127(3)操作手順
手順 4. AT グループのレプリケート(NAS Gateway)
ATグループをレプリケートし、ATグループを通常運用状態に復旧します。なお、ATグループ同 期化状態がレプリケート状態(Rpl/sync)になるまでは、ATグループ内のRVに一貫性がなくなりま す。このときに災害が発生した場合、手順3で確保したDDRペアのRVからデータを復旧します。
(コマンド例)
$ rsh -l nsadmin nas-gw.mainsite atg replicate -G 0 DB_Group cpmode=semi wait
iStorageManagerからも実行できます。
図 5-7 iStorageManagerによるATグループのレプリケート実行画面例
129
5 5 5 . . . 3 3 3 災 災 災 害 害 害 発 発 発 生 生 生 時 時 時 の の の R RV R V V の の の 利 利 利 用 用 用
メインサイトに災害が発生し、ディスクアレイ装置や回線が障害になると、バックアップサイト
のiStorageManagerでリンク障害が検出されます。リンク障害が検出されると、iStorageManager
からメッセージID「iSM10402」のログが登録されます。なお、iStorageManagerのログの詳細に 関しては、「iStorageソフトウェア iStorageManager メッセージハンドブック」を参照してくだ さい。
メインサイトで災害が発生したときは、ATグループ内のRVを利用して、バックアップサイトで 業務を復旧します。ATグループ内のRVを利用する際に、まず、ATグループの状態を確認し、AT グループ内のRVのデータに一貫性があるか判断します。ATグループ運用状態がAtomicであれば、
ATグループ内のRVのデータに一貫性があると判断でき、復旧に利用可能です。ATグループ運用
状態がAtomicでない場合、ATグループ内のRVのデータに一貫性があると判断できないため、バ
ックアップデータを利用して復旧します。ATグループ内のRVを利用する場合、ATグループ同期 化状態をセパレート完了(Separated)にする必要があります。ATグループ同期化状態をセパレート 完了(Separated)にするには、ATグループのセパレート、ATグループの強制セパレート、障害分離 からのRV利用の操作を実施します。バックアップサイトで業務再開後、ATグループの設定を維持 する必要がなければ、ATグループの削除およびペアの解除を行って誤操作を防止します。
以降に、障害発生時にRVを利用する手順について、構成例を元に説明します。
図 5-8 災害発生時のiStorageManagerによるリンク障害表示画面例
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(1) 災害発生時の RV 利用手順例の概要
災害発生時のRV利用の手順を説明する構成例について説明します。
災害発生前は、ATグループ同期化状態がレプリケート状態(Rpl/sync)で、コピーモードがセミ同 期順序保証モードでコピーしています。メインサイトで災害発生時は、バックアップサイトでATグ ループの状態を判断し、ATグループ内のRVを利用します。
【災害発生前のATグループおよびDDRペアの状態】
・ATグループのコピーモード :セミ同期順序保証モード
・アトミックブレーク後のMVへのアクセス :MVアクセス停止
・ATグループ運用状態 :Atomic
・ATグループ同期化状態 :レプリケート状態(Rpl/sync)
・リンク状態 :障害
・DDRペアの状態 :セパレート完了
図 5-9 災害発生時のRV利用手順例の構成
メインサイト バックアップサイト
DB_RV
ディスクアレイ装置 ディスクアレイ装置
業務サーバ 待機サーバ
バックアップサーバ
LOG_MV LOG_RV
LOCAL_ARRAY REMOTE_ARRAY
テープ テープ
、dg01 を
または E ドライブ
/dev/vg02、dg02 を /log にマウント または Fドライブ
dg01 を/dbにマウント またはEドライブ
/dev/vg02、dg02 を/log
または ドライブ dg02
を /log
または Fドライブ
、dg01 を にマウント または E ドライブ
、dg02 を/log にマウント または F ドライブ dg01 を/db
または E ドライブ
LOG_BK_
LOCAL DB_BK_
LOG_BK_
REMOTE
メインサイト バックアップサイト
DB_Group
DB_RV
ディスクアレイ装置 ディスクアレイ装置
業務サーバ 待機サーバ
バックアップサーバ
LOCAL_ARRAY REMOTE_ARRAY
テープ
LOCAL
災害発生
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(2) AT グループの状態の確認
メインサイトで災害が発生し、バックアップサイトでATグループ内のRVを使用して業務を復旧 するときに、ATグループ内のRVが使用可能かどうかの判断と、ATグループ内のRVを利用する ための手順を確認します。これらは、ATグループ運用状態、ATグループ同期化状態、およびリン ク状態により判断します。ATグループ運用状態、ATグループ同期化状態、およびリンク状態の確
認はiStorageManagerのレプリケーション管理機能とATグループ機能、または
