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島根大学医学部地域医療教育学講座教授

大学に長くいるという結果が出ているわけでござい ます。

大学の使命の一つとして、 教育がございます。 近 年、 この医学教育は、 改革が進んでございます。 大 学の勤務医は、 卒前の医学生の教育あるいは卒後の 研修医の教育に携わるわけでございますが、 特に学 部の教育では、 従来の講義だけでは、 やはり知識し か身につかない、 自分から問題を解決する能力はつ かないということで、 最近はPBL (Problem Based Learning)、 チュートリアル、 こういうのをやって おります。 これは小部屋で学生が小グループになっ て、 そこにチューターとして指導医がつく。 手間も かかるわけですが、 そういうふうな教育を多くの大 学で取り入れているわけでございます。

OSCE (オスキー)、 これは態度や技能を見る試 験でありますが、 これもやはりどうしてもたくさん

の教員の数が必要になってくる。 また、 クリニカル・

クラークシップでありますが、 これは従来の見学型 の臨床実習ではなくて、 診療参加型の実習でありま して、 チームの一員として臨床医学を学ぶものであ ります。 こういうふうなことで、 やはり指導医の教 える形というものも変わってまいりました。

成人教育ですので、 教えるというよりも、 こうい う医師になりたい、 こういうものになりたいという ことがあれば、 そういうふうになれるように援助す る、 これが指導医としての役目であろうと言われて おります。 コーチング技法というのが昨今の医学教 育の中には取り入れられております。

以前であれば、 若手の医師や学生が聞きにきて、

十分でないことがあれば、 もっと勉強してこいと言っ てつっぱねることもあったかもしれませんが、 最近 言われているのは、 まず自分の考えを述べてもらう。

そして根拠はどうしてなのか述べてもらう。 それで 一般的なお話をして、 あるいは一緒に調べたり、 で きたことを褒めてあげる。 そして間違いを正す。 こ ういうふうなプロセスが良いであろうというふうな ことが言われておりまして、 種々の指導医講習会で も、 こういうふうな指導方法を取り入れていくよう に話は進んでいるかと思います。 従いまして、 指導 医として効果的な学生指導法を理解して実践すると いうことが必要になってくるわけでございます。

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これは、 私どもの大学で、 クリニカル・クラーク シップでの評価システムですけども、 学生を指導医 が評価する、 また学生自身も自己評価をする、 そし て学生は指導医、 あるいは指導に対しても評価する。

ウエブを介して5段階のグレーディングスケールで やっておりますが、 例えばここに示したのは、 指導 医に対して、 指導に熱心であったかとか、 質問に応 じてくれたか等を評価する評価表です。 こういうふ うなことで指導医も評価されるということになって おります。 ですから、 指導医あるいは大学勤務医の 教育に対する責務というのは年々増大していると思 います。 これは、 時間的には大変かもしれませんが、

教育という面ではとても良いことだと思っているわ けでございます。

しかしながら、 少し古いデータなんですが、 日本 の大学の教官はアメリカに比べて10倍ぐらい少ない

というふうなことが言われているわけでございます。

また、 大学の使命の一つとして研究があります。

島根大学、 以前は島根医科大学でございましたが、

1993年は1人当たりの英文の論文の数は、 九大に次 いで2位だったんですね。 これが1999年になると5 位になり、 今はもうずうっと下に落ちてしまいまし た。 なかなか大学の研究のポテンシャルが落ちてい るんだと思います。

また、 臨床医学研究のことでありますが、 「The New England Journal of Medicine」、 「The Lancet」、

「JAMA」という有名な医学ジャーナルに、 これに日 本の論文がどのくらい載っているか。 高鳥先生が調 べた結果がございます。 1993年から97年ぐらいは、

12位。 その次、 2002年ぐらいまでも12位だったんで すが、 最近は下がっている。 そして中国にも抜かれ てしまったということで、 日本の臨床に関する医学

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◆シンポジウム

研究、 これが少しダウンしているのではないかとい うことで、 これを危惧する先生もたくさんいるわけ でございます。

大学について、 もう一つ言わせていただきますと、

やはり大学の経営、 財政的なことも大きな問題でご ざいます。 平成16年度から独法化になりましたが、

大学の箱物といいますか、 建物を建てたり、 いろい ろなことでお金がかかります。 それは国からお金を お借りする、 そういう仕組みになっているわけであ ります。

これは医学部長・病院長会議でも示されたデータ でございますが、 医科大学、 国立は42ありますが、

全部でどうも1兆円ぐらい大学が借金しているとい う試算であるようでございます。 島根大学もこのく らいの額ということですが、 新病院が建って、 もう 少し増えているようでございます。

大学にいろいろなお金が入ったり出たりする仕組 みですが、 入るところでは授業料とか検定料とかで あります。 ただ、 大きなのは附属病院の収入になっ てございます。 あと国から来る運営費交付金でござ います。 出る方は、 やっぱり人件費というのが5割 ぐらい、 それからいろいろ病院の経営とか薬を買っ たり、 教育、 こういうふうなことで出ていきます。

