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第 3 章  参考文献 77

4.5 第 4 章のまとめ

参考文献

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第 5 章 結論

本研究では,ディジタル無線通信の伝送帯域に混入する干渉波/妨害波による電磁干 渉が通信品質に与える影響を評価するための計算モデルと通信品質の評価方法を提案 するとともに,具体的ないくつかのディジタル変調方式と周波数領域及び時間領域に おいて特徴量を持つ干渉波及び妨害波の実例を用い,提案手法の有効性と適用範囲を 確認することにより,電磁干渉環境下における実用的な通信品質の評価方法を確立し た.伝送帯域の一部に狭帯域干渉波が混入する電磁干渉に対しては,従来研究では検 討されていなかった受信機内部の干渉波に対する周波数応答を考慮した通信品質の評 価方法を示すとともに,従来手法と比較した通信品質劣化の推定精度についても論じ た.このほか,同一チャネルを使用する他のシステムの広帯域信号が干渉波として作 用する電磁干渉に対しては,干渉信号の変調パラメータと通信品質に与える影響の関 係を明らかにするとともに,通信品質劣化の生じない干渉回避条件を明確化した.さ らに,時間領域において特徴量を持つバースト性妨害波に起因する電磁干渉に対して は,従来手法では考慮できていなかったパケットと妨害波が衝突する確率を考慮した 計算モデルを提案するとともに,いくつかの実例に対するケーススタディを通じて提 案手法の有効性を確認した.また,周波数領域及び時間領域における干渉波/妨害波の 特徴量に着目したPER推定を通じ,通信を開始する前に,電磁干渉の影響が小さい最 適な方式をあらかじめ選択するプロアクティブ型の通信制御の確立に向け,有用且つ 実用的な知見を得た.

 第2章では,帯域制限されたDSSS/CCK/OFDM変調信号の伝送帯域の一部に狭帯 域干渉波が混入する電磁干渉を対象とし,RF/IFにおけるBPFの干渉波抑制効果と,

DSSS/CCK変調の逆拡散処理の周波数特性を考慮したSINR及びPERの推定方法を提 案した.次に,中心周波数の異なる狭帯域干渉波が伝送帯域に混入するいくつかの干渉 条件を設定し,DSSS/CCK/OFDMシステムにおけるPERを評価した結果,DSSS/CCK システムはOFDMシステムとは異なり,通信信号と狭帯域干渉波の中心周波数の差 が大きくなるに従って,同一のPERを実現するための所要SINRが小さくなることを 明らかにした.伝送帯域が22 MHzの場合を例に,通信信号と狭帯域干渉波の中心周 波数の差が2 MHzの場合と8 MHzの場合を比較した結果,中心周波数の違いにより,

DSSS/CCKシステムの所要SINRが10 dB以上異なる結果が得られ,電磁干渉環境下 におけるPER推定や最適なディジタル変調方式の選択において,狭帯域干渉波の周波 数を考慮することの必要性が明らかとなった.また,提案手法を用いたPER推定の有 効性を測定結果との比較により検証し,RF/IFのBPFの干渉波抑制効果とDSSS/CCK 変調の逆拡散処理の周波数特性を考慮したSINRを用いることで,従来手法と比較して より高精度なPER推定が可能であることも示した.

 さらに,PER推定結果に基づいて,低遅延を優先し,End-to-Endの信頼性を確保する

ための再送制御を行わない通信プロトコルを仮定した場合のSINRに対するスループッ トを求め,最適なディジタル変調方式の選択方法についても考察した.その結果,ス ループットが最大となるSINRがディジタル変調方式によって異なり,特に,あるSINR では,一つのディジタル変調方式を除いてスループットが0となる干渉条件が存在た.

このような電磁干渉環境下において,例えば,伝送速度の大きいディジタル変調方式 から所要SINRの小さい方式に段階的に変更する従来型適応制御を用いると,再送しや 伝送遅延が増加する可能性が高い.そのため,従来の1/10以下の超低遅延を実現する ためには,干渉波/妨害波の特徴量からSINRやPERを推定し,期待するスループット が得られるディジタル変調方式をあらかじめ選択して通信を開始するプロアクティブ 型の通信制御が有効である.また,プロアクティブ型制御の実現に向けては,SINRを 推定するために必要な干渉波/妨害波の特徴量に関する情報を得るためのシステム連携 や他のデバイスとの協調方法を確立し,構築していく必要がある.

 第3章では,2.4 GHz帯などのアンライセンスバンドにおいて,他のディジタル無線

通信システムの通信信号が広帯域干渉波として作用する電磁干渉に着目した.具体的 な評価対象としては,広帯域干渉波に対して従来のガウス近似が適用できない例とし て,拡散符号の異なるDSSSシステム間の干渉に着目し,システム間の干渉が通信品質 に与える影響の評価方法を提案した.さらに,瞬時的には狭帯域信号であるが,一定 時間間隔で中心周波数を変化させながら広帯域に分布するFHSS信号に着目し,DSSS システムとFHSSシステム間の干渉が各々のシステムの通信品質に与える影響の評価 方法も示した.また,提案手法により求めたスループットについて,いくつかの干渉 条件における測定結果と比較し,提案手法の有効性を示すとともに,これらのシステ ム間の干渉による通信品質劣化が生じない干渉回避条件も明らかにした.

