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本博士論文では、売上や利益、顧客数の増加、顧客満足度の向上など、エクスターナル・

マーケティングに影響を与えるインターナル・マーケティングとしての要素、それもリーダ ーシップに関する要素について明らかにすることが目的である。このため、そのような要素 を、ケース・スタディ・リサーチによって抽出しようと考えている。

ケース・スタディ・リサーチにおいて要素を抽出する場合、対象となるケースから、着目 している結果と直接的に関係している要素を抽出する場合は、その因果関係に基づき、要素 を抽出することとなる。しかしながら、着目している結果と直接的ではなく、結果となる終 点と起点の間に、その間をつなぐ間接的な要素が入っている場合は、起点となる要素が見え にくいことがある。この見えにくくなり、埋もれている要素を表面化させていくため、比較 による分析を行うものである。

さらに、比較の方法についても、ケース対象組織の全てが1対1であたるように比較を行 い、計10回の比較を行っている。最初に1対1の比較を行い、その内容をまとめたものと 次のケースの比較を行っていく、計4回の比較を行った場合、最初の1対1の比較では要素 が表面化する可能性が高い。しかし、さらにその次のケースと比較する前に、最初の比較の 内容をまとめてしまうため、際立った要素がまとめた内容の中に埋もれてしまい、その次の ケースと比較しても、要素が表面化せず、重要な要素が埋もれてしまう可能性が高い。

このように、要素が表面化することなく埋もれてしまうことを避けるため、全てのケース が1対1であたるように比較したのである。

2 5つの組織の比較から明らかとなったポイント

ここでは、5 つのケース(組織)を比較分析することによって明らかとなったポイントに ついて述べていく。

なお、5つのケース(組織)の比較分析の内容については、「補論:ケース(組織)の分析 における比較の内容」を参照していただきたい。

(1)中小組織支援相談所と円山動物園との比較分析結果のポイント

ここでは、中小組織支援相談所と円山動物園の2つの組織の比較分析について、インター ナル・マーケティングにおけるリーダーとしての要素の点からポイントを整理する。

相違点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲、人的資源効果導出力、組織での考 え方の基礎構築の有無、リーダーシップの有無が挙げられる。リーダーからフォロワーへの アプローチでは、職務の視点、人的資源効果導出、組織正義に反する行為が挙げられる。

このような要素の違いが、フォロワーの要素では、従業員満足度、顧客意識の違いをもた らし、フォロワーから顧客へのアプローチでは、顧客対応力に違いがでてきた。それらのこ とが、顧客満足度、顧客数、顧客ロイヤルティにおいて逆の結果をもたらした。

類似点としては、リーダーの要素であるが、就任当初はその組織や業務内容に関する専門 的知識がなかったことが挙げられる。しかしながら、円山動物園では人的資源効果導出力に よって組織の業績を改善させており、就任後に自らも学習しているため、リーダーの要素と して見ると、就任当初においては、専門的知識は必ず必要となる要素ではないことがわかる。

ここでは業績(結果)が逆の組織を比較したため、類似点が少なく、多くの相違点が表れ たが、重要なことは、業績(結果)が逆の組織を比較することによって、業績(結果)が良 い組織にはどのような要素があるのかをより明確にする効果もあった。

(2)はとバスを加えた比較分析結果のポイント

ここでは、既に分析を行った中小組織支援相談所と円山動物園にはとバスを加え、はとバ スと中小組織支援相談所、はとバスと円山動物園の比較分析について、インターナル・マー ケティングにおけるリーダーとしての要素の点からポイントを整理する。

相違点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲、率先垂範力、リーダーシップの有 無、人的資源効果導出力、組織での考え方の基礎構築の有無が挙げられる。

リーダーからフォロワーへのアプローチでは、職務の視点、従業員への対応改善、組織正 義に反する行為、従業員を顧客と見ている点、人的資源効果導出が挙げられる。

このような要素の違いが、フォロワーの要素では、従業員納得度や従業員満足度、顧客視 点や顧客意識に違いをもたらし、フォロワーから顧客へのアプローチでは、顧客視点行動や 顧客対応力に違いがでてきた。それらの違いが、顧客満足度、顧客数、顧客ロイヤルティに

