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特定資金物資流用罪 とは,国 家の財 政経済管理制度 に違反 して ,災 害救

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(1)

(856} 何 飛 松 編 著 ・ 刑 法 教 科,1}(各 論 編244量 〜29章) 335

爆発 性 設 備等)を 殿 損 して生 産経 営 を破壊 した と きは,公 共安 全 危 害 罪 の 関 連 規 定 に よ り定 罪 ・処 罰 す る。

2.本 罪 と財物 殿 損 罪 との限 界 両 罪 の 主 要 な相 違 は,行 為 対 象 が 異 な る点 で あ る 。 本 罪 の 対 象 はs設 備 ・工 具 な ど生 産 経 営 に使 用 され また は 直接 関 係 す る公 私 の財 物 で あ る。 これ に対 して,後 罪 の 対象 は,生 産 ・経 営 と直接 関 連 せ ず,刑 法 が 特 別 規 定 を設 け て い ない 各種 の公 私 財物 で あ る 。

皿 刑 事 責 任

刑 法276条;本 罪 を犯 した 者 は,3年 以 下 の有 期 懲 役,拘 留 ま た は管 制 に処 す る。 そ の情 状 が 重 大 な と きは,3年 以上7年 以 下 の有 期 懲 役 に 処 す る。

(1>

(2}

{3) (4)

肖刺 主 編 『新 刑 法 学 』(中 国 人 民 公 安 大 学 川 版 社)369頁 参 照 。

周 道 建 等 主 編 「刑 法 的 修 改 与 這 用 』(人 民 法 院 出 版 社)679頁 よ り引 用 。

「刑 法 学 』(全 国 高 等 教 育 自学 考 試 教 材 ・北 京 大 学 出 版 社)583頁 前 注(2)581頁 参 照 。

(2)

334 神 奈 川 法 学 第34巻 第3r1T」2001年

(857}

2生 産 経 営破 壊 罪 〈破 圷 生 声 経 菅罪 〉

生 産経 営 破 壊 罪 とはs報 復 ま た はそ の他 の 個 人 的 な 目的 を もって

,故 意 に機器 設 備 を破壊 し,家 畜 を殺 害 し,ま た はそ の 他 の方 法 を用 い て,生 産 経 営 を破 壊 す る行 為 を い う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1)本 罪 の 客 体 は,複 雑 客 体 〔複 合 法益 〕す な わ ち財 産 的 利 益 お よ び国 家 ・共 同 体 ・個 人 の生 産 ・流 通 ・交 換 ・分 配 等 を連 結 す る正 常 な 生 産経 営 活 動 で あ る 。

(2)本 罪 の主 観 面 は,故 意 お よび報 復 そ の他 の個 人 的 目的 で あ る。

(3)本 罪 の客 観 面 は,機 器 設 備 破壊,家 畜殺 害 }ま た はそ の他 の 方 法 で生 産 経 営 を破壊 す る行 為 で あ る。 本 罪 の 成立 に は,第 一 に,破 壊 行 為 が 必 要 で あ る。 破壊 行 為 の方 法 に は ,機 器 設 備 の殿 損 ・家 畜 殺 害 ・そ の 他 の方 法 も含 ま れ る・ 「そ の他 の 方法 」とは sこ れ ら以外 の 方法 を用 い てs 正常 な生 産経 営 を不 能 また は失 敗 に させ る方 法 をい う。 例 え ば,電 源 切 断 に よる停 電 事 故 の 発 生,設 計 図 改 窟 に よ る品 質 事 故 の発 生,種 子 ・苗 木 の破壊,販 売 経 路 の遮 断等 で あ る。 第 二 に,破 壊 対 象 は,生 産 経 営 に使 用 され 密接 に 関連 す る生 産材 料 ・生 産 手 段 ・生 産 対 象 ・販 売 経 路 等 で な け れ ば な ら な い。 生 産 経 営 に無 関 係 ま た は未 使 用 の 設 備 ・対 象 を破 壊 して

も,本 罪 は 成 立 しな い 。 2.特 殊 犯 罪 構 成

本 罪 の特 殊 犯 罪 構成 は,生 産経 営 を破壊 して 「そ の 情 状 が 重 大 」な行 為 で あ る・ この 「重 大 な情 状 」とは ,生 産 経 営 破壊 の共 同 犯 罪 にお け る主 犯 で あ る場 合,手 段 が 特 に劣 悪 で正 常 な生 産経 営 に重 大 な影 響 を及 ぼ した場 合,多 大 な経 済 的損 失 を直 接 発 生 させ 結 果 が 重 大 な場 合 等 をい う。

皿 定 罪

1・ 本 罪 と放 火罪 ・爆 破 罪 ・通 信 設 備 破 壊 罪 等 の公 共安 全 危 害 罪 との 限 界 放 火 ・爆 破 等 の危 険 な方 法 を用 い て 生 産経 営 を破 壊 して公 共 の安 全 を害 した と き,ま た は刑 法 が 別 に定 め る特 定 対 象(通 信 設 備 ・易 燃 易

(3)

.. 何 乖 松 編 著 ・ 刑 法 教 科Il}(各 論 編24壁 一29胸 333

(1)本 罪 の 主観 面 は,故 意 で あ る。行 為者 に公 私 の財 物 を不法 占有

〔不 法 領得 〕す る 目 的 が な く,こ の 点 が 本 罪 と他 の 財 産 侵 害 罪 と を区別 す る重 要 な 基準 とな る。公 私 の 財物 を故意 に殿 損 す る動 機 は,多 種 多様 で あ り,怨1艮 報 復 ・欝 積 解 消 ・他 人陥 害 等 が あ り うる 。 しか し,動 機 は,本 罪 の 成 立 に影 響 しな い。

(2)本 罪 の客 観 面 は,公 私 の財物 を殿損 す る行 為 で あ る。 そ の殿損 には,二 つ の 場 合 が あ る。 第 一 は,殿 滅 で あ り,公 私 の 財 物 を完 全 に損 壊 して全 部 の価 値 ・使 用 価値 を喪 失 させ る こ とをい う。 第 二 は,損 壊 で あ り,公 私 の 財 物 を部 分 的 に殿 損 して価 値 ・使 用 価 値 を部 分 的 に喪失 させ る こ とをい う。 殿 滅 ・損 壊 の 具 体 的 方 法 は,多 種 多様 で あ り,粉 砕 ・破 壊 ・解 体 等 が あ り うる。 しか し,放 火 ・爆 破 等 の 危 険 な方 法 で公 私 の財 物 を殿 損 して 公 共 の 安 全 を害 す る危 険 を発 生 させ た と きは,放 火罪 ・爆 破 罪 な ど公 共 安 全 危 害 罪 と して 処 断 され る。

本罪 の侵 害 対 象 は,各 種 の 公 私 財物 で あ る。 しか し,刑 法 が 特 定財 物 の 破 壊 に対 し特 別 な規 定 を定 め る と きは,本 罪 と して処 断 しえ な い。 例 え ば,機 器 設 備 殿損,家 畜殺 害 また は そ の他 の方 法 で 生 産 経営 を破 壊 した と きは,生 産経 営 破壊 罪 が 成 立 し,境 碑 ・境 標 識 ・恒 久 的 測 量 標 識 を破 壊 した と きは,国 境 碑 標 識 罪破 壊 ・恒 久 的 測 量 標 識 破 壊 罪が 成立 す る。

刑 法275条 に よれ ば,公 私 財 物 の殿損 は,そ の額 が 高 額 ま た はそ の他 の 情 状 が 重 大 な場 合 に の み,犯 罪 を構 成 しうる 。 「そ の他 の 重 大 な情状 」と は,お よそ 手段 劣 悪 ・動 機 卑 劣 な殿 損,公 私 財物 の 殿 損 に よる重 大 な 結 果 発 生,重 要 物 品 の殿 損 に よ る重 大 な損 失発 生 等 をい う。

2.特 殊 犯 罪構 成

本 罪 の特 殊 犯 罪 構 成 は,「 そ の 額 が 巨 額 ま た は そ の 他 の情 状 が 特 に重 大 」 な行 為 で あ る 。

n刑 事 責 任

刑 法275条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の 有 期 懲 役,拘 留 また は罰 金 に処 す る。 そ の 額 が 巨額 また はそ の他 の情 状 が特 に重 大 な と きは,3年

以 上7年 以 下 の有 期 懲 役 に処 す る。

(4)

332 神 奈 川 法 学 第34巻 第3琴2001r#; X859) これ に あ た る。

2.特 殊 犯 罪 構 成

本 罪 の特 殊 犯 罪 構 成 はf「 情 状 が 特 に重 大」 な行 為 で あ る。

n定 罪

1・ 本罪 と非 犯 罪 との限 界 特 定 資 金物 資 の 流 用 は,そ の情 状 が重 大 で 国 家 ・人 民 大 衆 の利 益 に重 大 な損 害 を与 えた場 合 に の み ,本 罪 を構成 し う る・ この 要件 を欠 く流 用行 為 は,本 罪 と して処 罰 され な い。

2・本 罪 と資 金流 用 罪 との限 界 両 罪 は ,主 に次 の点 で 区 別 され る。 ① 客 体 が必 ず し も一致 しな い。 本 罪 の侵 害客 体 は ,複 合法 益 で あ り,特 定 資 金物 資 の使 用権 が 侵 害 され,特 定 資 金物 資 が 犯 罪対 象 とな る。 これ に対 し て,後 罪 の侵 害 客 体 は,単 一 法 益 す なわ ち単位 の資 金 使 用 権 で あ り,単 位 の 資 金 が 犯 罪 対 象 とな る。② 行 為 態 様 が 異 な る。 本 罪 の行 為 は流 用 され た特 定 資 金物 資 の個 人 供 用 で は な く,そ れ は公 金流 用罪 と して よ り重 く処 罰 され る・ これ に対 して,後 罪 で は,流 用 資 金が 自己供 用 また は他 人 貸 与 され る。③ 犯罪 主 体 が 異 な る。 本 罪 の 主 体 は ,特 定 資 金物 資 の 取 扱 ・管 理 を行 う直 接 責 任 者 で あ るが,後 罪 の 主 体 は r会 社 ・企 業 ・そ の 他 の 単 位 の職 員 で あ る。

皿 刑 事 責任

刑 法273条;本 罪 を犯 した 者 は,3年 以 下 の有 期 懲 役 ま た は拘 留 に処 す る。 そ の 情 状 が 特 に重 大 な と きは,3年 以 上7年 以 下 の 有 期 懲 役 に処 す る 。

