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大型金属部品加工産業(遼寧省大連)

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1.はじめに 

1.1 企業紹介 

我々の会社(株式会社東海機械製作所、大連東海優技術有限公司)では、大きく分けて 二つの事業を展開している。まずは、金属製品加工事業であり、主として産業機械・各種 専用機械のベース・コラムなどの大型部品を溶接及び大型五面加工機による機械加工を施 し、表面実装機メーカー・造船メーカー・液晶/太陽光設備メーカー・自動車向け設備メ ーカーに製品を納入している。二つ目の事業としては、「U−tec」というブランド名で各 種プレス/成形機の設計から部品加工、組立を行い、プレス機のメーカーとしても日本国 内はもとより日系自動車部品メーカーの海外事業所に製品を納入している。

〈日本本社の概要〉

 会社名     株式会社東海機械製作所       TOKAI KIKAI Co., Ltd.

 住所      愛知県岡崎市藤川町北荒古32

      32, Kitaarako, Fujikawa-cho, Okazaki-City, Aichi   設立      1953年4月 

資本金     5,000万円  従業員     100名

 業種      大型金属部品加工業、プレス機製造   TEL/FAX      0564-51-2793 / 0564-54-0619 URL http://www.tokaikikai.co.jp/

〈中国会社の概要〉

 会社名     大連東海優技術有限公司

      DALIAN TOKAI U-tec Co., Ltd. 

住所      遼寧省大連市甘井子区大連湾鎮蘇家工業園区

      Sujia Industrial Park, Sujia Village, Dalian wan, Ganjingzi District, Dalian

  設立      2004年11月 資本金     70万USドル  

 資本構成    株式会社東海機械製作所独資(100%)

従業員     30名(日本人  1名)

 業種      大型金属部品加工業(溶接・組立)

  TEL/FAX      0411-87859958/0411-87859968

2.海外での会社設立の経緯 

2.1 なぜ中国に海外事業所を選定したか 

 お客様に必要とされている QCD(品質・コスト・納期)を満たすためにはどうしたら よいか?を第一に考え、また当社 U−tec 製のプレス機及び周辺装置のお客様である自動 車部品メーカーは中国各地に生産拠点があり、今後も設立が計画されていることから、中 国でも日本と同じサービスをお客様に提供させていただきたいという意向もあって、約 6 年前に当社は中国の大連市に海外拠点を設立することを決定した。

具体的な理由としては、

・日本本社を出発してから約半日で現地工場に到着できる。

・他国と比べると日本語が堪能な現地人が多い。

・溶接技術の技能レベルが他国と比べるとある程度高い。

・以前より中国メーカーから部品を調達しており、中国企業との付き合いがあった。

・今後、資源不足などにより日本国内で安定して材料などを調達できなくなる恐れ も考慮し、今後発展を続ける中国から将来的に材料を調達できる可能性がある。

などである。

   

2.2 現地法人設立まで 

 中小企業が初めて海外に進出する際には、独資もしくは合弁かで迷われることがあると 思うが、当社としては、以前より交流のあった現地の中国人(調達先の管理者兼通訳)を 現地法人の副総経理として迎え入れ独資で設立することに決定した。その代り、以前から の調達メーカーには、定期的な仕事の確約と定期的に本社からの技術指導を行うこととし、

引き続き当社の協力会社とすることで合意した。独資のデメリットとしては、①各官庁と の付き合い、②縦横の繋がりが難しい、③中国国内での販売網確保が困難など、とあるが 有能な現地スタッフを副総経理として迎え入れたことによってデメリットは解消できた。

3.業務を進める上での人づくりの留意点について 

3.1 採用 

 中国は、日本とは違い貧富の格差が驚くほど大きい。給与に至っても、管理職と製造部 門の一般作業者とは少なくても3倍〜5倍の給与格差・待遇の違いがあるのが当然のよう だ。いまだ終身雇用制度が根強く残っている日本の中小企業とは違い、中国では能力のあ る人材のキャリアアップは欧米などと似ていて、実力主義で経験・業績を残し、どんどん 力をつけ、高額な給与をもらい、最終的には見切りをつけてステップアップして次の会社 に自分を売り込んでいこうとする。一方、いつになっても同じことしかできない、成長し ない人材はいつになっても低賃金で働かざるをえないという状況に変わりはない。実力だ けならまだわかるが、大学を卒業しても、市内ではなく地方の農民出身者、又は中国で一 番多い漢民族でなければ、大手中国企業もしくは有名大手海外企業では狭き門だというこ ともあり、格差の中に差別がまだまだ存在しているようにも感じられる。

当社大連工場は、大連市の外れに位置しており、先にも触れたが、大連近郊の街の出身 者で大学もしくは専門学校を卒業した人材を総務・経理・通訳・製造部の管理者に採用し、

製造部門の一般労働者は、地方出身で溶接の経験が豊富な人材を採用した。選考基準とし

ては、製造部の作業員に対しては、簡単な溶接の技術試験を行ったが、その他にあえて挙 げるとすれば、若い人・少しでも日本に興味がある人ぐらいのかなりおおざっぱな選考基 準しか設立当時はなかった。

3.2 人材の違い 

日本という国は、小さい島国で宗教・言語・習慣・思想・民族等は多少違うところはあ るが、大差はない。だが、中国になると日本の約25倍以上の面積があり、日本の約10倍 の人口で、多数の宗教や信仰もあり、50以上の異なる民族が同じ国家で生活しているので ある。日本では、「以心伝心」という言葉があるが、それはあまり思想などの違いのない人 間同士では通用する。例えば、日本で部下に指示・命令を出せば大体の部下は、私が望ん でいる事が何だか分かるし、必要以上に伝達に時間を費やすことなく、ある程度の結果を 残してくれる。しかし、根本的に考え方等がそれぞれ違う中国では、同じ国民同士でも「以 心伝心」というのは難しいと考えられる。ましてやお互い外国人である日本人と中国人と の間では、たとえ言葉が通じたとしても無理だと考えた方が正しいと思う。

