第 2 章 量子ダイナミクス
2.4 シュレーディンガーの波動方程式
り立つとすると
[G,[G,[G,· · ·,[G
| {z }
N 個のG
, A]· · ·]]]
= (
GN+1A+
∑N k=1
NCk(−1)kGN+1−kAGk )
− (N−1
∑
k=0
NCk(−1)kGN−kAGk+1+ (−1)NAGN+1 )
=GN+1A+
∑N k=1
( NCk+NCk−1
| {z }
N+1Ck(Pascalの三角形)
)(−1)kGN+1−kAGk+ (−1)N+1GN+1
よりN → N+ 1と置き換えても成り立つ.以上よりベーカー・ハウスドルフの補助定理(2.3.47)が示さ れた.
■式(2.3.50) 式(2.3.50)は,帰納的に [H,[H,· · ·,[H
| {z }
N個のH
, x0]· · ·]] =(−1)n/2(iℏ)nωnx(0) (n: even),
[H,[H,· · ·,[H
| {z }
N個のH
, x0]· · ·]] =(−1)(n+1)/2(iℏ)nωn−1p(0)
m (n: odd) となることから分かる.
■重ね合せ状態(2.3.51)に対する期待値⟨x(t)⟩ 「(2.3.51)に関してとったx(t)の期待値が振動することを,
読者は容易に確かめられよう」(式(2.3.51)の下2行)について,
⟨α|x(t)|α⟩=
√ ℏ
2mω(c0∗⟨0|+c1∗⟨1|)·(a(0)e−iωt+a†(0)eiωt)·(c0|0⟩+c1|1⟩)
∝(c0∗⟨0|+c1∗⟨1|)·(c1e−iωt|0⟩+c0eiωt|1⟩+√
2c1eiωt|2⟩)
=c0∗c1e−iωt+c0c1∗eiωt.
時間に依存しない波動方程式
Hamilton演算子Hと交換する観測量Aを考える.AとHの同時固有状態|a′⟩を初期状態とする波動関数 ψ(x′, t) =⟨x′|a′⟩e−iEa′t/ℏ
に対して
時間に依存する波動方程式 iℏ∂
∂tψ(x′, t) =−ℏ2
2m∇′2ψ(x′, t) +V(x′)ψ(x′, t)
⇒ 時間に依存しない波動方程式
− ℏ2
2m∇′2uE(x′) +V(x′)uE(x′) =EuE(x′), uE(x′)≡ ⟨x′|a′⟩:エネルギー固有関数(Ea′ →E). 束縛状態に対する境界条件の下でこれを解くと,量子化されたエネルギー準位が得られる.
歴史的には波動力学は,光学と力学の類似性,およびde Blogrieの物質波の仮説を根源として,行列力学と は独立に定式化された.後に,波動力学と行列力学の同等性が示された.
以下のような,Schr¨odinger方形式の基本的な解については扱わない.
• 自由空間でのGauss型の波束の時間発展
• 長方形のポテンシャル障壁のある1次元の透過-反射問題
• 時間に依存しない波動方程式の簡単な解
– 箱の中の粒子,四角い井戸の中の粒子,調和振動子,水素原子など
• エネルギー固有関数と固有値の一般的性質
– エネルギー準位のスペクトルはE <lim|x′|→∞V(x′)が満たされるか否かで 不連続か連続になること
– 1次元のエネルギー固有関数はE−V(x′)が正か負かに依ってsine関数か減衰関数になること
波動関数の解釈
時間に依存する波動方程式(ポテンシャルV は実数)
⇒ 連続の方程式 ∂ρ
∂t +∇·j= 0, ρ≡ |ψ|2:確率密度, j≡ ℏ
mIm(ψ∗∇ψ) :確率の流れ.
確率の流れjは運動量と
∫
d3xj= ⟨p⟩t
m , ⟨p⟩t:運動量演算子の時刻tでの期待値 のように関係している.
• Schr¨odinger· · · |ψ|2を物質密度と解釈
– 物質の連続分布は,電子の位置の測定により,空間的拡がりを持たない点状粒子に,
突然縮んでしまうことになる
• Born· · · |ψ|2を確率密度と解釈 波動関数の位相の空間変化が確率の流れを示す:
ψ(x, t) =√
ρ(x, t)eiS(x,t)/ℏ ⇒ j= ρ∇S ℏ .