第5節 鍛 損 ・破 壊 によ り財産 を寄す る罪

1故 意 財 物 毅 損 罪 〈故 意 毅 圷 財 物 罪 〉

故 意 財物 殿 損 罪 とは,故 意 に公 私 の財 物 を不 法 に殿 滅 ま た は損 壊 し}そ の 額 が 高 額 また は そ の 他 の 情 状 が 重 大 な行 為 をい う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪構 成

(5)

(860) 何 飛 松 編 著 ・ 刑 法 教 科,1事(各 論 編24章 〜29章) 331

助 ・緊急 救 助 ・水 害 対 策 ・戦争 補 償 ・貧 困 者扶 助 ・移民 救 援 用 の 資 金 ・ 物 資 を流 用 し,そ の情 状 が重 く国 家 ・人 民 群 衆 の利 益 に重 大 な損 失 を発 生 させ る行 為 をい う。

1犯 罪 構成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1)本 罪 の 主 体 は,特 殊 主 体 〔身 分 の あ る者 〕,す な わ ち 災 害 救 助 ・緊急 救 助 ・水 害 対 策 ・戦 争 補 償 ・貧 困 者扶 助 ・移 民 救 援 用 の資 金 ・ 物 資 の 管 理 ・取 扱 につ き直接 責 任 を負 う職 員 で あ る。 「直接 責 任 者」 と は,流 用 行為 に対 す る責任 を負 う管理 職 員 ま たは流 用 行 為 を直接 実行 す る 職 員 をい う。

(2)本 罪 の客 体 は,複 雑 客 体 〔複 合 法益 〕で あ る 。特 定 資 金物 資 の 使 用 権 お よ び これ に対 す る国家 の 財 政経 済 管 理 制 度 で あ る。

(3)本 罪 の 主 観 面 は,故 意 に よ り構成 され る。 す なわ ち,災 害 救 助 ・緊急 救 助 ・水 害 対 策 ・戦 争 補 償 ・貧 困 者扶 助 ・移 民 救 援 等 の特 別

な資 金 ・物 資 を そ れ と知 りな が ら流 用 を決 意 す る こ とで あ る。

(4)本 罪 の 客 観 面 は,特 定 資 金物 資 の 流 用 の情 状 が 重 く,国 家 ・ 人民 群 衆 の利 益 に重 大 な損 失 を発 生 させ る行 為 で あ る。本 罪 の 成立 に は, 第 一 に,流 用 行 為 が必 要 で あ る。 流 用 とは,合 法 な許 可 を受 け な いで,行 為 者 が 取 扱 ・管理 ・経 営 す る特 定 資 金物 資 を他 の 用 途 に配 分 す る こ とを

い う。 例 えば,特 定 資 金 物 資 を商 業 の た め に用 い た り建 物 の建 築 ・修 繕 工 事 に投 資 す る場 合 で あ る。 本 条 の特 定 資 金物 資 の 流 用 は,そ の特 定 用途 を変更 す るが,決 して 自己 のた め の 供 用 で は な く,あ くまで他 の公 的 な 用 途へ の流 用 で あ る。 第 二 に,流 用 の対 象 は,災 害 救 助 ・緊 急 救 助 ・水 害 対 策 ・戦争 補 償 ・貧 困 者扶 助 ・移 民 救 援 な ど特 定 用 途 の資 金 ・物 資 で な け れ ば な らな い。 そ れ 以外 の資 金 ・物 資 の流 用 は,本 罪 を構 成 しない 。 第 三 に,情 状 が 重 大 で 国 家 ・人 民 大 衆 の利 益 の 重 大 な損 失 を発 生 させ ね ば な らない。 例 え ば,特 定 資 金物 資 の流 用 額 が 巨額 の場 合,特 に重 要 な緊 急 資 金物 資 の 流 用手段 が 特 に劣 悪 で 計 り知 れ な い影響 を及 ぼ した場 合,流 用 行 為 に よ り人 民 大 衆 の生 産 ・生 活 に重 大 な危 害 を及 ぼ した場 合 等 が ・

(6)

330 神 奈 川 法 学 第34巻 第3}ナ2001年 (861)

らな い。 職 務 上 の便 益 と無 関 係 な資 金 流 用 は ,本 罪 を構 成 しえ な い 。 2,特 別 犯 罪 構成

本 罪 の特 別構 成 に は,「 流 用 した 単位 の 資 金 が 巨額 」な行 為 ,お よ び流 用 した 単位 の資 金 が 「高 額 で これ を返 還 しない 」 行 為 が あ る。

H定 罪

1.本 罪 と非 犯罪 との限 界

(1)本 罪 と合 法 な貸借 行 為 との 限 界 合法 な貸借 は… 定 手 続 に よ り債 権 債 務 関 係 を形 成 す る適 法 行 為 で あ るが ,資 金 流 用 罪 は犯 罪行 為 で あ る。 それ ゆ え,両 者 を混 同 して は な らな い。

(2)本 罪 と一 般 的 な流 用行 為 との 限界 単位 の資 金 を流 用 して 自 己 に供 用 し また は他 人 に貸 与 して もrそ の 額が 少 額 で かつ 流 用資 金 に よ り 不 法 な活 動 を行 わ な けれ ば,本 罪 は 成立 しな い。 本 罪 の成 立 に は,そ の 額 が 高 額 ま た は流 用 資 金 を用 い た 不 法 活 動 の実 行 が必 要 で あ る。

2.本 罪 と職 務 上横 領 罪 との 限 界

両 罪 は,主 に次 の点 で 区 別 され る。 ① 犯 罪 の 客 体 が 必 ず し も一 致 しな い 。 両罪 は,財 物 の所 有 権侵 害 の 点 で は共 通 す る。 しか し,本 罪 で は,資 金 の使 用 権 ・収 益 権 は侵 害 され る が ,処 分権 は侵 害 され な い。 これ に対

して,後 罪 で は,財 物 の所 有権 の全 権 能 が侵 害 され る。② 行 為 対 象 が必 ず し も一致 しな い。本 罪 の侵 害対 象 は単 位 の資 金 で ある が,職 務 ヒ横 領罪 の 対 象 は資 金 に限 られ な い。③ 故 意 の 内容 が異 な る。 本 罪 の故意 は,資 金 流 用 後 の返 還 を内 容 とす るが,後 罪 の故 意 はf財 物 を 自 己の もの と して 占 有

〔領 得 〕 す る だ け で返 還 を内容 と しな い 。

㎜ 刑 事 責任

刑 法272条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の有 期 懲 役 また は拘 留 に処 す る。 そ の額 が 巨額 の と き また は 高 額 で 返 還 しな い と きは,3年 以 上10 年 以 下 の 有 期 懲 役 に処 す る。

4特 定資金物 資流 用罪 〈郷用特定款物罪 〉

特定資金物資流用罪 とは,国 家の財 政経済管理制度 に違反 して ,災 害救

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(862) 何 乗 松 編 著 ・ 刑 法 教 零}Il享(各論 編24r;ト29章) 329

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1)本 罪 の 主 体 は,特 殊 主 体 〔身 分 の あ る者 〕,す な わ ち会社 ・企 業 ・そ の他 の単 位 〔事 業 組 織 体 〕の 職 員 で あ る。 会 社 ・企 業 ・そ の他 の 単 位 の職 員 で な い者,国 有 会社 ・国有 企 業 ・そ の他 の 国有 単 位 で 公 務 に 従 事 す る職 員,お よび 非 国 有 会 社 ・非 国 有 企 業 ・そ の他 の非 国 有 単 位 に お け る公 務 従 事 を委託 され た国 有 会 社 ・国 有企 業 ・そ の他 の 国有 単 位 の 職 員 は,本 罪 を構 成 しえ な い。 た だ し,2000年2月13日 最 高 人 民 法 院 の 「国 有財 産 受 託 管 理 経 営 者 に よる国 有 資 金流 用行 為 の性 質 決 定 の問 題 に関 す る 回答 」 に よれ ば,国 家 機 関,国 有 の 会 社 ・企 業 ・事 業 単 位 また は 人民 団体 の 委 託 を受 け て国 有財 産 を管理 経 営 す る非 国家 職 員 が,職 務 上 の便 益 を利 用 して,国 有 資 産 を流 用 し本 人 に供 用す る犯罪 を構 成 す る と き

は,刑 法272条1項 に よ り,本 罪 と して定 罪 ・処 罰 され る。

(2)本 罪 の 主観 面 は,故 意 お よび流用 資 金 を 自己供 用 しまた は他 人 に貸 与 す る 目的 で あ る。

(3)本 罪 の客 観 面 は,職 務 上 の便 益 を利 用 してr当 該 単 位 の資 金 を 流 用 して 本 人 に供 用 し また は他 人 に貸 与 す る行 為 で あ る。 流 用 行 為 は,

「期 間超 過 未 返 済 型 」,「 営 利 活 動 型 」,「 不 法 活動 型」 に分 類 され うる 。

「期 間超 過 未 返 済 型」とは,高 額 の 資 金 を流 用 して 自己 供 用 ま た は他 人 に 貸与 して,3月 を経 過 して も返 還 しない類 型 をい う。 この流 用 類 型 の成立

に は,第 一 に高 額 す な わ ち1万 元 〜3万 元 以 上 の 流 用,第 二 に流 用後3 月 の経 過,第 三 に事 件 発 覚 前 の未 返 還,こ の 三 要件 を充 足 す る必 要 が あ る 。 ま た,「 営 利 活 動 型 」とは,資 金 流 用 後3月 が 経 過 せ ず と も,高 額 の 流 用 資 金 で営 利 活 動 を行 う類 型 をい う。 この 類 型 は高 額 の流 用 資 金 で営 利 活 動 を行 え ば成 立 し,そ の返 還 の有 無 は お よそ 本 罪 の成 立 に影 響 しな い。 さ らに,「 不 法活 動 型 」とは,流 用 資 金 を不 法 活 動 に用 い る類 型 をい う。 この類 型 は,流 用 額 ・流 用 期 間 ・流 用 資 金 返 還 に よる制 限 を受 けず ・ 流 用 資 金 を不 法活 動 に利 用 す る だ けで 成立 す る。 この 三類 型 は,い ず れ も 当 該 単 位 の資 金 の 取扱 ・管 理 ・経 営 に よる便 益 を利 用 して行 わ れ ね ば な

(8)

328 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号2001年

{863)

り生 じる 有 利 な条 件 を利 用す る こ とを い う。 この便 益 は 行 為 者 の 担 当職 務 に よ り生 じる もので あ るか ら,そ の職 務 と無 関 係 の便 益 を利 用 して当 該 単 位 の 財物 を横 領 して も,本 罪 は成 立 しな い 。 「自己 の もの と して 占有」