また、日本企業なら、どこでも当たり前にやっているような「安全活動」「4S活動」「改 善活動」「品質保証」などが、中国の中小企業では、工場内に看板を目立つように掲げては いるが、そもそも何のために「安全活動」「4S活動」「改善活動」「品質保証」をしなけれ ばならないかを理解できない従業員が多くいる。中国の現地の中小企業に工場見学に行か れたことのある方なら、作業中にタバコを吸っている作業員、ヘルメットを被らずにクレ ーン作業をしている作業員、製品の上に腰掛けて雑談している作業員、使用した工具を片 付けない作業員、足場が無いような作業現場で作業をしている作業員の情景をご覧になっ たことがあるだろう。

また、「多能工」の人材が非常に少ない。日本の企業と比べると一つの製品を作るに当た り、多くの手(人材)が必要となる。簡単に言えば、日本では、一人でできる作業を3人 もしくは4人で作業をしているようなものだ。余剰人員をあらかじめ知っていて採用をし なければならない。例を挙げれば、当社は溶接が主な作業になるが、大まかに製品ができ るまでの工程別に分けると、図面展開して材料図の作成、材料切断のために罫書(ケガキ、

注記)材料溶断・切断、前加工(タップ穴あけ作業・ドリル穴あけ作業)、溶接仮付、本溶 接、グラインダー作業による仕上げなどである。当社の日本本社では、溶接に係るほとん どの作業員がすべての工程をこなすことができるが、片や、中国で多数の人材と面接した が、すべてが満足にこなせる人材を探すのは非常に難しい。根本的には、中国の国営企業 では、過去の社会主義国家の流れがいまだに残っているせいか、同じ仕事を長期にわたっ て同じ人材が行い、それ以上の仕事をさせない。黙って、それだけをやっていればいいと いう風習が残っている現地の会社も多い。少し前の時代の中国の国営企業の作業風景を思 い出していただければ、たくさんの作業員が一つの製品に群がっている姿をご覧になった 事があると思う。

(注)罫書(ケガキ):製品を作る時に、部材の寸法や穴の位置などを、罫書用の針、墨       などを使って書き入れること。型取り。)

3.3 言葉(中国語)について 

私は赴任当時、全く中国語が分からなかった。当社には、当時日本語の堪能な現地役員 がいたが、その一人を除いては誰も日本語が全く分からない状態であった。たとえ日本語 が堪能な通訳者がいたとしても、誰もが、経験をすれば感じると思うが、自分の目の前で 外国人と日本人が私の知らない言語で話し、笑っていれば、たとえ私に対して笑っていな くても、少なからず何か自分のことで笑っているのではないかと、疑いを持つし気分の良 いものではないと思う。また、日本人と一番コミュニケーションが取れる通訳者と、言葉 の通じない中国人との関係が悪くなれば、仮に有能な人材であっても通訳者から間違った 情報を聞き、せっかくの有能な人材を知らずのうちに退職まで追い込んでしまうことも生 じる。また、通訳者が日本語を話せるからといって、自分に能力があると勘違いし、勝手 に他の人材に指示・命令などを出し、あとから取り返しのつかない問題に発展することも 可能性としてはありうる。随分心配性かと思われるかもしれないが、それぐらいの気持ち がなければ、海外でヒトは管理できないと思う。

これらのことを簡単に言えば、国民性の違いだけで片付けてしまうかもしれないが、私 としては、日本企業として中国に進出し、成功を得るためには、少なからずこれらの問題 を最優先で解決をしなければ、長期間にわたる中国ビジネスは成しえないと考える。

4.能力開発の実施事例について 

4.1 コミュニケーション 

人材育成というのは、業務を営む上で最も大切で時間や手間が掛ることは十分周知して いるが、海外で人材を育成するということは日本と比べると、その数倍の時間や手間が掛 ることがよくわかった。

数々の問題を抱えながら、どうしたら現地の従業員を管理し教育できるかと考えたとこ ろ、まず初めに簡単な「あいさつ」「褒め言葉」「叱り言葉」「YES/NO」「5W2H」「数字」

など最小限の中国語を勉強し、あとは身振り手振りで言葉の通じない従業員とコミュニケ ーションを図ることにした。管理者と従業員との間に日常のコミュニケーション無くして 良い仕事ができるはずがないというのが私の考えであるために、彼らが何を話しているか 全く分からなかったが、毎日作業現場で一緒に作業を手伝い、従業員と漢字で筆談をしな がら、説明をして逆に教えてもらうこともあり、次第にではあるが少しずつお互いに理解 ができるようになった。また、誰もが理解できるように、当社内だけの共通言語を作った。

例えば、各工程はアルファベットで呼び、各作業は数字で呼ぶなどである。この共通言 語を作ったために、お互いに難しい外国語で喋らなくてもよくなった分、打ち合わせも早 く終わり、より作業指示も正確に間違いが生じないようになった。そのような状態になる まで約3カ月を要し、やっと本来の教育ができる状態になった。

      4.2 教育 

 一般的なコミュニケーションがお互いに取れるようになり、「安全活動」「4S活動」「改 善活動」「品質保証」などの教育に取り組み始めた。その中でも、最も気になっていた「安 全活動」「4S活動」を最初に取り組んだ。毎日、毎日、整理整頓をしなさいと言ったとこ ろで、一向に改善される気配がなかったので、どうして整理整頓が必要なのか?整理整頓

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