 DSSSシステム間の干渉がスループットに与える影響を評価した結果,Wi-Fi認証 等により相互接続性が確保されたシステム間では,見通しで150 m程度離れた場合も,

CSMA/CAの制約を受け,スループットが低下するのに対して,異なる拡散符号を使用 するシステム間の干渉では,SIR>15 dBとなる条件において,各々のシステムで独立 した通信が可能となり,干渉がスループットに与える影響がほとんどなくなることを 明らかにした.この結果は,同一チャネルを使用する無線端末が同一エリアにおいて 多数共存するような場合において,通信を開始する際の一つの目安となり,繰り返し 周波数の再利用という観点で有効な指標が得られた.次に,拡散符号の異なるシステ ム間の干渉メカニズムを解明するために,信号処理解析モデルを構築し,DSSSシステ ム間の干渉がBER特性に与える影響の評価方法を示した.さらに,信号処理解析によ り求めたBERに基づいて,PER及びスループットを求め,電波半無響室内で測定した 結果と比較した.その結果,電波半無響室における測定結果には,アース面からの反 射波の影響が含まれているため,計算結果と測定結果に最大7 dBの偏差が生じた.そ のため,実際の干渉回避設計を行う際は,電波伝搬特性の影響を考慮した劣化マージ ンを設定する必要がある.

 次に,DSSSシステムとFHSSシステム間の干渉がBER,PER,及びスループットに 与える影響を評価するための計算モデルを提案し,3種類のDSSSシステムと1種類の FHSSシステムの実機を用いた測定結果との比較により,提案手法の有効性を検証した.

その結果,DSSSシステムが被干渉システムである場合の計算結果と測定結果の偏差は

3種類のDSSSシステムに対して2 dB以内であり,提案手法の有効性が示された.ま た,一次変調方式や拡散符号の違いによって,最大スループットを確保するための所 要SIRが変化する特性が,計算結果と測定結果で一致していることから,提案手法は 変調パラメータや拡散符号の異なるDSSSシステム間の干渉の評価に適用可能であり,

電磁干渉を回避するための回線設計に有効である.

 一方,FHSSシステムが被干渉システムである場合の評価では,干渉波の電力スペク トル密度が干渉システムであるDSSSシステムの信号帯域幅に依存し,DSSSシステム の変調パラメータや拡散符号にほとんど依存しないことが明らかとなった.さらに,提 案手法を用いたスループットの計算結果を測定結果と比較したところ,最大5 dBの偏 差が生じた.この原因は,評価に用いたFHSSシステムが2FSKと4FSKの2つの伝送 モードを伝送路の状況に応じて自動的に切り替えるシステムであるが,その切り替え手 順のモデル化が不十分であったためと考察される.この切り替え手順は,IEEE802.11 規格などで標準化されているわけではなく,実装方法が製造ベンダに委ねられている ため,一般的なモデル化は今後の課題としたい.

 また,ほぼ同一の占有帯域幅を使用し,最大伝送速度が同等のDSSSシステムとFHSS システムの耐干渉特性を比較すると,3種類のDSSSシステムの所要SIRが10 dB程度 であったのに対して,FHSSシステムの所要SIRは15 dBであった.同様に,IEEE802.11 規格の通信パラメータを用いて求めたスループットの計算結果からも,DSSSシステム とFHSSシステムの干渉が通信品質に影響を与えないための所要SIRは,Eb/N0 =50 dBにおいて,DSSSのほうが約6 dB小さく,耐干渉性に優れていることが示された.

そのため,これらのシステムが共存できる通信環境を設計する場合は,特に,FHSSシ ステムの所要SIRに着目した設計が必要となる.

 第4章では,様々なディジタル変調方式への適用が可能なパケット通信を想定し,パ ルス持続時間,パルス間インターバル,及び妨害波電力の異なる妨害パルスが混在す る干渉環境おいて,妨害パルスとパケットの衝突確率を考慮したPER解析方法を提案 した.また,計算機シミュレーションとの比較により,提案手法はパルス間インター バルがパケット送信時間より大きいという条件において有効なPER推定手法であるこ とを示した.

 さらに,固定のパルス間インターバルごとに,パルス持続時間または電力の異なる 妨害パルスが均等な確率,且つ不規則な順番で発生し,パケットと衝突する通信環境 を想定したケーススタディでは,持続時間及び電力の異なる個々の妨害パルスを独立 した妨害波と捉え,各妨害波に対して推定されるPERを比較することにより,PERへ の影響が支配的,あるいは無視することのできない妨害波源を特定することが可能で あることを明らかにした.また,1つのパケット中の1シンボルに対して,複数の妨害 パルスが衝突する確率が低い等の理由により,各妨害パルスのPERへの影響が独立で あると仮定できる干渉条件においては,各妨害波に対して推定されるPERの総和を求 めることにより,複数種類の妨害パルスが一定間隔でランダムに発生する干渉環境の PER推定も可能である.このほか,妨害パルス間のインターバルがある分布をもって 変動する場合も,パルス間インターバルの期待値を求め,その期待値を提案手法に適 用することで,PER推定が可能であることを示した.また,バースト性妨害波による PERへの影響を評価する際は,妨害パルスごとの電力や振幅だけでなく,少なくとも,