第7章 第1実験
7.2 結果
7.2.4 仮説4の検証
別して定義する。
(1)分析
難易度が低い課題【総合テスト(A)】での実際の得点と各得点での平均以上効果 の現出結果は図表7-14-1、図表7-14-2、図表7-15-1、図表7-15-2に示すとおりであ る。
親友・親密な他者との比較のケースと平均的他者との比較のケースで、DC’と DCに有意差があるかを統計的に検定する上で、まずそれぞれのデータが正規分布に 従う母集団からの標本であるかを検定するため、χ2検定により実際の得点のデータ の分布が正規分布とみなされるか
どうかを検定する。
親友・親密な他者との比較のケ ース(n=88)において、帰無仮説
「総合テスト(A)の同期・同僚と の比較で、DC’のデータの分布は 正規分布とみなされる」と対立仮 説「総合テスト(A)の同期・同僚 との比較で、DC’のデータの分 布は正規分布とみなされない」
を立てる。危険率5%での検定の 結果、χ2値は120.44で、危険率 5%の上側境界値χ2(0.95)=
11.07に対して、120.44>11.07 だから、χ2値は帰無仮説の棄却 域に入り、帰無仮説は棄却され る。P値についても同順位補正P 値(両側確率)=2.53×E-24であ るから、危険率1%でも帰無仮説 は棄却される。よって、「総合テ
図表 7-14-1 難易度が低い課題【総合テスト(A)】で親友・親
密 な 他 者 と 比 較 し た ケ ー ス で の 自 己 評 価 の 得 点 ご と の DC’ の 現出結果
図表 7-14-2 難易度が低い課題【総合テスト(A)】で親友・親
密 な 他 者 と 比 較 し た ケ ー ス で の 自 己 評 価 の 得 点 ご と の DC’ の 現出結果
DC’
最大 最小 加重平均
10 1 1.1% 2 - 2.00
9 4 4.5% 2 1 1.50
8 20 22.7% 1 1 0.55
7 25 28.4% 1 1 0.44
6 20 22.7% 1 1 0.20
5 11 12.5% 0 1 0.00
4 5 5.7% 0 -1 -0.20
3 2 2.3% -1 0 -1.00
2 0 0.0% - -
-1 0 0.0% - -
-0 0 0.0% - -
-- 88 100.0% - -
-自己評価 データ数 比率
スト(A)の同期・同僚との比較で、DC’のデータの分布は正規分布とみなされな い」という対立仮説が採択される。
平 均 的 他 者 と の 比 較 の ケ ー ス
(n=84)において、帰無仮説「総 合テスト(A)の平均的他者との比
較で、DCのデータの分布は正規分
布とみなされる」と対立仮説「総合 テスト(A)の平均的他者との比較
で、DCのデータの分布は正規分布
とみなされない」を立てる。危険率
5%での検定の結果、χ2値は95.60
で 、 危 険 率5% の 上 側 境 界 値 χ2
(0.95)=11.07に対して、95.60
>11.07だから、χ2値は帰無仮説 の棄却域に入り、帰無仮説は棄却 される。P値についても同順位補 正P値(両側確率)=4.46×E-19で あるから、危険率1%でも帰無仮説 は棄却される。よって、「総合テス ト(A)の平均的他者との比較で、
DCの デ ー タ の 分 布 は 正 規 分 布 と みなされない」という対立仮説が 採択される。
この結果、独立した2群(DC’とDC)のデータはともに正規分布に従わず、かつデ ータが離散的である。そこで、ノンパラメトリック検定の1つであるマン・ホイットニ ー検定により、独立した2群(DC’とDC)から得られたデータに基づき、それぞれの 母集団の分布の中央値に差があるかを検定する。
帰無仮説「総合テスト(A)におけるDC’とDC の現出傾向に違いがない」と対 立仮説「総合テスト(A)におけるDC’とDCの現出傾向に違いがある(有意差が ある)」を立てる。危険率5%での検定の結果、同順位補正Z値は-3.59で、標準正規
図表7-15-1 難易度が低い課題【総合テスト(A)】で平均的
他者との比較のケースでの自己評価の得点ごとのDCの現出 結果
図表7-15-2 難易度が低い課題【総合テスト(A)】で平均的
他者との比較のケースでの自己評価の得点ごとのDCの現出 結果
DC
最大 最小 加重平均
10 3 3.6% 2 1 1.67
9 15 17.9% 2 0 0.80
8 17 20.2% 2 0 1.00
7 22 26.2% 2 0 0.77
6 16 19.0% 2 0 0.81
5 8 9.5% 0 0 0.00
4 2 2.4% 0 0 0.00
3 1 1.2% -2 - -2.00
2 0 0.0% - -
-1 0 0.0% - -
-0 0 0.0% - -
-- 84 100.0% - -
-自己評価 データ数 比率
分布の両側検定での危険率 5%の上側境界値Z(0.975)=1.95に対して、|-3.95|
>1.95だから、同順位補正Z値は帰無仮説の棄却域に入り、帰無仮説は棄却される。
また、P値についても同順位補正 P値(両側確率)=0.001であるから、危険率 1%
でも帰無仮説は棄却される。よって、「総合テスト(A)におけるDC’とDCの現出 傾向に違いがある(有意差がある)」という対立仮説が採択される。
(2)結果
図表7-14-2及び図表7-15-2を概観すると、難易度が低い課題【総合テスト(A)】
では、自己評価の得点が高い領域では DCとDC’は正で、自己評価は他者評価を上 回る。その上で、総合テスト(A)では仮説が支持され、難易度が低い課題では他者 評価と自己評価の差が統計的に有意に現出することが示された。このことから、自己 評価、親友・親密な他者の評価、平均的他者の評価を降順に並べると「自己評価 > 親友・親密な他者の評価 > 平均的他者の評価」になるといえる。
以上より、難易度が低い課題では、「自己評価 > 親友・親密な他者の評価 > 平 均的他者の評価」となる傾向があり、平均的他者という集団成員性が抽象的で曖昧な 相手と自己との比較では平均以上効果が現出し、親友・親密な他者という特定の個人 との比較でも自己を優位に位置づける傾向が見られる。これは、図表7-16-2 及び図
表7-17-2からも確認できる。
図表7-16-1 難易度が低い課題【総合テスト
(A)】で親友・親密な他者と比較したケース
でのDC’の現出
図表7-16-2 難易度が低い課題【総合テスト(A)】で
親友・親密な他者と比較したケースでのDC’の現出