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婦女 の不可侵 の権利 ・幼女の心 身の健康 を害 する罪

1強 姦 罪 〈強 好 罪 〉

強 姦 罪 とは ・暴 力 ・脅 迫 また は そ の他 の手 段 を用 い て ,婦 女 〔14歳以 上 の女 性 〕 の 意思 に反 して性 交 す る行 為 をい う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪構 成

(1)本 罪 の 主 体 は,14歳 以 上 の 責任 能力 あ る男性 で あ る。 しか し, 共 同 犯 罪 〔共 犯 〕の 場 合 には,婦 女 で あ って も本 罪 の教 唆 犯 ま た は蕎 助 犯 とな りうる 。

二 人以 上 の 男性 が 同 時 に同 一 の婦 女 を順 次 強姦 す れ ば

,輪 姦 とな る。 輪 姦 行 為 は,本 罪 の重 大 な形態 で あ っ て,独 立 の 罪 名 で は な い 。婦 女 また は 幼 女 が 輪 姦 された場 合 に は,強 姦 罪 と幼 女 姦 淫 罪 との区 別 が 必 要 で あ る。 輪 姦 の 関 与 者 は,共 犯 処 罰 の原 則 に従 って処 断 され る。

(2)本 罪 の客 体 は 丁婦女 の 不 可侵 の権 利 ,婦 女 が性 行 為 を どの男 性 に も拒 絶 しう る権利 で あ る。 この婦 女 の権 利侵 害 は,同 時 に婦 女 の人 格 的 尊厳 の重 大 な侵 害 で もあ る。

(3)本 罪 の 主観 面 は,直 接 故 意 に限 られ るが ,姦 淫 強 行 の明確 な 目 的 も必 要 で あ る・す な わ ち,被 害 婦 女 に対 す る性 行 為 強行 の意 図が なけ れ ば な らな い。

(4)本 罪 の客 観 面 は,行 為 者 が 婦女 の 意 思 に 反 して ,暴 力 ・脅 迫 また はそ の他 の手 段 に よ り,そ の婦 女 との性 交 を強行 す る行 為 で あ る。 婦 女 の意 思 に 反す る とは,婦 女 の 自発 的性 交 の真 意 に反 して

,性 交 を強 行 す る行 為 をい う。 暴力 手 段 とは r婦 女 の 人 身 の安 全 と 自由 を危 殆 化 す る暴 力 的 方 法 をい う。 また,脅 迫 的 方 法 とは ,威 迫 ・威 嚇 の 手段 を用 い て,婦 女 を精 神 的 に強 制 し,そ の 婦女 を反抗 困難 に す る方 法 を い う。 さ らに,そ の 他 の 方 法 とは ・暴 力 ・脅 迫 の 以外 の 方 法 を用 い て ,婦 女 の 反 抗 能 力 を失 わせ る こ とを い う。 例 えば ,麻 酔 を用 い た り,婦 女 の夫 で あ る と仮 装 した り,診 察 に仮借 して婦 女 の性 器 を検 査 した り,神 や 鬼 を装 って 翻弄 す る方

{936) 何 兼 松 編 著 ・ 刑 法 教 科{一[i(各 論 編24章 〜29';効 255

4過 失 重 傷 罪 〈逆 失 致 人 重 彷 罪 〉

過 失 重 傷 罪 とは,行 為者 が過失 に よ り他 人 の 身体 に重傷 を負 わせ る行 為 をい う。

1犯 罪構 成

(1) (2) (3) (4)

本 罪 の 主 体 は,自 然 人 一 般 で あ る。

本 罪 の客 体 は,公 民 の 身体 の健 康 で あ る。

本 罪 の 主 観 面 は,過 失 で あ る。

本 罪 の客 観 面 は,他 人の 身 体 を傷 害 す る行 為 を実行 して,他 人 の 身体 の健 康 に重 大 な危 害 結 果 を生 じさせ,か つ 傷 害行 為 と危 害結 果 との 因果 関係 が あ る行 為 で あ る。

他 人の 身体 に傷 害 を加 え て も重 傷 に至 らな か った場 合 ・また は重 傷 結 果 と傷 害 行 為 との 因 果 関係 が ない場 合 に は,本 罪 は成 立 しない 。

