研究は電磁界解析については北海道大学,ステル ス技術については金沢工業大学との共同研究として実施さ れた。

掲載文献

(1) Masami Shirafune, T. Hikage, T. Nojima, S. Futatsumori, A.

Kohmura, and N. Yonemoto, “ Estimation of the Electromagnetic Fields Excited by a Cellular Phone in a Typical Aircraft Cabin”, Proc. of 2014 International Symposium on Electromagnetic Compatibility, pp.178-181, May 2014.

(2)

白船 雅巳

,

日景 隆

,

野島 俊雄

,

二ッ森 俊一

,

河村 暁子

,

米本 成人

,

「大規模

FDTD

解析による航空機内 無線

LAN

端末の経路損失推定」

,

電子情報通信学会論 文誌

C, Vol. J97-C No. 5 pp. 197-200, May 2014.

(3) Takashi Hikage, M. Shirafune, T. Nojima, S. Futatsumori, A. Kohmura, and N. Yonemoto, “Estimations on Aircraft Interference Path Loss due to Personal Electric Device Using a Large-scaled Parallel FDTD Analysis”, Proc. of IEEE International Symposium on Antennas and Propagation and USNC-URSI Radio Science Meeting, 114.6, Jul. 2014.

(4) Takashi Hikage, Masami Shirafune, Toshio Nojima, Shunichi Futatsumori, Akiko Kohmura, Naruto Yonemoto,

“Numerical Estimations of Propagation Characteristics and Interference Path Loss due to Personal Electric Device in a Commercial Aircraft Cabin”, 2014 IEEE International Workshop on Electromagnetics:Applications and Student Innovation Competition , pp.243-244, Aug. 2014.

(5) Shunichi Futatsumori, Kazuyuki Morioka, Akiko Kohmura, Naruto Yonemoto, Masami Shirafune,Takashi Hikage, and Toshio Nojima, “Evaluation of Effects on Electromagnetic Field Characteristics Inside Aircraft Due to Phenol Internal Structures Using a Reverberation Chamber”, Proc. of the 2014 International Symposium on Electromagnetic Compatibility (EMC Europe 2014), pp.313-317, Sep. 2014.

(6)

白船 雅巳

,

日景 隆,野島 俊雄,二ッ森 俊一,河村 暁 子,米本 成人

,

FDTD

解析を用いた航空機客室

-

機上 アンテナ間の経路損失評価」

, 2014

年電気・情報関係 学会北海道支部連合大会 札幌市

, 2014

10

(7)

米本 成人

,

「客室内での電子機器利用制限緩和のため

の航空機評価」 , 航空振興財団 平成

26

年度第

2

回航

法小委員会

, 2014

12

低高度における状況認識技術に関する研究【指定研究

B

担当領域 監視通信領域

担 当 者 ○二ッ森 俊一,米本 成人,河村 暁子,森岡 和行 研究期間 平成

25

年度~平成

27

年度

1.はじめに

航空機の中でも比較的低高度を有視界飛行するヘリコ プタの場合,気象や周囲構造物の影響で障害物等の発見 に支障が生じ,事故等の危険な状況が発生するおそれが ある。これらの障害物等を事前察知し,周囲を監視する ために操縦者を支援するシステムとして,可視・赤外カ メラやレーダ等の様々なセンサを組み合わせたシステム 等の研究がこれまで行われている。さらに,送電線鉄塔 等の障害物データベースと自機位置の

GPS

情報に基づき 接近警報を発生するシステムも検討されている。レーダ センサについては,進行方向を中心とした方位角走査が これまでに用いられているが,状況認識支援システムの 実用化のためには走査範囲の拡大が求められている。

また,これらミリ波センサデバイス等を用いたヘリコ プタの着陸支援技術について,基礎研究「ミリ波等を用 いたヘリコプタの着陸支援装置に関する基礎的研究」

(平成

22

4

月~平成

25

3

月)を実施しており,開発し

76 GHz

帯ミリ波レーダシステムを用いた実機ヘリコ

プタへの搭載を行い,飛行試験において送電線の検出に 成功している。図

1

および図

2

に,それぞれ実機ヘリコプ タ搭載状況および送電線検出試験例を示す。これらの研 究で得られた成果に基づいた関連研究課題として,実際 にヘリコプタを運用している機関・企業等との共同研究 を行っており,実用化への要望が多く寄せられている。