古典的極限 波動関数を
ψ(x, t) =√
ρ(x, t)eiS(x,t)/ℏ と書くと,時間に依存する波動方程式は
√ρ ( 1
2m|∇S|2+V +∂S
∂t )
−ℏ2 2m∇2√
ρ−iℏ m(∇√
ρ)·(∇S)− iℏ 2m
√ρ∇2S−iℏ∂√ρ
∂t = 0 となる.ここでℏをある意味で小さな量と見なせると仮定して,ℏを含む項を落とすと
1
2m|∇S|2+V +∂S
∂t = 0
を得る.これはSをHamiltonの主関数[作用]と見なせば,Hamilton-Jacobiの方程式である.
また古典力学において,粒子が波面S = const.に垂直な方向p古典的=∇Sに進む軌道を成すことは,波動 光学の短波長極限で,光が波面に垂直な方向に進む光線を成すことに類似している.
半古典的(WKB)近似
1次元の場合を考え,波動関数ψ=√ρeiS/ℏに対し,
• SをHamilton主関数とする:
S(x, t) =W(x)−Et=±
∫ x
p(x′)dx′−Et,
eiS/ℏ=
exp
[i ℏ
(
±
∫ x√
2m(E−V(x′))dx′−Et )]
(E > V) exp
[1 ℏ
(
±
∫ x√
2m(V(x′)−E)dx′−Et )]
(E < V) .
このときℏ→0で成り立つHamilton-Jacobi方程式(2.4.27):
1
2m|∇S|2+V +∂S
∂t = 0 が満たされる(2m1 |∇S|2→ 2m1 ∂S
∂x2=E−V,∂S∂t =−E).
• このとき
√ρ= const [E−V]1/4 となる.実際,
定常状態における連続の式 0 = ∂jx
∂x = ∂
∂x (ρ∂xS
m )
,
∴const =ρ∂xS=ρdW dx =±√
2m(E−V(x)).
以上よりWKB解
E > V ψ(x′, t)≃ const
[E−V(x)]1/4exp [i
ℏ (
±
∫ x√
2m(E−V(x′))dx′−Et )]
, E < V ψ(x′, t)≃ const
[V(x)−E]1/4exp [1
ℏ (
±
∫ x√
2m(V(x′)−E)dx′−Et )]
を得る[指数関数の中身は同じものである]. S=±
∫ x√
2m(E−V(x′))dx′−Et: Hamiltonの主関数 としたとき,Hamilton-Jacobi方程式の導出に用いた条件は
式(2.4.26) :ℏ|∇2S| ≪ |∇S|2
⇔ 式(2.4.37) :λ dV
dx
≪ |E−V|
⇔ 1波長進んだときのポテンシャルの変化λ dV
dx
が(|E−V|に比べて)小さい
⇔ ポテンシャルが緩やかに変化する間にde Broglie波は幾度も振動する(短波長の極限) を意味する.
古典的転回点x=x1, x2(図14参照)の近くではE≃V より短波長の条件が満たされない.
転回点での解の接続(pp.143–144,後で補足する)
; 波動関数の一価性の条件(2.4.43) :
∫ x2
x1
dx√
2m(E−V(x)) = (
n+1 2
) πℏ.
図14 古典的転回点x=x1, x2
■弾んでいるボール 固い床に当たって上下に弾んでいるボールを考える.鉛直上向きをx軸正,床をx= 0 とするとポテンシャルは
V = {
mgx, x >0
∞, x <0 ((2.4.45))
である.このポテンシャルに対してはx≤x1≡0で波動関数u(x)はゼロになるのに対し,WKBの波動関 数はx≤x1に漏れ出すことが想定されている.そこでWKB近似を用いるために,代わりにポテンシャル
V(x) =mg|x|, (−∞< x <∞) (2.4.47)
を考える.パリティ奇の解をとれば剛体の床x= 0での境界条件u(0) = 0が満たされる.このポテンシャル
(2.4.47)に対し ∫ x2
x1
dx√
2m(E−V(x)) = (
n+1 2
) πℏ
から定めた準位Enは,元のポテンシャル(2.4.45)のポテンシャルに対する厳密な固有値Enによく一致する.
