ディザスタリカバリシステムでは、メインサイトで災害が発生したときに、あらかじめ想定した業務要件で業 務が復旧できるように、各状況下での運用を考慮しなければなりません。
たとえば、災害復旧時に機器障害が発生することを想定すると、バックアップサイトでも日時のバックアップ を取得する運用を考慮する必要があります。また、機器障害または回線障害が発生後、続けて災害が発生する可 能性を想定すると、機器障害または回線障害からの復旧時に、なるべく最新のバックアップデータが失われるこ とがないような復旧手順を考慮する必要があります。
以下に各状況下における運用での考慮点の一例を示します。
表 5-1 各状況下における運用での考慮点の一例 考慮が必要な状況下 運用の考慮点
通常運用時
運用中のコピーモード、同期化状態 日時のバックアップ
日時、夜間での業務の切り替え など
機器障害または回線障害発生時
回線障害からの復旧手順
ディスク障害(MV、RV)からの復旧手順 サーバ障害からの復旧手順
機器障害または回線障害発生時の災害対策 障害検出手段、通報手段
など
災害発生時
バックアップサイトで復旧手順 バックアップサイトで復旧後の運用 バックアップサイトでの災害対策 災害検出手段、通報手段
など バックアップサイトからメインサイトへの 復帰時
データの切り戻し手順 など
これら運用での考慮点は、それぞれのディザスタリカバリ構成や業務要件によって異なります。
118
以降に、運用中のコピーモードをセミ同期順序保証モード、同期化状態を常時レプリケートという構成例を元 に、次の各手順を説明します。
・ 通常運用時のバックアップ
・ 回線障害発生時の回線障害からの復旧手順
・ 災害発生時にATグループ内のRVデータの利用手順
・ バックアップサイトからメインサイトへの復帰時にRVからMVへのデータ切り戻し なお、文中の例では、下表のような環境でコマンドを実行するものとします。
表 5-2 コマンド実行環境(例)
実行環境 具体例
メインサイトのNAS Gatewayホスト名 nas-gw.mainsite バックアップサイトのNAS Gatewayホスト名 nas-gw.backupsite コマンドを実行させるサービスグループ(クラスタ制御時) group0 (-G 0)
119
5 5 5 . . . 1 1 1 バ バ バ ッ ッ ッ ク ク ク ア ア ア ッ ッ ッ プ プ プ
通常運用時は、メインサイトのDDR利用とバックアップサイトで、それぞれテープへのバックア ップを定期的に行います。
災害発生により、バックアップサイトで業務復旧する場合、データ復旧にATグループ内のRVを 利用します。メインサイトの部分的な障害からのデータ復旧や、バックアップサイトでの業務復旧時 に、障害が発生した場合のデータ復旧では、バックアップデータを用います。たとえば、メインサイ トで一部の論理ディスクが障害になったときのデータ復旧に、メインサイトでバックアップした
DynamicDataReplicationまたはテープのバックアップデータを使用します。
以降に、メインサイトのDDR利用とバックアップサイトでそれぞれテープへのバックアップを行 う運用について、構成例を元に説明します。