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レール小返り解析モデルの概要と妥当性の検証

第 5 章 レール小返り解析モデルの低弾性支持レール締結装置への適用

5.2 レール小返り解析モデルの概要と妥当性の検証

従来法の課題を解消し,実用的かつ精度の高いレール小返り推定法を提案することを目的とし て,玉川らによってレール締結装置のばね特性を非線形とする FEM レール小返り解析モデルが 提案されている[5-3].このモデルについては,レールの支持ばねが剛,すなわちばね定数が大き な軌道パッドを適用したバラスト軌道用レール締結装置(9 形)の場合に妥当性が検証されてい る.

本研究では,レール支持ばね特性が小さい場合のレール小返り解析モデルの妥当性検証を行う ため,直結系軌道用の低弾性支持のレール締結装置の諸元および各種ばね定数試験で取得したレ ール締結装置周りの非線形ばね特性を設定した解析モデルを構築した.また,試験軌道の載荷試 験を実施して取得した応答値と,試験軌道を模擬した解析モデルを用いて実施した載荷解析の応 答値を比較し,解析モデルの妥当性を検証した.

5.2.1 解析モデル概要

図 5-2に解析に用いたレール小返り解析モデルを示す.解析モデルは設計作用に対する分散荷 重の影響範囲を考慮して,27締結分のレール支承体およびレール締結装置と1本のレールから構 成されたものであり,軌道の片側半分を模擬している.また,レール締結装置周りの各種ばねに 非線形のばね特性を設定できる点が特徴である.弾性支承上の梁理論およびレール小返り理論を 用いた従来の手法では等間隔で支持された軌道を模擬した解析しか実施できなかったが,有限要 素モデルとしたことにより,局所的にレール締結間隔を変更する,またモデル中の一部のレール 締結装置のばね特性のみ変更するといった検討を可能にするものである.

z

x

先端ばね:ばね要素 レール:ソリッド要素

横方向ばね:ばね要素 平板要素

(剛体相当)

支承体:平板要素 (剛体相当) 荷重(輪重・横圧)

←軌間内側 軌間外側→

y

レール下ばね:ばね要素 座標原点

支承体下ばね:ばね要素

(a) モデル断面図(レール締結装置付近拡大)

図 5-2 レール小返り解析モデルの概要

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この解析モデルに対し,低弾性支持のレール締結装置のうち日本で使用されている代表的な直 結系軌道用レール締結装置としてJIS 60kgレール用の直結8改(低)形レール締結装置(軌道パ ッドの公称ばね定数30 MN/m)を選定し,その特性を設定した.

レール締結装置周りの各種ばね特性うち,締結ばねの先端ばねおよび軌道パッドのばね定数に 相当するレール下ばねについて,実用解では線形特性を設定しているのに対し,解析では別途実 施したレール締結装置一組での先端ばね定数試験および鉛直ばね定数試験より得られた実測値と 概ね一致するよう,非線形特性を設定した.なお,いずれのばね特性についても,レール締結装 置の締結状態での初期締結力(レール押え力)と変位を考慮してオフセットを行ったものである.

なお,本解析では先端ばねおよびレール下ばねについて,解析の初期状態において図 5-3 に示 すように初期締結力を考慮したオフセットを行った.表 5-2 に実用解の算定に用いたパラメータ と解析に用いたパラメータを併せて示す.

図 5-2 レール小返り解析モデルの概要(続き)

荷重(輪重・横圧) z

y

x

複数のレール支承体(27 体分)

(b) モデル全体図 レール

レール締結装置

図 5-3 鉛直方向の非線形ばね特性

(a) 締結ばね特性 (b)レール下ばね特性 -15

-10 -5 0 5

-10 -5

0 5 10

荷重(kN)

変位 (mm) FEM解析

従来法

-250 -200 -150 -100 -50 0 50

-3 -2

-1 0

1

荷重(kN)

変位 (mm) FEM解析

従来法

47 5.2.2 試験軌道による載荷試験

図 5-4 に示すように,解析モデルの中央部において,レールのゲージコーナー部(レール底面

から高さ169 mmの位置)に対して,載荷角度45度,55度および65度の3パターンで0から

100 kNまで連続的な静的載荷を実施し,得られたレールの変位から小返り角を算定した.また,

比較として実際の軌道部材を用いて試験軌道の載荷試験を実施した.

図5-5に試験概要を示す.試験機定盤上に解析と同様に直結8形レール締結装置とレールを用 いて長さ5 mの試験軌道を構築した.また,試験軌道の中央にあるレール締結装置の直上のレー ル頭部に対し,解析と同様に45度,55度,65度の3パターンの角度で0から100 kNまで連続 的に載荷し,レール変位を測定して小返り角を算定した.

表 5-2 解析パラメータの比較

項 目 単位 FEM 解析 従来法

レール締結装置種別 - 直結 8 改(低)形

レール種別 JIS 60kg レール

締結間隔 mm 625

軌道パッド幅 mm 140

レール押え点間隔 mm 116

レールのヤング率 kN/mm2 206

ポアソン比 - 0.3 -

レールの断面二次 モーメント

強軸周り mm4 - 309×105 弱軸周り mm4 - 512×104 レールの回転剛性 kNmm - 235×106

初期締結力 kN/ばね 3.94

レール下ばね特性 kN/mm 図 5-3 (a) 27.9 締結ばね特性 上向き kN/mm

図 5-3 (b) 0.58

下向き kN/mm 5.95

横方向ばね特性 kN/mm 209.63 243.9 支承体下ばね特性 kN/mm 300.0 300.0

48 5.2.3 試験結果による解析モデルの妥当性検証

前節に示した解析モデルを用いて試験軌道の載荷試験の再現解析を実施した.図 5-6に載荷角 度毎の試験結果と解析結果の比較を示す.実用解・解析結果ともにいずれの載荷角度でも試験結 果よりも大きくなるが,荷重が増加するにつれ実用解が線形に増加する傾向を示すのに対し,レ ール小返り解析モデルによる解析結果はより試験結果に近づく傾向が認められた.

この結果より,従来手法を用いて算定されるレール小返り角の実用解と比較して,レール小返 り解析モデルを用いて得られるレール小返り角の方がより試験結果に近く解析精度が向上するこ とから,低弾性支持のレール締結装置の場合についてもレール小返り解析モデルを適用した方が より妥当な結果を得られるといえる.

169mm 荷重 (0~100kN)

載荷角度

45・55・65 度 60kg レール

図 5-4 解析および試験時の載荷条件

アクチュエータ

図 5-5 試験軌道と載荷試験の概要 支承体

(試験ブロック)

JIS 60kg レール 荷重

(0~100kN)

レール締結装置

支承体間隔 625mm×6 等間隔 固定用

治具

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