式(2.4.45)の形のポテンシャルはクォーク・反クォーク間の相互作用を記述する.
2.4 について
■局所的なポテンシャル 局所的なポテンシャルV(x′)に対する式(2.4.3):
⟨x′′|V(x)|x′⟩=V(x′)δ(x′−x′′)
は時間に依存するSchr¨odinger方程式(2.4.8)の導出には用いられておらず,ポテンシャルが局所的であるこ との定義として述べられているものと考えられる.実際,「厳密な意味でV が局所的であるといわれるのは
⟨x′|V(x)|x′′⟩=V(x′)δ(3)(x′−x′′) (7.1.20) と書けるときである」(p.528)という記述がある.
■確率の流れ(2.4.16) 確率の流れ(2.4.16):
j=−iℏ
2m[ψ∗∇ψ−(∇ψ∗)ψ] = ℏ
mIm(ψ∗∇ψ) は
j= Re [
ψ∗ ℏ im∇ψ
]
とも書ける.
■確率の流れjと運動量の関係(2.4.17)
⟨p⟩t m = 1
m⟨α, t0;t|p|α, t0;t⟩= −iℏ m
∫
d3xψ∗∇ψ, (∵式(1.7.49)) における積分を
∫
d3xψ∗∇ψ=−
∫
d3x(∇ψ∗)ψ (部分積分),
∴
∫
d3xψ∗∇ψ=1 2
∫
d3x[ψ∗∇ψ−(∇ψ∗)ψ]
と書き換えると式(2.4.17):
∫
d3xj= ⟨p⟩t
m , ⟨p⟩t:運動量演算子の時刻tでの期待値 を得る.
■平面波に対する確率の流れ (2.4.20) 平面波の例 (p.138)はj = ρ v = ρp/m = ρ∇S/mとして式 (2.4.20):j=ρ∇S/mを思い出すのにも役立つ.
■式(2.4.25) 式(2.4.25)を導くには,波動関数
ψ(x′, t) =⟨x′|a′⟩e−iEa′t/ℏ の微分を計算することになる.∇2ψについて考える.微分公式
(uv)′′=u′′v+ 2u′v′+uv′′
をu=√ρ, v=eiS/ℏとして適用すると,
∂k2ψ= {
∂k2√ ρ+ 2i
ℏ(∂k√
ρ)(∂kS) +√ ρ
(i ℏ∂kS
)2
+ i ℏ
√ρ∂k2S }
eiS/ℏ
が各成分kに対して成り立つ.そこで両辺kについて和をとると(すなわち繰り返された添字kについて和を とるものと見なすと),∇2ψの式が得られる.
なお式(2.4.25)を得るには,√ρの微分を実行して
∂µ√
ρ= ∂µρ
2√ρ, µ=t, x, y, z とする必要はない.
■Hamilton-Jacobi理論 Hamilton-Jacobi理論(pp.139–140)について復習する [4, pp.175–177,pp.186–
187].系の軌道qi(t)の変分に伴う作用Sの変化は
δS = [∑
i
∂L
∂qi
δqi
]t
t0
+
∫ t t0
∑
i
(∂L
∂qi − d dt
∂L
∂q˙i
) δqidt
である.これ以降,作用の積分路を系の実際の軌道に限定し,作用を終点の時刻と座標の値(t, q)の関数と見 なす(q={qi}).すなわち積分の始点(t0, q0)は固定されており,我々が終点(t, q)を指定すると,それに応 じて始点(t0, q0)と終点(t, q)を結ぶ現実の運動に対応する軌道が積分路として定まる.実際に起こる運動の
軌道はLagrange方程式を満たすので,このとき上式右辺の積分は消え,終点の座標の変化δqiに伴う作用の
変化の式δS=∑
ipiδqiが得られる.この関係から,座標についての作用の偏導関数は
∂S
∂qi
=pi
となる.さらに時間についての作用の偏導関数∂S/∂tが L=dS
dt = ∂S
∂t +∑
i
∂S
∂qi
˙ qi= ∂S
∂t +∑
i
piq˙i,
∴ ∂S
∂t =L−∑
i
piq˙i=−H と求まる.こうして作用積分は
S=∫ (∑
i
pidqi−Hdt )
の形に書ける.