2.研究の概要

本研究の目的は,これまでの研究で得られたミリ波レ ーダ技術を中心とした監視システムに関する成果を活用 し,運用者側のニーズに沿った性能および機能を有する 周辺状況監視システムを検討することである。これまで の研究成果からの課題抽出を踏まえ,機体周辺に障害物 等が存在し,接触・衝突事故等の危険性が高い低高度飛 行時においてパイロットの状況認識を補助できる機能を 有する監視システムの開発を目指す。本研究は

3

カ年計画 であり,平成

25

年度から平成

27

年度まで,次の

3

項目につ いて平行して研究を進める。

図1 実機ヘリコプタ搭載状況

機首方向

自機位置 送電線鉄塔

送電線

図2 実機ヘリコプタを用いた送電線検出試験例

1

)これまでに検討を行った

76 GHz

ミリ波レーダシス テムついて,抽出した課題から探知性能向上のため検討 を行う。ミリ波レーダの無線回路,信号処理回路等の要 素技術を検討し,低コストかつ高性能なミリ波レーダシ ステムを開発する。

2

)従来のミリ波レーダでは,レーダ感度を確保するた めアンテナ指向性を鋭くする必要があったが,ビーム照 射範囲が限られるため機体のわずかの動揺で受信信号強 度が大幅に変化する課題があった。現状の

2

次元走査以上 の情報量が得られるようにビーム走査方式を改善する。

3

)地上試験,無人ヘリコプタを用いた試験,ヘリコプ タ実機試験等を行い,検討を行ったミリ波レーダシステ ムの実証実験を行う。

ミリ波レーダ

Waveguide-Microstrip line

Conversion Circuit RF input

(WR-10 waveguide)

IF output Local input

Millimeter-wave MMICs

図3 試作した 76 GHz ミリ波受信回路概観

-10 0 10

-10 0 10 20 30 40 50

Elevation angle (degree)

Gain (dBi)

Open-ended WR-10 Conical 10 mm

図4 パラボラ反射板アンテナの仰角放射指向特性の 測定結果

Power line Parabolic reflector antenna

図5 送電線レーダ反射断面積測定状況

3.研究成果

2

年目の平成

26

年度においては,主として下記の

3

項目 について検討を行った。

1

76 GHz

帯ミリ波レーダシステムの探知性能向上要

素技術の検討

レーダシステム探知性能向上のため,前年度に実施し たミリ波送受信回路方式の回路構成の見直しを踏まえ,

新たに送受信回路を試作した。具体的には,図

3

に概観を 示す受信部は,導波管

-

マイクロストリップ(

WG-MSL

) 変換回路,

MMIC

ミリ波低雑音増幅器,

MMIC

ミキサを 新たに用い,変換効率向上(

10 dB

以上),雑音指数向上

10 dB

程度)および試作歩留まりを改善した。さらに,

送信部は,上記

WG-MSL

変換回路を用いることで送信電

力上限の

10 dBm

出力を実現した。

2

)前年度のミリ波レーダビーム走査方式の検討を踏ま えた走査機構の設計試作

これまでに実施した数値解析を用いたミリ波アンテナ の検討を踏まえ,試作測定を実施した。測定においてパ ラボラ反射型アンテナの指向性制御を確認し,試作レー ダシステムへ適用した。図

4

に,仰角指向特性を拡大した パラボラアンテナの仰角放射特性を示す。

3

)ミリ波レーダシステムおよびレンズ反射器を用いた 周辺状況認識基本試験

76 GHz

帯ミリ波レーダを用い,送電線レーダ反射断面

積の測定評価試験を実施した。図

5

に,測定状況を示す。

ここでは,レーダの送受信偏波を変化させ送電線検出に 適したレーダ動作条件を明らかにした。

4.まとめ

平成

26

年度は,低高度における周辺状況認識に適した