とは・行 為 者 が 管理 す る単位 の財 物 を 自己所 有 に変 える こ とをい う

。 その 方 法 ・手 段 は,多 種 多様 で あ り,例 え ば 着 服 ・虚 偽 報 告 に よる 領 得 ・窃 取 等 で あ る。 さ らに,本 罪 が 成 立 す る に は,そ の 額 が 高額 で な け れ ば な ら

ない 。

2.特 殊 犯 罪構 成

本 罪 の特 殊 犯 罪 構 成 は,「 そ の額 が 巨 額」 な行 為 で あ る。 皿 定罪

本 罪 と横 領 罪 との限 界 は,次 の点 にあ る。① 犯 罪 主体 が 異 な る。 本 罪 の 主 体 は,特 殊 主 体 す な わ ち会 社 ・企 業 ・そ の他 の 単 位 の 職 員 で あ る が

, 後 罪 の 主 体 は,一 般 主 体 で あ る。② 犯 罪 の 客観 面 が 異 な る。 本 罪 はr職 務 上 の 便益 を利 用 して 当 該 単位 の 財 物 を不 法 占有 し自 己の もの とす る こ と で あ る が ・後 罪 は ・他 人 の財 物 を 自己 の もの と して 占有 す る こ とで あ る。 後 罪 の 占有 は・職務 上 の 便益 とは無 関係 で あ る。③ 行 為 対 象 が異 な る。 本 罪 の対 象 は,当 該 単 位 の財物 で あ るが ,後 罪 の 対 象 は,自 己 が 保 管 す る他 人 の 財 物 ・拾 得 した他 人 の遺 失 物 ・発 掘 した埋 蔵物 で あ る。

皿 刑 事 責 任

刑 法271条;本 罪 を犯 した 者 は ,5年 以 下 の 有 期 懲 役 また は拘 留 に処 す る。 そ の 額 が 巨 額 な と きは ,5年 以 上 の有 期 懲 役 に処 し,財 産 没収 を併 科 す る 。

3資 金 流 用 罪 〈螂 用 資 金 罪 〉

資 金 流 用 罪 とは,会 社 ・企 業 ・そ の他 の単 位 〔法 人 ・組 織 体 〕の 職 員 が,職 務 上 の 便益 を利 用 して ,当 該 単 位 の資 金 を流 用 し 自己 に供 用 も し く は他 人 に貸 与 してrそ の 額 が 高 額 で3月 を経 過 して も返 還 しな い行 為

, また は そ の 額 が 高 額 で そ れ に よ り営 利 活 動 また は 不 法 活 動 をす る行 為 を い う。

(9)

{864) 何 兼 松 編 著 ・ 刑 法 教 科 井(各 ロ命編24'3〜291;} 327

皿 刑 事 責 任

刑 法270条;本 罪 を犯 した者 は,2年 以 下 の 有期 懲 役f拘 留 ま た は管 制 に処 す る。 その額 が 巨額 または そ の他 の情 状 が 重 大 な と きは・2年 以上

5年 以 下 の有 期 懲 役 に処 し,罰 金 を併 科 す る。

2職 務 上横 領 罪 〈取 努 侵 占罪 〉

職 務 上 横 領 罪 〔業 務 上 横 領罪 〕 とは,会 社 ・企 業 ま た はそ の他 の単 位 の職 員が,職 務 上 の便益 を利 用 して,当 該 単位 の財物 を 自己 の もの と して 占有 し,そ の 額 が 高 額 な行 為 をい う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1)本 罪 の 主 体 はr特 殊 主 体 〔身 分 の あ る者 〕,す な わ ち会 社 ・企 業 ・そ の他 の 単 位 の職 員 で あ る 。 国 家 職 員 は,こ れ に含 まれ な い 。1999

年6月18日 の最 高 人民 法 院 「村 長 ・組 長 に よ る職 務 上 の便 宜 を利 用 し た公 共財 物 不 法 占有 行 為 の性 質 決 定 に 関す る問題 の 回答 」 に よれ ば,村 長 ・組 長 が,そ の職 務 上 の便 益 を利 用 して,村 民 ・組 共 同 体 の 財 産 を不 法 占有 し 自己 の もの と した と きは,刑 法271条1項 に よ り本 罪 と して定 罪 ・処 罰 す る。 また,刑 法271条2項 に よれ ば,国 有 会 社 ・国有 企 業 ・

そ の他 の 国 有 単 位 で公 務 に従 事 す る職 員,ま た は非 国 有 会社 ・非 国有 企 業 ・そ の他 非 国 有単 位 にお け る公 務 従 事 を委託 され た国 有 会 社 ・国有 企 業 ・そ の他 の 国 有 単位 の職 員が,横 領 行 為 を行 った と きは,汚 職 の 罪 と

して 定 罪 ・処 罰 す る。

(2)本 罪 の 客 体 は,会 社 ・企 業 ・そ の他 の 単位 の 財 物 に対 す る所 有 権 で あ る。

(3)本 罪 の 主観 面 は,故 意 お よび財 物 不 法 占有 の 目的 で あ る。

(4)本 罪 の客 観 面 は,職 務 上 の便 益 を利 用 して 当該 単位 の財 物 を不 法 占有 して 自己 の もの と し,そ の 額が 高 額 な行 為 で あ る。職務 上 の便 益利 用 は,本 罪 を構 成 す る 第 一 の 要件 で あ る。 「職 務 上 の便 益 利 用」 とは ・会 社 ・企 業 ・そ の他 の単 位 の 職 員が,そ の 財 物 の 管 理 責 任 を負 う こ とに よ

(10)

326 神 奈 川 法 学 第34巻 第3F7!f2001年

(865)

「遺 失 物 」 とは ・所 有 者 が 紛 失 して 間 もない 物 品 を い う。 そ の特 徴 は,紛 失 後 の 時 間 が 短 く,通 常 そ の所 有 者 が 紛 失 した物 品 ・地 点 を容 易 に想 起

し うる点 にあ る・ 「埋 蔵物 」とは ,一 定 の 目的 で 地 下 に埋 め られ た財 物 を い う。

本 条 に よれ ば,自 己 が 保 管 す る他 人 の財 物 ・遺 失 物 ・埋 蔵 物 の横 領 は ・そ の 額 が 高 額 な場 合 にの み ,犯 罪 を構成 す る。 刑 法 は 「高 額」とな る 金額 を定 め て い ない。 あ る論 者 は,他 の財 産 侵 害 罪 の被 害 額 の 下限 を参 照 した基 準 設 定 を提 唱 す る。 しか し,我 々 は,次 の よ うに考 え る。 そ の参 照 は確 か に必 要 で あ るが,本 条 の 「高 額」の 下 限 は,原 則 と して窃 盗 罪 ・詐 欺 罪等 よ り も高 く設 定 されね ば な らない 。 なぜ な ら,横 領 行 為 は,性 質 ・ 形 態 の 点 で 窃 盗 罪 ・詐欺 罪 よ りも社 会 危 害 性 が低 く,ま た親 友 間 で行 わ

れ る こ と も多 い 。 そ れ ゆ え,横 領 額 が大 き くな け れ ば被 害 者 が 「告 訴 」し ない の で,本 条 新 設 の意 義 が 失 わ れ て しま うか らで あ る。

2.特 殊 犯 罪 構 成

本 罪 の特 別構成 は,「 そ の 額 が 巨 額 また は そ の他 の 重 大 な情 状 」の 行 為 で あ る。

皿 定 罪

本 罪 はr親 告 罪 す な わ ち 「告 訴 を待 っ て処 断 す る」 犯 罪 で あ る。 刑 法 270条 お よび87条 に よれ ば r高 額 の横 領 罪 の 公訴 時 効 は5年,「 そ の 額 が 巨額 また は他 の情 状 が 重 大」な横 領 罪 の公 訴 時 効 は10年 で あ る。公 訴 の期 間 は,被 害 者 が そ の財 物 の不 法 横 領 を知 った 日か ら起 算 さ れ る。

本 罪 と窃 盗 罪 との 限界 はs① 故 意 の生 じる時 点 が 異 なる。横 領行 為者 は 財 物 占 有後 に故 意 を生 じるが,窃 盗 行 為 者 は財 物 占有 前 に故 意 を生 じる。

② 行 為対 象 が必 ず しも一致 しない 。本 罪 の対 象 は ,行 為 者 が既 に 占有 す る 財物 で あ るか ら,特 定 さ れ て い るが,後 罪 の対 象 は r他 人 の 占有 す る財 物 で あ る。③ 犯 罪 の客 観 面 が必 ず しも一 致 しな い。 本罪 の客 観 面 は,財 物 の 占有 を 自己所 有 に変 え る横 領行 為 で あ るが,後 罪 の 客 観 面 はs財 物 の所 有 者 ・管 理 者 に発 覚 しない と行 為 者 が信 じる方 法 で 財 物 を取 得 す る秘 密 窃 取 行 為 で あ る。

(11)

{866} 何 」財 公編 著 ・ 刑 法 教 科rl芋(各 論 編24aYFFi‑2gr3) 325

制 に処 し,罰 金 を併 科 また は 単科 す る。 そ の額 が 巨額 また はそ の他 の 情状 が 重大 な と きは,3年 以 上10年 以 下 の 有期 懲 役 に処 し,罰 金 を併 科 す る・

そ の額 が 特 に巨額 また はそ の他 の情 状 が 特 に重大 な と きは,無 期 懲役 また は10年 以 上 の 有 期 懲 役 に処 す る。

第4節 横 領 ・流 用 に よ り財産 を害 す る罪

1横 領 罪 〈侵 占罪 〉

横 領 罪 とは,不 法 占有 〔不 法 領 得 〕の 目的 を もっ て,自 己 が代 理保 管 す る他 人 の 財 物 また は他 人 の 遺 失 物 ・埋 蔵 物 を 自己 の もの と して 占有 し, そ の額 が 高 額 な物 の返 還 を拒 否 す る行 為 をい う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構成

(1)本 罪 の 主観 面 は,故 意 お よび 自己が代 理 保 管 す る他 人の 財物 ・ 遺 失物 ま た は埋 蔵 物 を不 法 占有 す る 目的 に よ り構成 さ れ る。

