第 3 章 フランチャイズ契約作成上のポイント
1. フランチャイズ契約作成上のポイント
(1)フランチャイズ契約に必ず記載しなければならない項目
フランチャイズ契約には以下の事項が含まれなければならない(「商業特許経営管 理弁法(試行)」第13条)。
(a)フランチャイズ権の使用許可の内容、範囲、期限、テリトリー
(b)両当事者の基本的な権利及び義務
(c)フランチャイジーに対する訓練及び指導
(d)各種費用及び支払方法
(e)秘密保持条項
(f)違約責任
(g)契約の期限、変更、継続、終了及び紛争解決方法
これらは上記管理弁法が法定する事項であり、実務的には、具体的な事情に応じて 各種条項を追加することができる。
(2)テリトリー制限条項及びフランチャイジーの店舗の近隣にフランチャイザーが店 舗を設置することの可否
フランチャイズ契約においてフランチャイジーのテリトリーを定めることは差し 支えない。「商業特許経営管理弁法(試行)」第 5 条は、サブフランチャイズ(地域フ ランチャイズ)をフランチャイズの基本的方式のひとつとしている。
フランチャイザーが近隣に店舗を設置することができるかどうかについて、フラン チャイズ関係法上、特段の規制はない。フランチャイズ契約においてフランチャイ ジーに付与されたフランチャイズ権の性質及びテリトリー地理的範囲の問題であ り、フランチャイズ契約の関係規定の内容による。
(3)フランチャイジーの目標達成に関するフランチャイザーの責任
現行法規上、フランチャイザーがフランチャイジーの売上につき責任を負う旨の規 定はない。したがって、フランチャイザーがフランチャイジーの売上高、利益等に つき責任を負うか否かは、フランチャイズ契約等においてそのような合意がなされ ているかどうかによる。
フランチャイズ契約を締結する過程において、フランチャイザーが市場調査を実施 し、予想販売額、予想利益等を含む情報をフランチャイジーに開示するような場合 は、最低販売額、最低利益を保証するものではないことを明確にすべきであるし、
フランチャイズ契約の中で、契約締結前の販売予測等がフランチャイジーに対する 保証でないことを明確にする必要がある。
(4)フランチャイズ料の設定、供給商品の価格設定に対する制限
フランチャイズ料の設定については、「商業特許経営管理弁法(試行)」第 14 条第 2 項が、フランチャイズ料の種類及び金額は当事者が実際の状況に基づきフランチャ イズ契約において約定することができる旨を明記している。
しかし、フランチャイザーはフランチャイジーに対する関係で、優越的な地位に立 つのが通常であるから、明らかに公平を欠くようなフランチャイズ料の設定となら ないよう留意する必要がある。参考までに、価格設定に関する主な規制を以下に整 理する。
(a)経営者は、商品販売に際し、購入者の意思に反して商品を抱合せ販売し 又はその他の不合理な条件を付してはならない(「反不正当競争法」第 12 条)。
(b)経営者は、その市場支配的地位をもって法律又は法規に違反して暴利を 得てはならない(「価格独占行為の禁止に関する暫定規定」第6条)。
(c)法律又は法規に違反して暴利を得てはならない(「価格法」第14条第7号)。
(d)明らかに公平を欠いた行為は取消され又は変更される(「民法通則」第 59 条、「契約法」第54条第1項第2号)。
(5)原材料及び機械設備等の現地調達義務
かつては中国国内で原材料、機械設備等を優先的に購入すべき旨の規制があった
(たとえば、旧「中外合資経営企業法」第 57 条)が、現在では、少なくともフランチ
ャイズ・ビジネス関連の法律法規にはこの種の規定はない。
なお、フランチャイズ契約が国際的な技術使用許諾を内容とする場合は、ライセ ンシーの原材料、部品、製品又は設備の購入ルート又は調達先を不合理に制限す る規定を契約に定めてはならないという規制(「技術輸出入管理条例」第 29 条第 5
号)があるので留意する必要がある。
(6)原材料及び機械設備等を海外で調達し輸入する場合の関税
原材料、部品、製品又は設備等の輸入に際し賦課される関税については、「中華人 民共和国海関法」、「中華人民共和国輸出入関税条例」、「中華人民共和国海関輸出入 税則」、「中華人民共和国国内に入る物品の輸入税税率表」に規定があり、輸入貨物 の品目に従い税率を定めている。
機械設備がコンピューター・プログラム等の知的財産権をその一部とし、この部分 につき別途使用料が支払われる場合、中国海関(税関)総署の「中華人民共和国海関総 署製品輸入のライセンス料に関する評価弁法」(2003年7月1日施行)第10条によ ると、知的財産権の使用料を含めて貨物の課税価格を算定し、当該貨物の税率に従 い関税を徴収することとされているので留意する必要がある。
(7)フランチャイジーの商品、原料、機材、部品の調達先制限の可否
フランチャイザーがフランチャイジーに統一的に商品を供給する場合、「反不正当 競争法」に抵触する可能性がないではない。また、国際的なフランチャイズの場合 は、「技術輸出入管理条例」にも違反するようにみえる。
(a)独占的地位を有する経営者は他人にその指定する経営者の取扱商品の購 入を強制することにより、他の事業者の公正な競争を排除してはならない
