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芸術の重要概念:芸術に関して、私たちは児童に 何を理解してほしいのか

PYPの理念の中核をなす原則は、目的をもった体系的な探究は学習の意味や理解を深 める有効な手段であり、意味のある概念に取り組む児童の意欲を駆り立てるものだという ことです。それを踏まえて、PYPではそうした探究を支援する手段として、概念に基づ くカリキュラムにも取り組んでいます。包括的概念または主要概念ごとに効果的にグルー プ分けできる「重要概念」の集まりが存在し、それぞれが時間や場所、教科の内外を問わ ず重要性をもっています。

これらの「重要概念」はPYPの枠組みの基本的な要素の1つです。これらの概念だけ が、探究するに価する唯一の概念であるとはまったく考えられていませんが、れらの概念 を基に、PYPカリキュラムの中心的存在である、教師や児童による探究を導く効果的な カリキュラムの構成がつくられます。

この概念を一連の問いの形にすると、児童が扱いやすい、オープンエンド型のすぐに使 えるリサーチツールとなります。探究型の単元を計画する際に、教師や児童がこれらの問 いを状況に合わせて使うと、方向性や目的のある単元が具現化されます。

次の表は一般的な観点と芸術についての観点の両方からそれぞれの概念について説明し たものです。「重要概念」の詳細な説明は「概念:私たちは児童に何を理解してほしいの か」のセクションに記載されています。

概念 一般的な観点 芸術についての観点

特徴

それはどのようなものか

すべてのものに認識できる 特徴があり、それらは観察、

芸術は、美術や音楽、言葉、

動き、表現を通して、考えや

初等教育プログラムにおける芸術

概念 一般的な観点 芸術についての観点

機能

それはどのような働きをす るのか

すべてのものに目的、役割ま たは行動様式があり、それら は調べることができる。

芸術は創造性を使って実践 的、教育的、文化的、個人的 なメッセージを伝える。芸術 家と観客の間に関係が生ま れ、それにより情報に基づい た意見や選択が形成される こともある。

原因

それはなぜそうなのか

物事はただ起こるわけでは ない。そこには因果関係があ り、行動は何らかの結果をも たらす。動作には結果があ る。

芸術は、世界を創造的に、感 情的に、思慮深く解釈したも のである。芸術は文化的で、

個人的な体験に影響される。

変化

それはどのように変わってい るのか

変化とは、ある状態から別の 状態に移るプロセスである。

これは普遍的で必然的なも のである。

芸術は変化し続ける。世界が 変わると芸術の方法および 手段も共に進化しなければ ならない。芸術体験は、参加 者や観客の解釈によって変 わる。

つながり

それは他のものとどのよう につながっているのか

私たちの住む世界は、個々 の要素の活動が他に影響を 与える相互作用システムを もっている。

芸術は世界共通の言語であ る。この言語によって私たち は文化や時間およびそれら を超えてコミュニケーショ ンできる。

ものの見方

それにはどのような見方が あるか

知識は見方によって変わっ てくる。さまざまな見方はさ まざまな解釈、理解、発見を 導く。見方は個人、グループ、

文化または学問分野によっ て異なることがある。

芸術は創造的選択の機会を 可能にする。ある1人の人間 が産み出しているか、組み立 てているか、演じているか展 示しているか、観ているか聴 いているかによって異なる 見方が自然に生じる。

責任

私たちにはどんな責任があ るのか

人は自分の理解しているこ とに基づいて選択する。その 結果としてとる行動は違い を生む。

芸術は力強いメッセージを 観客に伝える。私たちは我々 の解釈は他の人に影響があ ることを認識しなければな らない。私たちはまた芸術の 保存や、すべての文化の芸術 を認識し理解させる、積極的 な役割を担わなくてはなら ない。

