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日 本 字 與 語 同、四 十 八 字 母、一 字 一 音、聚 音 成 言、就 言 見 義 、 或 兩 三 字 成 一 言 、 或 五 六 字 成 一 義 、 間 有 七 八 字 至 十 數 字 者 、 頗 似 西 文 拼 字 之 法 、 以 視 我 国 之 毎 字 各 具 其 義 者 、 判 然 不 同 矣53

( 日 本 語 は 文 字 と 語 彙 が 同 じ で 、 四 十 八 字 母 あ り 、 一 つ の 字 母 は 一 つ の 発 音 を 持 ち 、各 発 音 を 集 め 語 彙 に な り 、語 彙 か ら 意 味 が わ か る 。二 三 文 字 で 一 つ の 語 彙 に な り 、或 い は 五 六 文 字 で 一 つ の 意 味 を 持 ち 、稀 に 七 八 文 字 至 る 十 数 文 字 の 場 合 も あ り 、西 洋 言 語 の ア ル フ ァ ベ ッ ト の 組 み 合 わ せ に 似 て い る 。 我 が 国 の 文 字 は 、 各 文 字 が 意 味 を 持 ち 、 全 く 違 う も の で あ る )

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言 で 発 音 を 表 示 す る 。 本 書 の 表 記 に 関 し て 、 著 者 は 「 凡 例 」 で 以 下 の 通 り 説 明 し て い る 、

書 中 所 載 拼 法 傍 注 華 音

( 本 書 の 綴 り 方 は 横 に 中 国 語 で 表 示 す る こ と で あ る )

所 注 字 音 係 就 江 浙 口 音、易 於 通 用、而 東 国 之 音、中 国 無 字 相 肖 者 甚 多 、 書 中 俱 以 反 切 取 音 、 凡 旁 加 一 柱 者 均 須 反 一 音 而 讀 之55

( 注 釈 す る 字 音 は 浙 江 地 方 の 発 音 で、通 用 し や す い。日 本 の 発 音 は 中 国 で 当 て は ま る 字 音 が な い も の が 多 い た め 、 全 て 反 切 で 表 す。隣 に 線 を 引 く も の は 一 つ の 音 節 を 反 し て 読 む こ と で あ る ) と こ ろ で 、「 不 以 土 語 夾 雜 其 中 」 と い う 説 明 か ら 、 当 時 南 方 の 官 話 を 標 準 と し て 表 記 し て い た こ と が 推 測 で き る 。発 音 の 表 記 か ら 見 る と 、

『 東 語 簡 要 』 と 比 べ 、 本 書 は 更 に 現 代 日 本 語 の 標 準 語 に 似 て お り 、 切 音 に も ア ン ダ ー ラ イ ン を 付 け 、 学 習 者 が 理 解 し や す い 便 利 な 表 記 方 法 を 用 い て い る 。

そ し て 、陳 天 麒 は 日 本 語 の 漢 字 に 言 及 し て い な い 。つ ま り 日 本 語 の 文 字 は 仮 名 で あ る こ と と 認 め 、 日 本 語 の 漢 字 が 文 章 語 で 使 わ れ る と い う 意 識 を 持 っ て い な い 。 黃 遵 憲 の 『 日 本 国 志 』 で は 日 本 語 が 「 用 假 名 不 得 不 雜 漢 文 」、漢 文 は 読 書 に 用 い 、仮 名 か ら な る も の は「 今 市 井 細 民 、 閭 巷 婦 女 通 用 之 文 」56で あ る と し て い る 。 陳 天 麒 は 黃 遵 憲 の 日 本 語 言 語 意 識 を 持 た ず 、 個 人 的 な 素 養 の ほ か に 、 受 け ら れ た 教 育 の 影 響 も あ る わ け で あ る 。1882 年 、第 二 代 駐 日 公 使 黎 庶 昌 は 、通 訳 を 養 成 す る た め に 、 公 使 館 内 東 文 学 堂 を 開 設 し た 。 陳 氏 は 清 代 か ら 派 遣 さ れ た 留 学 生 で は な く 、 随 行 す る 家 族 と し て 来 日 し た た め 、 東 文 学 堂 で 学 習 す る 資 格 は な く 、 塾 の よ う な と こ ろ で 日 本 語 を 学 ん だ と 考 え ら れ る 。 で き る だ け 早 く 日 本 現 地 の 生 活 に 適 応 す る た め に 、 口 語 の 教 育 か ら 学 習 し た 可 能 性 が 高 い 。 そ こ で 漢 字 を 使 う 必 要 が あ る 場 合 は 多 く な い と 推 測 で き る 。 こ う し た 環 境 で は 、 正 式 な 日 本 語 教 科 書 よ り 、 初 心 者 向 け の

