長井 圓 共訳 藤井 学
・民主 的権利 を害す る罪 概説
公 民 の 人 身 の権 利 ・民 主 的 権 利 を害 す る罪 とは,公 民 の 人 身 お よび そ れ に直接 関連 す る権 利 を侵 害 す る行 為,公 民 が 法 に基づ い て享 有す る国 家 へ の 事 務 管 理 権 ・社 会へ の 政 治 活 動 参 加 権 を不 法 に剥 奪 ・妨 害 す る行
為,婚 姻 ・家 庭 を妨 害 す る行 為 を い う。
この犯 罪 の構 成 要 件 は,次 の通 りで あ る。
(1)犯 罪 の 主 体 は,多 くは 自然 人 一般 で あ るが,少 しは特 殊 主 体
〔身 分 の あ る者 〕 もあ る。
(2)犯 罪 の 客 体 〔法 益 〕は,公 民 の 生 命 ・自由 ・健 康 等 の 人 身 の 権 利,ま た は 人 身 の権 利 と密 接 に 関連 す るそ の他 の 権利,公 民 の民 主 的権
利,公 民 の 婚 姻 ・家 庭 に関 す る権 利 で あ る。
(3)犯 罪 の 主 観 面 は,多 くは故 意 で あ るが,過 失 もあ る。
(4)犯 罪 の客 観 面 は,刑 法 各 則 第4章 に定 め る公 民 の 人身 の 権 利 お よび 民 主 的権 利 を侵 害 す る各 種 の行 為 で あ る 。
わが 国 の刑 法 は,公 民 の 人 身 の権 利 ・民 主 的権 利 を侵 害 す る罪 と して, 全31条 に37の 罪 名 を定 め る。
232条 故 意 殺 人罪 〈故 意 奈 人 罪>
233条 過 失 致 死 罪 〈迂 失致 人 死i':雅>
234条 故 意 傷 害 罪 〈故 意 侮 害 罪>
235条 過 失 重 傷 罪 〈辻 失 致 人 重 侮 雅>
236条 強 姦 罪 〈強 妊 罪 〉 幼 女 姦 淫 罪 〈妊 淫 幼 女 罪>
237条 婦 女 強 制 狼褻 侮 辱 罪 く強 制 狼 褒 、汚 辱 如 女 雅 〉 児 童 狼 褻 罪 〈狼 褻 兀 童 罪 〉
244 桝1つ管lll盲去'}≒第34巻 第3号2001臼 モ
(947) (11)1996年11月15日 国 家 行 政 管 理 局 「商 業 賄 賂 行 為 禁 止 に 関 す る 暫 定 規 定 」
。 (12)前 注(10)。
(13>・(14)前 注(5)。
(15)1998年8月28日 最 高 人 民 法 院 「外 国 為 替 詐 欺 購 入 ・同 不 法 売 買 刑 事 事 件 の 審 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
(16)1996年12月12日 最 高 人 民 法 院 「詐 欺 事 件 の 審…理 に お け る 法 律 の
,具体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
(17)1995年4,月20日 最 高 人 民 法 院 ・最 高 人 民 検 察 院 「ク レ ジ ッ トカ ー ド利 用 詐
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欺事件 の処理 にお ける法 律の具体的適 用 に関す る若干 の問題 の解 釈」。
税 納 税 証 書 の 虚 偽 作 成 い て1。
(19)ユ998年12月17日 最 高 人 民 法 院 「不 法 出 版 物 刑 事 事 件 の 審 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
(20)ユ998年12月30日 全 国 人民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 「外 国 為 替 詐 欺 購 入 ・不 法 移 1996年 ユ0月17日 最 高 人 民 法 院 「『全 国 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 ・付 加 価 値