ReplicationControl/DisasterRecoveryのコマンドで確認できます。
以降に、具体的な確認内容について説明します。
①
ATグループ運用状態の確認
ATグループ運用状態を確認します。ATグループ運用状態がAtomicであれば、そのATグルー プ内のRVは一貫性があると判断でき、復旧に利用できます。
ATグループ運用状態がNon-atomicの場合、リンク状態が正常で、かつレプリケーション操作が 実行できる状態であれば、ATグループのレプリケートを実行後に、ATグループのセパレートを実 行して復旧します。レプリケーション操作が実行できない状態、またはリンク状態が異常の状態では、
静止点をとってATグループのセパレートがされており、かつATグループ同期化状態がセパレート 完了(Separated)以外では復旧に使用できません。
(コマンドによる確認例)
$ rsh -l nsadmin nas-gw.mainsite atg info -G 0 DB_Group
※ コマンドの実行結果のATG StateによりATグループ運用状態を確認します。
132
iStorageManagerからも確認できます。
図 5-10 iStorageManagerによるATグループ運用状態の確認画面例
133
リンク状態を確認します。リンク状態が正常であれば、ATグループのレプリケートを実施してか らATグループのセパレートを実施することで、まったくデータが失われずに災害発生直前のデータ を利用できます。ただし、ATグループのレプリケートにより、レプリケート開始からレプリケート 状態になるまでの間(ATグループ同期化状態が、レプリケート開始(Rpl/start)またはレプリケート実 行中(Rpl/exec)の間)に障害が発生すると、ATグループ内のRVが使用できなくなります。そのため、
ATグループのレプリケート前に、別ボリュームにデータのバックアップをするなどして、ATグル ープ内のRVをバックアップする必要があります。
リンク状態が異常の場合、コピーモードが同期モードの場合、ATグループ内のRVに最新のデー タが保持されています。それ以外の設定では一部のデータが失われている可能性があります。
(コマンドによる確認例)
$ rsh -l nsadmin nas-gw.mainsite atg info -G 0 DB_Group
※ コマンドの実行結果のATG Path Stateによりリンク状態を確認します。
iStorageManagerからも確認できます。
図 5-11 iStorageManagerによるリンク状態の確認画面例
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③AT グループ同期化状態の確認
ATグループ同期化状態を確認します。ATグループ同期化状態により、ATグループ内のRVを使 用するための復旧手順を判断します。
(コマンドによる確認例)
$ rsh -l nsadmin nas-gw.mainsite atg info -G 0 DB_Group
※ コマンドの実行結果のATG StateによりATグループ同期化状態を確認します。
iStorageManagerからも確認できます。
図 5-12 iStorageManagerによるATグループ同期化状態の確認画面例
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(3)AT グループ内の RV を使用する手順例
ATグループ内のRVを利用する場合、ATグループ同期化状態をセパレート完了(Separated)にす る必要があります。ATグループ同期化状態をセパレート完了(Separated)にするには、ATグループ のセパレート、ATグループの強制セパレート、障害分離からのRV利用の操作を実施します。
バックアップサイトから確認した、ATグループ運用状態、リンク状態、ATグループ同期化状態 が以下の状態であった場合に、ATグループ内のRVを利用する手順を説明します。本状態は、メイ ンサイトの災害により、メインサイトのサーバ、ディスクアレイ装置、回線が障害になっている場合 を想定しています。
【バックアップサイトから確認した状態】
・ ATグループ運用状態 ・・・ Atomic
・ リンク状態 ・・・ 障害
・ ATグループ同期化状態 ・・・ レプリケート状態(Rpl/sync)
・ バックアップサイトのDDRペアの状態 ・・・ 同期状態
※ ディスクアレイ障害のため、コンセントレータ側(MV側)の状態が参照できないので、バック アップサイトから確認した、ATグループ同期化状態は、災害発生前の状態が保たれているこ とを想定します。
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● AT グループ内の RV を使用する手順例の流れ
手順1. 強制セパレートの実行 (待機サーバ)
↓
手順2. 障害分離からのRV利用の実行 (待機サーバ)
↓
手順3. 業務の再開準備および業務の再開 (待機サーバ)
↓
手順 4. AT グループの強制削除およびペア
の強制解除 (待機サーバ)
※ 手順4はメインサイトのディスクアレイ装置が正常な場合や、上位アプリケーションでAT グループが設定されている必要がある場合、省略します。
※ 本手順の流れ、および以降の操作手順は一例です。それぞれの環境による固有の操作や手順 にあわせて実施してください。
図 5-13 ATグループ内のRVを使用する手順例の流れ