第 2 章 事例分析
2.10 コンゴ民主共和国
2.10.1 基礎情報
表2.10.1 コンゴ民主共和国基礎情報表
コンゴ民主共和国緊急開発調査バ・コンゴ州カタラクト県コミュニティ再生支援調査 2008年8月
〜2009年3月
紛争の 背景・
特徴
紛争の期間 ž 1977年第一次シャバ紛争、1978年第二次シャバ紛争、1991年キンシャ サ市内暴動(西側の支援により鎮圧)
ž 1996年〜2007年(紛争期間中ルサカ合意などが結ばれているが、不安 定な状態は継続した)
紛 争の ステ ー タス (事 業開始時)
ž 2007年 11 月にルワンダ解放民主勢力(FDLR)の武装解除と本国帰還 を趣旨とするナイロビ・コミュニケ、2008年 1 月のツチ系武装勢力で ある人民防衛国民会議(CNDP)その他武装グループとの停戦と武装解 除を趣旨とするゴマ合意、そして、2009 年3 月に武装グループとの和 平合意が成立した。しかし、FDLR及び神の抵抗軍(LRA)は依然とし て、東部地域に留まり、不安定な状況が続いている。
紛争の形態 ž 反政府勢力との武力紛争
紛争の要因 ž 東部は鉱物資源の宝庫であり、独立以前から植民地政府・中央政権・反 政府軍・外国政府・多国籍企業などが資源へのアクセスを巡って争って きた。また、東部には政府の統治権力が及んでいない。
ž 資源配分が不平等である際に代弁できるような平和的、民主的システム がないため、武力で解決しようという傾向が強い。
ž 東部は元々人口密度が高くエスニック集団の構成も複雑である。
ž ルワンダ系の移民・難民のコンゴ民の流出入が、武装闘争の原因になっ ている。
ž 東部のツチ住民の蜂起をきっかけに、ツチ系住民がルワンダ、ウガンダ、
ブルンジからの支援を受けて紛争に発展した。(第一次コンゴ内戦)
ž 東部の反政府勢力の蜂起をきっかけに内戦が始まり、ジンバブエ、ナミ ビア、アンゴラ、チャド、スーダン、リビアがコンゴを、ルワンダ、ウ ガンダ、ブルンジが反政府勢力をそれぞれ支援するという、アフリカ大 戦と呼ばれる内戦が始まった。(第二次コンゴ内戦)
ž 混乱が続くコンゴ民(特に東部)の状況に、国際社会は解決に向けての 有効な行動を取ってきていない。
紛争当事者 ž 政府 vs反政府勢力。ルワンダやウガンダ等周辺諸国が介入した複雑な 国際紛争に発展。
案 件開 始・
実 施時 の不 安定要因
ž 政権内部が不安定である→2008年9月にギセンガ首相、2009年2月に カメレ国会議長が辞任した。
ž 国軍、警察、司法ともそれぞれの役割を果たしておらず、犯罪が横行し 罪が適切な刑事措置がとられていない。
ž 軍、警察を含め公務員に給与が適切に支払われていない。
ž 国民に対して公共サービスが適切に提供されていない。
ž 国民の政府に対する信頼が非常に低い。
ž 政府の実効支配が全土に及んでおらず、武装勢力が活動しても取り締ま れていない。
ž バ・コンゴ州では、カビラの得票率も低く、バ・コンゴ州で活動するキ リスト教系政治団体(BDK)はコンゴ王国の復活を求めて、中央政権に 対立し時折暴動が起こっている。
ž 2009年9月にアンゴラ人追放の措置を取った。
案 件開 始・
実 施時 の安 定要因
ž 首都において政権に軍事的に対抗できる勢力はおらず、首都で大規模な 武装闘争が起こる可能性は低い。
ž 欧米を始めとするドナーの介入が大きいため、戦争状態に戻ることは避 けようとすることが見込まれる。
政治・
行政
政治動向 ž 2006年の大統領選挙では、カビラがベンバを破り、勝利した。ただし、
東部はカビラが勝利し、キンサシャを含む西部ではベンバが勝利したこ とからも、カビラへの国民の支持は限定的であった。それにも関わらず、
内閣では、大統領多数派同盟が(AMP)がほとんどのポストを占めて いる。
ž カビラ政権の特徴は、国際協調路線と反対派の封じ込めである。
行政動向 n 地方行政システム
ž 地方分権を推し進め、地方収入の 40%を地方行政に充てるとされてい る。西部のバンドゥンドゥでは、実施され、中央から配分された収入を 使って刑務所の修繕や学校建設が行われている。
復興計画
ž
コンゴ民主共和国は、拡大重債務貧困国(HIPC)イニシアティブの適 用を受けるため、2006年 7 月、①グッドガバナンスの推進及び制度強 化による平和の定着、②マクロ経済の安定と経済成長、③社会サービス へのアクセス改善と脆弱性の削減、④HIV/AIDS対策、⑤コミュニティ の活性化推進の5項目を柱とするPRSPの作成を完了・採択した。
貧困削減戦略文書(PRSP)
経済・
産業
マ クロ 経済 動向
n 主要経済指標(出典:IMF)
年 2005 2006 2007 2008
GDP(国内総生産・百万USD) 7,103 8,785 9,972 11,928 インフレ率(%) 21.3 13.2 16.9 17.3 失業率(%) NA NA NA NA 産 業・ 労働