(2)本 罪 の 客 観 面 は,自 己が 代 理保 管 す る他 人 の財 物 ・拾 得 した 遺 失 物 ・発 掘 した埋 蔵 物 を 自己 の もの と して 占有 し,そ の額 が 高 額 な物 の返 還 を拒 否 す る行 為 で あ る。 この 「代 理 保 管 」〈代 力 保 管 〉とは,主 に 委 託 ・慣 習 に基 づ い て 成立 す る委 託 信 任 関係 に よ り他 人 の 財 物 を管 理 ・ 保 存 す る こ とをい う。 「自己 の もの と して 占 有」とは,財 物 の所 有 関係 の 改 変 を企 て,財 物 に対 す る所 有者 の支 配 を喪 失 させ る こ と をい う。 「返 還 の拒 否 」 に は,実 務 上,次 の 二 つ の 場 合 が あ る 〔4}。第 一 は,財 物 の 所 有 者 ・代 理 人 が 占有 者 に対 して 返 還 請 求 して 当該 財 物 が 自己 の 合 法 所 有 に 属 す る証 拠 を示 したが,こ れ を行 為者 が無 視 して公 然 と返 還 を拒 否 す る場 合 で あ る。 第二 は,財 物 の所 有 者 ・代 理 人が 返 還 請 求 した とこ ろ,占 有 者 が 請求 の合 法性 を認 め て返 還 を約 束 した後 に,当 該財 物 を権 限 な く処 分 して返 還 不 能 にす る場 合 で あ る。 自 己 の もの とす る占 有 お よび返 還 の拒 否 は,本 罪 の 重 要 な二 特 徴 で あ りr横 領 行 為 に不 可 欠 な構 成 要素 で あ る。

本 罪 の対 象 は,自 己 が 保 管 す る他 人 の財 物 ・遺 失 物 ・埋 蔵 物 で あ る 。

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324 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号2001年 (867}

亡 ・精 神 異 常 ・そ の他 の重 大 な結 果 を発 生 させ る こ と ,⑨ そ の 他 の重 大 な情 状 が あ る こ とで あ る。

皿 定 罪

1.本 罪 と非 犯罪 との 限 界

(1)貸 借 を仮 装 した本 罪 と正 常 な 貸借 行 為 との 限 界 正 常 な貸 借 関係 に は,不 法 占有 の 目的が ない 。客 観 的 な原 因 に よ り支 払期 日に返 還 不 能 とな った ときは,本 罪 は成 立 しな い。 しか し}貸 借 を仮 装 して 金銭 を騙 取後 に浪 費 し多様 な隠 蔽工 作 を行 って 長期 間返 還 しない と きは,本 罪 と し て処 罰 され る。

(2)物 品代 理 購 入 を仮 装 した 本 罪 と代 理 購 入 後 の 代 金 支 払 停 滞 と の 限 界 代 理 購 入 し よう と した 品 薄 ・欠 乏 商 品 を入手 しえ な い ため

,代 理 人が そ の 金銭 を他 に流用 して も,行 為 者 に不 法 占有 の 目的 が な く返 還計 画 を実 施 して い た こ とが証 明 され れ ば,本 罪 は成 立 しな い。行 為者 が,代 理購 入仮 装 詐 欺 で莫 大 な金銭 を騙 取 後,商 品代 理 購 入 を行 わず に金 銭 を浪 費 して返 還 の 意 思 も能力 もな い場 合 に は,本 罪 と して処 罰 され る。

2.本 罪 と他 罪 との 限 界

(1)刑 法266条 は,「 この 法 律 に特 別 の 規 定 が あ る ときは ,そ の規 定 に よ る」 と定 め る 。 「この法 律 の特 別 規 定 」とは ,集 資 詐 欺 罪 ・借 款 詐 欺 罪 ・証 券 詐 欺 罪 等 に 関す る規 定 を い う。 改 正 刑 法 は ,こ れ ら特 定 領域 の 詐欺 行 為 につ き特 別 の規定 と新 た な罪 名 を定 め て い る。 そ れ ゆ え,こ れ らの特 定 詐 欺 行 為 は,単 純 詐 欺 罪 と して は処 理 され な い。

(2)本 罪 と契 約 詐 欺 罪 との 限 界 両 罪 の 主 な違 い は ,次 の点 にあ る。① 客 体 が必 ず しも一 致 しな い。 侵 害 され る客 体 は,本 罪 で は公 私 の財 産 の所 有権 で あ るが,後 罪 で は複 合法 益 で あ り主 に国 家 の契 約管 理 秩 序 で あ る。② 行 為 の 手段 が異 な る。本 罪 で は一 般 的 な制 限 が な く,行 為 者 は事 実 捏 造 ・真 相 隠 蔽 の い か な る 手段 ・方 法 も と りうる。 これ に対 して ,後 罪 で は,契 約 の締 結 履 行 の方 法 ・手 段 の み に限 定 され る。

皿 刑 事 責任

刑 法266条;本 罪 を犯 した 者 は,3年 以 下 の 有 期 懲 役 s拘 留 また は 管

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(868) 何 兼 松 編 著 ・ 刑 法 教 科 辞(各 論 編24';r̲1〜29'勧 323

進 展 に伴 い犯 罪 者 も臨 機応 変 に手 段 を 変化 させ て い る。 例 えば,外 国 商 人,香 港 ・マ カオ の 商 人 と称 した り,品 薄 商 品 の代 理 購 入 ま たは 余 剰 製 品 の代 理 販 売 と称 した りして,財 物 を騙 取 す る場 合 が あ る。

高額 の 公 私 財物 を騙 取 して初 め て,本 罪 は構 成 され うる 。1996年 の 最 高 人民 法 院 の 解 釈 に よれ ば,こ の 「高 額 」とはr個 人 の公 私 財物 の騙 取 額 が2000元 〜4000元 以 上,単 位 の 直接 責 任 を負 う管 理 職 そ の 他 の 直 接 責 任 者 の 単位 名義 で の詐 欺 に よる単 位 へ の帰 属 額 が5万 元 〜10万 元 以 上 の場 合 をい う。

2.特 殊 犯 罪 構成

本 罪 の特 殊 構成 に は,「 そ の 額 が 巨 額 また は そ の他 の 重 大 な情 状 」の 行 為,お よび 「そ の額 が特 に巨 額 また は そ の他 の 情 状 が 特 に重 大」の行 為 が あ る。

「そ の額 が 巨 額」とは,個 人 の騙 取 額 が3万 元 以 ヒ,単 位 名 義 の騙 取 額 が20万 元 〜30万 元 以 上 の場 合 をい う。 「そ の他 の 情状 が 重 大 」 とは,通 常,次 の一 事 情 にあ た る場 合 をい う。 す な わ ち,① 風 説流 布 の詐 欺 手 段 を

用 い て,出 産 適齢 期 の女 性 に避i妊リン グの摘 出 また は結 婚相 手 の紹 介 と称 して莫 大 な財 物 を騙 取 した場 合,② 男 女 両 名 が 金銭 騙 取 を共 謀 して ・同女 が 他 人の妻 とな り金銭 取 得 後 に逃 走 した場 合,③ 未 成 年者 を教 唆 して詐 欺

を行 っ た場 合 等 で あ る 。

後 者 に い う 「そ の額 が 特 に 巨 額」 とは,個 人 の騙 取 額 が20万 元 以 上 の 場 合 をい う。 「情 状 が 特 に重 大」とは,20万 元 以 上.の場 合 を除 き・騙 取 額 が10万 元 以 上 かつ 次 の 一事 情 に あ た る場 合 をい う。 す な わ ち,① 詐 欺 集 団 の首 謀 者 また は共 同詐 欺 罪 の 情状 の 重 い 主犯 で あ る こ と,② 逃亡 して危 害 が重 大 な こ とr③ 法 人そ の他 の組 織 また は個 人 が 緊急 に必 要 とす る生 産 物 資 を騙 取 して,生 産 に重 大 な影 響 そ の他 重 大 な損 失 を発 生 させ る こ と,

④ 災害 救 助 ・緊急 救 助 ・水 害対 策 ・戦 争 補償 ・貧 困 者扶 助 救援 ・医 療 用 の資 金物 資 を騙 取 して重 大 な結 果 を発 生 させ る こ と,⑤ 騙 取 した財 物 を 浪 費 して返 還 を不 能 にす る こ と,⑥ 騙 取 した財 物 を違 法 行 為 ・犯 罪 活 動

に使 用 す る こ と,⑦ 以 前 に刑 事 罰 を受 け た 者 で あ る こ と,⑧ 被 害者 の死

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322 室申券ミ卸1法 学 第34巻 第3rtiJ畠2001有 (869}

役 割 お よび 分与 額 等 の 情 状 を考 慮 して ,刑 法27条2項 に よ り軽 罰 ・減 軽 処 罰 ・処 罰免 除 が な され る 。④ 共 同窃 盗 後 に 自首 ・立功 の あ る者 ま た は 未 成 年 者 な ど軽 罰 ・減 軽 処 罰 ・処 罰 免 除 の情 状 が あ る者 も,軽 罰 ・減 軽 処 罰 ・処 罰 免 除 され(う)る 。 自 白 また は賊 物 の積 極 的返 還 等 の事 情 が あ る と き も,そ の情 状 を斜 酌 して よ り軽 く処 罰 され う る。

2詐 欺 罪 〈Z乍輪 罪 〉

詐 欺 罪 とは,不 法 占有 〔不 法 領 得 〕の 目 的 を もって ,事 実 を捏 造 しま た は真 相 を隠 蔽 して,高 額 な公 私 の 財物 を騙 取 す る行 為 を い う。

1犯 罪構城 1.基 本 犯 罪構城

(1) (2) (3) {4)

本 罪 の 主 体 は,自 然 人 一一般 で あ る 。 本 罪 の 客 体 は,公 私 の 財 物 で あ る。

本罪 の主 観 面 は,故 意 お よ び公 私 財物 の 不 法 占有 目的 で あ る。

本 罪 の客 観 面 は,事 実 を捏 造 し また は 真相 を隠 蔽 して,高 額 な 公私 の財 物 を騙 取 す る行 為 で あ る。事 実 の捏 造 とは ,存 在 しない事 実 を捏 造 して被 害 者 に信 頼 させ る こ とをい う。 真相 の 隠 蔽 とは,客 観 的 に存 在 す る事 実 を被 害 者 に隠 して被 害 者 を錯 誤 させ る こ とを い う。 犯罪 者 は,虚 構 の 事 実 を用 い ま た は真 相 を隠 蔽 す る方 法 に よ り ,公 私 の財 物 の所 有 者 ・ 管 理 者 に錯 誤 の た め 虚 偽 を真 実 と思 わせ て,公 私 財 物 を 自己 に対 して 「自 発 的 に」交 付 させ ね ば な らな い。 しか し sこ の 「自発性 」は,実 際 に はr 公 私 財 物 の所 有 者 ・管 理 者 の真 意 で は な く,犯 罪 者 が捏 造 した 事実 に惑

