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タンブル渦を乱れに変化させるシステム構成とその発生・減衰時期の制御

ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 85-96)

第三章 高負荷希薄燃焼を可能とするガス流動

3.5 タンブル渦を乱れに変化させるシステム構成とその発生・減衰時期の制御

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従来の金子氏らの報告によれば、タンブル渦の乱れへの変化を遅らせ、点火時期並びに燃焼期間にお ける乱れを有効活用するには、ボアに対し 0.22~0.23 の燃焼室高さ(ピストン上面中心から燃焼室 中心までの距離)が適していると報告されている。(3.5) しかしながら、レースエンジンにおいては、高速 運転を実施する関係上、往復運動系の質量の制約、連竿比を考慮したピストン冠面の深さの制限、

熱効率からの燃焼室 SV(表面積・容積)比の制約を考えると、約 0.14 程度の高さの確保が最適バ ランスとなったことを書き加える。 また高出力運転が当然でバルブリフトも大きいので、圧縮比の確保のた めにバルブリセスもピストン冠面にあり、ピストン冠面形状のタンブル渦維持のための形状を施している。

Fig.3-10-1 Transient Tumble CFD Simulation of Port Variations

Fig.3-10-2 Turbulence Intensity CFD Simulation of Port Variations

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Fig.3-10-3 Turbulence Intensity around Sp. plug of Port Variations

Fig.3-10-4 Air Mass in Cylinder CFD Simulation of Port Variations

A

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次にこの 3 種類のポートのガス流動 CFD 解析から吸気行程中の筒内ガス流動の強さ VM(Velocity Magnitude)のポート比較を図 3-11-1 に、圧縮行程中の筒内ガス流動の強さ VM のポート比較を 図 3-11-2 に、20[°BTDC](点火時期代表点)における燃焼室水平断面の残存する流動強さ VM のポート比較を図 3-11-3 に示す。 20[°BTDC]においても燃焼室水平断面で排気弁方向から吸気 弁方向に流れが残存し、ポート形状によりその流れの強さが異なることがわかる。 この流れが乱れ中心 にどのように影響を与えるのかさらに詳しく解析を試みた。

Fig. 3-11-1 Flow Velocity Magnitude CFD Analysis of Each Port

Fig.3-11-2 Flow Velocity Magnitude CFD Analysis of Each Port

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Fig.3-11-3 Flow Velocity Magnitude of Each Port

ガス流動と燃焼室内乱れの解析にあたり、点火栓から吸気弁あるいは排気弁方向にその乱れの中心 が Offset していることが燃焼に影響をあたえると考えられ、本研究の中では点火栓中心から燃焼室中 心断面で見た乱れの中心までの単純な水平距離を Offset と定義して整理を進め、図 3-12-1 にその 概念図を示す。

Fig.3-12-1 Definition of Offset between Plug Ctr. Between Turbulence Core

乱れの生成過程と点火時期における乱れ強さの関係を調べるために、圧縮行程中の乱れ強さの分布 をコンターで図 3-12-2に示す。 また乱れ強さと上記 Offset の比較を表 3-1 に示す。 タンブル強化 型ポートである Hi Tumble Port 仕様では圧縮行程中の 70[°BTDC]時期にて,すでに乱れ強さがタ ンブル流の圧縮崩壊により発生し始めている。 それに対し、流動抵抗低減型ポートである Hi Flow P ort ではタンブル流が弱いために、20[°BTDC] (点火時期代表時期)での点火栓近傍の乱れ強さは 3 7.0[m/s]に達するものの、エネルギーの絶対量が小さいために、燃焼室内に分散する乱れの核の大きさ で比べると、弱いことが乱れ強さのコンターにてわかる。 結果的にタンブル強さと吸入抵抗のバランスをとっ た Balanced Port 仕様では、乱れの発生時期が Hi Tumble Port よりも遅く、すなわちタンブル渦

