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ダイオード型 CdTe 検出器

ドキュメント内 master thesis watanabe 2001 ver1 3 (ページ 36-43)

CSAHV

2.8 ダイオード型 CdTe 検出器

2.8. ダイオード型CdTe検出器 35 2.8.2 スペクトル

ダイオード型のCdTe検出器でとったスペクトルを図 2.17 に示す。大きさは2mm×2mmで厚 さが0.5mmで、バイアス電圧は400V、温度は5 Cである。このバイアス電圧を検出器内部の電 場に換算すると8kV/cmになる。図2.11でも示したように、高い電場を形成することで、ホール が消滅する前に電荷として収集できるようになり、低エネルギー側へのテールの影響が非常に小 さくなっていく。

図 2.17: ダイオード型CdTe検出器でのスペクトル。検出器の大きさは2mm×2mm で厚さが 0.5mm5C、バイアス電圧は400VCSAにはCP5102BSShaping AmpにはORTEC571 使用。Shaping time1µs

また、ACRORAD社のTHMによるCdTe半導体では、大きな均質の単結晶の生成が可能であ

る。ダイオード型CdTe検出器でもこの特徴を生かし、優れたエネルギー分解能を持つ大面積の 検出器が可能である。図2.181cm×1cm、厚さ0.5mmのダイオード型CdTe検出器で得られた スペクトルを示す。検出器の容量は、コネクターも含めて、24.8pFになるが、エネルギー分解能 としては、2.2keV(FWHM)を達成している。これは、結晶が実際に均質であることを示す。

2.8.3 安定性

低温(5C以下)または、高いバイアス電圧では、ダイオード型CdTe検出器は優れた安定性を 示す [18, 19, 20]。しかし、室温程度でバイアス電圧を100V0.5mm厚で)以下という充分に加 えない状態では、バイアス電圧をかけ続けるとポラリゼーションと呼ばれる現象が起こる。

図2.19にポラリゼーションの様子を表す。大きさ2mm×2mm、厚さ0.5mmIn-CdTe-Pt ダイオード検出器を温度20Cバイアス電圧100Vの条件下使った時のスペクトルの変化である。

線源は57Coである。バイアス電圧をかけ始めると、20-30分のタイムスケールで、エネルギー分 解能が悪化し、その後、ピークが低エネルギー側にシフトしていき、次第に検出効率が落ちてい く。ただし、バイアス電圧を一度切って、再び入れ直すとすぐに回復する[18]

このポラリゼーションの現象を探るため、アルファ線を照射する実験を行った。アルファ線を照 射すると、電極のすぐ近くでエネルギーをすべて失うため、陰極から入射すると電子のみが、陽

図2.18: 大面積のCdTe検出器でのスペクトル。検出器の大きさは、10mm×10mmで厚さが0.5mm 5 C、バ イ ア ス 電 圧 は 200VCSAに は CP5102BSShaping Ampに は ORTEC571を 使 用 。 Shaping time2µs。検出器の容量はコネクタを含めて、24.8pFである。

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図 2.19: ポラリゼーションの様子。2mm×2mm×0.5mmtIn-CdTe-Ptのダイオード検出器で 測定。温度は20C、バイアス電圧は100V、線源は57CoCSACP580S1Shaping Amp ORTEC571で、Shaping time1µs

極から入射するとホールのみが信号に寄与する。使ったアルファ線源は241Am5MeV程度のア ルファ線を放出する。したがって、アルファ線を検出したとき、大きな信号を出すため、CSA 出力をオシロスコープでそのまま取得することが可能であり、そのパルスの形から検出器中の電 場構造を探ることができる。

使った検出器は、In-CdTe-Ptのダイオード検出器で、大きさは2mm×2mm、厚さは0.5mm ある。温度は、20Cで、バイアス電圧は100Vと、ポラリゼーションが起こる条件とした。使っ たCSAORTEC140である。

図2.20のようにパルスハイトとパルスの立ち上がりの速度を定義し、その分布の時間変化を調 べたのが、図 2.21である。図2.21(a)は、アルファ線を陰極から入射したときで、電子の動きを 見ていることになる。図2.21(b)は、アルファ線を陽極から入射したときで、ホールの動きを見て いることになる。

t V

V/ t=

図2.20: アルファ線照射のパルスの形とパルスハイト、立ち上がりの速度の定義

陰極(Pt電極)から入射したときは、バイアス電圧をかけてからの時間経過とともに、パルスハ イトは下がり、立ち上がりの速度も遅くなっていく。一方、陽極(In電極)から入射すると、パル スハイトは下がっていくものの、立ち上がりの速度は速くなっていく。

このような結果からポラリゼーションが起こるときは、図2.22 のように検出器内のポテンシャ ルが曲がっていくと考える。このようにポテンシャルが曲がっていくと、検出器の大部分では、そ こでガンマ線を検出しても、電場が小さいため、作るパルスハイトは低くなる。さらにポテンシャ ルが曲がり電場がなくなるとその部分では、ガンマ線の検出はできなくなり、全体の検出効率は 落ちる。このようにポテンシャルが曲がっていくという描像は、ポラリゼーション現象をよく説 明する。

ポテンシャルが曲がる原因としては、InCdTe半導体に入り込んだときできる準位に電子が 捕獲され、その電子によって、バイアス電圧が作るポテンシャルをうち消してしまうと考えてい るが、はっきりとは解明できていない。低温にしたとき起こらないことやバイアス電圧を切ると すぐ回復することを現状では、説明できていない。

したがって、ダイオード型CdTe検出器を長時間使うには、低温し、高いバイアス電圧で動作 させることが求められる。

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(a)

(b)

図2.21: アルファ線照射、パルスハイトと立ち上がり速度との分布の時間変化

In Pt In Pt In Pt +H.V.

0V

図2.22: ポラリゼーションが起こるときの検出器中のポテンシャルの時間変化

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