わ され 騙 され た結 果 で あ る。 つ ま り,こ の 「欺 岡」〈騙 〉は,本 罪 の際 立 っ た特 徴 で あ り,本 罪 と窃 盗 罪 ・奪 取 罪 ・強 盗 罪 との重 要 な 区 分 基準 とな る。 本 罪 の 具 体 的 な方 法 ・手 段 は,多 種 多様 で あ る 。例 え ば ,公 文 書 偽 造 に よ り財 物 を騙 取 す る場 合,伝 票 を偽 造 ・改 窟 して 虚 偽 報 告 を行 い 不 法 領 得 す る場 合,商 品 の 管理 ・運搬 を手 伝 う と称 して騙 取 す る場 合 ,虚 言 を弄 し また は 身 分 を詐 称 して財 物 を騙 取 す る場 合 ,恋 愛 ・結 婚 また は 職 業 紹 介 で誘 引 して財 物 を騙 取 す る場 合 等 が あ る。 最 近 で は ,改 革 開放 の

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(870) 何 乗 松 編 著 ・ 刑 法 教 科ktf(各 論 編24章 〜29〜 淘 321

時 に他 罪 を構 成す る と きは,よ り重 い刑 の罪 を選 択 して 重 く処 罰 す る。 窃 盗 の罪 証 隠滅 また は 報 復等 の 動 機 に よ り故 意 に公 私 の財 物 を破壊 した と

きは,本 罪 と他 罪 と は併 罰 〔併 合罪 〕 となる 。 皿 刑 事 責任

刑 法264条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の 有 期 懲 役,拘 留 ま た は管 制 に処 し,罰 金 を単 科 ま たは併 科 す る。 その 額 が 巨額 ま たは そ の他 の情 状 が 重 大 な と きは,3年 以 上10年 以 下 の 有 期 懲 役 に処 し,罰 金 を併 科 す る。

そ の額 が特 に巨 額 また は その他 の情状 が特 に重 大 な と きは,無 期 懲 役 また は10年 以 上 の 有期 懲 役 に処 し 丁罰 金 ま た は財 産 没 収 を併 科 す る。 ま た,

① 金融 機 関 で窃 盗 を行 い,そ の 額 が特 に 巨額 な と き,ま た は② 貴重 文 化 財 を窃 取 しr情 状 が重 大 な ときは,死 刑 ま た は無期 懲 役 に処 し,財 産没 収 を 併 科 す る。

「金 融 機 関 で の窃 盗 」とは,金 融 機 関 の 経営 資 金 ・有 価 証 券 お よ び顧 客 の資 金 等 の 窃 盗 をい う。例 え ば,預 金 者 の預 金 ・債 券 ・そ の 他 の金 銭 物 品,企 業 の 決 算 基 金 ・株 券等 で あ るが,金 融 機 関 の 事務 用 品 ・交 通 手 段 等 は これ に 含 ま ない 。 「文 化 財 〈文 物 〉を窃 取 し,そ の情 状 が 重大 」とは, 主 に,国 家 一 級 文 化 財 を窃 取 して これ を殿 損 ・流 出 ・返 還 不 能 にす る こ

と,ま た は 国 家 二 級 文 化 財 を3個 以 上 な い し国家 一 級 文 化 財 を1個 以 上 窃 取 して,特 殊 犯 罪構 成 にお い て説 明 した 「重 大 な情状 」・「特 に重 大 な 情 状 」 の うち① ・② ・④ ・⑧ の 一 つ に該 当 す る こ と をい う。

改 正刑 法 は,本 罪へ の 死刑 適 用 条件 を厳 格 に 限定 し,二 つ の法 定情 状 中 の一・つ に該 当 した場 合 に限 り死 刑 を適 用 しうる もの と した。 さらに,法 定 情 状 に該 当 して も,そ の 死刑 適 用 は,窃 取 額 お よびそ の情 状 に基 づ い て決 せ られ る。

窃 盗 の 共 犯 処 罰 で は,① 窃 盗 手 段 を組 織 ・指 導 した首 謀 者 は,集 団窃 盗 の総 額 に基 づ い て処 罰 され る。② 共 同窃 盗 にお け るそ の他 の主 犯 は,同 人 が 関与 ・組 織 また は指 揮 した 共 同窃 盗 の 総 額 に 基 づ い て処 罰 され る。

③ 共 同窃 盗 にお け る従 犯 は,同 人 が関 与 した共 同窃 盗 の総 額 に基づ い て処 罰 され る。 また具体 的 な量 刑 に際 して は,共 同窃 盗 にお け る同 人 の地 位 ・

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320 神 奈 川法 学 第34巻 第3号2001年 (s71)

主 張 す る見 解 もあ る。

(2)本 罪 と銃 器 弾 薬 爆 発 物 窃盗 罪 との 限界 後 罪 の 対 象 は特 定 され てい るが,本 罪 の 対 象 は不 特 定 で あ る。 窃取 した他 人 の財 物 中 に予 想 して い なか っ た銃 器 ・弾 薬 を発 見 した行 為 者 は

rこ れ らの特 定 物 を窃 取 す る 故 意 を もた な いの で,窃 盗 罪 と して処 断 され る。 しか し,こ の行 為 者 が そ の銃 器 ・弾 薬 を使 用 して他 罪 を犯 した と きは,こ の罪 につ き別 個 に定 罪 が な され}先 行 す る本 罪 とは併 合 罪 と して処 理 され る。

(3)本 罪 と魚 介 類 毒 爆 殺 に よ り構 成 され る他 罪 との 限 界 刑 法 お よ び漁 業 法 に よれ ば,魚 介類 を毒 殺 ・爆 殺 して情 状 が 重 大 な と きは

a水 産 品不 法 捕 獲 罪 が 成 立 す る。 しか し ,窃 盗 の 故 意 で大 量 の 魚 介 類 を毒 殺 ・ 爆殺 して 窃 取 して も他 の 重 大 結 果 を発 生 させ な い と きは ,本 罪 が 成 立 す る。 人畜 の安 全 を顧 み ず 飲 用 貯 水 池 に 大 量 の劇 薬 物 また は ダム に大 量 の 爆 薬 を投 入 して,公 共 の 安 全 を著 し く害 し ,人 の 重 傷 ・死 亡 また は 公 私 の財 産 の 重 大 な損 失 を発 生 させ た と きは ,投 毒 罪 ま た は爆 破 罪 が 成 立 す る。 養殖 魚 の窃 取 また は報 復 の た め に養 魚 場 に大 量 の劇 薬 物 を投 入 して

, 著 しい水 質 汚染 に よ り全養 殖 魚 を毒 殺 して,単 位 また は個 人 の養 殖 生 産 に 重 大 な損 失 を発 生 させ た と きは,生 産経 営 破壊 罪 が 成 立 す る。

(4)本 罪 と自動 車 窃 盗 に よ り構成 され る他 罪 との限 界 不 法 占有 目 的 で 自動 車 を窃 取 して 売 却 ・自己 使 用 した と きは ,本 罪 が 成 立 す る。 他 の犯 罪 を行 うため に 自動 車 を窃取 し犯 罪 手段 に利 用 した と きは

,そ の 犯罪 に よ り重 く処 罰 され る。 自動 車 を窃 取 す る過 程 で 過 失 に よ り自動 車 を衝 突 させ,他 人 の 死 亡 ・傷 害 また は 自動 車 の破 壊 を惹 起 して他 罪 を構 成 す る と きは ・交 通 事 故 罪 ・他 罪 との併 罰 が な され る。 窃 盗 以外 の 目的 で 自 動 車 を反復 的 に窃 取 かつ廃 棄 して業務 産業 秩 序 を著 し く撹 乱 し,重 大 な損 失 を発 生 させ た と きは,社 会 秩 序撹 乱 罪 と して処罰 され る。 窃盗 以 外 の 目 的 で偶 然 に 自動 車 を窃 取 して情 状 が 軽微 な と きは,犯 罪 は 成立 しえず,損 害 賠 償 の 命 令 が な され る。

(5)本 罪 と財 物 損 壊 に よ り構 成 され る他 罪 との 限 界 窃 盗 を犯 した 者 が公 私 の財 物 を著 し く殿損 した と きは,窃 盗 罪 と して重 く処 罰 す る。 同

(17)

(s72} 何 」餅 公編 著 ・ 刑 法 孝文科ll}(各 論 編24章 〜291の 319

り,窃 盗 犯 人 は公 私財 物 の 不法 占有 をそ の 目的 としてい る。財 物 が そ の所 有 者 ・保 管 者 の 支 配 を離 れ て行 為 者 の 現 実 的 支 配 下 に置 か れ れ ば,財 物 不 法 占有 の 目的 が 実 現 され て 犯罪 が 完 成 す るの で,当 然 そ の窃 盗 は,既 遂 と認定 され るか らであ る。 しか しなが らsこ の よ うに一 律 に処 理 す る方 法 に よ る とs条 文 が 別 個 に定 め る一般 窃 盗(高 額 の窃 盗)お よび重 大 窃 盗 (巨 額 の窃 盗)の 既 遂 ・未 遂 の 問題 を解 決 す る にあ た って,我 々 に は不 都 合 が生 じる よ うに思 われ る。す なわ ち,事 情 に よって は重 大 な窃盗 を重 く 処 罰 しえ な くなる との懸 念 で あ る。 例 えば,犯 罪者 が 博 物館 に潜 入 し,貴 重 な宝物 を窃 取 して これ を ポ ケ ッ トに 入れrそ の 現場 を離 れ る前 に逮捕 さ れ た とす る。 この場 合,支 配排 除 設定 説 に よれ ば,窃 盗 未 遂 に しか な りえ ない 。 なぜ な ら,こ の宝 物 は,決 して管理 者 の支 配 か ら離 れ て い ない か ら で あ る。 そ こで,我 々は,一 般 窃 盗 と重 大窃 盗 の既 遂 ・未 遂 につ い て異 な る基 準 を採 用 した解釈 を主 張 す る。す な わ ち,一 般 窃盗 につ い て は支 配排 除設 定 説 を基準 と し,重 大 窃盗 につ い て は犯 罪者 が 実 際 にそ の財 物 を支 配 した か否 か を未遂 ・既 遂 の 区別 基 準 とす る ので あ る。 この よ う な 「二 重 基 準 」の提 示 は,本 章 の 著 者 が提 唱 した理論 へ の実務 の 服 従 を迫 る こ とを 意 図 す る もの で は ない 。 む しろ 反対 に,私 見 は,わ が 国 の刑 法 が 窃 盗 罪 に 異 な る規 定 を設 け,か つ 窃盗 の事 情 の複 雑性 を根拠 とす る もので あ る。 要 す る に,私 見 で は,二 重 基 準 を採 用 して 一般 窃 盗 と重 大 窃 盗 の既 遂 ・未 遂 の 問 題 を解 決 す る こ とが,重 大 窃 盗 の厳 罰 に有 用 な の で あ る。

