• 検索結果がありません。

第4章  施策展開

①  地域の相談機関におけるこころの健康問題に関する相談機能    の充実及び地域保健、産業保健との連携強化

【現状】 

・  孤立を防ぎ、自殺の予防を図ることを目的に、県民を対象に、広くこころ の健康に関する「こころの電話相談」を実施しており、平成 23 年 11 月から はフリーダイヤルで対応しています。 

・  その他の電話相談として、「依存症電話相談」、「自死遺族電話相談」、

精神障がいのある当事者が相談員となる「ピア電話相談」を専用回線で実施 しています。 

・  地域では、保健福祉事務所・センターにおいて、福祉職や保健師が電話、

面接や必要に応じた訪問等による随時の相談を行っています。また、こころ の病気かどうかを医師、保健師、福祉職等の相談員に相談する、精神保健福 祉相談を実施しています。 

・  「こころの電話相談」や保健福祉事務所・センターにおける相談には、多 岐にわたる相談がありますが、アルコールや薬物など依存症の相談も含まれ ています。 

・  アルコール関連問題に対する県民の理解を深めるため、講演会の実施や  リーフレットの作成及び配布を実施しています。また、支援者を対象とした 研修や酒害相談員の研修を実施し、人材育成に取り組んでいます。 

・  地域の保健と産業保健の連携については、平成 18 年度から、各地域にお いて、労働基準監督署等と、事業所の人事管理担当者や健康管理センター等 の担当者等、事業所のメンタルヘルスに関わる職員を対象として、職域にお けるメンタルヘルス研修会を開催しています。 

 

【課題】 

・  「こころの電話相談」は、孤立を防ぎ、自殺の予防を図ることを目的に、

広くこころの健康に関する電話相談を実施していますが、一人でも多くの人 が利用できるよう継続して取り組む必要があります。 

・  地域におけるこころの相談機能の充実を図るために、保健福祉事務所・ 

センターでは、こころの健康相談等、電話や来所による相談支援や訪問支援 等について、さらに取り組むことが必要です。 

      4  あらゆる場面において、こころの健康づくりを進める 

(2)地域におけるこころの健康づくり推進体制の整備 

83

・  アルコールや薬物などの依存症に対しては、地域における支援体制が十分 ではないため、県民の関心と理解をさらに深め、地域の支援体制を構築する ことが必要です。 

・  精神保健と産業保健の連携については、地域において研修等を通じて連携 を図ることが必要です。 

 

【施策】 

  ◇  こころの電話相談 

県民を対象に、こころの健康について悩みがある方の相談を受ける「こ ころの電話相談」をフリーダイヤルで実施します。 

◇  精神保健福祉普及相談事業 

保健福祉事務所・センターにおいて、統合失調症、アルコール依存症、

薬物依存症等の精神疾患を抱える方への支援として、関係機関との連携を 強化し、電話や来所による相談支援や、訪問支援等に取り組みます。 

◇  特定相談(依存症電話相談、自死遺族相談、ピア電話相談) 

アルコール等の依存症に関する電話相談、自死遺族からの電話相談、当 事者が相談者となるピア電話相談を継続的に実施します。

◇  アルコール依存症等対策の推進 

アルコール関連問題についての講演会や研修会を実施します。依存症電 話相談において、アルコール依存症本人及び家族等からの相談を受け、適 切な治療や対応に関する情報提供や助言をすることにより、相談者の孤立 を防ぐことに取り組みます。

  ◇  薬物乱用防止の推進 

関係機関の職員が、薬物依存症についての知識を深めるとともに、地域  での実践に生かすための研修を実施します。

  ◇  職域研修会の実施【再掲】 

各地域の労働基準監督署との連携を強化し、企業の人事管理担当者や健 康管理センターの担当者を対象にした研修会を実施します。 

 

      4  あらゆる場面において、こころの健康づくりを進める 

(2)地域におけるこころの健康づくり推進体制の整備 

84

②  ⾼齢者、⼥性、⽣活困窮者、性的マイノリティ等、様々な  対象、課題に対する相談支援体制の連携強化 

ア  高齢者に対する相談支援体制 

【現状】 

・  国が平成 27 年1月に策定した「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプ ラン)」では、平成 37(2025)年には全国で認知症の人が約 700 万人前後に なると見込まれており、認知症の人への対応は喫緊の課題となっています。 

・  こうした中、認知症の人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域の よい環境で自分らしく暮らし続けることができるよう、認知症の人や家族等 に対する支援を充実するための取組みを行っています。 

 

【課題】 

・  認知症の人が、地域において尊厳を保ちながら穏やかな生活を送ることが でき、家族も安心して生活を営むことができるよう、相談体制の充実や認知 症に対する地域の方々の理解と協力等、地域全体で認知症の人と家族を支援 する体制を構築していくことが必要です。 