人口比率
n 産業
ž 農業45.7%、鉱工業27.7%、サービス業26.6%となっている。(2006年 GDP比)
ž 鉱工業セクターはGDPの約3割を占めているが、不法取引が多く、正 確な生産量は公式統計に反映されていない。
ž 労働人口比率
ž 労働人口の75%が農業(自給・商業)に従事している。
経 済・ 雇用 面 での 紛争 の影響
ž 1991年来のモブツ政権末期の情勢混乱、1997年のモブツ政権の崩壊、
1998年のコンゴ民紛争の再発などに起因して、コンゴ民の経済は壊滅状 態に陥った。
社会
コ ミュ ニテ ィの特性
n 人口的特性
ž 総人口6,420万人(2008年)。モンゴ族、ルバ族、コンゴ族などのバン
ツー系、スーダン系、ナイル系など250以上の民族で構成されている。
n 地理的特性
ž 広大な領土に石油・金・銅・コバルト等豊富な地下資源、アマゾンに次 ぐ世界第二位の森林「コンゴ盆地」を有しており、人口も多いことから、
潜在的な発展の可能性は高い。
n 社会習慣
ž 地縁、血縁主義が強いと言われ、マタビシと呼ばれる賄賂も横行してい る。元々は、相互扶助的なものであったが、次第にパトロン・クライア ント関係が政治に利用されるようになり、権力者とその周辺による汚職 体質へ繋がったと考えられる。
IDP・難民・
DDRの動向
n IDP動向
・ 2009年10月時点で、約214万人。2年前の約2倍の数字となっている。
n 難民動向
ž 合計約32万人、それぞれザンビア、タンザニア、ブルンジ、ルワンダ、
ウガンダ、スーダン、コンゴ・ブラザビル、中央アフリカ等に滞在して いる。
n DDR(武装解除・動員解除・社会復帰)プログラム
ž 2003年12月にDDRの法的枠組みが決まり、2004年から国家DDR計画(フ ェーズ1)が開始された。フェーズ1では約13万、フェーズ2では約4000 人の動員解除が行われた。
ž キブの反政府軍対象のアマニ・プログラムというDDRプログラムもあ る。しかし、このプログラムは武装解除を経ず、所属部隊は不変で命令 系統も変わらないという問題がある。
1997年5月、ローラン・カビラ議長率いるコンゴ・ザイール解放民主勢力同盟が、ルワンダや ウガンダなどの支持を得て首都キンシャサを制圧し、同議長が大統領に就任、国名をザイール共 和国からコンゴ民主共和国に変更した(第一次コンゴ内戦)。しかし、その後当時のカビラ大統領 と彼の元同僚の間の亀裂が深化し、カビラ派と反カビラ派の間で内戦が再発した。アンゴラ、ナ ミビア、ジンバブエはカビラ派を支援し、ルワンダ、ウガンダは反カビラ派を支援したことによ り国際紛争へ発展した(第二次コンゴ内戦)。1999年 8 月末停戦協定(ルサカ協定)が成立した が、しばしば戦闘の発生が伝えられ不安定な情勢が継続した。2002年にプレトリア包括和平合意 が成立、2003年にジョセフ・カビラ大統領をトップとする暫定政権が発足した。
紛争の背景・特徴
2005年12月の国民投票で憲法が圧倒的多数で承認され、2006年の2度にわたる大統領選挙と 国民議会選挙が実施され、独立後初の民主的政権への移行が実現した。政府は国際社会からの支 援を得つつ、経済発展、民主主義と平和の定着の実現に向けて取り組んでいる。当選したカビラ 大統領の特徴は、国際協調路線と反対派の封じ込めである。大統領就任後、各国に招かれ、2007 年には中国から80億ドルに上る借款を取り付けている。
政治・行政
また、地方分権を推し進め、地方収入の40%を地方行政に充てるとされている。
1970年代初期までは,順調な経済発展を遂げたが,銅価格の低迷,対外債務の増大等によって 1970 年代末期以降経済困難に直面。1991年の内政混乱以降,1997 年のモブツ政権の崩壊,1998 年のコンゴ(民)紛争の勃発等のために経済は壊滅状態となった。2006年の選挙により正式に就 任したジョゼフ・カビラ大統領は,復興のために,マクロ経済の安定,経済改革の推進に努めて いる。2002年6月に,暫定版貧困削減戦略文書を策定し,2003年7月にはIMFによりHIPC(重 債務貧困国)イニシアティブの決定時点到達,2010年6月には同イニシアティブの完了時点に到 達した。主要産業は農業でGDPの約40%を占める。また、豊富な天然資源に恵まれ鉱物資源の輸 出が外貨獲得に貢献している。輸出の約9割がコバルト・ダイヤモンド・金等で占められている。
経済・産業
10 年間に亘る紛争の結果、コンゴ民の社会経済状況は、紛争以前の 1980年代と比較しても悪 化している。GNI(国民総所得)の低さからも、一般市民の生活は非常に厳しいと言える。人間 開発指標も低位であり、農村部と都市部の格差も問題となっている。公共サービスはなく、公務 員も給料未払い状態が続いている。IDP や難民問題も2年前と比較して増加しており、一般市民 にとっての状況が改善されたとは言えない。
社会