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持続状態が長いので、20[°BTDC]では強い乱れを持ち、点火栓近傍の乱れ強さは 37.5[m/s]に及 んでいる。 かつその乱れ中心は図 3-10-3 に示すアンチスラスト方向 (吸排気方向に横断する方向)

の流れによって 12.7[mm] Offset された状態となり、乱れは強く乱れの存在範囲は広い。 この乱れ 中心の Offset による燃焼進捗の分布の影響は、ノッキング発生と関連すると推定される。 寺地氏らが 研究したノッキング現象の解析によれば、タンブル流れによる筒内ガス流動が排気側への火炎の進行を 早めることで火炎伝播を不均一となる現象では、負の曲率を持った吸気弁側のエンドガス領域でノッキン グ発生が確認されており (3.6)、乱れの中心を適度に吸気側にずらし Offset を与えることにより吸気弁側 燃焼室の燃焼を適切に早期化できると、タンブル流れによる排気弁側燃焼圧上昇による吸気弁側エン ドガスの圧力上昇にともなう自着火現象よりも早期にエンドガス域を燃焼させることができるため、ノッキン グ特性が改善できると考える。

Fig.3-12-2 Turbulence Intensity CFD Analysis of Each Port Characteristics

Table3-1 Turbulence and Turbulence Core center Offset by Port Design

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上記ポート比較による乱れ強さ分布特性で乱れ強さの点火時期における幾何学的中心を Offset と 定義し、この Offset の違いにより燃焼の進行が変わるためノッキング特性は影響を受けると考えた。 図 3-13-1 に典型的 Offset 違いによる燃焼速度とノッキング限界を示す。 Offset の違いにより CFD シ ミュレーションでの火炎面密度の推移を比較すると Offset が小さい場合、吸気弁側エンドガス域の燃焼 進行が遅く、排気弁側の燃焼圧力上昇によりノック限界に差が出ていることがわかる。 ノッキング限界に 差が出るメカニズムは、燃焼シミュレーションの結果が示すように Offset の小さい場合、本研究にて使用 した噴射弁配置を持つエンジンでは吸気弁側燃焼を積極的に促進しないと、燃焼室の温度分布と混合 気の当量比分布の特性により、排気弁側燃焼が早期に進む傾向があり、排気弁側燃焼による圧力の 上昇が吸気弁側燃焼室残存混合気のラジカル反応を促進しノッキングを誘発するためである。 今回の 研究で示すように吸気弁側燃焼室に乱れ強さの中心を Offset すると、吸気弁側燃焼を速めノッキング が誘発される前に吸気弁側エンドガスを燃焼させることができるためである。

Fig.3-13-1 Combustion & Knocking Characteristics of Turbulence Core Offset

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続いてガス流動設計の例として、本項で説明してきたタンブル比と吸入空気抵抗のバランスをとった Ba lanced Port に対し、バリエーション検討で吸入空気抵抗削減仕様を 2 種類 CFD 解析の手法で比 較した結果を示し、ガス流動設計での着目点についてさらに詳しく述べる。 まずポート違いによりガス流 動の特性がどのような影響を受けるのか比較して解説する。 吸入行程中 480[°BTDC]における筒内 流動の様子を比較し図 3-13-2 に示す。 ポートの形状により吸気弁の燃焼室中央寄りに流れを偏ら せることによりタンブル渦流れを作り出しているが、ポートからの流入空気の流束分布によって、シリンダヘッ ドの下から見た状態で弁の周囲の空気流速と方向(Angle C)が大きく異なるのが観察できる。また、

吸気弁中央での断面で観察すると吸入空気抵抗を減らそうと試作した 2 種ともに弁から燃焼室への流 動が弁の中心線よりも外側へ噴出しているために弁中心断面でも水平方向の流動が弱く(Angle A が小)、シリンダ中央断面でも吸入空気流動は弱く(Angle B が小)なり、その結果、小さな渦直径 を持つことになり、エネルギーは減衰し流動は強いタンブル渦を形成できない。

