《秘密資料》
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あなたはガーデニング用品を扱う専門店、 ランカスター・ゲイト 社の事業開発責任者です。
ランカスター・ゲイトは、7 年前に現社長が主婦業のかたわら始めたガーデニンググッズの輸入店 がベースとなり、急成長した会社です。社長は、趣味のガーデニングをやっている内に、日本に少 ないお洒落なガーデニンググッズを自宅の庭用に輸入したいと考えるようになり、カタログを通じ てヨーロッパなどから個人輸入をするようになりました。日本にないお洒落なガーデニンググッズ が友人の間で評判となり、取りまとめて輸入をするようになり、そのうち趣味が高じてビジネスに なったというわけです。
ランカスター・ゲイトでは、ガーデニングの本場イギリスからの輸入品を主に扱っています。鉢 などの基本となるガーデングッズ類を中心に、他のガーデニング用品店ではあまり見ないようなデ ザイン・質の庭石・敷石やレンガ、タイル、パラソル、椅子・テーブル、ランプ、置物等ユニーク な品揃えがガーデン愛好家に喜ばれています。ローズやハーブの苗も販売しており、特にハーブの 種や苗は、種類が豊富で通信販売での売れ行きも好調です。世田谷区にある唯一の店舗は、広い庭 付き一戸建てを改造して店に仕立て上げたもので、実際に庭で使用したイメージを見ながら商品を 選べるとあって、土日には店の駐車場が満杯になり周辺道路に駐車があふれるほどの人気です。
ランカスター・ゲイトの人気の秘密は、店員すべてがガーデニング商品だけでなくデザインの基 本的な知識を備えていることにもあります。もともと社長が友人宅の庭の模様替え相談に乗ってい たりした関係もあり、単にガーデニンググッズを売るのではなく、庭の広さや形に応じてグッズを お勧めする、というスタンスで商品を販売しています。お客様が自宅庭の写真を持ち込んで、店員 と熱心に相談しているという光景があちこちで見られます。また週 2 回、無料ガーデニングデザイ ン講習も行っていますが、毎回申込者が殺到して抽選するほどの人気が出ています。
最近ではウッドデッキやライトアップ用品なども扱うようになり、さらに商品点数が増えました。
今年始めにガーデニング雑誌に店が掲載されたことから、『素敵なお庭を見本にしたい』と東京周 辺のガーデニング愛好者が訪ねてくるようになり、人気はさらに過熱しています。社長のセンスを 生かして有料のガーデンデザインも手がけており、ある有名タレントの自宅庭のデザインを手がけ たことが話題となって、次々とデザイン依頼が舞い込むようになっています。
店の成功に気をよくした社長は、新しい店を出してさらに事業を拡大させたいと言うようになり ました。もともと社長の夫が経営する貿易会社で、新商品の開拓や販路拡大を担当していたあなた からすると、事業を拡大するためにあれこれ新しいチャレンジをするのは最も得意とするところで す。新しい客層が見込める地域に出店し、ゆくゆくはチェーン展開も検討したいと考えています。
そのためにも、ある程度顧客の数が見込めるような、郊外のハイセンスな住民が集まる地域に新店 舗を出店したいと計画を練っていました。
そんな中、知り合いの不動産業者からあなたに耳よりの情報がもたらされました。東京郊外の私 鉄沿線上にある新興住宅地・桜山ニュータウンに建つショッピングモール トライベッカ に空き 店舗が出るというのです。桜山ニュータウンは、あなたが考えていた新店舗の出店候補地として、
これ以上適した場所はないのではないかと思うくらい、狙いどおりの立地です。
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桜山ニュータウンは、丘陵地の森林を切り拓いて造られた街で緑が多く、春には山桜があちこち で美しく咲きます。車道や散歩道が広く整備されているのも特徴で、首都圏への通勤の便が良いこ とや評判の良い小・中学校が比較的近くに点在していることなどからベッドタウンとして急激に拡 大し、今もなお競うようにマンションや戸建住宅が建築されています。駅前には、ハイセンスな大 規模マンションが幾つか建ち、駅から少し歩く丘の上には閑静な戸建住宅街が広がり、比較的洗練 された庭付きの洋風戸建住宅が建ち並んでいます。二世帯で住める大きな住宅も多く、カーポート に車を2台駐車している家も多く見られます。当然庭にこだわる家庭も多いはずで、相当な数の見 込み客が存在する、とあなたは考えました。
もともと、この桜山市エリアは、古くからの商店街や商業施設は殆どなく、桜山市が「地域経済 の活性化」を目的に商業施設の誘致に積極的に力を入れ、2 年前、大手不動産会社と共同で駅から 7 分の広い土地にショッピングモールの開発を行って出来たのが トライベッカ です。
モールは本場ニューヨークのトライベッカ地区をイメージし、19 世紀に建てられた古い倉庫のよ うな趣のある建物群が広々とした敷地に建っています。倉庫をイメージした高い天井の建物と、街 路をイメージした広い通路、半屋外型の造りは開放感にあふれています。ハイセンスな街づくりを 意識して、本場ニューヨークの トライベッカ を散歩しているような錯覚でモール内を歩けるよ う、異国情緒のあふれる街路を演出しているそうです。
