第3章 電子商取引を支える技術的、商業的、社会的なインフラ 表1 電子商取引: 主な政策的課題
6. イギリス、オーストラリア、カナダ、デンマーク、韓国におけるICT 統計の整備状況
平成13年8月に東京で開催された「情報社会のための統計に関する IAOSサテライト・ミーティン グ」において、イギリス、オーストラリア、カナダ、デンマーク、韓国からICT統計の整備状況につい て報告があったので、以下に要約する。
(1)イギリス:「Eコマースの計測:イギリスにおける展開」
イギリス国家統計局(ONS)は年次ビジネス調査にインターネットの質問を追加し、同時に2つの 調査(一般的な調査とISPs調査)を実施している。また、世帯でのインターネット利用に関する分析 をおこなうために、インターネット関連の質問を3つの世帯調査と一つの個人調査に追加している。
その他のプロジェクトにおいても電子商取引設備と専門的技術を供給するICTセクターの測定方 法を検討中である。
(a) ビジネス調査
・ ビジネス電子商取引調査:2001年1月より年次調査を開始(インターネット、電子商取引の使用 状況)
・ インターネットプロバイダー調査:2000年1月オーストラリアのISP調査をモデルとして、100のイ ンターネットサービスプロバイダーに月次調査を開始(加入者数、サービス供給、インターネッ トアクセス技術等)
・ 年次ビジネス調査:2000年の調査で、インターネットで販売と仕入をしているかどうか、ウェブサ イトを持っているかどうかを調査(7万のサンプル)
・ 既存統計への取込み:2000年5月の調査では電子商取引の効果を立証するために、全ての ONSのビジネス調査といくつかの社会的な調査で実行された。
(b) 世帯調査
・ オムニバス調査:回答者数は 1700 人の多目的調査で 1 年に 8 回実施。2000 年 7 月以来、4 半期に一回インターネットアクセスと電子商取引に関する質問が含まれる。
・ 家計費用調査:サンプル数 7000 の年次調査で支出パターンの詳細情報を把握。1998 年 4 月 以来インターネットにアクセスすることができるかの質問が含まれ、2000 年 4 月からは購入店を 記録するようになっている。
・ 一般の世帯調査:サンプル数 8000 の年次調査で、世帯の特性に関する様々な一般的な質問 を行う。2000 年 4 月、いつ、どのようにコンピュータやインターネットを使用しているかを追加し、
2001 年末までにデータを利用可能。
・ 労働力調査:仕事でテレワーキングやコンピュータを使用しているか、学習目的でインターネッ
トか CD-ROM を使用しているかの質問が含まれる。
・ 時間利用調査
(2)オーストラリア:「オーストラリアにおけるICT採用に関する官庁統計の開発」
1990年代前半からオーストラリア統計局(ABS)はIT財貨とサービスの生産、分配、使用を測定す るIT&T統計戦略を導入している。供給側(IT&T業界)と需要側(世帯、個人、ビジネス、農家及 び政府によるITの使用)をカバーするための特別調査を導入している。この戦略には5つの要素が ある。
・ 国際的な統計基準による開発
・ 連邦と州/準州政府の現在の政策関心
・ 統計的な実行可能性
・ 回答者の報告負担の最小限にする必要性
・ 資源利用可能性(資金、利用可能な調査手段、熟練スタッフ)
オーストラリアのIT統計における優先課題としては、学習機会・アクセス・公平、技術と教育、情 報経済のためのインフラ、電子商取引、情報産業の発展、コンテンツと文化のプロモーション、オン ラインで政府サービスを提供、地域情報経済の重要性があげられる。
(3)カナダ:「ICTの社会への普及及びその影響の測定:カナダの経験」
1999 年のICTsと電子商取引の調査ではICTsの利用に焦点を合わせて、製造業中心だった今 までの調査から、全ての公的部門と民間企業部門に範囲を広げた。2000 年 8 月にリリースされたこ の調査はコンピュータ、電子メール、及びインターネット利用のベースラインや、どの程度ウェブサ イトを持っているか、電子商取引を行なっているか(インターネット上の販売数値を含む)の結果を 提供した。また、電子商取引の障壁が確認された。
この調査は 2000 年にも実施され、イントラネット、エクストラネット、ワイヤレスコミュニケーション、
EDI、EFTの利用が追加され、BtoCやBtoBの販売割合を含んだ詳細なデータも提供している。
供給側ではテレコミュニケーションとケーブルサービスに関する調査プログラムが再設計された。