Fig.3-13-2 Flow Velocity CFD Simulation of Port characteristics

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吸入行程の吸気弁周辺の流れの状況を比較するために、吸入空気流動抵抗低減トライアル1型ポ ートとバランス型ポートの 480[°BTDC]におけるヘッド下部からの観察を CFD 解析した比較を拡大して 図 3-13-3 に示す。 そして、その差を見るために流速 150[m/s]以上の領域を線図で図 3-13-4 に 示した。 流動抵抗低減のためにポート形状を検討した結果、吸気弁から排気弁方向へ流れる流動が ボア外周方向に偏向してしまっただけでなく、吸気弁のポート側にも大きな空気流動があり、結果的にタ ンブル渦流れの逆方向の流れを発生させたために、タンブル渦が弱まったと考えられる。

Fig.3-13-3 8000[rpm] WOT Flow Velocity CFD Simulation (Zoom up)

Fig.3-13-4 High Speed Gas Flow Zone of Each Port

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次に同じポート比較でのガス流動について、圧縮行程中の差異を CFD 解析結果より比較し詳しく解 説する。 圧縮行程中の代表的な 110[°BTDC]、70[°BTDC]、そして 20[°BTDC]における筒内流 動の様子を比較し図 3-13-5 に示す。 吸入行程中にガス流動が吸気弁中心よりも外側方向に流れ るために流動エネルギーが減衰するとタンブル比が弱まる旨を説明したが、その流動の状況は圧縮行程 中においても顕著な差として現れる。 110[°BTD]C においては、吸入空気抵抗を低減しようと検討し た 2 種類ともにタンブル渦流れが弱くなっているのがわかる。 シリンダ内は球形ではないため、タンブル渦 流れは円柱状のシリンダ内で回転運動を行うことにより減衰していく。 70[°BTDC]の時点ではシリンダ の縦方向寸法が縮小するために流動の強さに大きな差が発生している。 その結果点火時期代表点で ある 20[°BTDC]では、タンブル比が 2.46 の Trial2のポート仕様でもアンチスラスト方向で排気弁側 燃焼室から吸気弁側燃焼室に流れ込む流動に差が見られる。 主にこの水平方向の流れ Flow E は タンブル渦流れが崩壊しボアの外周に沿って流れる流動 Flow D により形成されていると考えられる。

Fig.3-13-5 8000[rpm] WOT Flow Velocity CFD Simulation of Port characteristics

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次にこのポート比較から点火時期代表点における乱れ強さと乱れの中心核の位置の違いについて解 説する。 圧縮行程中の代表的な 110[°BTDC]、70[°BTDC]、そして 20[°BTDC]における乱れ強 さのコンター図を比較し図 3-13-6 に示す。 基点のバランス型ポートに対し流動抵抗低減型の2種類 のポートは、タンブル流は弱い形となり、その結果流動のエネルギーと比例関係にある乱れ強さ u’も弱く、

点火時期代表点の20[°BTDC]においては、は、流動抵抗低減1ポートは平均乱れ強さが 25.0 [m/s] とバランス型ポートに対し 15[%]も弱くなった。 強い乱れを生成するには、吸気弁からの空気 の流動を強いタンブル渦流れとして活用することであり、すなわち弁から吸入される空気の流速の方向を 適正化する必要があることがわかる。 また、乱れの生成過程において、その核の位置は燃焼室をアンチ スラスト方向に流れる Flow E による力 Force F に押される形で移動すると述べたが、この流れ Flow E は 流動抵抗低減ポート2の方が バランス型ポートよりも弱く、アンチスラスト方向流れ Flow E によ る Force F で乱れ核の中心からの Offset は小さくなっている。 さらにこの中央部を横断する流れ Flo w E による力 Force F で押され乱れの等高線が排気弁間下部で変形している。 この等高線が変 形するとノッキング発生の要因となるので、筒内流動の適正化が必要である。

Fig.3-13-6 8000[rpm] WOT Turbulence CFD Simulation of Port characteristics

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ドキュメント内 九州大学学術情報リポジトリ (ページ 85-96)