II定 罪

過 失 重傷 罪 と故 意傷 害 罪 の 限界 につ いて,注 意 して お く。 両 罪 は・客 観 的 に重 傷 の結 果 を生 じ させ る点 で 共 通す る。 しか し,両 罪 は ・次 の 二 点 で 異 な る。 第 一 に,主 観 的 な心 理態 度 の 相 違 が あ り,本 罪 は過 失 で あ り,後 罪 は故 意 で あ る。 第 二 に,犯 罪成 立 につ き客 観 的結 果 の 要否 が 異 な り,本 罪 は重 大 な結 果発 生が あ る場 合 にの み 成立 す るが,後 罪 は重大 な結 果発 生 が な くて も成 立 す る。

皿 刑 事 責 任

刑 法235条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の 有期 懲 役 また は拘 留 に処 す る。 刑 法 に特 別 の規 定 が あ る と きは,そ の 規 定 に よる。

「特 別 の規 定 が あ る」とは,他 の犯 罪 行 為 に よ る被 害 者 の 重 傷 につ き定 め た規 定 をい う。 この場 合 に は,235条 の 規 定 に よる定 罪 ・刑 言 渡 は な され ず,そ の特 別 規 定 に よ り定 罪 が行 わ れ る。

254 神 奈 川法 学 第34巻 第3乳}2001年

(93?) す る こ とで あ る。 行 為 者 の 故 意 内 容 の判 断 は ,複 雑 か つ 繊 細 な問 題 で あ

る。 我 々 はs主 客 観 一 致 の原 則 を堅持 して,行 為 者 の 認識 水 準 ・行 為 能 力,犯 行 時 の 客観 的環 境 お よ び当該 犯行 の 全過 程 も考慮 す る必 要 が あ る。 犯 罪事 実 すべ ての 明確 化 を基礎 と しての み,行 為 者 の 主観 的 要件 の 具体 的 内容 を正 確 に判 断 しう る。

3・ 故 意傷 害(致 死)罪 と過 失 致 死 罪 との 限 界 両 罪 と も

,死 亡 結 果 が 発生 す る のみ な らず 過 失 に よ り惹 起 され る。 しか し,基 本 犯 の 主観 的 要 件 の 内容 が 異 な る。 故意 傷 害 致死 で は ,行 為 者 の 主観 に他 人傷 害 の故 意 が あ る の に対 し,過 失 致 死 で はr犯 罪 全 体 に故 意 が な い。 さ らに,傷 害 致 死 罪 と過 失 致 死 罪 とで は ,定 罪 量 刑 過 程 にお け る当 該 死 亡 結 果 の 意 味 が 異 な る。 前 者 の死 亡結 果 は,量 刑 で の法 定 情状 と して結 果 的加 重 犯 を、基礎 づ け るが,後 者 の 死 亡 結 果 は a定 罪 〔犯 罪 確 定 〕 に不 可 欠 な要件 で あ る。

皿 刑 事 責 任

刑 法234条;故 意 に他 人 の 身 体 を傷 害 した 者 は ,3年 以 下 の 有期 懲 役, 拘留 また は管 制 に処 す る・・故 意 に他 人 の 身 体 を傷 害 した者 が 重 傷 を負 わ せ た と きは ・3年 以 上10年 以 下 の 有 期 懲 役 に処 す る。 故 意 に他 人 の 身体 を傷 害 した者 が,同 人 を死 亡 させ ,ま た は特 に残忍 な手段 を用 い て 同 人 に 重 大 な 身体 障 害 を与 え た と きはs死 刑 ,無 期 懲 役 ま た は10年 以 上 の 有 期 懲 役 に 処 す る。

