• 検索結果がありません。

第 4 章 肝細胞単一モデルにおける一酸化窒素と肝細胞アンモニア代謝機能の関連性

4.3 実験結果

4.3.1 一酸化窒素負荷装置による一酸化窒素透過濃度の計算

値と測定値

細胞に負荷するNO濃度を変化させるために,異なるNO濃度のガスボンベを 用いた.しかし,NO ガスは PDMS を透過して細胞に負荷されるため,負荷さ れるNO濃度とガスボンベ内のNO濃度は異なると考えられた.そこで,透過し たNOガス濃度を測定し計算値と比較し,特定のNO濃度が細胞に与えられてい るかを判断した.

PDMSを透過したNO はPBS内に溶け込み溶存酸素と反応し(4-1)式によって 酸化される.

2𝑁𝑂 + 𝑂3 → 2𝑁𝑂3 (4-1)

この式の反応速度定数は k1である.NO2は水と反応する.したがって NO 酸化 反応と水への溶解反応を合わせると(4-2)式になる.

4𝑁𝑂 + 𝑂3+ 𝐻3𝑂 → 4𝑁𝑂3@+ 4𝐻A (4-2)

PBS内のNOとNO濃度をそれぞれCNO(t), CNO2(t)と表記すると,各濃度は以下 に示す(4-3), (4-4)式で計算することができる[72].

𝑑𝐶DE

𝑑𝑡 = 𝑘DE ∙ 𝐴

𝑉 ∙ 𝛼 ∙ 𝑃DE − 𝐶DE − 4 ∙ 𝑘&∙ 𝐶DE3 ∙ 𝐶EM (4-3) 𝑑𝐶DEMN

𝑑𝑡 = 4 ∙ 𝑘&∙ 𝐶DE3 ∙ 𝐶EM (4-4)

各係数は以下の通りである.k1は(4-1)式の反応速度定数で2.4 × 106 mol-2×L2×s-1, kNOは PDMS 膜を透過し溶液に溶け込む際の液境膜物質移動係数で 1.11 × 10-5 m/s, aはNOの溶液(PBS)に対する溶解度で1.5 × 106 mol×L-1×Pa-1となっている

[72].本研究では,NO分圧(PNO)は全圧の0.3 × 106 Paに各ボンベのNO濃度

(0, 0.5, 5, or 25 ppm)を掛け合わせた数値となり,PBSと触れ合うPDMS表面 積(A)は360 × 10-6 m2で,液体の全量(V)は17 mLとなっている.また,溶 存酸素濃度(CO2)は常に飽和濃度にしているため210 × 10-6 mol/Lである.これ らの数値で(4-3), (4-4)式の微分方程式をScilab(Digiteo, France)によって解いた.

その結果,24時間後の25 ppm NOガス濃度におけるCNOとCNO2はそれぞれ,0.06

× 10-6 mol/Lと0.85 × 10-6 mol/Lとなった.したがって,24時間後の溶液内にお ける全NOx濃度は0.92 × 10-6 mol/Lであった.

一方,4.2.3で述べたNO濃度測定により,25 ppm NO負荷における溶液内の NOx濃度を測定したところ, (1.32 ± 0.18) × 10-6 mol/L (n = 9)であった.

63

4.3.2 一酸化窒素とせん断応力負荷による細胞への影響

5 ppm NOと0.6 Paせん断応力負荷において,実験による細胞剥離は見られな

かった(Fig. 4-4a, 4-4b). また,細胞の形状に大きな変化も見られなかった.

次に全ての実験条件における細胞生存率をFig. 4-4cに示す.この結果から,

全ての条件下で生存率に違いがないことが判明した.

Fig. 4-4 実験による細胞への影響

(a) 実験前の細胞状況

(b) 0.6 Pa と 5 ppm NO 負荷実験後の細胞状況

(c) 各条件における細胞生存率

(a) (b)

(c)

65

4.3.3 静置培養における一酸化窒素がアンモニア代謝量に与

える影響

負荷するせん断応力を0.008 Paとし静置培養と模擬した場合において,3つの NO濃度を肝細胞に負荷した際のアンモニア代謝量の変化をFig. 4-5に示す.全 てのNO負荷において0 ppmよりアンモニア代謝量が高かった.特に0.5 ppm NO 負荷時に最も高いアンモニア代謝量を示し,コントロールの約 2 倍であった.

0.5 ppm 以降のNO濃度では徐々にアンモニア代謝量が減少した.

Fig. 4-5 静置培養におけるアンモニア代謝量の変化

* P < 0.05:versus 0 ppm

† P < 0.05 : versus 0.5 ppm

4.3.4 せん断応力負荷時において一酸化窒素がアンモニア代 謝量に及ぼす影響

せん断応力負荷時における各NO濃度負荷によるアンモニア代謝量をFig. 4-6 に示す.せん断応力によりアンモニア代謝量が向上した.0.5 ppmと5 ppm NO

負荷で0 ppmより高いアンモニア代謝量を示した.しかし,25 ppm NO負荷に

おいては0 ppmと同じアンモニア代謝量となった.

Fig. 4-6 せん断応力負荷におけるアンモニア代謝量の変化

白:静置培養 黒:せん断応力負荷

* P < 0.05:versus 0 ppm in static culture

† P < 0.05 : versus 0 ppm under shear stress

§

P < 0.05:versus 5 ppm under shear stress

67

関連したドキュメント