モータースポーツ競技は参加する企業の技術力向上や企業イメージの向上、加えて市販される商品 である自動車のマーケティングの意味合いが強い。 その結果 F.I.A(国際自動車連盟)が司るレース 競技規則も社会情勢と企業の進むべき道を考慮したものが制定される。 第一章の前半に述べた自動 車や内燃機関を取り巻く社会情勢と将来技術の要請からもわかるように、自動車レース競技規則を取り 囲む環境も大きく変化した。 従来は出力性能だけを重視して競争が行われていたために、その競技規 則は出力性能を吸入する空気量にて制限する方式がとられ、エンジン排気量の制限や、吸入空気量制 限用リストリクターの採用が主であった。 一方、昨今のエネルギー危機や地球温暖化という社会的問題 提起を受け、自動車レース競技規則も燃料消費の最大流量やピットインごとの給油量制限、サーキット 周回ごとの使用燃料量あるいはエネルギー量の制限を行う方法に変化してきた。 図 1-32-1 にレース 用エンジン出力制限方式の変化を示す。 図 1-32-1 に示すように、従来空気流量制限による出力規 制であるため、熱効率は悪化しても過濃混合気により出力を最大化する開発が行われてきた。 それに 対し、燃料流量制限方式を採用した新しい競技規則対応には、空気量を増やして規定される燃料流 量で最大の熱効率による出力の最大化を求めて、希薄燃焼を用いるようになった。
Fig.1-32-1 Change of Racing Engine Power restriction
Source: Nismo Presentation at Internal Combustion Engine Symposium Dec 2017
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表 1-3-1 に 2016 年の世界耐久選手権シリーズでのルマン 24 時間耐久レースのエネルギー消費規 制を示す。 このようにエンジン仕様は排気量、過給機の有無、ガソリンエンジンかディーゼルエンジンかな ど、幾多にわたる設計条件で自由度が高いが、瞬間最大燃料消費流量、サーキット周回当たりの燃料 エネルギー使用量、ハイブリッドによるエネルギー蓄積と放出量について細かく規制されている。 この規則 により各競技参加車両はエンジン熱効率向上を果たすべく、種々の内燃機関仕様を選定するに至った。
なお、2018 年においては、ハイブリッド搭載車両がトヨタ社1社だけになったために、LMP1(ルマンプロ トタイプ車両カテゴリー1)車両の規則は従来の包括的な熱効率競争を求めた 2016 年の規制に対 し、細かな制約が増加した形となったが、本研究の中では説明を省略する。
Table 1-3-1 Energy Consumption Requirement in WEC LM24H 2016 LMP1 Class Source: ACO/FIA 2016 LM24H
世界耐久選手権の走行中の燃料流量のモニターにより、規制値内運航されているか確認される方式 に対し、日本における Super GT500 シリーズ選手権においては、機械式燃料流量制限装置が装着さ れている。 低回転域はカムシャフトによる高圧ポンプの吐出量制限とし、高回転側は高圧ポンプに充填 される低圧側燃料流量を機械的流量制限装置により規制するものであり、レース中はその流量をモニタ ーすることは許されない規制方式である。 ただし、このレースシリーズにおいては、エンジンの仕様もある程 度制限され、近似的な仕様の中での熱効率競争が行われている形をとっており、4 気筒 2 リットル過給 機付き筒内直噴ガソリンエンジンで競争が行われている。 図 1-32-2 に日本の Super GT 500 シリー ズレース選手権における燃料流量制限装置を、表 1-3-2 に同 GT500 シリーズ燃料流量規制の各シ ーズン比較を示す。
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Table 1-3-2 Japan Super GT 500 Champion Series Fuel Restriction Source: GTA Super GT Sporting Regulation Data
Fig.1-32-2 Japan Super GT500 Racing Engine Fuel Flow Restrictor Source: GT Association NRE Engine
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