• 検索結果がありません。

第 7 章 局所的な分岐 134

7.2 余次元 1 の分岐

7.2.2 周期振動の分岐

を考え,これがリヤプーノフ関数となるようにうまく Vk(y1, y2)の多項式の係数を決定しよう.この手 順については文献[O16, N2, D12]参照. V3(y1, y2) の係数をうまくきめると

V˙(y1, y2) =D1(y14+y24) +· · · (7.33) あるいは

V˙(y1, y2) =D2(y12+y22)2+· · · (7.34) とすることができる.ここに,

D2 = 3

4D1= 1 8D= 1

8 h

3(p30+q03) +p12+q21 +1

ω n

2(p20q20−p02q02)−p11(p20+p02) +q11(q20+q02)

oi (7.35)

の関係があるので式 (7.33), (7.34) どちらを使っても同じ判定を得る.すなわち,これらの式の係数

(7.35)の符号が負ならば原点は漸近安定な平衡点 0O ,正ならば不安定な平衡点2O,零なら判定不能

で更に高次の項を用いた計算を必要とすることが分かる.D はリヤプーノフの第 1 渦状量と呼ばれて いる.

この判定基準と分岐式 (7.26)を合わせて考えると,次の3 つの場合の何れかとなる.

(1) D <0 のとき,発生するリミット・サイクルは安定.したがってスーパー・クリティカルな場合

となる:

0O⇒ 2O+LC(0D) (7.36)

(2) D >0 のとき,発生するリミット・サイクルは不安定.したがってサブ・クリティカルな場合と

なる:

0O+LC(1D)⇒ 2O (7.37)

(3) D= 0 のとき,判定不可能.更に高次の項を用いた第2 渦状量で判定.

なお,Dを式 (7.30)の係数で表現すると次式となる.

D = 1

2b n

−a(f21+g12) +b(f30+g21)−c(f12+g03) o

+ 1

2b(a2+bc) n

ab(−f202 +f20g11+f11g20+g20g02+ 2g211) +ac(f20f02+ 2f112 +f11g02+f02g11−g202)−b2(f20g20+g20g11) +c2(f11f02+f02g02) + (2a2−bc)(f20f11−g11g02)

o

(7.38)

とし,ポアンカレ写像を

T : Rn →Rn; x7→T(x) =ϕ(L, x, λ) (7.40) で定義しよう.また,式(7.10)が周期 2π の周期解を持つとして,これに対応するT の固定点方程式:

x0−T(x0) = 0 (7.41)

を満たす固定点を x0∈Rn ,その特性方程式を

χ(µ) = det(µIn−A(λ)) =µn+a1µn−1+· · ·+an−1µ+an= 0 (7.42) とする.ここに,

DT(x0) = ∂T(x0)

∂x = ∂ϕ(L, x0, λ)

∂x =A(λ) (7.43)

とおいた.さて,固定点の双曲性が崩れるのは,式 (7.42)の特性根の 1 つが,複素平面上の単位円上 に位置する場合であった.このことを考慮して余次元1 の分岐のタイプを分けると,以下に述べる接線 分岐,周期倍分岐,ネイマルク・サッカー分岐の3 種類となる.

固定点の接線分岐(tangent bifurcation)

パラメータの変化に伴って,2 つの対になった固定点が癒着消滅,あるいは発生する分岐である.こ の分岐は特性根の 1つが 1となる場合におこる.すなわち,分岐の条件は

χ(1) = det(In−A(λ)) = 1 +a1+· · ·+an−1+an = 0 (7.44) となる.分岐の起こる固定点対としては

kD+ k+1D ⇔ ∅, k= 0,1, . . . , n1

kI+ k+1I ⇔ ∅, k= 1,2, . . . , n2 (7.45) のいずれかである.

固定点の周期倍分岐(period doubling bifurcation)

この分岐は特性根の1 つが−1 を横切る場合に生じる.分岐後,固定点は安定性が変化し,対になっ た2-周期点の発生(あるいは消滅)をみる.このことから分岐の名前が付けられている.分岐の条件は χ(−1) = det(−In−A(λ)) = (−1)n+a1(−1)n−1+· · · −an−1+an= 0 (7.46) となる.また,分岐式は

kD k+1I+ 2kD2, k = 0,1, . . . , n2

kD k−1I+ 2kD2, k = 2,3, . . . , n

kI k+1D+ 2kD2, k= 1,2, . . . , n1

kI k−1D+ 2kD2, k= 1,2, . . . , n1

(7.47)

となる.ここに,kD2 はタイプがD型の 2-周期点で,その不安定次元がkであることを表す.

0

D

1

D

2

D

3

D

4

D

接線分岐

ネイマルク・サカー分岐

1

I

2

I

3

I

周期倍分岐

7.4 接線分岐,周期倍分岐とネイマルク・サッカー分岐(4次元の場合).

固定点のネイマルク・サッカーの分岐(Neimark-Sacker bifurcation)

1 組の複素特性根が,複素平面内の単位円を横切る分岐である.平衡点のホップ分岐に対応する固定 点の分岐といえる.分岐の条件は

χ(e) = det(eIn−A(λ)) =ejnθ+a1ej(n−1)θ+· · ·+an−1e+an = 0 (7.48) である.この分岐はネイマルクとサッカーによって研究されたのでこの名前がある.平衡点との類似性 から写像のホップ分岐と言ったりもする.一般にこの分岐が起こると,固定点の周りに写像 T によっ て不変な閉曲線が発生または消滅する.

ただ,写像の場合はベクトル場のホップ分岐と異なって,特性根が単位円上の特定の角度θ を通過し て変化すると,共振と呼ばれる現象が見られ,発生または消滅する閉曲線上に θに依存した特定の周期 点対が現れる.このことについてはここでは詳細を省略する.

分岐のタイプは

kD k+2D+ICC, k= 0,1, . . . , n2

kD+ICC k+2D, k= 0,1, . . . , n2 (7.49)

である.ここで,ICC は不変閉曲線(invariant closed curve)を表す.この分岐式では,上述の共振現 象に関係した事項は省略してある.また,ICC の安定性についても表示してない.この ICC の安定 性については2次元系の場合,先に述べた渦心点問題と類似な考えで条件を導くことができるがかなり 煩雑となるので省略する.なお,ICC はもとの非自律系 (7.10)の解では,一般に2つの基本周波数を 持つ 2 重周期解(準周期解)となっている.

以上,3種類の分岐の分岐式と双曲型固定点との関係を図示すると図7.4 となる.

【例 7.52, 3 次元のネイマルク・サッカー分岐の条件 2 次元の場合 式 (7.48)より

ej2θ+a1e+a2= 0 したがって

cos 2θ+a1cosθ+a2= 0, sin 2θ+a1sinθ= 0

これよりθ を消去すると

a2= 1, −2< a1<2 (7.50) を得る.

3 次元の場合 この場合も同様にして

a3(a3−a1) +a2= 1, −2< a3−a1<2 (7.51) となる. ■