・偽 造 ・不 法 販 売 の 罪 の 懲 罰 に 関 す る 決 定 』の 適 用 に つ
転 ・ 売 買 罪 に 関 す る 決 定 」
(21)1998年12月11日 最 高 人 民 法 院 「不 法 出 版 物 刑 事 事 件 の 審 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。 こ こで い う 「不 法 出 版 物 」と は,同 司 法 解 釈 ユ 条 〜10条 に 定 め ら れ た 出 版 物 以 外 の もの を い う。 す な わ ち,祖 国 分 裂 ・国 家 統 一一の 破 壊 ま た は 国 家 政 権 お よ び 社 会 主 義 制 度 転 覆 を 煽 動 す る 内 容 の 出 版 物r著 作 権 侵 害 出 版 物,少 数 民 族 を 差 別 ・侮 辱 す る 出 版 物
,狼 褻 出 版 物 等 を 除 く不 法 な 出 版 物 で あ る 。
(22)1998年4月 ユ8日 国 務 院 「営 業 活 動 転 売 禁 止 に 関 す る 通 知 」
。 (23)前 注(15)。
(24)1999年9月2日 最 高 人 民 法 院 「乗 車 券 転 売 刑 事 事 件 の 審 理 に 関 す る 問 題 の 解 釈 」。
(948) 何 乗 松 編 著 ・ 刑 法 教 零卜,1}(各 論 編24章 〜29';テ) 243
刑 法231条;単 位 が 本 罪 を犯 した と きは,単 位 に罰 金 を科 す る ほか ・ その 直接 責 任 を負 う管 理 職 お よびそ の他 の直接 責任 者 は,前 記 規 定 に よ り 処 罰 す る。
(1)実 際,犯 罪 の 予 備 形 態 の 大 多 数 は,証 拠 の 収 集 ・ 認 定 に相 当 な 困 難 が 伴 う 。 (2)全 国 人 民 代 表 大 会 常 務 委 員 会 「偽 劣 商 品 生 産 販 売 罪 の 懲 罰 に 関 す る 決 定 」以
前 に は,わ が 国 の 刑 法 は,そ の 罪 に つ い て 専 門 の 規 定 を定 め て い な か っ た の で ・ 裁 判 実 務 は,有 毒 ・有 害 食 品 を 生 産 ・販 売 す る 行 為 を 公 共 安 全 危 害 罪 と し て 処 理 し て い た 。 そ の 罪 名 も,事 情 を 掛 酌 して 決 せ ら れ,「 有 毒 有 害 食 品 生 産 販 売 公 共 安 全 危 害 罪 」 と さ れ る の が 一般 的 で あ っ た 。
(3)こ こ に い う 企 業 基 準 は,国 家 の 強 制 基 準 よ り も厳 格 で な け れ ば な ら な い 。 わ が 国 の 産 品 品 質 法 の 規 定 に よ れ ば,国 家 の 強 制 基 準 が あ る と き は,産 品 は,こ
の 基 準 を 満 た して い な け れ ば な らず,そ う で な け れ ば 偽 劣 商 品 と な る 。 国 家 の 強 制 基 準 が あ り,さ ら に 企 業 が 自 ら企 業 基 準 を 制 定 し て,こ れ を 技 術 監 督 管 理 部 門 に報 告 し て 許 可 さ れ,そ の 産 品 の 包 装 へ の 印 刷 に よ り消 費 者 の 承 諾 が あ る と きは,こ の 企 業 基 準 は,国 家 の 強 制 基 準 よ り も 厳 格 で な け れ ば な ら な い 。 こ の よ う な 事 情 下 で は,企 業 の 生 産 し た 産 品 が 国 家 の 強 制 基 準 お よ び そ の 企 業 基 準 の 双 方 を 満 た さ な け れ ば,な お 偽 劣 産 品 と な る 。