初等教育プログラムにおける芸術

概念 一般的な観点 芸術についての観点

振り返り

どのようにして知るのか

知る方法にはいろいろある。

私たちの出した結論を振り 返り、推論の方法、そして私 たちが検討した証拠の質と 信頼性について考えること が大切である。

私たちはダンス、演劇、音楽、

美術の要素の習得を通じて どのように自分たちを表現 してきたか意識して振り返 り、評価し、説明しなければ ならない。私たちはまた自己 改善していく中で他の人の パフォーマンスを振り返る。

「重要概念」を表す問いの例

次の表は、教師と児童の間で行う「重要概念」を表す問いの例です。この問いの例は、

探究の構築や枠組みづくりに役立つでしょう。これらは広範な、オープンエンド型の問い です。こうした問いは調査、議論、詳細かつ熟考された返答を求めるもので、探究主体の プログラムには欠かせないものです。

概念 教師と児童の間で行う問いの例

ダンス 演劇 音楽 美術

特徴

それはどのよ うなものか

• こ の ダ ン ス を ユ ニ ー ク に す る も の は 何 で すか。

• このダンス・パ フ ォ ー マ ン ス に あ る 物 語 は 何ですか。

• そ れ は 何 に つ い て の 劇 で し たか。

• この登場人物は ど の よ う に 動 くでしょうか。

• 民 謡 の 特 徴 は 何ですか。

• こ の 音 楽 か ら ど ん な 音 が 聞 こえますか。

• な ぜ そ の 題 材 や ツ ー ル を 選 んだのですか。

• 芸 術 の 要 素 は こ の 絵 画 の 中 で ど の よ う に 使 わ れ て い る と 説 明 で き ま すか。

機能

それはどのよ うな働きをす るのか

• こ の 音 楽 に あ わせて、どのよ う な 動 き を し ますか。

• 動 き に よ っ て ど の よ う に 気 持 ち を 表 し ま すか。

• あ な た が 感 じ て い る こ と を ど の よ う に 表 現できますか。

• あ な た の 声 を 使ってどのよう に 海 岸 の 音 を つくれますか。

• こ の 楽 器 で ど のような音を奏 でられますか。

• こ の サ イ ン や 記 号 は ど う 歌 う よ う に 指 示 していますか。

• あ な た 自 身 が 感 じ て い る 怒 り、悲しみ、幸 せ、驚きをどの よ う に 表 し ま すか。

• 広 告 に は 色 が どのように使わ れていますか。

初等教育プログラムにおける芸術

概念 教師と児童の間で行う問いの例

ダンス 演劇 音楽 美術

原因

そ れ は な ぜ そうなのか

• このダンス・パ フ ォ ー マ ン ス の 始 め と 終 わ り の 関 係 は 何 ですか

• そ の 環 境 は あ な た の ダ ン ス に ど の よ う な 影 響 を 与 え て いますか。

• な ぜ そ の 登 場 人 物 は こ の よ うな姿勢をとっ たのですか。

• あ な た が 気 に 入 っ て い る 登 場 人 物 は だ れ ですか。それは なぜですか。

• なぜ一定の拍子 がアンサンブル の 演 奏 で 大 切 なのですか。

• どの文化からこ の 音 楽 は 来 た と思いますか。

• こ の 芸 術 作 品 は な ぜ つ く ら れ た と 思 い ま すか。

• な ぜ 人 は 画 廊 を 訪 れ る の だ と思いますか。

変化

そ れ は ど の よ う に 変 わ っ て い る のか

• リ ハ ー サ ル と 本番のダンス・

パ フ ォ ー マ ン ス の 間 に あ る ど の よ う な 違 い に 気 づ き ま したか。

• 即 興 を 行 う と き、どのように 空 間 を つ か い ますか。

• 建 設 的 な 批 判 は ど の よ う に あ な た の パ フ ォ ー マ ン ス を 向 上 さ せ ま すか。

• 物 語 は ど の よ うに始まり、発 展し、終わりま すか。

• もしテンポがア レグロからラル ゴ に 変 わ っ た ら 曲 は ど う な りますか。

• 変奏(曲)は主 題 と ど の よ う に違いますか。

