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これまでの重要な研究

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5.核実験による住民の被ばく

白血病が1.07倍 ( 95%信頼区間:1.00, 1.14)高く、0~4歳の白血病が1.11倍(95%信頼区間:

1.00, 1.24)高かった。

(2) ネバダで行われた大気圏核実験

1951-62 年にネバダで行われた大気圏核実験により放出された放射性核種により、周辺住民

で悪性腫瘍が増加した可能性が幾つかの研究で検討された。Johnson は、1951~1962 年にネ バダで行われた大気圏核実験で大気中に放出された放射性核種とその後 1962~1979 年に行わ れた地下核実験で漏れ出た放射性核種による住民の放射線被ばくを疑い、ユタ州南西部のモル モン教徒4,125人のがん罹患率を調べた(Johnson CJ. 1984, PMID: 6690781)。白血病は288 例同定されたが、これはユタ州のモルモン教徒で 1967~1975 年に観察されたがん罹患率から 計算される期待罹患率より 109 例多かった。白血病の罹患は初期に最も顕著に増加しており、

1958~1966年の白血病り患数は19例で、この期間の期待り患数は3.6であった。甲状腺がん や乳がんの過剰も観察された。しかし、この研究では、曝露群とされるユタ州南西部のモルモ ン教徒のがんり患の同定が地域がん登録によるものでなく、このプロジェクトの為に雇われた 調査員、訓練を受けたボランティアによって行われ、患者の同定は、世帯主や教会などへの問 い合わせがなどを通じて行われた。この追跡調査の妥当性に関しては十分な検討は行われてい ない。その後、米国国立がん研究所のLandらが、より綿密で系統的な研究を行った。彼らの 研究では、the National Center for Health Statistics から得られた1950~1978年の死亡デー

タと、1951~1958年の大気圏核実験によるフォールアウトへの曝露のデータが解析された。し

かし、Johnsonの報告が示したような放射線被ばくと小児がんリスクとの関連を示す証拠は得 られなかった(Land CE et al., 1984, PMID: 6691139)。

ネバダでの核実験で環境中に放出されたI-131への被ばくにより、甲状腺がんリスクが増加 した可能性がある。この被ばくの長期影響を調べるため、Gilbertらは1973~2004年間の8つ の全米がん登録(SEER; Surveillance Epidemiology and End Results) 腫瘍登録を用い、甲

状腺がん 18,545 発症例についてデータを解析した。年齢別、出生年別、性別、及び郡別の甲

状腺がん率を、年齢を考慮した甲状腺の累積線量と関連づけ、15歳以前に受けた線量に対する Gy当たりの過剰相対リスク(ERR)を推定した。1歳未満に受けた線量のGy当たりの推定過 剰相対リスク(ERR)は1.8 (95%信頼区間:0.5, 3.2)、5歳未満で0.3 (95%信頼区間:-0.2, 0.9)、

15 歳未満で-0.05 (95%信頼区間:-0.4, 0.3) であった。この値から分かるように、追跡期間 とともにリスクは下降する、或いは 1~15 歳で受けた線量と共にリスクが増加するという証拠 は得られなかった。これらの結果は 1973~1994 年間の小規模なデータに基づく初期の知見を 確認するものであった。1~15 歳で被ばくした場合に線量-反応関係が無いことは、外部被ば く或いはチェルノブイリ事故でI-131に被ばくした子供の研究とは一致しない。線量の誤差や 移住により生じる症例の不確かさ、生態学的研究での限界や固有のバイアスも含め説明する必 要がある(Gilbert ES et al., 2010 PMID:20426666)。

(3) セミパラチンスク核実験場のフォールアウト

Bauerらはセミパラチンスクでの核兵器実験による放射線物質のフォールアウトによる健康

影響を検討するために、セミパラチンスク実験場(STS)に近いカザフスタンの 10 の村(被

ばく地域)とSTSから数百キロメートル離れたアルタイ(ロシア連邦)の6つの村(対照地域)

で 1961 年 以前に生まれ、その村に住み続けた住民を調査した(Bauer S et al., 2005,, PMID:16187743)。食物および環境中の放射性核種のレベル及び放射性核種の蓄積と代謝につ いての半経験的なモデルを用い、被ばく地域住民で放射性核種の摂取と吸入にかんするデータ に基づいて、甲状腺(I-131 による)、骨髄(Sr-90 による)、全身(Cs137 による)の被ばく 線量が推定された。内部被ばく線量の大部分はI-131によるものであった。対照地域住民につ いては、居住地区別の線量推定値を得ることが出来なかったため、フォールアウトによる個人 累積線量として20 mSvを割り当てた。この研究は、基本的には「生態学的」研究であるが、

