第 4 章 フランチャイズ・ビジネスに関連する紛争事例
4. フランチャイズ経営する他人の登録商標及び商号を自分の企業名称として登記し、登
陽、西安、昆明等の大都市にすでに50店ほどのチェーン店を展開している。……
『焼鵝仔』が3年もの間、成都市場に進出しなかったのは、飲食王国の長い歴史、
根強い四川料理の牙城、成都に先に進出し人気を博している西洋式ファースト・フ ードとの激烈な競争を考慮したからである。」と記述した。これは銀河焼鵝仔美食 城が同紙に掲載させた宣伝報道であった。
(3)フランチャイザーは、北京、広東、西安、石家庄等でフランチャイズ契約を締結 して、北京だけでもすでに6店舗を有し、全国的にもチェーン店といえる規模の展 開をしており、16 の企業と「焼鵝仔」の登録商標につき使用許諾契約を締結してい る。フランチャイザーの「焼鵝仔」ブランド及び会社については、「人民日報」、「北 京日報」、「南方日報」、「経済日報」等全国各地 20 数紙に相次ぎ宣伝報道されてい た。
(4)フランチャイザーは、損害賠償請求額については、商標法に要求された被告成都 紅沙石健身休閑倶楽部有限公司がフランチャイザーの登録商標を侵害することに より得た利益又はフランチャイザーが喪失した利益を証明できなかったが、侵害期 間中チェーン店であった場合の商標ライセンス料50万元及びチェーン店への加盟 金 100 万元等を取得しているという証明を人民法院に提出した。なお、フランチ ャイザーの弁護士費用は18万元であった。
【第一審判決】(四川省成都市中級人民法院(2000)成知初字第3号)
(1)フランチャイザーは「焼鵝仔」サービスマークの合法的な商標権者であり、これを 専用する権利を有する。
(2)被告の支社である銀河焼鵝仔美食城が使用するサービスマークは、「焼鵝仔」の登 録商標と完全に同じではないが、類似している。銀河焼鵝仔美食城は、フランチャ イザーの許諾を受けることなく、レストラン経営においてこれを使用したのである から、フランチャイザーの商標権を侵害した。
銀河焼鵝仔美食城は、「成都商報」に掲載した「焼鵝仔が来た」の広告宣伝における
「中国の『マクドナルド』と賞賛される『焼鵝仔』は広東省が原産地で、全国を風 靡し、北京、上海、瀋陽、西安、昆明等の大都市にすでに 50 店ほどのチェーン店 を展開している……」の部分は、消費者に市場主体及びサービスの出所を混同させ、
銀河焼鵝仔美食城がフランチャイザーの関連企業であり、広東のフランチャイザー
を本部とするものと誤認させるに足るものである。この虚偽の宣伝は消費者をその サービスにつき誤解させ、フランチャイザーの名称を明示してはいないが、フラン チャイザーの「焼鵝仔」のみが広東省から発し、全国的にチェーン店を展開している から、銀河焼鵝仔美食城がフランチャイザーと同じレストラン経営をしているので あるから、フランチャイザーの公平競争の利益を侵害しており、その正当な経営活 動を損ない、誠実信用の原則及び一般に認められた商業道徳に違反し、不正当競争 を構成するものである。
(3)銀河焼鵝仔美食城は被告の支社であるから、被告は商標権侵害及び不正当競争に よる民事責任を負い、侵害を停止して影響を除去し、経済損失を賠償しなければな らない。
(4)フランチャイザーは、被告成都紅沙石健身休閑倶楽部有限公司及び銀河焼鵝仔美 食城がフランチャイザーの登録商標を侵害したことにより得た利益又はフランチ ャイザーが当該侵害行為により受けた損失を証明できなかった。
被告成都紅沙石健身休閑倶楽部有限公司は、権利侵害により獲得した利益に関する 証拠を提出することができなかった。
