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オープンイノベーションにおける大学・中小企業・地域の役割と支援策

ドキュメント内 Ⅰ-1 (ページ 176-189)

III. イノベーション促進のためのインフラ整備

5.  オープンイノベーションにおける大学・中小企業・地域の役割と支援策

オープンイノベーションの下での 大学・中小企業・地域の知財戦略の広がり

A. オープンイノベーションにおける大学の役割

○近年の産学連携の推進とオープンイノベーションの進展を背景に、大学等と企業との 共同研究や受託研究は、件数・金額共に増加している。大学等においてもオープンイ ノベーションに対応した産学連携を行うことは、大学の教育・研究の活性化に資するこ とから、企業等との共同研究は今後も増加していくものと推測される。

○また、大学による研究成果には、将来的に基本特許につながる可能性があるものが 含まれていることから、企業からは技術分野や産業分野に合致した産学連携が求めら れている。また同時に、地域におけるイノベーション創出に関しても大学等との連携に 対する期待は高く、単なるシーズ提供にとどまらず、シーズの評価や知財人材の育成 など大学には多様な役割が求められている。

C. オープンイノベーションの下での知財戦略の広がり

○オープンイノベーションが進展する分野を中心に、社外に存在する知識の活用が重 要となっている。中小企業においても、社外の知識の活用や自社の有する知識の活 用のために積極的な知的財産のライセンスイン、ライセンスアウト等が求められている。

このため、中小企業と大学、中小企業と大企業間などのマッチングの促進が重要に なっている。

○米国においては、研究開発から事業化までのシナリオを「知財の視点」から総合的に プロデュースするビジネスが現れており、大学や中小企業においては、こうしたビジネ スを活用しつつ戦略的な知財管理の促進や保有する技術の活用につなげることも重 要であると考えられる。

○複数の大学・企業等が「研究開発コンソーシアム」を形成して、連携して研究開発を 行うといったケースが増えてきており、今後、こうした形態での研究開発を活性化させ ていくことは、イノベーションを促進していく上で重要になってくると考えられる。

○一方、こうしたコンソーシアムが、円滑に研究開発を行い、その研究成果をイノベー ションにつなげていくためには、適切な知財戦略を策定することが必要不可欠である。

そのため、知財戦略構築の専門家チームを派遣することにより、当該コンソーシアムに おける知財活用戦略の策定等を支援することも重要と考えられる。

B. オープンイノベーションにおける中小企業・地域の役割

○我が国製造業の企業間取引は、「系列取引」から多数の取引先との多面的な取引関 係(取引関係の「メッシュ化」)へと変化しており、研究開発を行う上で他の企業や大学 等と連携するケースも少なくない。このような状況の下、中小企業がイノベーション創出 の中で果たすべき役割にも多様性が求められている。

○経済のグローバル化により、中小企業の知的財産活動においても、製品の製造国や マーケットとなる国々へのグローバルな対応が必要となっている。

○地域におけるイノベーションを創出するために、地域の特色を生かした事業展開が望 まれている。

国の資金が投入された研究開発コンソーシアムを対象にした

特許庁・INPITによる知財プロデューサー派遣事業

2. 派遣チームの構成

INPIT ((独)工業所有権情報・研修館)において、例えば、以下のような派遣チームを組織する。

<スケジュール>

2008年度から、事業を試行する予定。

2009年度に向けた予算要求を行い、事業の更なる拡充を図る。

国の資金が投入され、複数の大学・研究機関が連携して取り組んでいる「研究開発コンソー シアム」を対象にして、特許庁・INPIT((独)工業所有権情報・研修館)が一定期間集中的に知的財産戦 略の専門家を派遣する 研究コンソーシアムにおける特許出願戦略、特許活用戦略 等の知財戦略の策定を支援し、さら

ことにより、

なる研究開発の促進を図る。

<概要>

<具体的取組>

対象となる研究開発コンソーシアム 1.

