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第2章 家族の介護負担感及び介護規範意識に関する日韓比較研究

4 分析結果

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世話をするのが適当である」27.4%、「子どもが世話をするのが当然」11.7%、「主として 社会(例えばホームヘルパーの派遣)が世話をし、社会の力が及ばないところを子どもが 世話をするのが適当である」11.2%、「すべて社会(例えばホームヘルパーの派遣)が世話 をする」3.9%であった。

一方、ソウルでは、「主として子どもが世話をするが、子どもの力の及ばないときは社会

(例えばホームヘルパーの派遣)が世話をするのが適当である」38.5%、「子どもが世話を するのが当然」25.75、「子どもと社会(例えばホームヘルパーの派遣)の両者で世話をす るのが適当である」16.1%、「すべて社会(例えばホームヘルパーの派遣)が世話をする」

及び「主として社会(例えばホームヘルパーの派遣)が世話をし、社会の力が及ばないと ころを子どもが世話をするのが適当である」がいずれも9.8%であった。

東京都とソウル市の大きな違いは、「子どもが世話をするのが当然」という回答者が、東

京では11.7%であるのに対し、ソウル市では、25.7%と2倍以上の開きがある。したがっ

て、ソウル市では親に対する子どもへの義務感が極めて大きいのが特徴となっている。

1)介護負担感に影響を与える要因

家族介護者の介護負担(身体的・精神的・社会的負担感)と諸変数間の相関を明らかに するために、ここでは、ピアソンの相関係数の分析を用いた。(表2-6)

すなわち、先に述べたように、介護負担感の3つの指標(身体的・精神的・社会的負担 感)をそれぞれ単純に得点化し、その合計得点(「身体的負担感」の14項目、「社会的負担 感」の6項目、「精神的負担感」の14項目)を従属変数として、①要介護高齢者に関する 要因、②家族介護者に関する要因、③資源として構成された要因のそれぞれについて相関 関係の分析を行った。

それぞれの指標については、以下のように得点化した。

①要介護高齢者に関する要因として用いた変数は、「日常生活動作能力(ADL)の程度」

と「精神的状態の程度」である。「日常生活動作能力の程度」については12項目(食事・

入浴・排泄・歩行など)を単純に合計し、得点化し、得点が高いほど日常生活動作能力が 低いことを示す。「精神的状態」については、23項目(例えば、「今住んでいる所を自分の 家だと思っていないことがある」や「同居している子どもやその配偶者を他人と間違うこ とがある」など)を単純に合計し、得点化し、得点が高いほど精神的状態が低い(一般に 精神状態に問題が多い)ことを示す。

②家族介護者の要因として用いた変数は、性、年齢、介護期間、一週間の教養・趣味の 時間である。③資源として用いた変数は、副介護者の有無、家族・親族関係、世帯の収入 を取上げた。家族・親族の関係については、7項目を単純に合計したものを得点化し、得 点が高いほど家族・親族関係が強いことを示すことにした。

東京(日本)とソウル(韓国)の家族・親族の関係については、両者で際立って異なっ ているように思われた。すなわち、家族・親族関係の凝集性の強さは両市及び両国を考慮

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すると、韓国側のそれが際立って強く、それが家族介護者の介護負担感に強く働いている ように考えられるのである。一方、東京の方は、主介護者とそれ以外の家族・親族関係は、

一般的な家族関係、親族関係を反映して、個人化が進み、ソウル市の対象者より東京の対 象者はコンフリクトが相対的に少ないのではないかと考えられる。したがって、仮説的に は、変数としての家族・親族関係における凝集性の高さにおいて、ソウル市の対象者の方 が東京都の対象者よりも高く、家族介護者の介護負担感(身体的・精神的・社会的負担感)

及び介護規範意識の双方へ、現代の急激な社会変動と相まって、強く規定していると考え られる。

(1)身体的負担感に影響を与える要因

まず第一に、要介護高齢者の要因として、東京では、要介護高齢者の日常生活動作能力 が低いほど介護者の身体的負担感に影響を与えていたが、ソウルでは、そのような傾向が みられなかった。

しかしながら、要介護高齢者の精神的状態については、東京・ソウルとも、要介護高齢 者の精神状態に問題があるほど、介護者の身体的負担感に影響を与えていた。

第二に、家族介護者の要因として、介護者の性は東京・ソウルとも、身体的負担感に影 響を与える要因として作用していたが、東京の介護者よりソウルの介護者の方が強く影響 を与えており、女性の介護者ほど身体的負担感を感じていた。

