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さらに進んで、業務災害の防止、適正な労働 条件の確保など労働者の福祉の増進を図るた めの各種の事業を実施することを第二の、従 たる目的としている。

 このように、労災保険は、労働災害の補償 を申越としつつ、労働条件をめぐる使用者責 任の分野に関する総合的な保険制度であると

いうこと:ができる。

 労災保険は、国が保険者となり、その事務 は政府が直接に行なうこととされている。し

かも財政規模が、1兆5, 000億円と非常

に充実している。そしてその財源となる保険 料は各業種によって料率は違うが、すべて事 業主の負担となっている。しかも良心的な事 業主は労災保険の上乗せ保険に入っている。

それは、仮に事業主の過失責任が認められた 場合にその保険から補償するということであ る。民間の保険会社も有効に利用して十分な 補償体制をとっている。

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 これだけ充実した補償制度になった理由と して、一家の主人が亡くなったり、障害をも って働けなくなった場合に、その家族がたち まち生活に困ってしまうという背景が考えら れる。しかし学校事故で子どもを亡くしても すぐ生活に困らないということ、またその子 が、将来どれだけの収入を得ることができる かということは未確定であり、末確定要素に 関しては賠償しえないという考え方もあるか もしれないが、今の世の中の権利意識の高ま りを考えれば、子どもにも、いや将来ある子 どもだからこそ、ましてやその子どもが一生 背負わなければならない障害を被った場合、

なおさら十分に補償されてしかるできである

と思う。

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第2節  自動車損害賠償責任保険 1、わが国自動車保険の沿革

 自動車保有台数の急増は、環境未整備の中 で道路交通事故の激増を招き、交通事故被害 者の経済的な救:済が社会問題化した結果、賠 償資力を確保すべき自動車保有者に対する強

制保険として、1955(昭和30)年以降

自動車損害賠償責任保険(略称「自賠責保険

」)が対人賠償について実施されるにいたっ た。この自動車損害賠償責任保険は、何より も自動車交通事故被害者を広く迅速・確実に 救済することを目的として、自動車損害賠償 補償法(略称「自賠法」)に基づき創設され た自賠責保険では、社会保障とは性格・運営 実態とも異なるとはいえ、一定限度額の水準 まで基本的な保障を確保することが主眼とさ

れる。

 自賠責保険は対人賠償保険の基本保障とし

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て機能しているため、対人賠償損害額につい ては、常に一定限度額まで自賠責保険で愼補 され、その超過部分が任意自動車保険の対人 賠償保険により履補されることとなる。した がって、対人賠償保険について、自賠責保険 が「下積み保険」任意自動車保険が「上積み 保険」と:なり、それぞれ運営の理念・原則を 異にしながら二元一体となる構造が、日本の 自動車保険(広義の「自動車の保険」)の大 きな特徴となっている。

2、自賠責保険の概要  1、自賠責保険制度の特質

 (1)自賠法における賠償責任

 自賠法は、自動車入身事故被害者の経済的 救済のため①、損害賠償責任の適正化をはか

るとともに②、その損害を常時保障する処置

(強制保険制度および保障事業)を確立した

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ものであり、 「損害賠償責任」については、

「自己のために自動車を運行の用に供する者 は、その運行によって他人の生命又は身体を 害したときは、曲れによって生じた損害を賠 償する責に任ずる」 (自賠法3条)としたう えで、 「自己及び運転者が自動車の運行に関

し注意を怠らなかったこと、被害者又は運転 者以外の第三者に故意又は過失があったこと 並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害 がなかったことを証明したときは、この限り でない」 (自賠法3条但書)と定めている。

 これは、民事上一般の損害賠償責任が過失

責任主義に基づく不法行為責任(民法709

条)であり、被害者が加害者側の故意・過失 を立証することは容易でないため、自動車人 身事故に関し、立証責任を加害者側に転換し

て、自動車事故被害者の救済の徹底を図った

ものである。自賠法3条但書の免責3条件の

立証はきわめて困難であり、自動車の運行共 用者(自己のために自動車を運行の用に供す

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る者、すなわち保有者など)は、条件付の、

実質的な無過失責任を負うものといえよう。

 (2)保険契約の締結強制と引受義務

 自賠法は、立証責任の転換により自動車人 身事故被害者の賠償請求を容易にすると同時

に、被害者保護・救済の裏付けとなる賠償資 力を常時確保するため、原則として、すべて の自動車に自賠責保険の締結を義務づけ(自

賠法5条)、罰則(同87条)を設けている さらに100%付保実現のため実施されてい

るのが、車検制度とのリンクおよび保険標章

(ステッカー)制度(車検対象外の二輪・原 付自転車)である。強制保険として実行を確 保するため、自賠責保険においては、解約事 由が廃車・重複契約などごく限られた場合に 制限され、また一方の契約当事者である保険 会社にも契約引受義務が課せられている。

