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イノベーションと特許システムの基盤となる技術情報インフラの構築

ドキュメント内 Ⅰ-1 (ページ 153-168)

III. イノベーション促進のためのインフラ整備

3.  イノベーションと特許システムの基盤となる技術情報インフラの構築

イノベーションと特許システムの基盤となる 技術情報インフラの構築

A. オープンイノベーションの進展とグローバル化の特許システムへの影響

○グローバル化やIT技術の進歩により、グローバルに知識・情報の共有が進み、有益な 知識が世界中に豊富に存在する環境が生まれつつある。こうした環境においては、効率 的な研究開発と特許出願、さらには的確な特許審査のため、内外の特許文献や論文・

雑誌等の技術情報を効率的に獲得していく必要がある。

○企業活動がグローバルに展開することにより、世界の特許出願は増加しており、特に、

中国と韓国の特許庁への出願が増加している。研究開発動向や先行技術情報を得るた めにも特許情報は重要であることから、海外の特許情報の重要性は高まっている。

B. イノベーションを促進するためのシームレスな検索環境

○海外の特許情報や論文・雑誌等の技術情報へのアクセス環境については、言語の壁 や著作権の問題により、必ずしも整備されているとはいえない。

○このため、研究開発と特許システムの双方にとって、イノベーションのグローバル化や 技術分野毎の情報構造の相違等に対応した、世界中の特許情報や論文等の技術情 報をシームレスに検索・参照できる環境整備が必要となっている。

C. 特許庁の新検索システム

○特許庁の検索システムは「知的創造サイクル」を支えるインフラとしての役割を有してお り、オープンイノベーションの進展やグローバル化などによる爆発的な情報量の増加に 対応したイノベーションインフラとしての整備・拡充が求められている。

○このため、2014年の稼働を予定している特許庁の新検索システムについて、このような 環境に対応した開発を行うことにより、特許庁のシステムを通じた、官民全体のイノベー ションインフラとしての整備・拡充を図る。

○特許庁の新検索システム(2014年稼働予定)の開発における、基本方針は次のとおり。

(i) 企業・大学におけるイノベーションの促進のためのインフラ整備に資するように、可能 な限りオープンな形を採用する。

(ii) 特許庁が保有している特許情報のコンテンツとグローバルに存在している技術情報 をシームレス(横一列)に検索できる環境(データ、システム(検索機能))を外部で利用可 能とする。

D. コミュニティパテントレビュー(CPR)の検討

○CPRとは、企業や大学等の研究者・技術者等をはじめとする民間のコミュニティが、イン ターネット上で、特許出願に対するレビュー(最適な先行技術についての情報開示、議 論等)を行い、その結果有益な先行技術であるとされた文献等を審査用資料として特許 庁に提出するという取組である。

○CPRは、企業や大学等の研究者・技術者等が有している知識を特許審査に活用し、特 許審査における官民のワークシェアリングを進めるものであり、特許審査の更なる効率化 や質の向上を図る上で有効と考えられる。現在、米国において試行が始まっており、今 後、世界各国に広がることも予想されることから、我が国においても、米国の試行状況を 踏まえ、試行を行う。

グローバルなイノベーションインフラとしてのシームレスな検索環境

官民のWSにも資する特許庁の新検索システム開発

特許庁新検索システムの開発に際して、大学・企業等のイノベーション促進にも資するように 可能な限りオープンな形を採用し、特許情報とグローバルに存在している技術情報をシームレ スに(継ぎ目なく)検索できる環境を整備する。

<概要>

<具体的取組>

<スケジュール>

2008年秋頃、特許庁の新検索システムの基本的な計画の策定公表。大学・企業等を含めた検討の場を設ける。

2014年1月、新検索システムリリース予定。

Web情報

国内外特許文献

非特許文献

商用データベース 学術文献

許諾に基づく参照 特許情報へのアクセス

社内 データ 学内

データ

中国・韓国特許文献 (機械翻訳)

大学・研究機関 企業

特許庁

マニュアル・カタログ等 Web情報

国内外特許文献

非特許文献

商用データベース 学術文献

許諾に基づく参照 特許情報へのアクセス

社内 データ 学内

データ

中国・韓国特許文献 (機械翻訳)

大学・研究機関 企業

特許庁

マニュアル・カタログ等

1. コンテンツの共有と拡充

¾大学・企業等との技術情報データの共有 大学・企業等が保有する外部データベースと特許 庁のデータベースとの連携を強化する等、

る。

¾特許庁の保有するコンテンツの拡充 民間ではデータ ベース化されない技術情報等の収集・蓄積を図る。

大学・

企業等との技術情報データの共有を図 中国語・韓国語の特許文献や

2. システム(検索機能等)のオープン化 /共有

効率的な検索を可能とするツールを開発し、

外部ユーザーと共有する。

・概念検索、図形イメージ検索、

・検索エンジンの強化ルール、

・翻訳辞書・シソーラス辞書 等

ポジティブなフィードバック

3. フィードバックメカニズムの構築

特許庁が保有するコンテンツ、システムについては、可能 な限り外部にオープンにすることで、公共財として民間の利 用に供すると共に、民間による更なる研究開発を促進し、そ れをさらに特許庁のシステムにも反映するという

