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第 4 章 肝細胞単一モデルにおける一酸化窒素と肝細胞アンモニア代謝機能の関連性

4.2 実験方法

4.2.1 一酸化窒素負荷装置の作製

NO濃度と肝細胞機能向上の関連性を調べるために,細胞に負荷するNO濃度 を制御できる培養装置を作製した.作製した負荷装置をFig. 4-1に示す.負荷装 置は 3 つのパーツで構成されており,スペーサーリング,dimethylpolysiloxane

(PDMS)ディスク,固定板となっている(Fig. 4-1a, 4-1b).スペーサーリング と固定板はステンレス(SUS8)を削り出して作製した.PDMS ディスクは以下 の過程で作製した.

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1.PDMS(Dow Corning Toray, Japan)と重合材を10:1の割合で混ぜ合わせ,

脱泡装置に混合したPDMSを置き,30分間真空にしてPDMS内の空気を抜 き取った.

2.ポリカーボネートで作製した鋳型に8つのφ2 mmステンレスパイプを等間 隔に設置し,脱泡したPDMSを流し込み,90℃で1時間ベークを行った.

3.ベーク後,鋳型からステンレスパイプを引き抜き,固まった PDMS を取り 出し,円筒形流路の長さを整えPDMSディスクを完成させた.

PDMSディスクには円筒形の流路が8つ存在しており(Fig. 4-1c),この流路内 をNO ガスが通過する.またPDMS を使用した理由として,PDMSはガス透過 性のよい素材として,細胞とガスの研究に多く用いられているからである[70, 71].

作製した NO 負荷装置の流路が円筒形で細胞播種面と一体化しているのは,

ガス負荷による細胞播種面の盛り上がりを防ぐためである.この負荷装置作製 前に,薄膜とガス負荷流路が分かれている装置を用いて実験を行ったところ,

薄膜がガス圧により盛り上がり,細胞がすべて剥離する現象が見られた.この 現象を防ぐためには2つの方法が考えられ,1つはガス圧を小さくし培養液流れ による圧力と負荷するガス圧を均等にする方法であり,もう 1 つは薄膜と流路 を一体化する方法である.本研究で使用するNOガス濃度は4.2.2にて述べるが 非常に微小濃度であるため,ガス圧を小さくすると培養液に透過した NO を検 出することが困難になると推測された.したがって,本 NO 負荷装置は薄膜と ガス負荷流路を一体化させた装置を採用した.

Fig. 4-1 作製した NO 負荷装置

(a) NO 負荷装置の全体図

(b) 分解した 3 パーツ

左から,スペーサーリング,PDMS ディスク,固定板 (c) 装置の概略図

(d) 装置のサイズと流路径

(a) (b)

(d)

(c)

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次に,せん断応力負荷装置を含む実験装置全体図をFig. 4-2に示す.せん断応 力負荷装置は第3章と同じものを使用し,細胞に特定のせん断応力を負荷する と共に新鮮な培養液と酸素を供給する役割を担っている(Fig. 4-2a).流路を流 れるNOガスはPDMSを透過し,細胞に直接負荷される.また,この際酸素は 培養液側から細胞に供給されるため,NOガスは酸化されることなく細胞に負荷 することが可能である.培養液はポンプによって循環しており,培養液の全体

量は17 mLである.負荷装置はパルスダンパーとフローリザーバーの間に置か

れており,パルスダンパーはポンプによる拍動を抑えるために,フローリザー バーは培養液に酸素を供給するために用いた.パルスダンパーとフローリザー バーは37℃の高温槽で温め,負荷装置は高温槽内に置かれた台の上に設置し,

直接37℃の水に触れないようにした(Fig. 4-2c).装置設置後に高温槽にカバー

を被せることで,温度を37℃に維持した.

第3章の肝臓構造模擬モデル実験において,NOと酸素は同一方向から肝細胞 に負荷されていた.しかし,本実験で作製したNO負荷装置では酸素が上側か ら,NOが下側から肝細胞に負荷されており,これは生体内の肝臓構造を模擬し ていない.しかし,NOは酸素と反応しNO2へ変化してしまうため,NOを酸化 させる前に肝細胞に負荷するためには,NOと酸素を別々に分ける必要がある.

そこで本研究では,肝細胞に負荷されるNO濃度の調節に主眼を置き,NOと酸 素を別々に肝細胞に負荷し,NO濃度とアンモニア代謝機能向上の関連性につい て調べることにした.よって,NOガス負荷方向については考慮しないこととし た.

(a)

(b)

Fig. 4-2 せん断応力装置を含めた実験装置全体 (a) 負荷装置の概略図と実物画像

(b) 装置断面図

断面 1 断面 2

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Fig. 4-2 せん断応力装置を含めた実験装置全体

(c) 実験装置全体の概略図と写真

(c)

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