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VME Controller CAEN V2718

6.1 ジオメトリ

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第 6

モンテカルロシミュレーション

ビームテスト実験を理解し、最終的に結晶のエネルギー分解能を得るためにモンテカル ロ(MC)シミュレーションを行った。シミュレーションツールにはGeant 4[27]のversion

4.9.6.p02を使用した。Geant 4は粒子の物質中での反応をシミュレーションするためのツー

ルキットである。実験装置や治具といったジオメトリ、入射ビームの形状やエネルギーなど の実験環境を与える事で、仮想空間で実験をシミュレートことができる。実際の実験では知 り得ない情報まで詳細に知る事ができることから、実験における物理の理解に重要な役割を 果たす。

このビームテストのMCシミュレーションを行う目的は大きく分けて2つあり、(1)結晶 のエネルギー分解能を測定するためと、(2)エネルギー較正のために宇宙線のMost probable

value を予測することである。特に(1)について、詳細は後述するが、MCで得られるスペ

クトルを確率的に分散させることで実データの再現を試み、そのとき最も再現率の高い分散 具合をエネルギー分解能と定義する。今回は結晶そのものが持つ固有の分解能を得る事が目 的である。結晶以外の因子、つまりジオメトリやビームの分散などが分解能に与える影響を MCから理解しておく必要がある。

第6. モンテカルロシミュレーション 6.1. ジオメトリ

(a)後方より (b)前方より

図6.1:ジオメトリ全体

個が20×20×150 mm3 で、その他40個の緑が長さ20×20×120 mm3 の結晶である。実際の実 験での梱包方法と同様に、結晶はテフロンでまとめられ、さらにアルミナイズドマイラー中 に配置される。APDは5×5 mm2 の有感領域がセラミック製カバー内に配置され、結晶の端 面にあわせて設置される。これらの構造は、Geant 4において立方体のネスト構造で実現され る(図6.5、6.6)。結晶の領域は全て理想的な検出器として、結晶中でのエネルギーデポジッ トは全て漏れなく吸収し記録する*1。一般的に、結晶中のエネルギーデポジットの合計は入 射エネルギーと等しくならない。これは、電磁シャワーの結晶アレイ外への漏れ、テフロン、

アルミマイラーや結晶アレイ周辺の構造物によるエネルギー損失が原因である。

結晶の位置とch番号の対応は実験時と同じで、図5.11の通りである。

6.1.1 各構造物の実装

電磁カロリメータを含む、ジオメトリ内に存在する構造物の各々について、以下に記述 する。

World &電磁カロリメータ Worldボリュームは通常の空気で満たされている。電磁カロリ メータはネスト構造になっており、“ブロック”で構成され、各ブロックは“セル”で構 成される(図6.5)。

ブロック ブロックはGeantの表現として、材質がアルミナイズドマイラーの立法体である。

*1分解能0%の検出器を意味する。

第6. モンテカルロシミュレーション 6.1. ジオメトリ

32

12

160 200

140

150 18

40 40

40

180 330

32

12

53 32

7 200

140

160

50

120   10

22

170 144

55

32 40

15 15

160

x z

y

x y z

図6.2: 上部と横から見た時の構造物の位置と寸法(mm)

下方の宇宙線カウンターの上下の位置には10 mm程度の不定性がある。暗箱の前面には0.5 mm厚の遮光シートが存在する。

内部にはセルが隙間無く配置される。セルの数は2×2、2×3、3×2、3×3の4種類存在 する。セルの塊とブロック表面の間は20µm離れている。結果として、複数の隣接す るセルの塊を厚さ20µmのアルミナイズドマイラーが包んだ構造となる。

セル セルはGeant 4の表現としては材質がテフロンの立法体である。内部には結晶とAPD

領域の2つが接するように配置される。それらとセル表面の間は、ブロックと同様にテ フロンの層として捉えることができる。その厚みはテフロン二層分で2×76=152µm である。

結晶 結晶のサイズは、中央の3×3セルのブロックのための20×20×120 mm3 と、その他周 りのブロックのための20×20×150 mm3 の二種類である。材質はGSOである。Geant 内で結晶は、理想的な検出器として定義されている。結晶内で落としたエネルギーは 漏れなく検出され、記録される。

APD領域とAPD APD領域はGeantでの表現として、材質がテフロンの立方体である(図

6.6)。内部には APDのカバーであるセラミック製の9.0×10.6×1.65 mm3 立方体が設 置され、その表面に5×5 mm2 のAPD感度領域が存在する[24]。APD領域は結晶と 隣接してセル内に配置される。

ファイバー プラスチックで実装する。実際は、ϕ1 mmの円形ファイバーが32本ずつ、x 軸、y軸方向に交差しているが、MCでは簡単のため、各軸方向につき厚み1 mmで幅

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第6. モンテカルロシミュレーション 6.1. ジオメトリ

50 160

160 330

300 85

34

x z

y

Fiber fixture Front surface of the dark box Crystal array

&

Fibers

200

180 40

40 40

40 65

65

160 32 3

32

7

図6.3: ビーム口から見る結晶アレイ、ファイバー固定器、暗箱表面部分の位置と寸法(mm)

図6.4: 電磁カロリメータの俯瞰図

32 mmの立方体として実装する。

ファイバー固定器 アルミで実装する。外側の4本の軸の他、断面が三角形でz軸方向に同 じ厚みを持った構造物が内側に実装されている。

暗箱の前面 実験では暗箱で機器全体を覆ったが、MCではビームの影響を大きく受けると 予想される前面のみを実装する。材質は一般的な木材を仮定する。

遮光シート 実験では遮光シートで暗箱の全体を数枚分の層にして覆ったため、MCでは厚 50

第6. モンテカルロシミュレーション 6.1. ジオメトリ

covered by teflon with a 152 µm

thickness

covered by aluminized

mylar

with a 20 µm thickness crystal

20x20x 120 mm

3

crystal 20x20x

150 mm

3

2x2 crystals

2x3 crystals

3x2 crystals

3x3 crystals

y x

z

(beam direction) APD region 20x20x

1.65 mm

3

図6.5: 電磁カロリメータのネスト構造

20x20x1.65 mm

3

: APD region

9.0x10.6x1.65 mm

3

: APD ceramic cover

ドキュメント内 学位論文 Experimental Particle Physicsyushu University (ページ 58-62)

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