故意 に他 人の 身 体 を傷 害 し刑 法 に特 別 の規 定 が あ る ときは,そ の規 定 に よる。 これ は,他 の故 意 犯 の実 行 に よ り他 人 の身体 を傷 害 す る場 合 を意 味 し,刑 法 の 条 文 に 「人 に重 傷 を負 わせ る」 ,「 公 共 の財 産,国 家 お よび 人 民 の 利 益 に 重大 な損 失 を与 え る」 とい った 文 言が あ る。 関連 条 文 の 規 定 に よ り定罪 ・量 刑 が な され るの で ,刑 法234条 は もは や適 用 され ない 。 例 え ば,他 人 に重 傷 を負 わ せ た 原 因が ,故 意 に よる放 火 ・溢 水 ・爆 発 ・投 毒 で は刑 法115条,強 姦 ・幼 女 姦 淫 で は刑 法236条 ,不 法 拘 禁 で は刑 法 238条,強 盗 で は刑 法263条 ,職 務II怠 で は刑 法397条 に よ り定 罪 ・量 刑 が な され る。

(938) 何 飛 松 編 著 ・ 刑 法 教 科rll《 各11倉編24';rf〜29ρ 253

(毒 蛇)に よる人 の 内 臓 ・各器 官 の重 大 な機 能 障 害 また は重 い後 遺 症 を生 じた場 合 等 で あ る。

軽 傷 害 とは,物 理 ・化 学 ・生 物 な ど各種 の 外 的 要 因 の作 用 に よ り組 織 ・器 官 構 造 の 一 定 程 度 の 損 傷 な い し部 分 的 な機 能 障 害 を人体 に生 じ さ せ た が,重 傷 に も軽 微 傷 害 に も属 さな い もの をい う・ 最 高 人民 法 院'最 高 人民 検 察 院 ・公 安 部 ・司 法 部 の 「人体 の軽 傷鑑 定 の 基準 」 は,各 種 の 軽 傷 につ い て具 体 的 に定 め る。

重傷 害 ・軽 傷 害 の い ず れ を認 定 す る か は,各 異 な る事 情 を区 別 して全 要 因 を総 合 的 ・全 面 的 に考 察 して 初 め て,正 しい 結 論 を導 くこ とが で き る。 軽傷 害 は,不 法 侵 害者 に よる侵 害 行 為 時 に当該 犯行 場 所 で 生 じた傷 害 の状 態 に基づ い て判 断 され るの が 一般 で あ る。 これ に対 し,重 傷 害 は,不 法 な侵 害 行 為 に よ り当該 犯 行 場 所 で 生 じた 傷 害 の ほ か,発 症 ・後 遺 症 の 結 果 も総 合 して考 慮 す る こ とに よ り,初 め て そ の 当 否 が結 論 づ け られ る 。 受 傷 時 の 傷 が深 け れ ば,発 症 せ ず 後 遺症 が残 らな くて も,重 傷 と認定 しな

け れ ば な らない 。 例 えば,血 管 を切 られ失 血 過 多 に よ る シ ョッ ク症 状 に 陥 ったが,直 ち に 緊急措 置 が執 られ て危 険 な状 態 を脱 した後 ・正 常 に 回復 した と して も,重 傷 害 と認 定 され る。 また,受 傷 時 に被 害 者 の傷 は軽 か っ たが,傷 害 行 為 と密 接 に関係 す る原 因 に よって 身体障 害 や器官 の機 能 喪失 が 発 生 した場 合 に も,重 傷 と認定 しな け れ ば な らない 。他 方,被 害 者 の受 傷 は浅 か ったが,医 療 事故 に よ り重 大 な身体 障 害 が 引 き起 こ され た場 合 に

は,こ れ は別 の因 果 関係 に よ って確 定 され る責任 で あ るのでsこ の 重 大 結 果 の発 生 のみ を理 由 と して 傷 害行 為 者 に重 傷 の責 任 を負 わせ る こ とはで

きない 。

2.本 罪 と故 意 殺 人罪 との 限 界 両 罪 は,特 に傷 害 致 死 と故 意 殺 人既 遂,傷 害 既 遂 と故 意 殺 人 未 遂 の場 合 には,混 同 されや す い 。 そ の混 同 され る原 因 は,い ず れ の場 合 も丁同 じ結 果 が 生 じる点 に あ る。 そ れ ゆ え,両 者 の 限界 の 正確 な理 解 が必 要 で あ る。 傷 害致 死 と殺 人既 遂 は,い ず れ も客 観 的 に死 亡結 果 を生 じ させ るが,そ の 主観 的要件 の 内容 が 異 な る。 本 罪 は他 人 を故意 に傷 害 す る こ とで あ るが,故 意殺 人罪 は他 人 の生 命 を故 意 に剥 奪