5 5 陳 天 麒 編 訳 ( 1895)『 東 語 入 門 』、 凡 例 。

5 6 黃 遵 憲 ( 1887)『 日 本 国 志 』 卷 三 十 三 学 術 志 二 、 第 1418 頁 。

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も の 、 或 い は 児 童 用 の 小 学 教 科 書 、 例 え ば 『 童 蒙 教 草 』 の よ う な 漢 字 が 少 な い 読 本 な ど を 使 用 し た の で あ ろ う 。 こ れ に よ っ て 、 日 本 滞 在 六 年 間 の 陳 天 麒 は 日 本 語 の 文 字 に 対 し て 正 確 な 意 識 を 形 成 し な か っ た 可 能 性 も 高 い 。

全 書 は 上 下 二 巻 か ら な り 、 中 国 の 類 書 を 参 照 し て 、 合 計 35 部 門 に 分 け ら れ て い る 。上 巻 に は 天 文 門 、時 令 門 、地 理 門 、郡 国 門 、君 臣 門 、 刑 法 門 、人 倫 門 、人 物 門 、形 体 門 、文 事 門 、武 備 門 、珍 宝 門 、服 飾 門 、 宮 室 門 和 飲 食 門 の 15 類 が あ り 、下 巻 に は 舟 車 門 、器 用 門 、医 道 門 、采 色 門 、 数 目 門 、 秤 尺 門 、 果 蔬 門 、 草 木 門 、 花 卉 門 、 飛 禽 門 、 走 獣 門 、 鱗 介 門 、 昆 虫 門 、 進 口 貨 門 、 出 口 貨 門 、 一 字 語 門 、 二 字 語 門 、 三 字 語 門 、 四 字 語 門 と 談 論 門 の 20 種 類 に 分 け ら れ て い る 。 総 語 数 は 1921 語 あ り 、二 冊 本 の 誤 植 に よ り 、う ち 20 語 が 重 複 し た も の で あ る 。全 書 は 主 に 語 彙 で あ る が 、 三 字 語 門 、 四 字 語 門 と 談 論 門 は 短 文 と 簡 単 な 会 話 用 語 で あ る 。談 論 門 に は 69 句 の 会 話 を 収 録 す る 。こ う し た 編 纂 方 法 は 、

『 華 英 通 語 』(1855) と 『 新 增 華 英 通 語 』(1893) に も 見 ら れ る57。 本 書 は 上 に 中 国 語 の 語 彙 を 置 き 、下 に 日 本 語 片 仮 名 を 配 列 し 、右 側 は 中 国 語 漢 字 で あ り 、 ア ン ダ ー ラ イ ン 付 き の 反 切 音 で 読 み 方 を 表 示 す る 。例 え ば 、「 雨 天( ウ テ ン 烏 聽 )」、「 龍 眼( リ ュ ウ ガ ン 利 烏 額 痕 )」

と 「 多 謝 ( ア リ ガ ト ウ 阿 利 額 託 )」 な ど が あ る 。『 東 語 簡 要 』 と 異 な り 、 凡 例 の 「 所 譯 華 文 」 と い う 説 明 に よ り 、 本 書 は 日 本 語 で 検 索 す る も の で あ り 、 即 ち 中 国 語 で 日 本 語 を 翻 訳 し て い る58。 中 国 語 訳 語 を 上 に 置 き 、 元 と な る 日 本 語 語 彙 を 下 に 配 列 し て い る 。 こ れ は 著 者 が 一 定 の 日 本 語 知 識 を 身 に つ け て い る こ と が 証 明 で き る が 、 一 方 、 日 本 語 の 影 響 を 受 け て い る 場 合 が あ る 。 本 書 の 中 に は 、 当 時 中 国 語 で 使 わ れ て い な い 語 彙 も 現 れ た 。 例 え ば 、 当 時 中 国 語 で は 既 に 「 銀 河 」 と い う 語 彙 が 一 般 に 使 わ れ て い た が 、 日 本 語 の 先 入 観 の 影 響 を 受 け 、 本 書 の 天 文 門 で は 「 天 河 」 の ま ま 記 載 さ れ て い る 。