4.本 罪 と他 罪 との限 界

(1)本 罪 と交 通 機 関 ・交 通 設 備 ・電 力 ガ ス設 備 ・易 燃 易爆 発 性 設 備 ・通 信 設 備 等 の 部 品 窃 取 に よ る公 共 安 全 危 害 犯 罪 との 限界 両 罪 を区 別 す る基 準 は,こ れ らの設 備 ・部 品 の 窃 取 に よる公 共 安 全 危 害発 生 の 有 無 に あ る。 窃 取 され た使 用 中 の 設 備 ・重 要 部 品 の価 値 は大 き くな いが 公 共 安 全 危 害 罪 を構 成 す る と き,ま た は設 備 ・重 要部 品 の窃 取 に よ り重 大 結 果 を発 生 させ た ときは,関 連 す る公 共 安 全危 害 罪 と して処 断 され る・ し

か し,通 信 施 設 の窃 盗 が特 に巨 額 また は そ の情 状 が 特 に重 大 な と きは,刑 法264条 の窃 盗 罪 と して定 罪 ・処 罰 して 無 期 懲 役 に処 すべ きで あ る ・と

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318 率申4蕎lI博去 学 鋳醇34巻 第3Σ ナ2001イ1三 (873)

2)客 観 的 に は,行 為 者 が他 人 の通 信 回線 との不 正 接 続,他 人 の電 信 番 号 の複 製,ま た は 不 正接 続 ・複 製 さ れ た通 信 設 備 施 設 をそ れ と知 りなが ら使 用 す る行 為 の 一 つ を行 わ ね ば な らな い。 「不 正 接 続 」とは,権 利 者 の 同 意 な く密 か に他 人 の通 信 回線 を接 続 して無 償 で使 用 し,権 利 者 の損 失 を 発 生 させ る行 為 をい う。 「他 人 の 電信 番 号 の複 製 」とは,主 に他 人 の 電信 番 号 取 得 後 に こ れ を不 法 に複 製 して,無 償 使 用 ま た は 不 法 に賃 貸 ・ 貸 出 ・譲 渡 す る行 為 をい う。 刑法 に列 挙 され て い ない 行 為 を実 行 した と き はa窃 盗 罪 の規 定 を適 用 しえ な い 。

3)権 利 者 の 「高 額 」な経 済 的損 失 の発 生,ま た は そ の他 の情 状 が な け れ ば な ら ない 。 あ る論 者 は,「 行 為 者 が条 文 に定 め る行 為 を実 行 す れ ばr そ れ の み で犯 罪 が 構 成 され,反 復 的 な実 行 また は高 額 な不 正 利 益 の点 はs 犯 罪 構成 の必 要 要件 で は な い」とす る 〔Z)。しか し,同 条 に定 め る行 為 は, 窃盗 罪 の規 定 に よ り定 罪 処 罰 され るの で あ るか ら,被 害 額 お よ び 情状 に よ る制 約 を受 け ざ る をえ ない 。 なぜ な ら,「 そ の額 が 高 額」お よび 「反 復 的」

等 の情 状 は,窃 盗 行 為 の犯 罪 成 否 の 基準 で あ る と同時 に,そ の量 刑 基準 で もあ るか らで あ る。 我 々 は,先 の 論 者 の 「高額 の不 正 利益 が 犯 罪 構 成 の必 要 要件 で は な い」とす る見 解 に賛 成 で きず,む しろ権 利 者 の 「高 額」な経 済 的損 失 は定 罪 に際 して無 視 しえ な い,と 考え る。

3.本 罪 の既 遂 と未 遂 の 正確 な認 定

わが 国 の刑 法 に よれ ば,本 罪 の 成 立 に は,一 般 的 に,高 額 な公 私 財 物 の 窃 取 が 要件 とな る。 しか し,こ の こ とは,本 罪 に未遂 が な い こ とを意 味 し ない 。 実 務 上,巨 額 の現 金 ま た は 国 家 の貴 重 文 化 財 ・物 品 を 目的 と した 窃 盗 は,行 為 者 が 現場 で そ の 目 的物 を窃 取 しえ な くと も,窃 盗 罪(の 未 遂)と 認定 され る 。

現 在,わ が 国 の 刑 法 学 会 で は,窃 盗 の 既 遂 ・未遂 の 基 準 につ い て支 配 排 除 設定 説 が 有 力 で あ る。 同 説 は,窃 取 され た財 物 が そ の 所 有 者 ・保 管 者 の 支 配 を離 れ,現 実 に行 為 者 の 支 配 下 に 置 か れ れ ば,窃 盗 は既 遂 とな り,そ うで なけ れ ば未 遂 で あ る,と 主 張 す る1;31。我 々 も,こ の 見 解 は 合 理 的 な一 面 が あ る と考 え る。 なぜ な ら,犯 罪 の既 遂 とは犯 罪 の完 成 で あ

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(874) 何 兼 松 編 箸 ・ 刑 法 教 科#‑1!(各 論 編24F'it‑〜29「 317

が 特 に巨 額 ま た は他 の 情 状 が 特 に重 大 な」 行 為,「 金 融 機 関 で窃 盗 を行 いsそ の情 状 が 重 大 な」行 為,「 貴 重 文 化 財 の窃 盗 を行 い,そ の 情 状 が 重 大 な」 行 為 が あ る。 窃 盗 額 が 「高 額 」・「巨 額 」 の下 限 に到 達 し,か つ 次 の一 事 情 が あ れ ば,「 そ の他 の 情 状 重 大 」ま た は 「そ の他 の情 状 特 に重大 」 と認 定 しうる。 す な わ ち,① 犯罪 集 団 の首謀 者 または情 状 が重 い共 犯 にお け る主 犯 で あ る と き,② 金融 機 関 で窃 盗 を行 っ た とき,③ 逃 亡 して危 害 が 重 大 な と き,④ 累 犯 で あ る と きs⑤ 被 害 者 の 死 亡 ・精 神 異 常 ・そ の他 重 大 な結 果 を発 生 させ た とき,⑥ 災 害 救 助 ・緊 急 救 助 ・水 害対 策 ・戦 争補 償 ・貧 困者 扶 助 ・移 民救 援 ・医 療 用 の資 金 ・物 資 を窃取 した と き,⑦ 生 産材 料 を窃 取 して,生 産 に重大 な影響 を与 え た と き,⑧ そ の他 重 大 な損 失 を発 生 させ た と きで あ る。

n定 罪

1.本 罪 と非 犯罪 との限 界 自己 の 家庭 また は近 親 者 の財 物 窃 盗 は,社 会 一般 に お け る窃 盗 事 件 と区 別 しな け れ ば な らない 。 自己 の 家 庭 また は 近 親 者 の財 物 窃 盗 は,一 般 に,犯 罪 と して処 理 しえ な い。 しか し,そ の刑 事 責任 を追 及 す る 明 らか な必 要 が あ れ ば,窃 盗 と して処 断 され るが,そ の 場 合 も,社 会 一般 にお け る窃盗 とは区 別す べ きであ る。 家庭 内 の財 物 窃盗

とは,共 同生 活 を営 む 近 親 そ の 他 の親 族 か らの 窃盗 を い う。

2.刑 法265条 の 正確 な理 解 刑 法265条 は,「 図 利 の 目的 で 他 人 の通 信 回線 に密 か に接 続 した場 合,他 人 の電信 番・号 を複 製 した場 合 丁又 は密 か に接 続 し若 し くは複 製 した電 信 設 備 施 設 をそ れ と知 りなが ら使 用 した と

きは,264条 の 規 定 に よ り定 罪 処 罰 す る」と定 め る。 これ は,三 つ の特 定 形 式 の犯 罪 を窃 盗 罪 と して定 罪処 罰 す る規 定 で あ る。 同条 を適 用 す る に は,次 の 三 要件 を充 足 す る必 要が あ る。

1)主 観 的 には,行 為 者 の 図利 目的が なけ れ ば な らな い。 この 「図利 目 的」 とは,行 為者 の 追 求 す る結 果 のみ をい い,現 に獲 得 した利 潤 で は な い 。 そ れ ゆ え,捜 査 の 結 果,不 正接 続 ・複 製 等 の行 為 に よ り行 為 者 の 主 観 的 な図利 目的 が 解 明 され れ ば,行 為 者 の図利 目的が 認 定 され うる。不 正 利益 の 有無 は 定 罪 に影 響 しない 。

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316 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号200ユ 年

(875) る下 限 を1万 元 ・ 「特 に 巨額 」 とな る下 限 を6万 元 とす る 。 こ こで は s 次 の こ とを指 摘 して お く。 わが 国 の刑 法 は ,「 高 額 」を犯 罪 と非 犯 罪 との 区別 基準 とす る点 に重 要 な特 色 を もつ 。 この こ とは}打 撃 懲 罰 を少数 に と どめ る要 請 に 基 づ く。 そ れ ゆ え,こ の 基準 を杓 子 定 規 に解 して は な らず, 具体 的認 定 に際 して他 の 情 状 も考 慮 しなけ れ ば な らな い。 最 高 人民 法 院 の前 記 解 釈 も,そ の 額 が 高 額 に到 達 しない場 合 で も

,そ の 下 限 に接 近 しか つ次 の 一 事情 が あ る と きは ,刑 事 責 任 を追 及 し うる とす る。 す な わ ち,① 破 壊 的手段 で窃 盗 を行 い公私 の財 産 の損 失 を発 生 させ た と き

,② 身体 障 害 者'保 護 者 な き老 人 また は 労働 能 力 喪 失 者 の財 物 を窃 取 した と き

,③ 重 大 な結 果 を発 生 させ ま た は その 他 の情 状 が 劣 悪 な と きで あ る

。 これ とは 逆 に,そ の額 が 「高 額」の 下 限 に達 して い て も,情 状 軽微 で か つ 次 の 一事 情 が あ る と きは ・犯 罪 と して処 理 しな く と も よい。 す なわ ちr①16歳 以 上18歳 未 満 の未 成 年 が窃 盗 を犯 した と き,③ 盗 品 全 部 を返 還 ・賠 償 した と き,② 自発 的 に 自首 した とき,④ 脅 迫 され て窃 盗 に関 与 して 犯 罪収 益 の 分 与 が皆 無 また は僅 少 な と き,⑤ そ の他 の情 状 軽微 で危 害 が 大 き くな い と

