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第 3 章

3.5 室温における CIGS 膜の PL 寿命と太陽電池特性

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これに対して方法②は、畳み込み成分を考慮しないで式(3.3)を用いてフィッティングする方法 である。この方法では、77Kなどの低温の場合はレーザパルス幅と比較して時間減衰曲線が長 いため、たたみ込み成分を考慮した場合(通常fitting)と比べても、ライフタイムτ1にはほとんど 差はない。しかし、室温での測定の場合は時間減衰曲線が短いため、解が出ない場合がある。

図3.16②の例ではτ1=0.973nsと算出される。

1 10 100 1000

0 5 10 15 20

Time(ns)

TRPL Counts

Emission1 Excitation1 Fitting1

①通常fitting(レーザたたみ込み成分考慮)

τ 1=0.407ns RT

1 10 100 1000

0 5 10 15 20

Time(ns)

TRPL Counts

Emission1 Fitting1

②tail-fitting(たたみ込み無視、2成分対応は可)

τ 1=0.973ns RT

τ =1.875ns たたみ込み無視、

1成分のみ対応

1 10 100 1000

0 5 10 15 20

Time(ns)

TRPL Counts Emission1

③1/eから算出

励起 パルス

RT

図3.16 TRPLライフタイム算出方法

t

Aexp  の式より 1/eになる時間を算出

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さらに、方法③は、畳み込み成分や2成分目を考慮せずに、以下の式(3.5)を用いてフィッティン グする方法である。

t

A

y exp  ・・・・・(3.5)

この方法では、式(3.5)よりPLの強度が最初の1/e(36.8%)になるときの時間をτとしている。

励起時間幅も考慮されていないので、時定数が励起パルス幅に対して大きな差がないときには 比較的長い値に計算され、図3.16③の例ではτ=1.875nsと算出された。

実際の試料において①~③の算出方法でライフタイムの測定エネルギー依存性を検討した結 果を図 3.17 に示す。この図より、どの方法でも同様な測定エネルギー依存性の傾向があるとと もに、測定のばらつきも同程度であることがわかる。さらに、①~③の方法について評価した結果 のまとめを表3.4に示す。

表3.4 ライフタイム算出方法比較

精度 解析時間

①たたみ込み 高 長い

②tail-fitting 中 一部長い

③1/e 低 短い

解析時間は③の 1/e で算出する方法が短くて簡易的である。①は精度が高いが、decay の 横軸の時間が10ns以下では、解析時間が非常に長く掛かる。②も①と同じく時間が10ns以

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000 16000 18000 20000

0.90 1.00 1.10 1.20 1.30

Energy(eV)

PL Intensity

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

TRPL Lifetime τ1

①通常fitting

②tail-fitting

③1/eから算出

RT

図3.17 室温での測定例(T6315、Eff=14.55%)

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下では解析時間が長く掛かる場合がある。③は測定時間が非常に短くてすむが、τの絶対値 は本来の値から 1.4ns 程度ずれる。しかしながら、測定値のばらつきにおいては①や②と大きな 違いは見られず、スクリーニングのために変化量を把握するには十分な精度が得られると考えら れる。室温で測定した場合には、できる限り早い時間において PL 寿命を算出できる方が望ま しいという点を考慮すると③の方法が適した方法と言える。

3.5.3 室温におけるPL寿命とセル変換効率との相関

前述の③の方法を用いて室温におけるτを算出した場合のセル効率と相関を検討する。例 として2種類のPLスペクトルと対応するPL寿命の測定エネルギー依存性を図3.18に示した。

PL 寿命の測定エネルギー依存性についての詳細は次節で検討するが、効率が高い試料は PL 寿命の測定エネルギー(波長)依存性が強い傾向にあり、効率の低い試料では測定エネル ギー依存性はほとんど見られない。

さらに、室温におけるPLスペクトルのピーク位置でのPL寿命と短絡電流密度Jsc、開放端 電圧Voc及び変換効率Effの3つのパラメータとの関係を図4.3.4に示す。

室温でも77Kと同じく、PL寿命と開放端電圧Vocと変換効率Effには明らかに相関関係 が見られる。この結果、室温での TRPL 測定によって、デバイス化・モジュール化前に非破壊で CIGS膜の良否判断が可能になった。

F2594(RT)

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000

0.9 1.0 1.1 1.2 1.3

Energy(eV)

PL Intensity

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

Lifetime τ(1/e)(ns)

F2594(RT) RT

Eff=9.92%

1/eから算出 T6980(RT)

0 2000 4000 6000 8000 10000 12000 14000

0.9 1.0 1.1 1.2 1.3 Energy(eV)

PL Intensity

0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5

Lifetimeτ(1/e)(ns)

T6980(RT) RT

Eff=14.95%

1/eから算出

図3.18 室温におけるPLスペクトルとPL寿命

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