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純コーナリング時あるいは純制動状態の特性について

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第 2 章 車両運動解析技術とそれに必要なタイヤ特性解析技術について 21

2.4 実験データの同定によるタイヤ特性モデル

2.4.1 純コーナリング時あるいは純制動状態の特性について

40 30 20 10

-10 -20 -30 -40

0 1 2 3

-3 -2 -1

Fx [kN]

M z [Nm]

Slip Angle [deg]

1 2

4 6

8 10

Fig. 2.21 Examples of simulation results (longitudinal force vs. SAT)

Lateral Force

Self Aligning Torque Braking Force

Slip Angle Slip Ratio

Fig. 2.22 Basic form of steady-state tire characteristics

y= D sin (Bx) (2.126)

この時のyは横力・SATあるいは制動力で,xはスリップ角(α)あるいはスリップ率 (S )を意味している.しかしながらこの式ではxが大きくなったときの表現ができてい

ない.式(2.126)が 図2.22 の特性を満たすためには,x方向に徐々に関数を引き延ば

していく必要がある.そこで,式(2.126)を

y= D sin [C arctan (Bx)] (2.127)

と置き換えることにより,前述の特性を満たすようにした.これがMagic Formula の もっとも基礎的な発想となっている.

この 式(2.127)において,Dはそれぞれの最大値を示し,原点付近の勾配はB·C·D

で表される.また,Cはこのカーブの形を決める係数となっている.xに無限大の値を 入れると,式(2.127)は

y = lim

x→∞y= D sin

2C ]

(2.128) となる.例えば,C = 2とすると,

y =0 (2.129)

となる.このCを適切な値として選ぶことで横力・制動力・SATの特性の基本的な形 を決めることが可能となる.

更に,ピーク付近の曲率を変えるために新たにΦ =(1−E)x+(E/B) arctan(Bx)とい う変数を 式(2.127)のxに代入する.すると,式(2.127)は

y=D sin [C arctan{BxE (Bxarctan (Bx))}] (2.130) となる.

加えて,タイヤに発生する力で,直進状態においてタイヤのコニシティ,プライス テアや転がり抵抗力の影響で座標のxあるいはy方向にグラフがオフセットすること から,更にこれらを考慮して式を立てると

y(x)= D sin [C arctan{BxE (Bx arctan (Bx))}] (2.131)

但し Y(X) =y(x)+Sv x= X+Sh (2.132)

となる.得られたMagic Formulaの係数が実際のタイヤ特性にどう対応するかを 図2.23 に示す.

y

Y

x arctan(BCD) X

x

m

D y

S

v

S

h

Fig. 2.23 A typical tire characteristic indicating the meaning of the coefficients of Eqs.

(2.131) and (2.132)

また,各々の係数の意味合いについてまとめると以下のようになる.

B : Stiffness Factor· · · BCDが原点での勾配,すなわちStiffnessを表す C : Shape Factor· · · 曲線全体の形状を決める係数.横力の場合C + 1.30を,

制動力の場合C +1.65を,SATの場合C +2.40の値を用いる D : Peak Factor· · · 曲線の最大値を表す

E : Curvature Factor· · · 最大値に至る手前の曲線の曲率を表す

Sh: Horizontal Shift· · · 曲線が点対称の形状として考えるとき,その形状の 原点における水平方向のシフト量を表す

Sv: Vertical Shift· · · 曲線が点対称の形状として考えるとき,その形状の 原点における垂直方向のシフト量を表す

これらの係数は,異なった荷重やキャンバ角の場合も表現できるよう,C以外の係数 については荷重やキャンバ角の関数として表現されている.この荷重依存性やキャン バ角依存性を示す係数が年を追うごとに進化している.

Delft Tyre 96での主な変更点

各種タイヤに対してタイヤ特性を計測してカーブフィッティングを行うと,特にSAT に関して荷重やキャンバ角の条件によっては十分な近似精度が得られないこともあり,

次のような式に変更されている.

Mz0=−t·Fy0+ Mzr (2.133)

t(αt)= Drcos[

Ctarctan{

BtαtEy(Btαtarctan(Btαt))}]

(2.134) Mzr =Drcos [arctan(Brαr)] (2.135)

y =Drcos [π

2Ct ]

(2.136) ただし αt =α+SHt αr =α+SH f (2.137)

この得られた関数の係数が実際のSATのどの特性に対応するかを 図2.24に示す.

なお,式(2.134)〜(2.136)の考え方を図2.25に示しているが,SATがニューマチック

トレールと横力の積に残留SATを加えたものからなっているとして求めている.

D -S

h

Y y

x

0

2

BC

-y

X, x

Fig. 2.24 A typical tire SAT characteristics indicating the meaning of the coefficients of Eqs.(2.134) and (2.136)

α

α

α -SHt

-SHf t Mzr

-t Fy Fy Mz

Fig. 2.25 The images of SAT characteristics. Upper: the product of lateral force and pneu-matic trail, Middle: residual torque [Eq.(2.135)], Lower: pneupneu-matic trail

この理由として考えられるのは,先に述べたように様々なタイヤの特性を表すために 都合の良い形に変更したということと,Combined Slipの特性でニューマチックトレー ルを直接使って算出していることから,ニューマチックトレールを事前に求める方が 都合がよいという点が挙げられる.

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