5 7 内 田 慶 市 ( 2009)「 ピ ジ ン ― ― 異 言 語 文 化 接 触 に お け る 一 つ の 現 象 」『 言 語 接 触 と ピ ジ ン 』、 白 帝 社 、 第 1- 13 頁 。

5 8 劉 建 雲『 中 国 人 の 日 本 語 学 習 史 ― ― 清 末 の 東 文 学 堂 』( 2005)第 224 頁 に 、 本 書 と 中 明 代 の 『 日 本 館 譯 語 』 が 似 て い る こ と を 指 摘 し て い る 。「 日 常 に 使 う 中 国 語 を 想 定 し て 対 応 す る 日 本 語 を 当 て る と い う 体 裁 を と っ て い る 」 と 言 う 説 は 正 確 で は な い と 、 筆 者 は 考 え て い る 。

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収 録 さ れ た 短 文 と 会 話 文 に は 、簡 単 な 問 答 文 が あ る 。特 に そ の 正 確 性 と 完 全 性 は 以 前 の 教 科 書 に 勝 る も の と な っ て い る 。 会 話 文 に は 「 テ ニ ヲ ハ 」 が 使 わ れ て い な い が 、 口 語 表 現 で は 特 に 問 題 は な い 日 本 語 と な っ て い る 。 例 え ば 、

你 能 操 華 語 否 ( ア ナ タ シ ナ ノ コ ト バ ハ ナ シ マ ス カ ) 我 畧 能 幾 句 ( ワ タ シ ス コ シ ハ ナ シ マ ス )

上 述 の よ う に 、本 書 の 内 容 は 実 用 性 を 重 視 し 、細 か く 分 類 し 、広 い 範 囲 に 触 れ 、 日 常 用 の 語 彙 と 短 文 を 多 数 収 録 し て い る 。 ま た 新 し い 事 物 も 見 ら れ る 。例 え ば「 牙 粉 」、「 楊 梅 素 」な ど が あ る 。『 東 語 簡 要 』と 同 じ 、 本 書 も 国 内 の 学 習 者 を 対 象 と し 、 中 国 に お け る 日 本 人 と の 交 流 を 目 標 と し て い る 。 し か し 、 文 法 に 関 す る 内 容 は 収 録 さ れ て お ら ず 、 日 本 語 に 対 す る 分 析 も 文 の 構 造 か ら 行 わ れ て い な い 。 更 に 、 日 本 語 は ど ん な 言 語 か を 明 ら か に し て お ら ず 、 語 彙 と 語 句 も 区 別 し て い な い 。 こ れ ら の 原 因 に よ り 、『 東 語 入 門 』は 単 語 と 簡 単 な 会 話 文 を 丸 暗 記 し た ら た ち ど こ ろ に 効 果 が 出 る 語 彙 ・ 会 話 集 の レ ベ ル に 限 定 さ れ た 。 そ の た め 、 本 書 も 当 時 の 中 国 人 の 理 想 的 な 日 本 語 教 科 書 と は 言 え な い59。 と こ ろ で 、 著 者 自 身 は 意 識 し て い な い か も 知 れ な い が 、 語 彙 の 注 釈 や 短 文 で 、「 テ ニ ヲ ハ 」 が 現 れ る 場 合 も 見 ら れ る 。 例 え ば 、「 天 象 ( テ ン ニ ア ラ ハ レ ル モ ノ60)」な ど が あ る 。虚 字 に 関 す る 内 容 は 黃 遵 憲 が 既 に

『 日 本 国 志 』で 説 明 し た が 、清 末 に お け る 日 本 語 教 科 書 で は 、『 東 語 入 門 』 が 最 初 の も の で あ る 。

2.3 東 語 正 規

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