さらに ∂S∂t =−H(q, p, t)における運動量をpi = ∂q∂S
i で置き換えると,関数S(q, t)に対する Hamilton-Jacobi方程式
∂S
∂t +H (
{qi}, {∂S
∂qi }
, t )
= 0 を得る.
■粒子を見出す確率∝1/v 「古典論ではある場所に粒子を見出す確率は速度に逆比例す」(式(2.4.34)の1行 下)ることは次のように理解できる.同一のポテンシャルの中で独立に運動する複数の粒子がx軸上に定常流 を作っているとすると,その粒子数密度をn,流れの速度をvとして,粒子数の保存則は
∂
∂x(nv) = 0, ∴nv= const(時間的,空間的に) (位置xに特定の粒子を見出す確率)∝n∝1/v となる.
■短波長の条件(2.4.37) 短波長の条件(2.4.37)への書き換えは
dW
dx =±√
2m(E−V) d2W
dx2 =±√
2m −V′ 2√
E−V
, ∴
dW
dx
2= 2m(E−V) d2W
dx2 =
√ m 2(E−V)|V′| による.また
λ–≡ λ 2π = 1
|k| =ℏ
p= √ ℏ 2m(E−V) である.
■式(2.4.43) 式(2.4.43): ∫ x2
x1
dx√
2m(E−V(x)) = (
n+1 2
) πℏ は
nπ ≡{式(2.4.41)のコサインの位相} − {式(2.4.42)のコサインの位相}
=1 ℏ
∫ x2
x1
dx′√
2m(E−V(x′))−π 2 として得られる.
■式(2.4.49) ここでポテンシャル(2.4.47):
V(x) =mg|x|, (−∞< x <∞)
に対するパリティ奇の波動関数は2つのコサインが逆符号だから,nは奇数noddになる.このとき式(2.4.49):
∫ x2
x1
dx√
2m(E−V(x)) = (
nodd+1 2
) πℏ が得られる.
nodd = 2n−1, (n= 1,2,· · ·)
と書くと
1 2
(
nodd+1 2
)
=n−1 4 だから,式(2.4.50)に書き換えられる.
■式(2.4.50)左辺の積分
(式(2.4.50)左辺の積分)
=√ 2mE
∫ E/mg 0
dx
√
1− x E/mg
=√
2mE· E mg
∫ 1 0
√XdX (
X ≡ x
E/mg )
=√
2mE· E mg ·2
3
=23/2 3
E3/2 m1/2g.
■元のポテンシャルに対する固有値問題 元のポテンシャル(2.4.45):
V = {
mgx, x >0
∞, x <0 の固有値問題を厳密に解くことについて,Schr¨odinger方程式
u′′(x) =−2m(E−mgx)
ℏ2 u(x) =2m2g ℏ2
( x− E
mg )
u(x) は
X≡a (
x− E mg
)
, Y(X)≡u(x) とおくと
a2Y′′(X) = 2m2g ℏ2 ·X
a ·Y(X) となるから,a= (2m2g/ℏ2)1/3と選べば
Y′′−XY = 0, (22)
∴Y(X) =Ai(X)≡ 1 π
∫ ∞
0
cos (t3
3 +Xt )
dt:エアリー関数
となる.
エネルギー準位(2.4.53)は境界条件
0 =u(0) =Ai(X)|x=0=Ai
(
−aE mg
)
から
aE
mg =λn, ∴E=λn
mg a = λn
21/3(mg2ℏ2)1/3 として得られる.
図15 V′0≡V′(x0)>0となる転回点x0
■古典的転回点でのWKB解の接続(pp.143–144) V′0≡V′(x0)>0となる転回点x0について考える(図 15参照,x < x0:領域II,x > x0:領域III).