ポジティブなフィードバック

特許庁のコンテンツとシス テムを外部にオープンに

<背景>

近年の経済のグローバル化やITの進歩等により、イノベーション 活動は、その主体が多様化するとともに、地理的にもグローバルに 広がってきている。

こうしたイノベーションをとりまく環境の変化に伴い、

学等が効率的に研究開発を推進して いくためには、

ている。

また、特許審査においても、特許文献以外の情報や海外の特許 文献情報の重要性が高まっており、これらの情報に容易にアクセ スできるインフラの整備が必要不可欠となっている。

ポジティブ フィードバックが可能な仕組みを構築。

論文と特許の 垣根が低くなってきており、大

論文情報と特許情報とに一括してアクセスできる環 境を整備することが重要となっ

0%

10%

20%

30%

(出典)2006年の審査実績から特許庁作成 特許文献以外の情報により特許が拒絶された比率

バイオ分野(学術論文が多い)

IT分野(情報分野は雑誌・書籍が、

通信分野は学術論文が多い)

学術論文、企業内技術情報、内外特許文献等の様々な情報を 一括して検索できるシームレスな(継ぎ目のない)検索環境を実 現する。

※一次審査において特許文献以外の情報を引用して拒絶理由が通知され た比率

韓国のみに出願した文献

(海外ファミリ文献無)比率

海外ファミリ 文献無

42%

海外ファミリ 文献無

59%

(出典)DerwentWorld PatentIndex(1985〜2007)から特許庁作成 海外ファミリ

文献有 58%

海外ファミリ 文献有

41%

中国のみに出願した文献

(海外ファミリ文献無)比率

※中国・韓国の特許文献においては、機械翻訳に よる英訳の提供などの取組がなされている。

(1)  オープンイノベーションの進展とグローバル化の特許システムへの影響 

○オープンイノベーションの拡大とグローバル化に伴い、世界的に情報の共有、共通の検索環境が必要と なってきている。 

○イノベーション(研究開発)と世界の特許システムにとって、効率的な先行技術調査を可能とする、官民を 通じたグローバルな検索環境が重要となっている。 

○世界の特許情報へのアクセスの必要性が増しており、例えば、中国と韓国等の特許情報へのアクセスの 重要性は、これらの国の特許出願の急増とともに増しつつある。 

(a)  オープンイノベーションの進展とグローバル化 する情報へのアクセス環境 

オープンイノベーションの進展やグローバル化、

IT技術の進歩により、グローバルに知識・情報の 共有が進みつつあり、有用な知識が世界中に豊 富に存在する環境が生まれつつある。こうした環 境において、限られた経営資源により研究開発を 行うためには、グローバルな知識や情報を効率的 に獲得・処理していく必要がある。 

こうしたことは、企業や大学等における研究開 発及び特許審査の双方に共通の課題としてみら れるようになっている。 

すなわち、研究開発を促進するためには、研究 者等が日本国内の論文だけではなく、世界中の 特許文献や論文情報に容易にアクセスできる環 境が整備されていることが非常に重要であるし、

特許審査においても、より質の高い特許権を付与 していくためには、内外の特許文献や論文情報 等に効率的にアクセスできる環境の整備が進むこ とが必要不可欠である。特に、生命・環境、情報・

通信等の分野の特許審査においては、論文や技 術雑誌等が先行技術情報として非常に重要とな っている。参考III-11 

こうしたことを裏付ける事実として、例えば、「一 太郎」のアイコン訴訟(平成17年(ネ)第10040号)が 挙げられる。訴訟では、松下電産の特許は出願 前に公開されていた英語の刊行物及び周知の技

術事項に基づいて当事者が容易に発明できたも のであり、特許として無効とすべきであると認定さ れた。この英語の刊行物は、ヒューレット・パッカー ド社が提供するコンピューター用のアプリケーショ ンの実装について説明するものであった。 

また、人工多能性幹細胞(iPS細胞)に関する研 究開発を見ても、特許出願のみならず複数の論 文発表がなされているように(後述)、ライフサイエ ンス分野における特許文献以外の技術情報の重 要性をうかがい知ることができる。 

 

       技術情報へのアクセス環境 

      先行技術の網羅的な調査をする場合、

現在は、国内外の特許系の DB、国内外の文献 系の DB、さらには、必要に応じて学会情報、パ ンフレットやカタログ類、Web の記載等を個々に チェックする必要があり、煩雑である上に、時間も かかる。 

(東京医薬品工業協会  知的財産研究会  特許 情報部会) 

 

(b)  イノベーションと特許システムのグローバル化  企業活動がグローバル化することにより、世界 規模でイノベーションが進展している。特許出願 を見ても、世界の特許出願は急増しており、1995 年時点は年間約100万件程度の出願件数であっ たものが、2005年には年間約166万件に達してい る。中でも、五庁(日本、米国、欧州、中国、韓国) に対する出願は、世界の特許出願件数約166万 件のうちの約77%を占めている。特に、中国と韓国 の特許庁への特許出願件数が近年伸びてきてお

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