このため、フランチャイザーの商業上の信用、投下した広告費用、知的財産権の類 型、被告の不正等競争行為がもたらされた影響、1999 年9月10 日から今日まで の侵害期間に、フランチャイザーの提訴のため合理的な旅費、弁護士費用、被告の 過失等要素を考慮して、定額賠償金の方法に基づき、損害賠償額を30万元とする。
フランチャイザーが主張する 355 万元の損害は証拠が十分でないので、これを認 容しない。
(5)よって、一審法院は以下のとおり判決した。
①被告は、銀河焼鵝仔美食城、その看板、備品、広告における「焼鵝仔」商標の侵害 行為を直ちに停止しなければならない。
②被告は不正当競争行為を直ちに停止しなければならない。
③被告は「成都商報」に謝罪広告を掲載しなければならない。
④被告はフランチャイザーに賠償金30万元を支払わなければならない。
⑤フランチャイザーのその余の請求を棄却する。
【上訴及び第二審判決】(四川省高級人民法院(2000)川経終字第351号)
(1)被告は第一審判決を不服として上訴した。上訴理由の要点は以下のとおりである。
①銀河焼鵝仔美食城は被告が適法に登録した支社であり、その使用するサービスマ ークの「焼鵝仔」の部分は「銀河焼鵝仔美食城」の一部であり、企業名称としての保 護を享受する。また、そのサービスマークは、その外観、形状、構図、字形、音、
図形と標識の組み合わせ、意味、表現形式等においてフランチャイザーの登録商 標と全く異なる。したがって、消費者を誤認させることはなく、フランチャイザ ーの登録商標を侵害していない。
②1999年9月14 日の「成都商報」の記事は同紙の記者が書いたもので、被告とは 関係がないし、被告の広告との関係を証明する証拠もない。したがって、「成都 商報」の記事は、被告が法的責任を負うべき根拠となり得ない。
③フランチャイザーのサービスマーク「焼鵝仔」は、一般に用いられる名称であり、
原料を直接表示するものであり、商標法に違反して登録されたものである。その ため、被告は商標審判委員会に対し、その登録が不当であり、取消申請をし、且 つ受理されたことにより、訴訟手続の停止を求めたが、一審法院は関連規定に従 わずに、訴訟手続を停止させなかった。
④30万元の損害賠償額の判定は法的根拠がなく違法である。
(2)第二審判決は以下のとおりである。
①銀河焼鵝仔美食城のサービスマークは、字体はフランチャイザーの登録商標と同 じではないが、文字、意味、発音は同じである。また、フランチャイザーは全国 範囲でチェーン店を有する一定の規模を形成し、全国範囲での宣伝により当該
「焼鵝仔」ブランド及び公司名称は業界において知名度を有している。銀河焼鵝仔 美食城は、フランチャイザーと同一の業界に当該マークを使用しており、消費者 を誤認させるに十分であったのであるから、被告はフランチャイザーの登録商標 を侵害したものである。企業名称と商標は異なる法規制を受けており、「銀河焼 鵝仔美食城」が企業名称として適法に登録されているとしても、「焼鵝仔」の使用 が登録商標を侵害しうる。企業名称の一部をサービスマークとして使用する場合 には登録商標の侵害を構成しないという主張は支持できない。
②1999年9月 14日の「成都商報」の記事は、被告が資金を提供して掲載させたも のという事実を法廷自らの調査により明らかである。
③商標審判委員会に登録商標の取消しを申請し受理されたとしても、訴訟手続を停 止すべき法的根拠はない。
④30 万元の損害賠償額の認定された理由は、当事者が証拠を提出しないため、法 院は本件事実により総合的に判断されたものであり、知的財産権類型要素で賠償 額が確定されたのは妥当性を欠く、ここにこの理由を正す。
⑤上記のとおり、一審法院は、審理における手続も適法であり、事実の認定も明白 であり、法律の適用も正確である。よって、民事訴訟法153条 1項1の規定に 基づき、以下のとおり判決する。上訴を棄却し、原審を維持する。