介護者の年齢については、東京・ソウルとも、身体的負担に影響を与えており、介護者 の年齢が高いほど身体的負担感が高い傾向を示していた。

要介護期間については、東京の介護者のみ身体的負担に影響を与えており、介護期間が 長いほど身体的負担感が高い傾向を示していた。

教養・趣味の時間について、東京の介護者のみ身体的負担感に影響を受けており、教養・

趣味の時間が長いほど身体的負担感が低くなっていた。逆にいえば、東京では、身体的負 担感が軽い者ほど、「教養・趣味の時間」に長く従事していたといえる。具体的に、1日あ たり教養・趣味にさいている時間をみると、「1時間未満」がソウル市の介護者は 78.1%

であるのに対し、東京の介護者は41.6%と相対的に少なかった。

第三に、家族資源の指標として考えられた、「副介護者の有無」については、ソウル市の 介護者のみ身体的負担感に影響を受けており、副介護者がいるほど身体的負担感が低い傾 向を示していた。つまり、ソウル市の介護者は、介護者自身の代わりに介護してくれる人 がいるかどうかが影響をしていた。一方、日本の介護者は副介護者の有無より副介護者が どのように関わっているのかが関連しているようである。

「家族・親族の関係」についてみると、東京・ソウル市とも介護の身体的負担感に影響 を受けている。しかし、東京の介護者は家族・親族関係が強いほど身体的負担感が低くな っているのに対し、ソウルの介護者は家族・親戚関係が強いほど身体的負担感が高くなっ ているという興味深い結果が得られた。なぜ、ソウル市の介護者は、家族・親族間の関係

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が強いほど身体的負感担が高くなっているかについては、家族・親族のさまざまな圧力が 介護者へのストレスに影響するといった既存の研究をふまえて今後さらなる追跡調査が必 要である。

要介護高齢者の世帯収入については、ソウル市の介護者のみ身体的負担感に影響を受け ていた。つまり、世帯収入が高いほど身体的負担感が低くなっているという興味深い結果 が得られた。これらのことについても今後、さらなる分析が必要である。

(2)社会的負担感に影響を与える要因

まず第一に、要介護高齢者の要因として、東京・ソウル市ともに要介護高齢者の日常生 活動作能力が低いほど介護者の社会的負担が高くなっているが、東京の介護者の方がソウ ル市の介護者より社会的負担感に強く影響しているという結果が得られた。

要介護高齢者の精神的状態については、東京・ソウル市とも要介護高齢者に精神的な問 題があるほど介護者の社会的負担感に影響をしていた。

第二に、家族介護者の要因として、介護者が男性であるか女性であるかという「介護者 の性」は、東京・ソウル市とも社会的負担感に影響を与える要因としては作用していなか った。

「介護者の年齢」については、東京の介護者は社会的負担感に影響を受けていなかった のに対し、ソウル市の介護者は、社会的負担感に強く影響しており、年齢が高いほどこの ような傾向がみられた。

「要介護期間」についてみると、ソウル市の介護者は社会的負担感との間で相関がみら れなかったが、東京都の介護者は相関がみられ、要介護期間が長いほど社会的負担感が高 くなっていた。

「教養・趣味の時間」については、東京・ソウル市の介護者とも社会的負担感との間で 強い相関があり、1日の教養・趣味時間が短いほど社会的負担が高い傾向を示していた。

第三に、資源について、副介護者の有無は、東京の介護者では相関がみられなかったが、

ソウル市の介護者は強い相関がみられ、副介護者がいるほど社会的負担感が低くなってい る。

「家族・親族間の関係」については、東京・ソウル市の介護者とも社会的負担感との間 で強い相関がみられた。しかしながら、東京の介護者は家族・親族間の関係が強いほど社 会的負担が低くなっているのに対し、ソウル市の介護者は家族・親族の関係が強いほど社 会的負担感が高くなっている。いいかえれば、東京の介護者は家族・親族間の関係が弱く なるほど社会的負担感が高くなる傾向がみられるが、ソウル市の介護者は家族・親族間の 関係が強いほど社会的負担感が高くなっている。

「要介護高齢者の夫婦の収入」については、東京都の介護者は社会的負担感との間で相 関がみられなかったが、ソウル市の介護者は強い相関がみられた。すなわち、ソウル市の 介護者は、要介護高齢者の夫婦の収入が高いほど社会的負担感が低くなっている。