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キャンバ角を大きく変化させたデータを用いた横力タイヤモデ

ドキュメント内 ii (ページ 93-96)

第 3 章 実車実験結果を用いた横力タイヤ特性モデルの構築 61

3.6 キャンバ角を大きく変化させた場合の実験データに基づく横力モデルの

3.6.4 キャンバ角を大きく変化させたデータを用いた横力タイヤモデ

について

3.4節にて用いた1段同定法を用いて,今回計測したデータから拘束条件なしでモデ ル同定を行った.その結果を図3.25に示す.

今回の計測結果は,3.4節にて用いた実車計測データに比較すると,スリップ角の範 囲並びにキャンバ角の範囲が広くなっている.そのため,拘束条件を用いずにタイヤ モデルを構築することができた.

この結果を,室内試験機にて計測した結果を用いて構築したタイヤモデル(図3.26参 照)と比較すると,次のようなことがいえる.

今回の実走行データから構築されたタイヤ横力モデルは,室内試験機データを用い たタイヤ横力モデルと同様に,大スリップ角域でのキャンバ角の影響が現れている.た だし,その大きさについては実路で計測したデータを用いたモデルがキャンバ角の影 響をより大きく反映する結果となっている.

この差について考えるため,実路で計測された値とこの計測時に得られたタイヤ姿

勢角(スリップ角・キャンバ角)と上下加重を入力として得られたモデルの結果を比較

する.図3.27にその結果を示す.図中の○がモデルを作成するために用いた実路計測 データ,●が計測時のタイヤ入力条件(スリップ角・キャンバ角・上下荷重)をモデル式

Fig. 3.25 The identified results of lateral force using the test data in this section

Fig. 3.26 The identified results of lateral force using the data on the flat belt test machine

に与えて得られた実路モデル計算結果を示している.この図を見る限り,実路で計測 されたタイヤデータとそれによって得られた実路モデルに大きな差が現れている様子 はない.このことから,実路モデルは実路走行時に得られたデータに基づいてモデル 化されていることがわかる.

Fig. 3.27 Comparison with the identified model data and the test data

実路での計測条件と室内試験機での計測条件を比較すると,室内試験機での計測条 件が実際の走行条件では現れないような領域での計測条件を含んでいる(図3.28参照) のに対し,実路でその条件を再現するのは非常に困難である.特に,スリップ角とキャ ンバ角の符号が異なるような条件での計測は室内試験ででこそ可能であるが,定常走 行時にこのような条件を作り出すためには車両の特性を極端に変更したものを用意す る必要があり非現実的である.

以上の観点から,実路の計測データを用いてタイヤ横力モデルを構築するには,走 行状態を想定した範囲での計測を行うことでモデル全体の精度を上げるより,実走行 領域でのモデルの精度を上げることに注力すべきと考える.

なお,タイヤ試験機の計測条件を統一して試験機ごとの計測結果のばらつきを少な くするとともに,車両走行状態に近い条件を入力条件として与えてタイヤ横力特性の シミュレーションにおける利用価値を高める目的で欧州の研究機関などが参加して行 われたTIMEというプロジェクトにおいても,このような観点から入力条件を 図3.29

Fig. 3.28 The example of tire input pattern using tire test machine

のように行うことをまとめている(87)(88).タイヤモデルの精度を上げる観点で,TIME

ProcedureではIsolatedという条件での計測をしているが,この点は通常の定常走行条

件では現れない入力条件であることから,実路データを用いたタイヤ横力モデル全体 の精度が若干落ちていると考えられる.

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