1.7 ガソリン筒内直噴エンジン燃焼システム開発の経緯と現状
1.7.4 スプレーガイド式筒内直噴システム事例
スプレーガイド式はピストン冠面の形状を活用せず、気流からの影響を大きく受けない噴霧を活用する ことで運転条件にかかわらず、同じ噴霧パターンにより形成される点火栓近傍の成層混合気を用いて燃 焼させるシステムであり、ガソリンエンジン用直噴システムとしては最新鋭のシステムと考えられる。
Renault 社 IDE 燃焼、メルセデス・ベンツ社、FORD 社、BMW 社のガソリン筒内直噴方式エンジン がスプレーガイド方式を採用した。 これはスプレーガイド方式が噴霧の燃焼室への干渉を少なくできるこ とで PM(Particulate Matter)質量や PN(Particulate Number)で規制される微粒子の排出量 低減に有利なためである。 しかしながらこの噴射システムは、噴霧そのものの進行により混合気を形成し 点火栓で点火する構造であるために、噴射してから点火するまでの期間が短い特性から高い燃料の微 粒化と、背圧が一定でない筒内条件でかつガス流動が残存する条件下で噴霧の分散と到達距離の安 定化が噴霧に要求される。 このことからスプレーガイド式で採用される燃料圧力は高く(一般に 20MPa 以上)、この燃料圧力下でも微小流量制御を行うため、ホールタイプ噴射弁やピエゾアウトワー ド噴射弁が使われている。 BMW 社の直噴ガソリンエンジンを図 1-28 に示す。 また、図 1-29-1 から 図 1-29-3 にメルセデス・ベンツ社の Blue Direct 希薄燃焼エンジンを示し紹介する。
Fig.1-28 BMW Di Gasoline Engine (1.38) Source: MTZ
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図 1-28 に示す 4 気筒、6 気筒用で開発された BMW スプレーガイド式直噴ガソリンエンジンはピエゾ アウトワード式噴射弁を用い、本来スプレーガイド式が持つ成層燃焼時の安定燃焼領域が狭くなる欠点 を補い 2 回あるいは 3 回の噴射に分割して混合気を形成する方法が特徴であり、圧縮行程中の噴射 による混合気形成柔軟性を高めた。(1.38)
BMW にて採用されたスプレーガイド式直噴エンジンシステム市販化と同時期にメルセデス・ベンツ社の 希薄燃焼エンジンにも類似のシステムが採用された。 ピエゾアウトワード型高応答、高分解能型噴射 弁は点火栓近傍の燃焼室中央に配置され、従来マルチホールにより筒内に分散させて均質混合を生 成したものに対し、貫徹力の弱い高圧噴射により混合に時間差を与えて筒内に分散させることと、初期 燃焼の安定性を確保するために点火直前の 2 回の噴射により成層混合気の形成によって、超希薄燃 焼を実現したことが特徴である。(1.40) この燃料供給方式は、特に PM 削減の重要な方策として採用す る例が多くなった。
Fig1-29-1 Mercedes Benz Blue Direct Engine Picture (1.40)
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Fig.1-29-2 Mercedes Benz Blue Direct Mixture & Injection Operations (1.40)
Fig.1-29-3 Mercedes Benz Blue Direct Piezo Injector (1.40)
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スプレーガイド式直噴エンジンのさらなる進化として期待が持たれる、水噴射機能付きスプレーガイド式 直噴システムが研究されている。 BMW 他のメーカーでは、このスプレーガイド式のガソリン直噴装置にさ らに高負荷時ノッキング発生を防止するために、ポートから水を噴射して燃焼温度の制御によってノッキン グ発生を防止し、圧縮比をさらに上げて熱効率向上をさせるシステムがすでに報告されている、 今後の Euro6排出ガス規制と CO2 規制の両者を満足するシステムの候補として、研究が進んでいる。 図 1-30-1、図 1-30-2 に水噴射も含めた燃焼概念図を示す。
Fig.1-30-1 Spray Guide Type Gasoline Di System + Water Injection Source: Bosch
Fig.1-30-2 BMW M4 DI Water Injection Engine Source: General News Mar.05 2018 Posted Lewis Kingston
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