きで あ る。

刑 法264条 は,窃 盗 の 累 計 額 が 「高 額 」の 基 準 に 満 た ない 場 合 で も ,反 復 的 に窃 盗 を犯 した と きはs本 罪 を構 成 す る ,と 定 め る。 「反復 的窃 盗 」と は ・前 記 司 法解 釈 に よれ ば ,侵 入 窃 盗 また は公 共 の場 所 で の 窃 盗 を1年 間 に3回 以 上 行 うこ とを い う。 最 高 人 民 法 院 は ,こ の司 法 解 釈 に よ り「反 復 的窃 盗 」に制 限 を加 え て い る。 第 一 に ,3回 以 上 の 窃 盗 で あ って 初 め て 多 数 回 と され る ・ この3回 以 上 には ,当 該 窃 盗 も含 まれ る。 第 二 に,1 年 間 に3回 以 上 の 窃盗 で な け れ ば な らな い。 第 三 に,侵 入 窃 盗 また は 公 共 の場 所 で の窃盗 に限定 され る。 た だ し,小 規 模 な窃 盗 を繰 り返 す悪 習 の 持 ち主 が 窃 盗 を反復 的 に行 っ て も ,そ の 情 状 が 明 らか に軽 微 で あ れ ばr

「反復 的 窃 盗 」 と して処 理 しな くと もよい 。 2.特 殊 犯 罪 構 成

本 罪 の 犯罪 構 成 には,基 本 犯 罪構 成 と特 殊 犯 罪構成 とが あ る。 そ の特 殊 犯 罪構 成 には,「 窃盗 額 が 巨 額 また は他 の 情 状 が 重 大 な」行 為

,「 窃 盗 額

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(g76) 何 兼 松 編 著 ・ 刑 法 教 科,書}:(各 論 編24';量 〜29♂ の 315

にす る こ とを い う。 秘密 窃 取 の具 体 的 手段 は,多 種 多 様 で あ るが ・お よそ 次 の 二種 類 に分 け られ る。 第一 は,留 守 宅 の扉 を こ じ開 けて財 物 を窃取 す る な ど,財 物 の所 有 者 ・管 理 者 ・所 持 者 の 現場 不 在 に乗 じて,そ の財 物 を窃 取 す る場 合 で あ る。 第 二 は,混 雑 した バ スで の ス リの よ うに,公 共 の 場 所 で 他 人 の 油 断 に乗 じて財 物 を密 か に抜 き取 る場 合 で あ る。 財 物 の 秘

密 窃取 は,窃 盗 罪 と他 の財 産 侵 害 罪 と を区 別 す る重 要 な基 準 とな る。

窃盗 の行 為対 象 は,公 私 の 財物 で あ る。 これ に は,有 形 の 財物 の み な ら ず,電 気 ・ガ ス ・天 然 ガ ス ・重 要 な科 学 技 術 の成 果 な ど経 済 的価 値 の あ る無 形 の物 品 も含 まれ る。窃 取 され る公 私 の 財物 は,動 産 であ るのが 一般 的 で あ る。 分 離 可能 な不 動 産 の付 着 物 も,本 罪 の侵 害対 象 とな りうる。 刑 法 の 関 連 規 定 に よれ ば,通 信 回線 ・通 信 番 号 また は通 信 設 備 施 設 も ・本 罪 の 対 象 とな る。

窃 取 した公 私 財物 の額 が 高額 な こ とは,本 罪 の重 要 な構成 要件 の一 つ で あ る。 そ れ ゆ え,窃 取 した財物 の額 の大 小 は,そ の 社 会 危害 性 の大 小 を反 映 す る の で,犯 罪 と非 犯 罪,重 罪 と軽 罪 とを 区別 す る 基準 の 一 つ とな る。

窃 取 され た財 物 の額 が小 さ く,情 状 が 明 らか に軽微 で 危 害が 大 き くない と きは,本 罪 は成 立 しな い 。

被 窃 取 財 物 が 「高 額 」・「巨額 」・「特 に 巨額 」 とな る基 準 につ い て ・刑 法 は 明 定 して い な い。 最 高 人 民法 院 「窃 盗 事 件 の 審 理 にお け る 若 干 の 具 体 的 な法 律=適用 問 題 の 解 釈 」(1997年)3条 は,個 人 に よる公 私 財 物 の窃 取 額 が 人民 元 で500元 〜2000元 以 上 の と きは 「高 額 」 ・そ の額 が 人民 元 で5000元 〜2万 元以 上 の と きは 「巨額 」,そ の 額 が 人民 元 で3万 元 〜 10万 元 以 上 の とき は 「特 に巨 額 」で あ る,と 定 め る 。 各省 ・自治 区'直 轄 市 の高 級 人民 法 院 は,当 該 地 区 の経 済発 展 の状 況 に基づ き社 会治 安 を考 慮 して,こ の額 の限 度 で 当該 地 区 の 具体 的 な窃 盗 額 の 基準 を確 定 し,最 高 人民 法 院 に報 告 す る こ とが で き る。 また,最 高 人民 法 院 ・最 高 人民 検 察 院 ・公 安 部 「鉄 道 運 行 過 程 にお け る窃 盗 罪 被 害 額 の 認 定 基準 の 問題 に関 す る規 定 」(1999年2月4日)は,鉄 道 運 行 中 の窃 盗 額 につ い て,個 人 に よる公 私 財 物 の 窃 盗 額 が 「高 額 」 とな る下 限 を1000元,「 巨 額 」 とな

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314 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号200ユ 年

(877) い。 本罪 の侵 害 客体 は複 合法 益 で あ るが

,後 罪 の侵 害 客 体 は単 一 法益 で あ る。③ 客 観 面 が 一致 しない 。 本 罪 は,集 団 犯 〈聚 力こ性 犯 罪 〉で あ り,三 人 以 上 の 者 に よ る参 加 ・実 行 が 要件 とな る

。 これ に対 し,後 罪 は ,集 団犯 で は な い の で,一 人 で も実 行 しう る。

皿 刑 事責 任

刑 法268条;本 罪 の 首 謀 者 お よび積 極 参 加 者 は

,3年 以 下 の 有 期 懲 役, 拘留 また は管 制 に処 し・罰 金 を併 科 す る。 そ の額 が 巨 額 また はそ の他 の情 状 が特 に重 大 な と きは,3年 以 上10年 以 下 の醐 懲 役 に処 し 翻 金 を併 科 す る 。

第3節 窃 取 ・詐 欺 に よ り財 産 を害 す る罪

1窃 盗 罪 〈盗 窃 罪 〉

窃 盗 罪 とは ・公 私 の財 物 を密 か に不 法 占有 〔不 法 領 得 〕す る 目的 を も っ て ・反復 的 に また は高 額 の窃 取 をす る行 為 を い う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯罪 構 成

(1)本 罪 の 主 体 は ・自然 人 一般 で あ る。16歳 以 上 で刑 事 責任 能 力 あ る 自然 人 は,す べ て窃 盗 罪 を構 成 し うる。

(2)本 罪 の 客 体 は,公 私 の 財 産 で あ る。

(3)本 罪 の 主観 面 は,直 接 故 意お よび公私 の財 物 を不 法 占有 す る 目 的 で あ る。 公 私 の財 物 また は他 人 の財 物 を 自己 の 財 物 だ と誤 認 して これ を持 ち去 る行 為,ま た は債 務 者 の財 物 を差 押 え る行 為 は

,行 為 者 に不法 占 有 目的 が ない の で・窃盗 罪 を構成 しない。 窃 取 した財 物 を自 己の もの と し て 占有 しよ う と・他 人 に贈 与 し よ う と ,ま た は共 同 体 〈集 体 〉に提 供 しよ う と,本 罪 の 成 立 に 影響 しな い。

(4)本 罪 の 客観 面 は,反 復 的 に また は高額 の公 私 財物 を密 か に窃 取 す る行 為 で あ る。 密 か な窃 取 とは ,犯 罪 者 が 主観 的 に財 物 の所 有 者 ・管 理 者 ・所 持 者 に発 覚 しな い と信 じる方 法 に よ り財 物 を 占有 し自 己 の もの

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(g7s) 何 兼 松 編 著 ・ 刑 法 教 科,書芋(各 論 編24章 一29絢 313

極 参 加 者 」とは,多 衆 集 合 に よる集 団略 奪 に 自発 的 に参 加 して ・主 要 な 役 割 を果 た し また は財 物 を集 団 略 奪 す る多 数 人 をい う。

(2)本 罪 の 客 体 は,複 雑 客 体 〔複 合 法 益 〕で あ る。 本 罪 で は,多 衆 が 公 然 と実 行 す るの で,公 私財 物 の所 有 権 の ほか,社 会 の 正常 な管 理 秩 序

も侵 害 され る 。

(3)本 罪 の 主観 面 は,故 意 の み に よ り構成 され,か つ公 私財 物 を不 法 占有 す る 目的 を要 す る。

(4)本 罪 の客 観 面 は,多 数 人が 集 合 して騒動 を起 こ し,公 然 と公 私 の財 物 を奪取 して,そ の 額が 高 額 ま たは そ の情 状 が 重大 な行為 で あ る。 多 衆 集 合 して行 う奪 取 は,本 罪 の客 観 面 の最 も重 要 な特 徴 で あ る。 「多衆 集 合」 とは,首 謀 者 の組 織 ・計 画 に 人数 の可 変 的 な 多 数 人が 参 加 す る こ と をい う。 多衆 集 合 は,本 罪 の行 為 形 態 で あ る と とも に,集 団 略 奪 の前提 で もあ る。 集 団 略 奪 とは,騒 動 を起 こ して 公 私 財 物 の所 有者 ・保 管 者 か ら 財 物 を奪 取 す る こ とで あ るカ㍉ 公 然 と行 わ れ る点 に特 徴 が あ る。

刑 法268条 に よれ ば,本 罪 は,被 害 が 高 額 また は そ の情 状 が 重 大 で な け れ ば 成 立 しな い。 しか しr「 高 額 」の意 義 は,刑 法 に規 定 され て い ない の で,最 高 司法 機 関 の解 釈 に依拠 しなけ れ ば な らない 。 ま た,「 重 大 な情状 」

とは,反 復 的 な集 団略 奪,集 団略 奪 に よ る重 大 結 果 の 発 生,多 数 集 合 の規 模拡 大 に よる社 会 へ の 劣 悪 な影 響 等 をい う。

