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第1節 まちづくり学習分析フレームワークの設定
第皿章第1節
第皿章 まちづくり学習の実際とその問題点
本章では前章までの内容を基にして分析視点を設定し,まちづくり学習分析フレームワ
ークを構築する。そして,これまでに行われてきたまちづくり学習の分析を行い,子ども
の参画の資質形成における傾向と課題を明らかにする。
第皿章第1節
分析視点①単元の目標
単元の目標を記述する。明記されていない場合は,単元の流れから読み取って記述する。
そして,その目標記述が説明的知識や分析的知識のように学習内容として明示されている ものか,記述的知識のように知識を単に記述しているだけのものか,活動中心で内容が明 らかにされていない方向目標だけになっているかを,明示できるようにする1。
繭:原因・結果の関係が示されているもの
医醜:社会事象を分析し,社会の中に見られる諸関係が示されているもの 匿魑:社会に存在する情報の内で,事象の存在について示されているもの
医亜:学習内容が何かについての指示機能をもっていないもの分析視点②取り上げるまちづくり
どのような社会的論争問題として,まちづくりを取り上げているかを記述する。また,
そのまちづくりについては時間的・空間的にどれを取り上げているかを明示する。そして,
過去や現在における問題の解決を目指しているか,未来志向の学習になっているか2,自地 域だけでなく他地域における先進的なまちづくりも組み込んでいるかを明示する。さらに,
時間的にも空間的にも架空の設定のものについても明示する。
國:過去に行われたまちづくりを組み込んでいるもの
團:まちの現状や現在進められているまちづくりを組み込んでいるもの
圖:今後計画されているまちづくりや将来のまちのあり方を組み込んでいるもの 亘垂國:自分たちの住むまちやその周辺地域のまちづくりを組み込んでいるもの
國:他地域におけるまちづくりを組み込んでいるもの
分析視点③ 市民参画のまちづくりの要素 O まちづくり形態
吉田正生氏はまちづくり学習に関連する教科書記述の分析を通して,「都市社会学の成果 を参照するなら,児童に社会の一員として何をなすべきか,行政や市民は何ができるのか を考えさせるとき,学問的な成果に基づいた視点を提示できる」と述べている。そして,
都市社会学の成果を基にまちづくりについての論を,「都市計画(主として行政が行う建物,
道路,諸施設等ハードウエアの整備/建設に関わる言説)」,「活性化(まちの内発的なカを高
めたり発揮したりする市民や行政の活動に関わる言説)」,「コミュニティ(市民の意識のあ
第皿章第1節
り方の改善に関わる言説)」に分類している3。まちづくりの歴史から見ると,「都市計画」
は70年代まで中心だった行政主導の建物中心主義のまちづくり,「活性化」は70年代以降 に見られるようになった市民参画を目指したまちづくり,「コミュニティ」は90年代以降 に見られるようになった地域経済を重視した市民参画を目指したまちづくり,ととらえる ことができる。この3つの分類を市民参画の観点で見ると,「都市計画く活性化くコミュニ ティ」の順でレベルが高いと考えられる。そこで吉田氏の論を基にして,次のようにrま ちづくり形態」として分類し,組み込まれているまちづくりは何を目指したものなのかを
明示する。匿璽:主として行政が行う建物・道路・諸施設等ハードウエアの整備・建設
匿璽:まちの内発的なカを高めたり発揮したりする市民や行政の活動コミュニティ :市民生活やまちのしくみだけでなく,市民の意識のあり方の改善
O 市民参画のまちづくり型
田村明氏のまちづくりの「動態的構造4」を基に,組み込まれているまちづくりがどのよ うな市民参画の型になっているのかを以下のように分類する。まちづくりの歴史から見る と,「行政型」は70年代まで中心だった行政主導の建物中心主義のまちづくり,「要請型」
は70年代に見られるようになった市民要請型のまちづくり,「単独型」は80年代に見られ るようになった市民組織単独で行ったまちづくり,「協働型」は90年代以降に見られるよ うになった行政・市民・企業との協働で行うまちづくり,「ビジネス型」はこれから求めら れる市民参画のまちづくり,ととらえることができる。この5つの分類を市民参画の観点 で見ると,「行政型く要請型く単独型く協働型くビジネス型」の順でレベルが高いと考えら
れる。匿亟型1:市民参画がなく,行政だけが行う
匡塾:市民は行政に対して要請するだけにとどまり,それを基に行政が行う
國:行政との協働ではなく,市民が単独で行う
塵:市民(または市民組織)と行政(と企業)が協働で行う
塵:市民・行政(・企業)の協働で,地域経済の活性化も目指す
O まちづくりの要素
田村氏のまちづくりの「静態的構造5」を基に授業で取り上げている内容を記述し,まち
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づくりの構造が習得させる知識としてどのように組み込まれているのかを明示する。
團:もともとまちに存在する自然環境を生かしたり,改善したりする 國1もともとまちに存在する歴史的遺産を生かしたり,改善したりする 圓:人と人とのつながりを見直し,コミュニティ形成を目指す
しくみ・ルーヲ:これからのまちをつくっていくにあたってのしくみ・ルールづくりを行う
國:まちの活性化や人々の暮らしを豊かにすることを目指す
巨E:まちの活性化を目指し,まちのよさを外部にアピールする④子どもの参画の要素
子どもの参画をうながそうとしている学習内容や活動を記述する。また,それを行うこ とによって導き出される子どもの姿が,Hartのr参画のはしご」のどの段階になるのかを 明示する。ただし,それぞれの段階については以下のように判断する。
巨三三豆亘塾:形式的な参画であり,子どもの参画の資質形成を図ることができていない 巨三璽:子どもの参画の資質形成を目指す社会科学習において望ましい段階
巨璽:活動中心,行動化に偏りすぎている
⑤ 参画の資質(合理的意志決定)
参画の資質は合理的意志決定能力とした。そこで,参画の資質=合理的意志決定がどの
ような知識習得・価値判断・未来予測を基にして育成されているのかを明示する。【図皿一
1−1】のA〜F型の中で,子どもの参画の資質形成を目指す社会科授業として望ましい学
習過程はA型となる。
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A
知識習得し,それを基に価値判断・未来 識習得 価値判断・未来予測 意志決定 予測を行うことで,合理的な意志決定が行
われる。
B
価値判断・未来予測を行い,それに見合価値判断・未来予測 意志決定
った知識習得を行うため,一定の価値観を 知識習得
基にした意志決定となってしまう。
C
意志決定の過程と知識習得の過程が乖離 識習得 i 価値判断・未来予測 意志決定 するため,子どもの意志決定は常識的・道 徳的なものにとどまってしまう。
D
知識習得が保障されないため,子どもの 値判断曹未来予測 意志決定 意志決定は常識的・道徳的なものにとどま ってしまう。
E
価値判断・未来予測を行わないため,一 識習得 意志決定 定の価値観を基にした,常識的・道徳的な 意志決定にとどまってしまう。
F
團 知識習得のみで終わってしまい,子ども の参画の資質形成が弱くなってしまう。【図皿一1−1】学習過程型
(筆者作成)
(3)分析フレームワーク
①〜⑤までの分析視点を組み込んだまちづくり学習分析フレームワークを【表皿一1−2】
のように設定した。
第皿章第1節
【表皿一1−2】まちづくり学習分析フレームワーク
No.