252 率申ぐミ川1'r.去莞 第34巻 第3乞}2001イ1三

(939) 本 罪 の 傷 害行 為 は,「 違 法 」性 が な け れ ば,犯 罪 を構 成 しな い。 例 えば, 正 当 防衛 の限 度 で 不 法侵 害 者 を傷 害 す る行 為,司 法 職 員 が発 砲 の警 告 を無 視 して逃 走 す る者 を傷 害 して 身体 障 害 を生 じさせ る行 為 は

,違 法性 を欠 く の で,傷 害 罪 の 範 囲 に含 まれ な い。

2.特 殊 犯 罪 構成

故意 傷 害罪 の特 殊 犯 罪構 成 は ,本 罪 の 行 為 者 が 他 人 を重 傷 ・死 亡 させs また は特 に残 忍 な手段 を用 いて重 大 な 身体 障 害 を生 じ させ る行 為 で あ る

。 皿 定 罪

1・ 重傷 と軽 傷 との 限界 重 傷 害 と軽 傷 害 とは,と もに傷 害 罪 の情 状 で あ っ て・傷 害 罪 とい う同 一罪 名 が 用 い られ る。 しか し,両 罪 は,法 定 刑 が 異 な るの で ・司 法 実 務 で は,厳 格 に区 別 す る必 要 が あ る。 わ が 国 の刑 法 234条 は,重 傷 を具 体 的 に 三つ に区 別 す る。 最 高 人民 法 院 ・最 高 人 民 検 察 院 ・公 安 部 ・司 法 部 が 共 同布 告 した 「人 体 の重 傷 鑑 定 基 準 」 は

,さ らに 詳 細 に定 め る。 この規 定 に よる と,重 傷 とは,次 の 三つ をい う。① 人 の 身 体 に障 害 を残 した場 合 ・ま た は人 の容 貌 を損 傷 した場 合 。 身体 障 害 とは, 傷 害 行 為 に よる 手足 の欠 損,ま た は 身 体 の 完 全 性 ・身 体 機 能 の喪 失 をい う。容 貌 の 損 傷 と は,他 人 の顔 か た ち の殿 損 ,容 貌 の 変形 醜 悪 化 ・機 能 傷 害 をい う。② 人 の聴 覚 ・視 覚 そ の 他 の器 官 を損 傷 して同 機 能 を喪 失 さ せ た場 合・ 聴 覚 の 喪 失 とは }片 耳 の音 声 聴 力 の91デ シベ ル 以 上 の 減 退 , また は両 耳 の音 声 聴 力 の60デ シベ ル以 上 の 減 退 を い う。 聴 覚 の 喪 失 と は・各種 の損 傷 に よる片 目の 盲 目 ,ま た は 両 目の視 力 低 下(一 方 の視 力 を 二 級 に 減 退 させ ね ば な らな い)を い う。 そ の他 の 器 官 の損 傷 ・機 能 喪 失

とは,頭 蓋 骨 ・頸 部 ・胸 部 ・骨 盤 部 ・脊柱 ・脊 髄等 の 損 傷 に よ る機 能 喪 失 をい う。③ そ の他,人 の 身体 の健康 に重 大 な傷 害 を与 え た場 合。前 記 の重傷 以 外 で あ っ て,人 体 の健康 に重大 な影 響 を もた らす傷 害 をい う。 例 えばr総 面 積30%以 上 ま た は 三度 の 火 傷 で あ れ ば10%以 上 の 火 傷

,児 童 の総 面 積10%以 上 また は 三 度 以 上 の 火傷 で あ れ ば5%以 上 の火 傷

,三 度 の 凍傷 に よる耳 ・鼻 ・足 の部 位 等 の重 大 な機 能 障 害

,物 理 性 損 傷(放 射 線 や レー ザ ー 光 線)・ 化 学 性 損 傷(強 度 の酸 ・ ア ル カ リ)・ 生 物 性 損 傷