 

【施策】 

  ◇  「かながわ認知症コールセンター」の運営 

  認知症介護の経験者等が、認知症の人や家族等からの介護の悩みと  いった、認知症全般に関する相談を電話で受け、認知症医療、介護の適 切な関係機関へつなぐ「かながわ認知症コールセンター」を設置し、精 神面も含めた様々な支援ができるよう、相談体制を充実します。 

  ◇ 

⽼⼈クラブによる友愛訪問 

  老人クラブが中心となって、会員や民生委員・児童委員、ボランティア 等からなる「友愛チーム」をつくり、一人暮らしの高齢者などの世帯等を 訪問し、相談相手や話相手になったり、簡単な家事の手伝い等を行う友愛 訪問活動を実施します。 

また、県は、市町村老人クラブが行う友愛訪問活動に対し支援します。 

      4  あらゆる場面において、こころの健康づくりを進める 

(2)地域におけるこころの健康づくり推進体制の整備 

85

  イ 

⼥性に対する相談⽀援体制 

【現状】 

・  県立女性相談所の女性電話相談室では、夫婦間、親族間のトラブルや、本 人または家族の病気など、様々な相談を受け付けており、その結果、必要に 応じて各専門窓口を案内しています。 

 

【課題】 

・  悩みを抱えている女性自身やその家族、地域社会等のためにも、解決の糸 口として、誰でも相談しやすい電話相談窓口が必要です。 

【施策】 

  ◇ 

⼥性電話相談室 

     日常生活を送るうえで起こる様々な問題に向き合わざるを得ない女性 自身やその家族等のための電話相談を行います。(配偶者からの暴力に関 する相談については別途実施※P.154 に記載) 

                               

      4  あらゆる場面において、こころの健康づくりを進める 

(2)地域におけるこころの健康づくり推進体制の整備 

86

ウ  性的マイノリティに対する相談支援体制 

【現状】 

・  性的マイノリティは日本の人口の 7.6%を占めると言われます。しかし、同 性愛に関し適切な教育を受けられなかった人は約 93%にのぼり、LGBT※1 についての正しい知識を得る機会がないまま大人になってしまいます※2。こ うした現状は、LGBTの約3人に2人が一度は自殺を考えるという深刻な 事態を招いており、政府の「自殺総合対策白書」(平成 25 年版)等にも懸念 が示され、特に希死念虜が高まる時期は第二次性徴期と言われています。 

・  また、正しい知識の不足により周りに不理解が生じ、調査によるとLGB Tの約7割はいじめを経験します※3。しかし、この現状を受けながら教職員 の約1割しかLGBTについて知識を持っていないこと※4、約 85%の同性愛 男性が家族にカミングアウトできていないことから※5、LGBTの子どもは 支援者を得づらい現状があると考えられます。 

・  厚生労働省が行う24時間無料電話相談である「よりそいホットライン」の セクシュアルマイノリティ専門ラインは、年間384,500件の電話があり、その 約半数は10〜20代であることから、LGBTの子ども・若者の相談支援の必 要性がうかがえます。 

・  また、発信地の10.5%が神奈川県内からを占め、全都道府県内で3位である とのことから、特に本県におけるニーズが高いと考えられます※6。しかし、

県内における相談支援、自立支援、就労支援施設におけるLGBTの研修機 会は少なく、LGBTの相談者が適切な支援を受けづらい現状があります。 

・  こうしたことから、性的マイノリティの子どもに理解のある支援者育成支 援事業を実施しています。 

   

※1  LGBT:「女性同性愛者(Lesbianレズビアン)」、「男性同性愛者(Gayゲイ)」

「両性愛者(Bisexualバイセクシュアル)」、「性同一性障害を含む身体とこころの 性が一致しない人(Transgenderトランスジェンダー)」等、性的少数者。 

※2  日高庸晴,木村博和,市川誠一(2007)厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研究 推進事業「ゲイ・バイセクシュアル男性の健康レポート2」pp.6 (有効回答数 5,731 人)による。 

※3  平成25年度いのち リスペクト。ホワイトリボン・キャンペーン実施「LGBTの 学校生活実態調査」による。 

※4  日高庸晴ほか(2013)子どもの 人生を変える 先生の言葉があります. 厚生労 働省エイズ対策研究事業による。 

※5  日高庸晴, 木村博和, 市川誠一(2007)厚生労働科学研究費補助金エイズ対策研 究推進事業「ゲイ・バイセクシュアル男性の健康レポート2」pp.5(有効回答数 5,731 人)による。 

※6  平成23年GID学会報告書による。 

Outline

関連したドキュメント