例えば、2000 年 4 月にケーブル会社によって提供されたインターネットサービスの測定に関するベ ースラインが出されている。四半期テレコミュニケーション調査では有線、無線業界の両方に関す る情報を提供している。また、コンピュータサービスとインターネットサービスプロバイダーに関する 年次調査が再設計された。
今後 5 年間で成長が予想される指標は「製品の電子納品」と「ナレッジマネイジメントの業務」で ある。統計局では、電子商取引の価値と特性調査で対応した。同時にブロードバンド・デリバリーや ディジタルテレビといった新しい技術については、インターネットを通して配達された製品の価値や そのような活動の経済的、社会的な結果に関する質問を追加した。また、ナレッジマネイジメントの 多くはイノベーション調査で得ることができるが、今後関心が高まると思われ、ICTsの使用に関する 公式統計と同様の統計が必要となるだろう。
(4)デンマーク:「ECの経験:Eコマースをいかに計測するか」
デンマーク統計局と他の北欧諸国の統計局は情報社会における共通の定義、指標、調査方法 のためのワーキンググループを設立し、デンマークでは1998年に情報社会を測定する統計的プロ グラムをスタートさせた。このプログラムでは供給側の統計を最優先に考え、新しい統計調査では なく、既存の分類で代替的に集計することによって、既存のソースから得られる経済や雇用係数に 関係した統計情報として、ICTセクターの定義を決めることに専念した。
2番目の優先課題として、需要面のモニタリングが行われた(例:新しい統計調査の開発を含む、
企業・世帯及び公共部門におけるICTの使用法)。1998年に企業におけるICTの使用法に関する 年次調査が実施され、2001年から世帯における四半期調査が実施されている。
企業におけるICT利用状況を測定するためのモデルアンケートは、他の調査結果を補うことの できるデータ収集手段で、国際的に同意されたガイドライン(OECDの狭義の定義)を使用すること によって、他国と比較可能である。モデルアンケートは5つの異なったモジュールに分けることがで きる。
・ ICTシステムの一般的な情報
・ インターネットの使用状況
・ インターネットによる電子商取引
・ 他のコンピュータ・ネットワークによる電子商取引
・ 電子商取引、インターネット、ICT使用時の障壁
(5)韓国:「韓国におけるICT指標の開発」
新しい社会経済的な変化(ディジタルエコノミー、ナレッジベースエコノミー)に対応して、以下の ICT 指標を開発している。
(a) 世帯における ICT アクセス
1997 と2000 年に社会統計調査で ICT へのアクセス頻度に関する調査を実施している。(PC・携 帯電話・ポケットベル等の所有、コンピュータ・インターネット・電子メール・PC コミュニケーション等 の使用状況、PC カフェ利用状況等)
また、2000 年の人口と住宅センサスでは ICT アクセスと使用に関する質問を追加している。(世 帯による ICT 設備(プログラムプロバイダーサービス、ISDN 又は ADSL 等)の所有、個人における PC の所有、インターネットの所有、移動通信の所有)
(b) 企業における ICT アクセス
ディジタル化に対する年次調査を実施。また、産業による ICT 利用範囲を見積もるためにナレッ ジベースの産業調査に ICT 利用に関する質問を追加している。(インターネットに接続した PC 数、
ICT 従業員数、ICT 投資、ICT 利用の障壁、設備と装置のコンピュータ化)
(c) 電子商取引(BtoC)調査
2000 年 4 月以降サイバーショッピングモールに月次調査を実施している。(従業員数、総収入、
ショッピングモールのタイプ、消費者価格の構成、バイヤーの構成、電子商取引支援システム、電 子商取引活性化の計画・方法)
(d) 電子商取引(BtoB)調査
2000 年より四半期調査を実施。(総販売、仕入高、取引方法、納入方法、支払方法等)
(e) ICT 業界
ICT 業界の重要性を認識して 1998 年に ICT に関する調査を実施。調査は ICT 設備、ソフトウェ ア開発、テレコミュニケーション サービス等をカバーしている。(組織構造、ICT 労働者数と年間賃 金、設備投資と有形・無形固定資産、研究開発投資と輸出・輸入等)
(f) ディジタル・ディバイド
2000 年 3 月に包括的なコンピュータとインターネット使用調査を実施し、詳細な分析をするため に毎年調査を継続する。(PC 又は周辺機器の所有、コンピュータ技能の教育、コンピュータを使用 能力・利用状況等)