• なぜ、そしてど の よ う に 時 代 と 共 に フ ァ ッ シ ョ ン は 変 わ りますか。

• ニ ュ ー メ デ ィ ア は ど の よ う に 芸 術 の 実 践 に 影 響 を 与 え てきましたか。

つながり それは他とど のようにつな がっているの か

• ダ ン ス は 文 化 間にどのような 結 び つ き を も たらしますか。

• 自分のパフォー マンスの向上の ために、同級生 からのフィード バ ッ ク を ど の よ う に 使 い ま すか。

• 生 の ラ イ ブ・

シ ョ ー と テ レ ビ 番 組 は ど の よ う に 似 て い る、 ま た は 違 いますか。

• 物語を通じ私た ちはどのように 私たちの過去を 知 る こ と が で きますか。

• 楽 器 の 大 き さ は、楽器のピッ チ と ど の よ う な 関 係 が あ り ますか。

• こ の 音 楽 は ど のようなお祭り で聞きますか。

• お 祝 い の 場 で ど の よ う に 芸 術 が 役 立 ち ま すか。

• 色 と 形 を 見 て どんなことを思 い出しますか。

初等教育プログラムにおける芸術

概念 教師と児童の間で行う問いの例

ダンス 演劇 音楽 美術

ものの見方 それにはどの ような見方が あるか

• バ レ エ を 観 た 後 ど の よ う な 気 持 ち が し ま すか。

• どの動きが、よ り 習 い や す い ですか。

• ど の 登 場 人 物 に 共 感 し ま し たか。それはな ぜですか。

• 登 場 人 物 は 今 どんな気持ちだ と思いますか。

• こ の 音 楽 を 聴 く と ど の よ う な 気 持 ち に な りますか。

• こ の 繰 り 返 し や 歌 を 演 奏 す る た め に ど の 楽 器 を 選 び ま すか。それはな ぜですか。

• も し あ な た が ア リ の 大 き さ だったら、この 花 は ど の よ う に 見 え る と 思 いますか。

• あ る 人 の 文 化 は そ の 人 が 生 み 出 す 作 品 に ど う 影 響 し ま すか。

責任

私たちにはど んな責任があ るのか

• この振りつけに 備えるには、何 をする必要があ りますか。

• このグループの メンバー全員に 安 全 な 動 き は どれですか。

• グ ル ー プ が 課 題 を 達 成 す る た め に あ な た は ど の よ う な こ と が で き ま すか。

• あ な た の 登 場 人 物 に 対 す る 解 釈 は ど の よ う に 脚 本 家 の 意 図 に 反 映 し ますか。

• グ ル ー プ 内 の 音楽家は、よい 演 奏 を す る た めにそれぞれ何 ができますか。

• 私 た ち は ど の よ う に こ の 楽 器 を 手 入 れ で きますか。

• こ の プ ロ ジ ェ ク ト で は だ れ に話し、だれと か か わ る 必 要 がありますか。

そ れ は な ぜ で すか。

• ど の 材 料 が 芸 術 作 品 に リ サ イ ク ル で き る と思いますか。

そ れ は な ぜ で すか。

振り返り どのようにし て知るのか

• 異 な る 文 化 に つ い て も っ と 知るために、ダ ン ス は ど の よ う に 役 に 立 ち ますか。

• ど の よ う に 基 準 を 使 っ て あ な た の ダ ン ス を 向 上 さ せ ま すか。

• あ な た が 習 っ た こ と を ど の よ う に 表 現 で きますか。

• 私 た ち は 異 な る 見 方 を す る とき、どのよう に 問 題 を 解 決 できますか。

• あ な た の 作 品 に 合 っ た 楽 器 や 音 源 を 選 び ましたか。なぜ そ れ は 合 っ て い る、 ま た は 合 っ て い な い のですか。

• こ の 曲 の テ ン ポ は な ぜ 作 品 の 雰 囲 気 や 歌 詞 に 適 し て い るのですか。

• これらの材料は あなたの課題に 最 も 適 し て い ますか。それは なぜですか。

• 興 味 深 い デ ザ イ ン を 生 み 出 す も の は 何 で すか。