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 (3)政府の保障事業

 自動車人身事故の被害者は、原則として加 害者に付直されている自賠責保険によって補 償されるが、ひき逃げ事故の被害者は加害者 に損害賠償を請求することができず、また、

強制保険制度のもとでも根絶しえない無保険 車の場合は、加害者に賠償資力がないかぎり 損害賠償を受けることができない。そこで、

自賠法の目的を達成するため、ひき逃げ・無 保険車事故の被害者に対しては、自賠責の支 払保険相当額を政府が「保障金」としててん 補する「保障事業」 (自動車損害賠償保障事 業)を実施している。この保障事業は、保険 制度で補償されない自動車事故被害者に対す る救済措置であり、また一種の立替払制度で あるため、無保険車の場合、政府は後日、加 害者に対し求償する。

3、自賠責の損害賠償額の算定と支払

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 (1)損害賠償の内容と支払基準

 人身事故による損害には、財産損害(治療 関係費等の積極的損害と、休業損害や逸失利 益の消極的損害)ならびに精神的損害(慰謝 料)があり、それらの実態は個別にかなり異 なると考えられるが、自賠責保険では、大量 の請求事案を公平・迅速に処理することが要 請される。このため、損害項目に関し、裁判 基準に準拠して具体的な損害額算定細目を定 型化した「自賠責保険損害査定要綱」 (略称

「査定要綱」運輸省の「政府の保障事業のて ん補基準」とほぼ同一内容)をもとに、自動

車保険料率算定会調査事務所(1992年現 在全国73箇所)で損害査定業務を統一的に

行な う こ と に よ り 、 事務の 効率化 と 損害額査

定の公平が図られている。

 ②損害額の算定方法

 (a)傷害による損害

①、救助捜査費②、治療関係費③、その他費 用のほか④、休業損害⑤、慰謝料が認められ

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る。休業損害は事故による休業のため収入が 減少した場合、勤労者賃金水準に基づく一定 額に対象日数を乗じて算出し、慰謝料も1日 当たりの定額をもとに「苦痛」の基準となる 治療日数等を勘案して算定する。

 (b)後遺障害による損害

 後遺障害による損害は①、逸失利益および

②、慰謝料等である。逸失利益は後遺障害に よる労働力の低下・喪失がなかったならば得 られたであろう利益を次の算式で算定する。

(過去1年間の収入)×労働能力喪失率×(

労働喪失期間に対応する新ホフマン係数)

 (C)死亡による損害

 死亡による損害は①、葬儀費(定額55万

円)②、逸失利益③、慰謝料で逸失利益が中 心となる。死亡の場合の逸失利益(相続の対 象)は、被害者がいきていれば支出を要する 生活費を一定率で控除した純利益を基準とす る点で、後遺障害の場合と異なる。

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{(過去1年間の収入額)一(本人の生活費

)}×(死亡時年齢の就労可能年数に対応す る新ホフマン係数)

 慰謝料については、死亡本人の慰謝料(相

続の対象)として350万円、遺族の慰謝料 は、請求権者の数が1名のとき500万円、

2名のとき600万円、3名のとき700万

円が、定額で支払われる。

 (3)重大な過失による減額

 被害者に過失があるときは、損害賠償額の 決定上これを樹酌する「過失相殺」を行なう

のが民事責任の法理(民法722条2項)で

あるが、自賠責では、ある程度不可避的に発 生する自動車事故の被害者をできるかぎり救 済するため、被害者に重大な過失があった場 合に限り、死亡・後遺障害による損害につい

ては過失の程度に応じて20%、30%、ま たは50%、傷害による損害については20

%の「減額」を行なうこととしている。

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