セミパラチンスク核実験場のフォールアウトと関連するがんリスクにおける線量-反応関係を 評価した初めての研究である。被ばく地域住民だけを用いた解析では、全固形がん(1Svあた りの過剰相対リスク;ERR= 0.81 (95%信頼区間:0.46, 1.33)、胃がん(1Svあたりの過剰相対 リスク;ERR = 0.95 (95%信頼区間:0.17, 3.49)、及び肺がん(1SvあたりのERR = 1.76 (95%

信頼区間:0.48, 8.83))で統計学的に有意なリスク上昇を観察した。過剰相対リスク(ERR)は、

被ばく時年齢の増加とともに統計学的に有意に増加した(P<0.0001)。対照地域住民を加えた 解析では過剰リスクが高くなる傾向があった。

(4) マーシャル群島住民

1946~1958 にBikini とEnewetak環礁で行われた核実験で、マーシャル群島の住民が被ば くした。Simon らの研究では、マーシャル群島で検出可能なフォールアウトを生じたのは 66 回の核実験のうち20回であった(Simon SL et al., 2010, PMID: 20622547) 。南部の環礁に 住んでいた成人は核実験が行われた年月の間に平均して5~12mSv の被ばくを受けた。中緯度 地域の当初に居住していた成人は同時期に22~59mSvの被ばくを受け、Utrik島やRongelap 島などの北部の環礁に住んでいた成人は1,000 mSvの被ばくを受けた。甲状腺の内部被ばくを 除けば、外部被ばくが被ばくの主な原因であった。北部の環礁に住んでいた住民の内部被ばく

(赤色骨髄と胃壁)は 20~500mGy と推定されたが、それ以外の地域の内部被ばくは 1~ 7mGy

と推定された。結腸の内部被ばくはこの 10 倍程度と推定されている。甲状腺の被ばく線量は さらに高く、Utrik島の成人では760 mGy、Rongelap島では7,600 mGyと推定されている。

甲状腺の最も高い線量を受けたのは、1954年3月1日のCastle Bravo実験のときに、Rongelap 島に住んでいた小児で、推定線量は成人の3倍程度である。長寿命の核種による放射線被ばく は低いレベルにとどまった。、

Rongelap 島での健康調査は主に Brookhaven 国立研究所の研究者らによって行われた。

Rongelap島での甲状腺結節の最初の症例は1963年に確認された(Conard RA et al., 1966, PMID: 5933728)。1965年3月から1966年3月間にRongelap島で調査が行われ、1954年以 前に生まれていた曝露群71例(23例が19歳以下)と非曝露群191(108例が19歳以下)が 診察を受けた。このうち、18例に甲状腺の異常がみつかり、そのうち16例は甲状腺の結節で、

2例は甲状腺機能低下症(甲状腺結節なし)であった(Conard RA et al., 1964, PMID: 5298138)。

Conardらの1970年の論文によるとRongelap島で被ばくした住民67人のうち21人に甲状 腺の異常がみつかり、そのうち3例が悪性腫瘍、16例が良性の腺腫様結節、2例が甲状腺機能 低下を伴う甲状腺の萎縮であった(Conard RA et al., 1970, PMID: 5469070)。

Hamilton らは1954年の BRAVO実験で被ばくした住民と、対照として南部の環礁に住む 住民、合計7,266 人の調査を行った。被ばくしていないと考えられていた 12の環礁の住民で は甲状腺結節の有病率は0.9~10.6 %であった。これらの地域では爆心からの距離が近いほど甲 状腺結節の有病率が増加していた。(Hamilton TE et al., 1987, PMID: 3612986 )

Brookhaven 国立研究所の Howard らによると、非腫瘍性の腺腫様結節が高線量群で多く、

腫瘍性結節は低線量群で多かった(Howard JE et al., 1997, PMID: 9199229)。

1994年にThe Marshall Islands Medical Program (MIMP)は、超音波を用いた甲状腺の検 査を行った。164人の住民が検査を受けた。Rongelap島住民、Utiriki島住民、対照地域住民 で、甲状腺結節の出現頻度や平均個数に有意な違いは認められなかった。

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