• 検索結果がありません。

ローバのサイズ設計

ドキュメント内 錦織, 慎治 (ページ 57-61)

第 3 章 脚式ローバの形状

3.3 ローバのサイズ設計

以上の議論により,1 脚あたりの関節構成と脚の配置方法が定まった.残る問題として,ローバ のサイズをどう決めるかがある.前節で述べた脚の動きに関する性能は,ローバのサイズをどのよ うに設計するかによっても変化するが,それぞれのローバの特性に応じた妥当なサイズの設計手法 が必要である.ここでは,使用するアクチュエータの性能,またぎ越しの高さや歩幅といった基本 的な歩行性能の要求と幾何学的な拘束条件を考慮することにより,ローバのサイズ設計を行うため の1つの流れを提案する.

本研究で扱うローバは,従来の歩行型ローバよりも姿勢の自由度が大きいので,とりうるすべて の姿勢に関して最適となるようなサイズを決定することはできない.よって,サイズ設計を円滑に 行うため,Fig.3.33 に示すように脚先が天体表面に対する接触可能領域の中心(第2 関節直下点)

にあるような姿勢を代表姿勢として定義し,この姿勢に関して所望の性能をもつようにローバのサ 1

3

2

4

8-legged rover

45

Bx

1 0

B , x x

1 0

B , y y

By

Bx

Bz

1 B x

Leg 1

Leg 2

Leg 3 Leg 4

Leg 5 Leg 6

Leg 7 Leg 8

Leg i

z

Leg i

x

イズを決定する.なお,図中のHを「設計重心高さ」と呼ぶことにする.3本の支持脚が天体表面 になめらかに接触して静安定を保持している状態を想定して,脚先には自重の1/3の力がかかり,

モーメントはかからないものとする.

中心胴体の大きさに相当するRは搭載するコントローラやバッテリ,センサなどのサイズに依存 する.また,第1リンク長l1は必要以上に長くする必要はないので,第1関節に用いるアクチュエ ータのサイズにほぼ依存する.よって,ハードウェアのサイズとして決定すべきものは第2リンク 長l2と第3リンク長l3の2つである.この組み合わせによるモータへの負担を式(3-41)から計算

するとFig.3.34のような分布図が得られる.この図の中で白い領域ほどモータにかかるトルクが大

きいことを表しているが,天体表面からの重心の高さにかかわらず,l2 = l3とするとトルクが最大に なってしまうことがわかる.一般的に,製作の簡単化のために歩行ロボットのリンク長はすべて同 じにされることが多いが,本研究で扱うローバの場合,モータへの負担の観点からこのようなサイ ズは好ましくないことがわかる.

Fig.3.33 Representative posture of the 8-legged rover for the design.

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

l2 / R l 3 / R

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3

l2 / R l 3 / R

0 0.5 1 1.5 2 2.5 3 3.5

(a) case for H = 0.15 [m] (b) case for H = 0.25 [m]

Fig.3.34 The maximum torque distribution of the 8-legged rover for the design (R + l1 = 0.10 [m]).

3 2 ( 1) sin

l   l h Rl

2 3 ( 1) sin

l   l h Rl

 

2

2 2

2 3 ( 1) sin

l  l h Rl

A

B

Line of rG = 0.5H



R

l

2

2

l

1

1

H

3

l

3

Mg/3

ここで,Fig.3.34 中に示しているいくつかの一点鎖線と実線について説明する.ローバのパラメ ータは,その組み合わせによっては天体表面に接触不可能な状況や現実的でない姿勢になることも ある.具体的には次の3つの場合が挙げられる(Fig.3.35を参照のこと).

(a) 脚先が天体表面に到達しない: l2  l3 h (Rl1) sin (b) 脚先が天体表面に突き刺さる: l3  l2 h (Rl1) sin (c) リンクが天体表面にめり込む: l22 l32

h(Rl1) sin

2

ローバのサイズを設計する際には上記のような状態にならないようにする必要がある.Fig.3.34 中の3本の一点鎖線は上記の3つの条件の境界線を表しており,リンク長l2l3はこれらの線で囲 まれた範囲の組み合わせで決めなければならない.

これらのことを踏まえて,ローバサイズの設計手順を以下のように提案する(Fig.3.36 も参照の こと).

〔ⅰ〕ローバ本体に搭載する機器等の大きさをもとにして,胴体外接球半径Rを決定する.本実験 機では,マイコンボードの大きさをもとにする.

〔ⅱ〕使用するモータの大きさをもとにして,第1リンク長l1を決定する.

〔ⅲ〕想定するまたぎ越しの高さなどをもとにして,設計重心高さHの値を仮定する.

〔ⅳ〕性能要求を「代表姿勢のときの天体表面に対する脚の接触可能領域の半径がrG = H( > 0)

となること」とする.このときFig.3.34中の実直線AB上の組み合わせでl2l3を設計すること になるが,先に述べたパラメータの組み合わせとして悪い条件をできるだけ回避するサイズと して,線分ABの中点の組み合わせ,すなわち

2 2 2 2

2 2

2 2 2 2

2

2 3

4

J J J

J

H H H H H

l

H H

 

  

 

2

2 (3-49)

2 2 2 2

2 2

3 2 2 2

2

2

4

J J J

J

H H H H H

l

H H

 

  

 

2

2 (3-50)

をリンク長として採用する.ここで,HJ2は第2関節の天体表面からの高さで

2 ( 1) sin

HJHRl  (3-51)

である.

〔ⅴ〕上記のようなサイズのもとで設計されたときに,代表姿勢時に脚の3関節にかかるトルクを 計算し,それらがモータの性能を超えることがないかを確認する.ただし,モータの重量やマ イコンボードなどの搭載物の重量を考慮して,ローバの全備重量 M を仮定しておく.モータ の最大トルクを超える場合,手順〔ⅲ〕に戻って,Hを大きな値に仮定しなおして,モータの 性能限界に収まるまで設計手順を繰り返す.



 

R l1

l2

h R R

l2

l1

l1

l3 h h

l3 l2

l3

(a) (b) (c) Fig.3.35 Unacceptable conditions for landing on the ground.

NO

Determination of size of the test bed Do the torques exceed max. torque of the motor?

Determine l2 & l3 from geometric condition

(assuming M = 4.0 kg)

Calculate joint torques (i) for the representative posture Assume H

Determine l1 from size of the servomotor Determine R from size of the controller

YES

Fig.3.36 Flowchart of design of the test bed.

ドキュメント内 錦織, 慎治 (ページ 57-61)