(「反不正当競争法」第6条)。
(b)技術輸入契約には、不可欠でない技術、原材料、製品、設備又はサービ スの購入を含む、技術輸入に不可欠でない付帯条件の受入を技術受領者に 要求する条項を定めてはならない(「技術輸出入管理条例」第29条第1号)。
(c)技術輸入契約には、受入側が原材料、部品、製品又は設備を購入するル ート又は供給先を不合理に制限する条項を定めてはならない(「技術輸出 入管理条例」第29条第5号)。
しかし、フランチャイズのイメージ、サービス、商品の品質の統一性はフランチャ イズ・ビジネスの本質的要素であり、統一的な仕入れ及び配送等はチェーン・ビジ ネスの基本的、内在的要求である。原料、機材、部品も、その性質、用途、効用に よってはフランチャイズのイメージ、サービス、商品の品質の統一性に関係する。
そのため、「商業特許経営管理弁法(試行)」自体、フランチャイザーがフランチャイ
ジーに各種の物品を供給することを前提としている(同弁法第9条第4号、第12条 第1項)。
したがって、フランチャイズのイメージ、サービス、商品の品質等の統一性を保障 するために合理的な限度において、これら物品の調達先をフランチャイザー又はそ の指定する業者に限定することは許されるものと考える。但し、価格は合理的なも のでなければならない。
(8)フランチャイジーの取扱商品の種類及び販売価格制限の可否
フランチャイズにおいては、契約によりフランチャイジーの取扱商品及び販売価格 を決定する権利を制限し、商品の販売価格を統一することが一般的である。これら の点については以下のような規定がある。
(a)経営者は、商品販売に際し、購入者の意思に反して商品を抱合せ販売し 又は不合理な条件を付してはならない(「反不正当競争法」第12条)。
(b)経営者は共謀して市場価格を操作し、他の経営者又は消費者の合法的権 益を侵害してはならない(「価格法」第14条第1号)。
(c)経営者は、販売業者に商品を提供する際、その市場支配的地位をもって 商品の再販価格につき制限してはならない(「価格独占行為の禁止に関す る暫定規定」第5条)。
(d)技術輸入契約には、技術受領者の製品の生産数量、品種又は販売価格を 不合理的に制限する条項を定めてはならない(「技術輸出入管理条例」第 29 条第6号)
しかし、統一的な仕入れ、統一的な配送、統一的な標識の使用、統一的な経営方針、
統一的な商品及びサービス基準及び統一的な販売価格等の実行は、フランチャイズ 経営に内在する要求である。したがって、フランチャイザーは、公平かつ合理の原 則の下、フランチャイジーの取扱商品、再販価格を制限することができる。
(9)商品構成、マニュアル等の変更の可否
商品構成やマニュアル等の内容がフランチャイズ契約の一部として内容が確定さ れている場合、その変更はフランチャイズ契約の変更となる。契約は、当事者の合 意がなければ変更することはできない(「契約法」第77条)。
これを避けるためには、商品構成又はマニュアル等の内容をフランチャイズ契約の 内容として確定しないこともひとつの方法であるが、フランチャイズ契約の内容と した上で、フランチャイザーが契約締結後一方的にこれを変更することができる旨 を定めることも可能である。フランチャイズ契約の内容に含めるか否かは、当該事 項についてフランチャイジーから事前に同意を取る必要があるか否かによる。
(10)特許、ノウハウ、商標、顧客情報データ等の知的財産権の保護
特許、商標は、「特許法」、「商標法」等の関係規定により保護される。ノウハウ、顧 客データは、「反不正当競争法」により保護されるが、フランチャイズ契約にも必要 な保護規定を置くべきである。また、特許、商標等の使用許諾をする場合は、国の 関連政策、法規に従い行わなければならない(「商業特許経営管理弁法(試行)」第 15 条)。
(a)知的財産権の秘密保持、目的外使用の禁止(競業禁止を含む)を契約に明記 する(フランチャイジーの従業員を含む)。
(b)知的財産の流出防止のための具体的規定を置く(開示を受ける従業員の限 定、開示を受ける従業員の誓約書、違約責任、差止め、終了時の返還義務 等)。
(c)国際的フランチャイズ契約の場合は、「技術輸出入管理条例」第29条等が 禁止している条項がフランチャイズ契約その他関係契約に含まれていな いかを確認する。
(d)特許、商標の使用許諾契約について、関係規定に従い3ヶ月以内に必要 な届出をする(「特許使用許諾契約届出管理弁法」第5条、「商標法」第40条 第3項、「商標法実施条例」第43条)。
(11)店舗に使用する名称の保護
店舗を設置して物品の販売、サービスの提供をするフランチャイズにおいては店舗 の名称が統一的に使用される。フランチャイザーは、フランチャイズ契約において、
店舗名称の使用方法、範囲、変更に関する事項、契約終了後の当該名称又は類似す る名称の使用禁止を明確に約定すべきである。
なお、企業名称については、登録管理が地域毎に行われており、A地で登録された 企業名称はA地に限ってのみ専用権があり、第三者がB地において同一の企業名 称を使用することを阻止することはできない。したがって、フランチャイザーが企