x−x0で1次近似されたV(x)に対する解 x−x0で1次近似されたV(x)に対するSchr¨odinger方程式 u′′(x) =−2m(E−V(x))
ℏ2 u(x)≃ 2mV′0
ℏ2 (x−x0)u(x) は
−y≡
(2mV′0 ℏ2
)1/3
(x−x0) と書くと,弾んでいるボールの問題に対する式(22)と同様
d2u
dy2 −(−y)u= 0 となるから,解はエアリー関数
u(x)∝Ai(−y)∝
∫ ∞
0
cos (t3
3 + (−y)t )
dt
で与えられる.これは±13 次ベッセル関数,変形ベッセル関数で表され,その漸近形も知られている: u(x)∝
∫ ∞
0
cos (t3
3 + (−y)t )
dt
→
√π y1/4sin
(2
3y3/2+π 4
)
(y→ ∞ ⇔ 領域II, ∵V′0>0)
√π 2|y|1/4exp
(
−2 3|y|3/2
)
(y→ −∞ ⇔ 領域III, ∵V′0>0)
. (23)
領域IIでのWKB解
u=u++u−, u±(x)≡ A±
√p(x)exp (
±i ℏ
∫ x x0
p(x′)dx′ )
, p(x)≡√
2m(E−V(x)).
転回点x0付近で
u=u++u−, u±(x)≃ A±
(2mℏV′0)1/6y1/4exp (
∓i2 3y3/2
)
. (24)
領域IIIでのWKB解
u=u++u−, u±(x)≡ A′±
√|p(x)|exp (
±1 ℏ
∫ x x0
|p(x′)|dx′ )
, |p(x)| ≡√
2m(V(x)−E).
転回点x0付近で
u=u++u−, u±(x)≃ A′±
(2mℏV′0)1/6|y|1/4exp (
±2 3|y|3/2
)
. (25)
式(24)と式(23),式(25)と式(23)が一致するようにA±, A′±をとると接続公式(2.4.41)が得られる.
計算の確認 式(24)を確かめる.
p(x)≃√
2mV′0(x0−x),
√1
p(x)= 1
[2mV′0(x0−x)]1/4 = 1 (2mℏV′0)1/6
( ℏ2 2mV′0
)1/12
1
(x0−x)1/4 = 1
2mℏV′0)1/6y1/4, 1
ℏ
∫ x x0
p(x′)dx′≃
√2mV′0 ℏ2
∫ x x0
√x0−x′dx′=−2 3
√2mV′0
ℏ2 (x0−x)3/2=−2 3y2/3. 次に式(23)を確かめる.|p(x)| ≃ √
2mV′0(x−x0)なので 1/√
|p(x)| の式は上記の1/√
p(x)の式で x0−x→x−x0,したがってy→ |y|と置き換えたものである.また,
1 ℏ
∫ x x0
|p(x′)|dx′≃
√2mV′0
ℏ2
∫ x x0
√x′−x0dx′ =2 3
√2mV′0
ℏ2 (x−x0)3/2= 2 3|y|2/3. 解を接続するためには
A± =∓√
π(2mℏV′0)1/6e∓iπ/4 2i ととれば良い.これは
√πsin (2
3y3/2+π 4 )
= (
−
√π 2i e−iπ/4
) exp
(
−i2 3y3/2
) +
(√ π 2i eiπ/4
) exp
( i2
3y3/2 )
≡ A+
(2mℏV′0)1/6exp (
−i2 3y3/2
)
+ A−
(2mℏV′0)1/6exp (
i2 3y3/2
)
から分かる.
A′+= 0, A′−=
√π
2 (2mℏV′0)1/6 ととれば良いことは見易い.
以上で領域IIの解(24)は
√ u(x)
π(2mℏV′0)1/6 = 1
√p(x)2i (
e−iπ/4exp (i
ℏ
∫ x x0
p(x′)dx′ )
+eiπ/4exp (
−i ℏ
∫ x x0
p(x′)dx′ ))
= −1
√p(x)sin (1
ℏ
∫ x x0
p(x′)dx′−π 4
)
= 1
√p(x)sin (1
ℏ
∫ x0
x
p(x′)dx′+π 4
)
(∵−sinθ= sin(−θ))
= 1
√p(x)cos (
−1 ℏ
∫ x0 x
p(x′)dx′+π 4
) (
∵sinθ= cos (π
2 −θ ))
と定まり,領域IIIの解(25)は
√ u(x)
π(2mℏV′0)1/6 = 1 2√
|p(x)|exp (
−1 ℏ
∫ x x0
|p(x′)|dx′ )
と定まる.これが接続公式(2.4.42)の意味するところである.