この運営費交付金でございますが、 国から年々減 らされている。 ですから、 大学はここで増やそうと いうふうなこともありまして、 各会議等でも在院日 数、 あるいは外来の患者数、 会議とかにも出ていっ て収益を上げようというふうなことで頑張るしかな いわけでございます。

借金を返すわけですが、 調べますと1大学、 年間 10億から50億、 一つの大学で返すということになっ ているようでございます。 国のために、 国民のため に大学の勤務医は働いて、 どうしてこの借金なんか を返すんだ、 こんなことは日本でしかやっていない とおっしゃる先生もおられるわけでございます。

このように、 大学あるいは大学病院は、 運営費交 付金も減ってくる、 あるいは借金も返さないといけ ない、 それと医師不足、 こういうふうなところであ えいでいるわけですね。 しかしながら世界最高水準 の医療を提供しております。 これはきっと大学勤務 医の献身的な努力、 これがあるからだと思います。

しかしながら、 先ほども述べましたように、 疲れて いる、 あるいは研究がちょっと低下している、 こう (スライド11)

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いうふうな問題もその裏にあるわけでございます。

大学教員、 勤務医の給与はどうなっているのか。

これはなかなかわからないところもあるんですが、

開業医の先生と勤務医の先生の比較というのは幾つ かデータがありまして、 日医の解析の結果では、 例 えば開業医さんと勤務医の差は、 言われているほど ない、 45から50歳は同じであるというふうなデータ 解析も示されているところだと思います。

これは人事院のホームページに載っていたデータ でございますが、 例えば50歳ぐらいの医長だと、 こ れは手当とかも入っておりますが、 どうもこのくら いもらっているようなんですね。 40ぐらいの医師に なると100万円ぐらい出てるようなんですね。 大学 になりますと、 軒並み下がっているんですが、 これ を見ると結構な額になっているなあと思っているわ けでございます。

これはホームページとかで見れると思いますが、

人事院の勧告に沿った給与体系だと思いますが、 こ ういうふうに大学の給与体系というのが決まってご ざいます。 例えばこっちが教授になるわけなんです が、 どんなに教授でもらってても、 基本給ですけれ ども、 このくらいの額にしかならない。 私はこのく らいなんですが、 それでいろいろ手当、 住居手当と かがついても税金でがばっと引かれて、 どうしても 手取りは非常に寂しい額になっていると。 助手とか、

ここら辺になりますと、 もっと厳しい状況になって いる。 これが現状だと思います。 もちろんバイトの お金はここには入ってございません。

一昔前の大学医学部教官の処遇というのはどうい うものであったか。 私なんかもここなんですけれど も、 卒業して大学院に入る、 あるいは研修ですけど も、 当時は大学院に入っても授業料を払わないとい

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◆シンポジウム

けない。 しかし、 ただ働き。 同じように働いてもた だ働き。 医員になっても日々雇用ですね。 私どもの 場合は月曜日から木曜日まで日当幾らで出ます。 金 曜日、 土曜日来てもお金は出せません。 そういうふ うな厳しい状況でございました。 30を過ぎてから、

やっと助教になって正社員として雇われる。 しかし、

生涯を考えますと、 スタートが遅いですから、 生涯 の所得は並みだろうと言われているわけです。

しかしながら、 大学に勤めている人は安月給は当 たり前だと、 研究ができる、 高度医療ができる、 誇 り、 使命感というようなものがあってやっていたわ けでございます。 いい考え、 悪い考えはあるかもし れませんが、 昨今はやっぱり多忙になってリスクも 上がって、 研究のアクティビティーも下がってくる、

こういうふうな問題もあって、 総合的に考えないと いけないかなと思っている次第でございます。 ここ に関しましては、 手当が国からつくようになりまし たが、 一過性にここの給料が安くなるというふうな ところもあろうかと思います。

これは全国の大学病院の正規の雇用の方ですね、

恐らく助教以上、 それから正規以外の方、 これ半々 ぐらいあるようなんですね。 ですから、 ここら辺の 方の手当というのは十分ではないんじゃないかと思 うわけでございます。

研修医に関しましては、 国から出ます。 島根大学 の場合は月額このくらい出ていると。 十分ではない かもしれませんが、 見習いということもあるかもし

れません。 うちの大学の場合は、 全国国立大学初で すけれども、 医員にもこのくらいあげようというこ とが病院長等が頑張られて決まりました。 全国で初 ということでございますが、 一過性に研修医よりも 安いという事態があったと思います。 また、 大学院 生の処遇ということも大きな問題だと思います。

私どもはいろんな大学をちょっと見学させてもらっ ておりますが、 セントルイスの大学に行ったとき、

メンゲル先生からレクチャーを受けました。 このと きの話のスライドなんですけれども、 米国では家庭 医よりも専門医の方が給料が高いんですね。 そうい うふうなことになっておりまして、 このときの話の ポイントというのは、 アメリカでは家庭医がむしろ、

30年の歴史があるんですけど、 減ってきてるんだと。

専門医と比べて給料が下がってきてるということは 今、 アメリカでとても問題なんだということです。

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