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実験結果と計算結果の違いに関する考察

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第 4 章 タイヤ表面温度を考慮したタイヤモデルの構築 91

4.5 開発したタイヤモデルの検証

4.5.4 実験結果と計算結果の違いに関する考察

前後力および横力の最大値発生状況が実験と計算で若干異なったこと,ならびにタ イヤ表面温度の変化が実験と計算で若干異なっていることに関して考察を加える.

まず,今回のシミュレーションでは緩和長が一定であるという仮定でシミュレーショ ンを実施した.しかし,緩和長はスリップ角やスリップ率の変化に伴って変化してい ることが実験で求められている(89).実験結果では,スリップ角やスリップ率の絶対値 が小さくなるほど緩和長が大きくなっていることから,今回のシミュレーションにお

Fig. 4.21 Measured data and simulation results of tire force and tire surface temperature under the combined condition

いてもスリップ率やスリップ角が大きくなるとともに緩和長を小さくするとピーク付 近での前後力や横力のスリップ角に対する変化率が大きくなると考えられる.

以上の点から,シミュレーションを実施する際の条件として今回のような比較的ス リップ率変化やスリップ角変化の大きな状況を取り扱う場合においては,緩和長も変 化させて特性を求める必要があると考える.

次に,スリップ角の正負に伴って変化しているタイヤ表面温度の変化について考え る.実験結果を見ると,スリップ角が正の側で温度が高めに,負の側で低めに出る傾 向が見られる.

今回実験を行ったタイヤ試験機が置かれている環境を見ると,スリップ角が負にな る側から冷却風が当たるような構造となっており,今回はこの風の影響を受けてスリッ プ角の正負で温度上昇の傾向が変わったと推測される.

4.6 タイヤ表面温度の変化が車両運動に及ぼす影響

図4.2に示すように実験において路面温度差の影響で車両運動特性に差が出ることが 示されている.そこで,今回求めたタイヤの温度依存性がこの実験と一致するかを確 かめるため,車両運動シミュレーションを実施する.

車両運動モデルに加えるタイヤモデルは,4.4節で検証を行ったMagic Formulaモデ ルとする.実車試験で用いたタイヤと同じ銘柄のタイヤを試験機で計測したデータを

もとに,Magic Formulaタイヤモデルを構築し,その計測時のタイヤ表面平均温度を基

準のタイヤの表面温度とした.

図4.22にシミュレーションの入力として与えたハンドル角(実走行時のハンドル角) を,図4.23に路面温度が異なるときの実走行時での加速度波形の比較,図4.24にシミュ レーションによるタイヤ表面温度違いの加速度波形を比較した.

Fig. 4.22 Steering angle of “Fish Hook” pattern test

図4.23と4.24を比較すると,最大加速度が発生する状況が実験結果とシミュレーショ ン結果で異なっている.これは,計算で用いた車両モデルに改善の余地が残されてい ると考えられる.

しかし,第2ピークにおける加速度の値を比較するということでタイヤ表面の温度 違いによる車両運動への影響を論ずることができるので,その値についてもう少し詳 しく見ることとする.

図4.25に第2ピークの加速度を実測値・シミュレーション結果で比較したグラフを 示す.

図4.25に示されているように,実測値とシミュレーション結果の間にはおよそ0.25

Fig. 4.23 Lateral acceleration on “Fish Hook” pattern test comparing the different tire sur-face temperature

Fig. 4.24 Simulation resutls of lateral acceleration on “Fish Hook” pattern test comparing the different tire surface temperature

Fig. 4.25 The second peak value of lateral acceleration comparing the test results and sim-ulation results with the effect of tire surface temperature

[m/s2]の横加速度の差が生じているが,計測時の加速度計取り付け誤差やシミュレー ションに用いた車両モデルと実車両との誤差から生じていると考えられる.

しかし,タイヤ表面温度の違いによる横加速度の差は実験結果とシミュレーション 結果ではほぼ同じ差となっており.すなわち,今回検討した温度依存性を考慮したタ イヤモデルは実際の車両運動を表現することが可能である.

4.7 まとめ

本章では,気温や路面温度違いによる車両運動性能差を議論するために,新しいタ イヤモデルの提案を行った.本研究で得られた結果を以下にまとめる.

1. Magic Formulaと呼ばれる車両運動解析用タイヤモデルをベースに,温度依

存性を考慮したタイヤモデルを構築した

2. 構築したタイヤモデルのパラメータを実験的に求める手法を開発した 3. このモデルを用いてタイヤ試験法を変更してタイヤの特性を計測した結果と

比較したところ,ほぼ一致した特性を得ることができた

4. このモデルを用いて車両運動シミュレーションを実施したところ,路面温度 の差に起因する車両運動性能差を表現することが可能となった

5 章 物理特性と実験同定モデルを組

み合わせた新タイヤモデルの導

(13)–(16)

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