倉庫をイメージした建物は、上空から見るとロの字型に建ち並び、その中央には芝生と花畑の公 園スペースがあり、噴水を囲んでパラソルと木製ベンチが並べられています。天気が良い日には、
フードコートの各レストランからテイクアウトして、そこで食事を楽しむことができるのも来店者 にとって魅力の一つになっているようです。
桜山市が トライベッカ を作った背景には、「地域経済の活性化」と「ハイセンスなイメージの 街づくり」、そしてもう一つには「地域コミュニティへの貢献」という目的があるそうです。そのた め、 トライベッカ 側は、顧客層をなるべく特定せずに、老若男女を問わず住民に広く楽しんで もらえる場所にしたいと考えているようです。各テナントは、ショッピング自体を楽しんでもらえ る店づくりを大前提に、工夫を凝らした催し物やイベント等も積極的に行い、住民が散歩気分で気 軽に遊びに来て楽しめる場所にして欲しいと要望されています。
店舗数は約 30 ありショッピングモールとしては中規模なもので、国内外のブランドの洋服、カ バン、靴、化粧品、インテリアショップ、スポーツメーカー、アウトドア用品店等、ハイセンスな 店が多く入っています。都心から足を運びやすい立地であることも手伝って、地元住民だけでなく、
わざわざこのモールを目当てに近郊から車で訪れるお客様も多数おり、一昨年秋のオープンから 3 ヶ月間の集客は 100 万人を突破したと報道されるなど、順調なすべりだしを見せた模様です。
さすがに最近は不況の影響もあって集客人数は減っているようですが、それでもランカスター・
ゲイト単体で集客するよりは、はるかに効率よく多くのお客様にアピールできることは間違いあり ません。 トライベッカ の出店が成功すれば、ショッピングモールへの出店を加速させ、遠い将
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来の夢と思っていたチェーン展開を成功させる展望も現実味を帯びてきます。
あなたは早速、社長との会議をとりつけ、トライベッカへの出店申し込みの許可をもらいたいと 話したところ、社長もすぐに賛成しました。社長は、ランカスター・ゲイトの顧客層に合った土地 柄だと判断し、ショッピングモール全体の売上は落ちていても、桜山なら今後もどんどん人口が増 えるだろうし、幹線道路からの便も良いので多少離れた地域からも顧客を呼び込めるだろう、と判 断したようです。あなたは早速、トライベッカとの出店交渉に入りました。
店舗の広さとしては 180 ㎡とモール内の店舗としてはまあまあの広さで、しかもこれまでよりも 賃料等の条件は大幅に緩和されているという話です。当然出店コストを抑制したいあなた方として は、どうしても出店の権利を確保して、今後のモール出店計画の足がかりとしたいところです。賃 貸料等の条件は、すべて何の問題もなくクリアできますし、商品も豊富に用意できます。課題があ るとすれば本店のように庭を使った商品の展示・陳列ができないことですが、今後そうそう庭付き の店舗物件など期待出来ないことを考えると、制限のある中でどうやって魅力的な店舗を作るか、
というノウハウを貯めるには最適な場所とも言えます。このモールでガーデニンググッズを販売す るスキルや経験が身につけば、今後出店できる地域の可能性が、相当広がるだろうとあなたは考え ました。
しかし、当然のことながら良い物件には競争相手が多数現れます。トライベッカの空き店舗には、
聞くところによるとほとんど同時に 20 件以上もの申し込みがあったらしく、選ぶのに苦労してい るとの情報も入りました。多少家賃を高めに払っても構わない、と申し入れを行ったのですが、ト ライベッカ側としては、集客強化のためにも、これまで出店している店舗とは違う何らかの「付加 価値」を求めている、とのことでした。
数日後、トライベッカ側から嬉しいニュースが入りました。ランカスター・ゲイトが最終選考の 3社の一つに残ったということ、それから最終選考を行うために是非「モールに対して与えられる 付加価値」のプレゼンテーションをして欲しいと要求してきました。他の入居希望店舗がどのよう な業態なのか、全く情報はありませんが、あなたとしては、何としても付加価値をうまく伝えて契 約を勝ち取りたいところです。プレゼンテーションに際し、情報収集できた内容は以下のとおりで す。
・ トライベッカは、これまで行ってきた、知名度のある店舗に依存した集客戦略の限界を感じて おり、見直しを考えている。
・ 徐々に下がってきた集客力を回復させるためにも、これまでの店舗では集客できない新しい顧 客層を持っている店舗や、新しいニーズに応えることのできる店舗といった、斬新さを求めて いる。
・ プレゼンテーションでは、「トライベッカ全体にとってどのようなメリットがあるのか」という 点が重要になる。内装や品揃え、ディスプレーの仕方といった個別の要素のアピールは、モー ル全体に与える影響があると考えられる場合だけにして欲しい。
・ 基礎的な企業情報は分かっているので、プレゼンテーションする必要はない。