2.特 殊 犯 罪 構成

本 罪 の 犯 罪構 成 に はs基 本 犯 罪構成 と特 殊 犯 罪構 成 とが あ る。 本 罪 の特 殊 犯 罪 構 成 はs多 衆 集 合 して公 私 財 物 の集 団 略奪 を行 い,「 そ の 額 が 巨 額

また は そ の他 の情 状 が 特 に重 大 」 な と き に成立 す る。

II定 罪

1.本 罪 の首謀 者 ・積極 参加 者 と一般 参 加 者 との限 界 本 条 に よ り処 罰 され る の は,首 謀 者 お よび積極 参 加 者 の み で あ り,一 般 参 加 者 に は刑 罰 以 外 に よ る処 罰 措 置 を行 い うる。

2.本 罪 と奪 取 罪 との 限 界 両 罪 は,次 の 点 で 異 な る。① 主 体 が 異 な る。本 罪 は特 別 主体 で あ るが,後 罪 は一般 主 体 であ る・② 客 体 が 一致 しな

(24)

312 率ゆ4蕎月1〜去'」誇第34巻 第3号 一2001イf三

X879) る。 ② 犯 罪 の 客 観 面 が 異 な る。 後 罪 は,暴 力 ・脅 迫 ・そ の 他 の 方法 で 財 物 を強取 す る罪 で あ り,か つ被 害 額 につ い て法 律 上 の制 限 が な い。 これ に 対 して ・本 罪 は 池 人 の油 断 に乗 じて所 儲 か ら財 物 を公 然 轍 レ か つ そ の額 が 高 額 な場 合 の み に犯 罪 を構成 す る ,と 刑 法 に定 め る 。

3.奪 取 罪 と同 時 に他 罪 を構 成 す る可能性 奪 取 行 為 は他 人 の油 断 に乗 じて行 われ るの で,行 為 者 が被 害 者 を引 きず って転倒 させ 傷 害 を負 わせ た り死 亡 させ る こ とが あ る。 また ,行 為者 が奪 取 行 為 後,現 場 か ら逃 走 時 に 他 人 を突 き飛 ば して傷 害 を負 わせ た り死 亡 させ る こ と もあ る

。 この よ う な結 果 は,行 為 者 が 故 意 に暴 力 を用 い て生 じた もので は な いの で

,強 盗 罪 と して処 断 しえ ない・ その結 果 が 軽 傷 で あ れ ば

s奪 取 罪 の重 大 な情 状 と し て 量刑 時 に考慮 しうる。 他 方 ,そ の結 果 が 他 人 の重 傷 ・死 亡 で あ る と き は,行 為 時 にお け る行 為 者 の 罪 過 形 式 〔故 意 ・過 失 〕に応 じて 成 立 す る他 罪 と本 罪 とは数 罪 併 罰 〔併 合 罪 〕 とな る。

皿 刑 事 責 任

刑 法267条;本 罪 を犯 した 者 は ,3年 以 下 の有 期 懲 役,拘 留 また は管 制 に処 し,罰 金 を併 科 また は単 科 す る。 そ の額 が 巨 額 また は そ の他 の情 状 が 重大 な と きはs3年 以 上10年 以 下 の 有期 懲 役 に処 し

,罰 金 を併 科 す る。

その額 が 特 に巨 額 また はそ の他 の情 状 が特 に重 大 な とき は

,無 期懲 役 また は10年 以 上 の 有期 懲 役 に処 し ,罰 金 また は財 産 没 収 を併 科 す る。

4多 衆 奪 取 罪 〈聚 森 咲 捻 罪 〉

多 衆 奪 取 罪 とは ・不 法 占有 〔不 法 領 得 〕の 目的 を も って

}多 数 人 が 集 合 して騒 動 を起 こ し・公 然 と公 私 の財 物 を奪取 して,そ の額 が高 額 また は そ の 情 状 が 重 大 な行 為 を い う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1)本 罪 の主 体 はr特 殊 主 体 す なわ ち 多衆 集 合 して公 私 の財物 を集 団 略 奪 す る 首謀 者 お よび積 極 参 加 者 で あ る。 「首 謀 者 」とは

,多 衆 集 合 に よ る集 団 略 奪 に お い て組 織 ・計 画 ・指揮 の 役 割 を果 た す 者 を い う

。 「積

(25)

(880) f。 松 繍 ・ 刑 法 教 科F#1各 論24コ一 一29) 311

2.特 殊 犯 罪 構 成

奪 取 罪 の犯 罪構成 に は,基 本 犯 罪 構 成 と特 殊 犯 罪構 成 とが あ る・ す なわ ち,「 そ の額 が 巨額 また はそ の他 の刷 犬が 重 大 な暢 合 お よび 「そ の 額 が 特 に巨 額 また は他 の情 状 が特 に重 大 な」 場 合 が 本 罪 の特 別 構 成 で あ る 。

3.犯 罪構 成 の 転 化

刑 法267条2項 に よる と,「 凶器 携 帯 奪 取 」 は,強 盗 罪 と して定 罪' 処 罰 され る。 これ は,本 罪 が 強盗 罪 へ と転 化 す る特 別 規定 で あ る。 この 転 化 の法 定 要件 は,行 為 者 が 凶器 を携 帯 して 奪 取 す る こ とで あ る。 「凶器 の 携 帯 」 とは,財 物 奪 取 過 程 で銃 器 ・爆 発 物 ・規 制 刀 剣 等 の 凶器 を携 帯 す る こ とをい う。 こ こで は,当 該 条 項 に よっ て,行 為 者 の財物 取 得 行 為 の形 態 が 変化 す る わけ で は ない 。す な わ ち,他 人 の油 断 に乗 じた財 物 公 然奪 取 の過 程 で行 為 者 が 凶器 を実 際 に示 す こ とは,そ の要件 で はな い・ この よ っ

に考 えな い と,強 盗 罪 の 規定 が 直 接 適 用 され る ため本 罪 を転 化 す る必 要 が な くな る。 しか し,奪 取 行 為時 の 凶器 携 帯 は,犯 行 心 理 を強 化 す る こ とが 多 く,凶 器 を持 つ と行 為 者 に恐 怖 心 が な くな るので,単 純 な奪 取 罪 が さ ら に大 きな社 会危 害性 を有 す る こ と に な る。 立 法 者 が 同条 項 を定 め た理 由 は,こ の 点 にあ る。 同条項 は,本 罪 と凶器 携 帯 の法 定 要 件 とが相 互作 用 し

て本 来 の犯 罪 構 成全 体 の性 質 に 変化 が 生 じ,強 盗 罪 の犯 罪 構 成へ と転化 す る こ とを示 す 。

II定 罪

1.本 罪 と非 犯 罪 との 限 界 奪 取 した公 私 財 物 の 高 額 で あ る こ とが ・本 罪 の重 要 な構 成要 件 で あ る。奪取 の情 状 も,本 罪 の確 定 に影響 す る。 そ れ ゆ え,奪 取 され た公 私財 物 が 高 額 で な く,そ の情状 が 明 らか に軽 微 な と き は,本 罪 は 成 立 しな い。

2.本 罪 と強 盗 罪 〈拾 劫 罪 〉との 限 界 本 罪 と後 罪 とは,公 私 財物 の不 法 占有 目的 お よび犯 罪 主体 の 点 で 基 本 的 に 共 通 し,ま た 「拾 」 〔奪 〕の語 が 用 い られ る点 で も同 じで あ る。 しか し,両 罪 は,次 の点 に大 きな違 い が あ る。① 犯 罪 客 体 が 部 分 的 に 異 な る。 後 罪 は財 物 の所 有権 の ほ か被 害 者 の 人身 の権 利 を も侵 害 す るが,本 罪 が侵 害 す るの は財物 の所 有権 の みで あ

(26)

310 神 奈 川 法 学 第34巻 第3号2001年

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性 が あ り,被 害者 が財 物 交 付 を拒 否 す れ ば,そ の場 で 犯罪 者 は暴 力 を実 行 す る はず で あ る 。④ 財 物 を不 法 取 得 す る時 期 か らす る と

s本 罪 で は,威 嚇 ・脅迫 の 現 場 の と き もあ る が,多 くは威 嚇 ・脅 迫 後 の 一定 期 間 内 に財 物 取 得 が な さ れ る。 これ に対 して,後 罪 で は ,そ の場 で 財 物 が 取 得 され る 。

皿 刑 事 責 任

刑法274条;本 罪 を犯 した者 は,3年 以 下 の有 期 懲 役 ,拘 留 また は管 制 に処 す る。 そ の額 が 巨 額 また は そ の他 の情状 が 重 大 な と きは

,3年 以 上 10年 以 下 の 有 期 懲 役 に処 す る。

3奪 取 罪 〈拾 寺 罪 〉

奪取 罪 とは ・不 法 占有 〔不 法 領得 〕の 目的 を もって ,他 人 の 油 断 に乗 じ て,高 額 の公 私 財 物 を公 然 と奪 取 す る行 為 を い う。

1犯 罪 構 成 1.基 本 犯 罪 構 成

(1) (2) (3}

/

本 罪 の 主体 は,自 然 人 一般 で あ る。

本 罪 の 客 体 は,公 私 の財 産 で あ る。

本 罪 の主 観 面 は,故 意 お よび財 物 不 法 占有 の 目的 で あ る。

本 罪 の客 観 面 は,他 人の 油 断 に乗 じて,高 額 の 公 私財 物 を公然 と奪取 す る行 為 で あ る。 公 私 財 物 の 公然 奪 取 とはr一 般 に,公 私 の財 物 の 所 有 者 また は保 管 者 の油 断 に乗 じて公 然 とそ の財 物 を奪 取 す る こ とで あ る・と解 され る・被 害 者 は ,財 物 が 奪 取 され た瞬 間 に その財 物 喪失 を直 ち に意 識 す る。 この点 が,本 罪 と窃 盗 罪 ・詐 欺 罪 ・恐 喝 罪 とを区 別 す る重 要 な特 徴 とな る・ 本 罪 で はi財 物 の所 有 者 ・保 管 者 に対 して行 う こ とが 財 物 の 公 然 奪 取 の要 件 とな り,単 に他 人 が現 場 にい た こ とで は足 りな い。 そ れ ゆ えs夜 間 に通 行 人の 財 物 を奪 い 去 る行 為 は ,現 場 に他 人が い な くて

も,公 然 奪 取 に な る。 刑 法 に よれ ば ,奪 取 され る財 物 の 額 が 高 額 な と きに の みs奪 取 罪 が成 立 す る。 そ の額 が小 さ く情状 軽 微 な と きはr本 罪 を構 成

しない 。

参照

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