(4)理 論 上 … 般 的 に,武 装 に よ る 密 輸 援 護 は,武 装 密 輸 援 護 罪 と し て 独 立 の 罪 名 に す べ き だ と 考 え られ て い る 。 な ぜ な ら,武 装 密 輸 援 護 に は,独 立 の 犯 罪 要 件 と法 定 刑 が 定 め ら れ,ま た,こ れ が 各 種 密 輸 罪 の 重 罰 情 状 の … つ に す ぎ な い と す れ ば,行 為 者 が 別 個 の 貨 物 ・物 品 を 同 時 に 密 輸 し た 場 合,適 切 な 定 罪 ・量 刑 を な しえ な い か ら で あ る 。 しか し,1997年12月9日 「中 華 人 民 共 和 国 刑 法 施 行 に お け る 罪 名 確 定 に 関 す る 決 定 」は,武 装 密 輸 援 護 罪 を 一 個 の 独 立 罪 名 と は
し て い な い 。
(5)最 高 人 民 法 院 「通 貨 偽 造 ・偽 造 通 貨 売 買 ・偽 造 通 貨 密 輸 事 件 の 処 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
(6)1987年6月28日 最 高 人 民 法 院 ・ 最 高 人 民 検 察 院 ・公 安 部 ・ 司 法 部 「密 輸 金転売の 犯罪活動への厳重 な打 撃 に関す る通知」。
(7)1987年7月24日 最 高 人 民 法 院 「ジ ャ イ ア ン トパ ン ダ の 狩 猟 ・殺 害 お よ び そ の 毛 皮 の 売 買 ・密 輸 の 犯 罪 者 の 厳 重 処 罰 に 関 す る 通 知 」。
(8)1990年7月6日 最 高 人 民 法 院 ・最 高 人民 検 察 院 「狸 褻 物 刑 事 事 件 の 処 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 規 定 お
(9)1996年7月31日 最 高 人 民 法 院 「廃 棄 物 不 法 輸 入 刑 事 事 件 の 処 理 に お け る 法 律 の 具 体 的 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
(10)1995年12月25日 最 高 人 民 法 院 「収 賄 ・横 領 ・流 用 等 に か か る 会 社 法 違 反 刑 事 事 件 の 処 理 に お け る 法 律 適 用 に 関 す る 若 干 の 問 題 の 解 釈 」。
242 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号200ユ 年
(949) そ の直接 責任 を負 う管理 職 お よ びそ の他 の 直接 責任 者 は,前 記 規 定 に よ り 処 罰 す る。
72商 品 検 疫 免 脱 罪 〈逃 避 商 栓 罪 〉
商 品検 疫 免脱 罪 とは,輸 出 入 商 品検 疫 法 の規 定 に違 反 して
,商 品 の検 査 を免 れ・商 品検 疫 機 関 の検 査 を要 す る輸 入 商 品 を申告 しない で この 未検 査 商 品 を販 売 ・使 用 し,ま たは 商 品検 査 機 関 の 検 査 を 要 す る輸 出 商品 を申 告 しな い で この未 検 査 商 品 を輸 出 して ,そ の情 状 が 重 大 な行 為 で あ る 。
1犯 罪 構 成
(1)本 罪 の 主 体 は,一 般 主体 で あ る。 自然 人 ・単位 を含 む。 (2)本 罪 の客 体 はa市 場経 済 の 正常 な秩序 で あ る。 わが 国 の輸 出 入 商品 検 疫 法 に よれ ば,国 家 商 品検 疫 官 庁 は ,対 外 貿 易 の必 要 に応 じて 「商 品検 査 機 関 が輸 出 入 商 品 を検 疫 す る 商 品種 類 表 」を制 定 ・公 布 す る。 こ の 「表 」 に 定 め るすべ ての 輸 出 入 商 品 ,お よび 法 律 ・行 政 法 規 に定 め る 商 品検 疫 機 関 の検 疫 を要 す る 商 品 は }商 品検 疫 機 関 ・国 家 の 商 品 検 疫 官 庁 ・商 品検 疫 機 関 の指 定 す る検疫 機 関 の検 疫 を受 け ね ば な ら ない 。 商 品 検 疫 に は,商 品 の 品 質 ・規 格 ・数 量 ・包 装 等 に関 す る安 全 基 準 ・衛 生 基 準 が含 まれ る。 商 品検 疫 機 関 の検 疫 を要 す る輸 出 入 商 品 は,検 疫 を受 けず に販 売 ・使 用 して は な らず ,検 疫 不 合格 の商 品 を輸 出 して は な らな い。 こ れ らの 規 定 に違 反 して輸 出 入検 疫 を免 れ,情 状 が 重 大 な と きは,犯 罪 と な る。