支援チームリーダーとして知財戦略を統括する 関連技術・特許の動向についての知見が豊富な

企業などの事業化ニーズをよく把握している

出願手続において強い特許権を作り上げることができる 特定の技術分野に専門性を有した

知財プロデューサー ( 新設 ) 特許情報活用支援アドバイザー 特許流通アドバイザー

弁理士

知財プロデューサーは、経営と技術 の双方の観点からプロジェクトを リードできる人材を選任

研究 開発戦略の策定の支援

知財戦略の策定( 周辺部分も特許と しておさえ、戦略的な知財ポートフォリオを構築)

特許の活用・事業化 戦略の策定

特許庁・INPITに対して、知財プロデューサー派遣事業による支 援の要請があったもの、又は公募(検

(選任されるまでの間は、INPITの大 学知的財産アドバイザーを充てる)

3. 派遣チームによる支援内容

①「特許マップ」や「特許出願技術動向調査」等の特許情報を活用することによる、

②研究開発の成果についての コアの部分だけでなく

③将来の事業化段階で必要となる「ライセンス契約」の整備などの、

4. 派遣期間

原則、1年間。

この間に、知財戦略上の課題を集中的に洗い出し、中長期の戦略を策定する。

国の資金が投入され、複数の大学・研究機関が連携して取り組んでいる「研究開発コンソー シアム」 等のプロジェクトで、

討中)。

ライセンス戦略としては、例えば、

„ リサーチツール特許ポートフォリオについては、研究開発の自由度を高めるためにも、合理的な対価でのライセンス が明確になることが必要であり、リサーチツール特許等データベース等の活用も必要。

„ 事業につながる可能性の高い特許ポートフォリオについては、戦略的ポートフォリオを構築したうえで、利益を上げる ことを念頭においたライセンス戦略をとることも重要。

(1)  オープンイノベーションにおける大学 

産学連携や大学等における知的財産活動は着実に増加しており、イノベーションを促進するため、大学 が果たすべき役割は重要である。 

 

(a)  産学連携 

近年の産学連携の推進とオープンイノベーショ ンの進展を背景に、大学等と企業との共同研究 や受託研究は、件数・金額共に増加しており、平 成 18 年度における企業等との共同研究は 14,000 件を突破している。参考 III-21 

 

研究開発のグローバル化が進む中で大学等に おいてオープンイノベーションに対応した産学連 携を行うことは、大学の教育・研究の活性化に資 することから、企業等との共同研究は今後も増加 していくものと推測される。 

 

       大学の知財に対する権利意識 

      昔の大学は、知財に対して中立的な立 場を守ってきた。大学の権利意識だけが強くなっ てくると、イノベーションを生み出す力が落ちてし まうという懸念もある。大学の知財に対する「正し い姿勢」というものを作り上げていく必要がある。 

(委員意見) 

 

       産業界の意見を積極的に取り入れる          仕組み作り 

  大学における研究成果についての権利化を図 るに当たって、産業界の意見をより積極的に取り 入れる仕組み作り(例えば、研究成果に関心を 持つ企業と守秘契約を交わすことにより事業化を 想定した権利化への協力を得る等)を検討すべ きではないか。これにより、いい研究成果であれ ば、企業が海外出願の費用を補助するケースも 出てくることもあり得、グローバル知財戦略の観 点からも望ましいものと考える。事業化の視点を 持たない出願では、権利化しても活用されること が少ないばかりか、国際産業競争力強化の観点 からも有益であるとは考えられない。 

(日本知的財産協会) 

(b)  大学の知的財産活動 

大学知財本部やTLOの整備等の影響もあり、こ れまで急増していた大学からの特許出願件数の 伸びは、2005 年から 2006 年にかけて微増と、一 段落している。各大学別にみると、特許出願件数 が増加した大学と減少した大学とは半々であるこ とから、大学は研究成果を特許出願することの奨 励から、選別して特許出願する行動に移行してき ていることが推測される。29

なお、審査の結果、特許となる比率は、約 60%

とほぼ一定である。参考 III-22 

大学等における特許権の実施料収入について は、平成 17 年度から急増しており、平成 14 年度 の 2 億 5200 万円から平成 18 年度の 8 億 100 万 と約 3 倍に増加している。参考 III-23 

 

大学等による研究成果には、長期間を経た後 に実用化され、将来的に基本特許につながる可 能性があるものが含まれていることから、企業から は技術分野や産業分野に合致した産学連携が求 められている。また同時に、地域におけるイノベー ション創出に関しても大学等との連携に対する期 待は高く、単なるシーズ提供にとどまらず、シーズ の評価や知財人材の育成など大学には多様な役 割が求められている。 

       

29  特許庁  「特許行政年次報告書 2008 年版」  2008

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