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ランドラッシュに関する分析

ドキュメント内 Microsoft Word - H24バイオ燃料最終報告.docx (ページ 76-79)

3. 諸外国におけるバイオ燃料を取り巻く動向の基礎調査

3.4 ランドラッシュに関する分析

国・地域 作物 規模 開発事業者 概要 ア ル ゼ ン

チ ン ・ エ ル・アルガ ロボ農園5

ト ウ モ ロコシ

- 豊田通商 アルゼンチ ン現地企業

( ニ デ ラ 社)

• 豊田通商と包括提携を結んだ穀物商社 ニデラ社のエル・アルガロボ農園にお いて、トウモロコシ収穫期の季節労働 者として、子供を含む労働者が違法な 状態で労働させられていたと、アルゼ ンチンの地元紙が報道。劣悪な労働環 境や、不当な賃金支払いが問題となっ た。

• アルゼンチン当局が強制捜査を行って いる。

モ ザ ン ビ ーク・ナカ ラ回廊6

大 豆 、 ト ウ モ ロ コ シ 等

農 地 1400 万 ha

ブラジル、

日 本

(JICA)、

モザンビー ク政府、各 国企業

• ProSavana と呼ばれるプロジェクト

で、ブラジル、日本(JICA)、モザン ビークの 3カ国政府間の協力による大 規模農業開発プロジェクト。

• モザンビークの地元紙や農民組合が報 じるところによると、トップダウンの 開発が進められ、地元民の土地利用権 利等が十分に考慮されないうちに、農 地がブラジルや日本の企業に貸し出さ れることが懸念されている。

3.4.2 バイオ燃料調達への影響

欧州では再生可能エネルギー指令において、欧州委員会が土地利用の権利を含む社会的影 響について、2 年毎に欧州議会及び連合理事会に対して報告するよう義務付けられている。

また、事業者がバイオ燃料の持続可能性を立証するのに活用可能な、自主的な持続可能性基 準の大半において、全ての基準に土地利用権利の保護が含まれている。

表 3-20 欧州の自主基準における土地利用権利保護に関する基準

基準名 基準の項目

ISCC • 原則4 人権、労働権、土地権利の尊重

 基準4.8 近隣コミュニティや土地所有者・利用者への配慮

• 原則5 既存法令等の遵守

 基準5.1 正当な土地利用、伝統的土地利用権利保護の証明

 基準5.2 関連する全ての国内法および国際法の認識、遵守

5 開発と権利のための行動センター(NPO)http://app.m-cocolog.jp/t/typecast/52880/50657/67389872

6 GRAIN(NGO)

http://www.grain.org/article/entries/4626-brazilian-megaproject-in-mozambique-set-to-displace-million

基準名 基準の項目 Bonsucro EU • 原則1 法の遵守

 基準 1.2 国内慣習および法規制に照らして明確に立証可能な土地 の所有

RTRS EU RED • 原則1 法の遵守と良い商慣習

 基準1.1 適用される全ての国内および地方の法律の認識、遵守

 基準1.2 土地利用権利の明確な規定、立証可能性の担保

 基準1.3 本原則遵守のための継続的改善の実施

• 原則3 地域コミュニティへの責任

 基準3.2 伝統的な土地利用者がいる場合、土地利用の対立の排除

 基準 3.3 不平不満解決の仕組みの導入、地域コミュニティや伝統 的な土地利用者の利用可能性の確保

RSB EU RED • 原則12 土地の権利

 基準12.a 既存の公式・非公式な土地所有・利用権利の評価、記録、

尊重

 基準12.b 自由で事前の、十分な情報を与えられた上での合意に基 づく補償、土地の取得、自主的な権利放棄

Greenergy Brazilian Bioethanol verification programme

• 原則7 土地の権利とコミュニティとの関係

 基準7.1 土地利用権利の立証、他の法的慣習的権利の尊重、地域 住民にとって重要な土地の尊重

 基準7.2 地域住民および利害関係者とのコンサルテーション手 続きの導入

RSPO RED • 原則2 関連法と規則の遵守

 基準2.2 土地の使用権の保障と、地域コミュニティによる合法的 な紛争の禁止

 基準2.3 油ヤシ用の土地確保のための、事前の合意が無い法的ま たは慣例的な権利の侵害の禁止

• 原則7 責任ある新しい植林の開発

 基準7.5 事前の合意が無い地元の人々の土地の使用禁止

 基準7.6 地元の人々の、合意に基づく土地の買収と権利放棄に対 する補償

我が国では、今後海外におけるバイオ燃料原料栽培が拡大するにつれて、前節に記したよ うなランドラッシュの事例が増えることが懸念される。ランドラッシュを引き起こした可能 性のあるバイオ燃料の導入を認めることは、持続可能性の観点から望ましくないため、将来 的には何らかの措置を講じる必要性がある。一例として、エネルギー供給事業者による非化 石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する基本方針(平成 22 年経済産業省告示第160 号)では、生物多様性の保全のための措置として、「石油供給 事業者は、バイオ燃料を調達する際には、調達するバイオ燃料の生産による原料生産国の生 態系への影響を回避するため、原料生産国の国内法を遵守してバイオ燃料又はバイオ燃料の 原料の生産を行っている事業者から調達を行うよう十分に配慮するとともに、バイオ燃料の 原料の生産地域における生物多様性が著しく損なわれることが懸念される場合等は、当該地

域における生態系の状況等、国が必要とする情報を国に提供することとする。」と定められ ており、土地利用権利の保護についても、これと同様の規定を設けることが考えられる。ラ ンドラッシュについては、日本国内外の非営利団体や研究機関が広く事例情報についての提 供を行っていることから、石油供給事業者がバイオ燃料の調達に際して、このような公開情 報をもとにランドラッシュの懸念があるものかどうかを確認することは、一定程度可能であ ると考えられる。

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