(3)本 罪 の 主観 面 は,故 意 で あ る。
(4)本 罪 の客 観 面 は,輸 出入 商 品検 疫 法 の 規 定 に違 反 して,商 品 の 検 査 を免 れ,商 品検 疫 機 関 の検 査 を要 す る輸 入商 品 を 申告 しな いで この未 検査 商 品 を販 売 ・使 用 し,ま た は 商 品検 査 機 関 の検 査 を 要す る輸 出 商 品 を 申告 しな い で この 未 検 査 商 品 を輸 出 して ,情 状 が 重 大 な行 為 で あ る。
H刑 事 責 任
刑 法230条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の 有期 懲 役 また は拘 留 に処 し,罰 金 を併 科 また は 単 科 す る。
(950) f圓∫褒 生公 編 著 ・ 斤1」{去孝文不十 匿鑑㌻(各 ・ロ命 編24'ま 一29';r̲1) 241
刑 法231条;単 位 が 本 罪 を犯 した と きは,単 位 に罰 金 を科 す る ほか ・ その 直接 責任 を負 う管 理 職 お よび そ の他 の直接 責任 者 は,前 記規 定 に よ り 処 罰 す る。
10会 計 職 員 虚偽 証 明 書 提 供 罪 〈中介姐 銀 人n提 供 虚 假 証 明 文 件 罪 〉 会 計 職 員 虚 偽 証 明 書 提 供 罪 とは,資 産 評 価 ・資 金確 認 ・資 金 証 明 書確 認 ・ 会計 ・会 計 監査 ・法 律 給 付 等 の職 務 を担 当 す る仲 介 組 織 の 職 員 ・
単位 力㍉ 虚偽 の 証 明書 を故 意 に提 供 し,そ の 情 状 が 重大 な行 為 をい う。
本 罪 の 特 殊 犯 罪 構成 は,仲 介組 織 の職 員 ・単位 が,他 人 の財 物 を強 要 また は不 法収 受 して,虚 偽 の証 明書 を提 供 す る行 為 で あ る。 この特 殊 犯 罪 構成 は,行 為 者 す なわ ち仲 介 組織 の職 員 ・単位 に収 賄 の 故 意 と虚 偽 の証 明 書 を提 供す る故 意が あ り,客 観 的 には収 賄 と虚偽証 明 書 の提 供 が あ る行 為 で あ る。
刑 法229条;本 罪 を犯 した者 は,5年 以 下 の 有期 懲 役 また は拘 留 に処 し,罰 金 を併 科 す る。 他 人 に財 物 を要 求 しまた は これ を不 法 に収 受 して本 罪 を犯 した者 は,5年 以 上10年 以 下の懲 役 に処 し,罰 金 を併 科 す る。
刑 法231条;単 位 が 本 罪 を犯 した と きは,単 位 に罰 金 を科 す るほ か ・ そ の直 接 責任 を負 う管 理職 お よびそ の他 の 直接 責任 者 は,前 記 規定 に よ り 処 罰 す る。
11会 計 職 員証 明書 不 実 記 載 罪 〈中介 姐 銀 人 員 出具 証 明文 件 重 大 失 実 罪 〉
会 計 職 員証 明 書 不 実 記 載 罪 とは,資 産評 価 ・資 金確 認 ・資 金証 明書 確 認 ・会 計 ・会 計 監査 ・法 律 給 付 等 の職 務 を担 当す る 仲 介組 織 の職 員 ・ 単 位 が,職 責 を著 し く慨 怠 して提 出 した証 明 書 に重 大 な不 実 の 記 載 を し・
重 大 な 結 果 を 生 じ させ る 行 為 を い う。
刑 法229条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の有 期 懲 役 また は拘 留 に処 し,罰 金 を併 科 また は単 科 す る・
刑 法231条;単 位 が 本 罪 を犯 した と きは,単 位 に罰 金 を科 す る ほ かs