影響を及ぼした。

類似点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲が挙げられる。リーダーからフォロ ワーへのアプローチでは、従業員への対応改善が挙げられる。

これらの3つの組織における比較分析での新たな要素としては、リーダーの要素では、率 先垂範力が挙げられる。リーダーからフォロワーへのアプローチでは、従業員を顧客として 見る点が挙げられる。また、リーダーから顧客へのアプローチとして、リーダーが自ら顧客 の調査、商品等の改善や絞り込みなどの行動を行う点が挙げられる。

ここでは業績(結果)が逆の組織だけでなく、良い組織同士も比較したため、類似点とま では言えないが、同様の影響を与える要素も見られた。

(3)テッセイを加えた比較分析結果のポイント

ここでは、既に分析を行った中小組織支援相談所、円山動物園、はとバスにテッセイ(JR 東日本テクノハートTESSEI)を加え、テッセイと中小組織支援相談所、テッセイと円山動物 園、テッセイとはとバスの比較分析について、インターナル・マーケティングにおけるリー ダーとしての要素の点からポイントを整理する。

相違点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲、組織改善意欲、観察力、人材育成 力、率先垂範力、リーダーシップの有無、組織での考え方の基礎構築の有無、人的資源効果 導出力が挙げられる。リーダーからフォロワーへのアプローチでは、職務の視点、従業員を 褒めること、人事制度改善、組織正義に反する行為、従業員を顧客と見ている点、人材育成、

人的資源効果導出が挙げられる。

このような要素の違いが、フォロワーの要素では、従業員納得度や従業員満足度、顧客視 点や顧客意識に違いをもたらし、フォロワーから顧客へのアプローチでは、顧客視点行動や 顧客対応力に違いがでてきた。それらの違いが、顧客イメージ、顧客満足度、顧客数、顧客 ロイヤルティに影響を及ぼした。

類似点としては、リーダーの要素では、フォロワーの力の活用が挙げられる。リーダーか らフォロワーへのアプローチでは、従業員への対応改善、従業員を顧客として見ていること が挙げられる。

これらの4つの組織における比較分析での新たな要素としては、リーダーの要素では、観 察力、人材育成力、特にリーダーの育成が挙げられる。リーダーからフォロワーへのアプロ

ーチでは、褒めることが挙げられる。また、リーダーが業務(サービス内容)の拡大を行っ た点も挙げられる。

ここでは4つの組織を比較することとなり、比較する延べ数が増加したため、相違点と類 似点の両方に挙げられる要素が多く見られるようになった。また、類似点とまでは言えない が、同様の影響を与える要素も見られた。

(4)旭山動物園を加えた比較分析結果のポイント

ここでは、既に分析を行った中小組織支援相談所、円山動物園、はとバス、テッセイ(JR 東日本テクノハートTESSEI)に旭山動物園を加え、旭山動物園と中小組織支援相談所、旭山 動物園と円山動物園、旭山動物園とはとバス、旭山動物園とテッセイの比較分析について、

インターナル・マーケティングにおけるリーダーとしての要素の点からポイントを整理する。

相違点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲、組織での考え方の基礎構築、人的 資源効果導出力、リーダーシップの有無、専門的知識の有無、率先垂範力、観察力、人材育 成力が挙げられる。リーダーからフォロワーへのアプローチでは、組織での考え方の基礎提 供、人的資源効果導出、職務の視点、組織正義に反する行為、従業員への対応改善(人事制 度改善)、従業員を顧客として見ていること、従業員を褒めること、人材育成が挙げられる。

このような要素の違いが、フォロワーの要素では、従業員納得度や従業員満足度、顧客視 点や顧客意識に違いをもたらし、フォロワーから顧客へのアプローチでは、顧客視点行動や 顧客対応力に違いがでてきた。それらの違いが、顧客イメージ、顧客満足度、顧客数、顧客 ロイヤルティに影響を及ぼした。

類似点としては、リーダーの要素では、顧客訴求意欲、人的資源効果導出力、組織での考 え方の基礎構築、フォロワーの力の活用が挙げられる。リーダーからフォロワーへのアプロ ーチでは、従業員への対応改善、従業員を顧客として見ていることが挙げられる。

これらの5つの組織における比較分析での新たな要素は見当たらない。このため、これ以 上の比較分析を行っても、新たな要素は発見できないと考える。