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ある局面の完成後につぎの局面のなかにあるすがた

ドキュメント内 現代日本語動詞のアスペクトとテンス (ページ 120-132)

第1節 ある局面の完成後につぎの局面の      なかにあるすがた

 1) そのアスペクト・テンス的な性格

 継続相の基本的な意味は,その動作を基準時間が持続過程をなす局面のなか にわりこんだすがたでさしだすことである。それは,動作の局面をとりだすば あいにも,結果の局面をとりだすばあいにも共通していえることである。

  (142)飛行機が音もたてずにとんでいる。(やさp21)

  (143) 上原はみじろぎもせずだまってさいていだ。(生活101>

  (144> そのはなのあたまには赤や青のインクがべったりついている。

      (寅次9)

  (145)市太夫や五太夫の宅はあき家になっていた。(阿部60)

 これらは,基準時間において動作がその持続過程をなす局面の始発と終了の あいだにあることをあらわしている。

〔とんでいる,さいていだ)

   動作の愚面      尋

発の局浜1   →

l   l 戟@    l C    1 メ     「

  終了の局←

〔ついている,なっていた〕

    結果の局面

変化の腸面

   一 Ψ

        基準時岡

 つぎのばあいにも,基準時間においては動作は持続過程をなす局面のなかに あるのだが,それを,ただその周面のなかにあるということだけでなく,その まえの局面が基準時間のまえに完成したこととあわせてさしだしている。

  (146)研究会はとじていた。雑談がはじまっていた。(むら56>

 ここでは,くとじる〉(または〈はじまる〉)という変化の局面が基準時間より まえに完成したことと,基準時間においてその結果の局面のなかにあることと

114 第Ill部 継続相のアスペクト が,あわせてあらわされている。

 これは変化動詞のばあいだが,つぎのよう

な動作動詞のばあいには,始発の局面が基準変化の乱言 時間よりまえに成立したことと,基準時間に   一→

結論の局面   ,

      IN((U,,,

      i i おいて動作の局薗のなかにあることとが,あ        LY       基準時闘 わせあらわされることになる。

  (147)駿介はびっくりして老人をみつめていた。(生活114)

 これらは,動詞のあらわす動作過程(変化      動作の局面

過程をふくむ)のあいつづにつの願にか  r_kp、

かわっているが,さきだつ局面については, 憐  蹴      ・.  瀦 その始発から終了までをふくめてまるごとの

すがたでさしだし,あとをおう局面について は,その始発と終了のあいだにわりこんだす

がたでさしだしている。つまり,あいつぐ二つの局面を完成網と継続穣の二つ のすがたでさしだしているのである。

 つぎに,この用法が成立するばあいのテンス的な意味のことにうつるが,こ のばあい,この形式は二つの局面をさしだしているので,そのそれぞれについ て検討しなければならない。さいしょにあとをおう局面についてのテンスであ るが,これは基準時間におけるすがたであるから,その基準時間が時間軸上の どこに位置するかが,そのテンス的な意味になる。この時間軸上の位置は,こ の継続椿形式が非過去形をとるか,過去形をとるかによってきまる。前者のば あいは現在であるし,後者のばあいは過去である。

  (148)業務がすでにはじまっている。(華麗!4>

  (149) お島はこのごろよく口にするお株を,またはじめていた。(あら162)

 これは継続網が基本的なアスペクト的意味を実現するばあいにも成立するこ とであって,このことは,継続相形式をとっているということ自身は,テンス をあらわすためには,はたらいていないことをものがたっている。

 ところが,さきだつ局面のテンスのことになると,この形式そのものがそれ にかかわってくる。というのは,さきだつ局面の完成する妻問軸上の位置が基 準時間よりまえであるということは,この形式をとること自身によってきまる からである。基準時間が現在に位置するか過去に位置するかにかかわらず,さ

第3章 ある腸画の完成後につぎの燭海のなかにあるすがた 115

きだっ局面が完成するのは基準時聞よりまえである。これは,発話時を基準と する絶対的テンスではないけれども,一一定の時点を基準にして,それよりまえ かあとかにかかわる梱対的テンスである。そうだとすれば,さきだつ局爾のこ とに関しては,この形式が相対的テンスをあらわすというテンス形式としては たらいていることになる。

 以上をまとめると,この絹法のなかでは,継続相形式は,動詞のあらわす動 作過程の,あいつづく二つの局面とかかわっていて,さきだつ周面を,アスペ クト的に完成相の意味,テンス的に格対的過去の意味でさしだし,あとをおう 局面を,継続相の意味でさしだしているといえよう。ここで,テンス的な意味 がくわわることは,継続掘というアスペクト形式がテンス形式としての側面を        (注1}もちはじめることをものがたっており,注罠すべき現象である。

       (i.1三2)

 なお,この意味については,角張新治1976Bが「ff peAe ul達成後の状態」と        (注3)

して,「継続の状態」から区別してくわしく記述している。

(注1>このことは,第VI部でのべるような,さらにテンス形式的鍵1面をつよダ)たものへとつながって  いくものとおもわれる。

(注2)npe丑eドいうのはロシア語で「限界」のことで,災語のterminalにあたる。

(注3)角張1976Bは,ガリ版ずりで公刊されていないので,ここにその部分を全文引用しておく。そ   れから,方Il!についてではあるが,工藤真由美1976,1983,荒井孝…1984は,これにふれている。

 ②fi(・【l p e、z e・1)達成後の){ナ1態(T.C.一temporal centerがうごきのf 1のあとと相関している   状懇体はさらt:,いくつかに下位区分噛される)

1。完了の心後の状態

 どうしがうごきの瞬閲盤をあらわす単語,あるいは車語のつらなり とむすびつきながら,瞬間的におわるうごきをあらわし,T.C,がその

うごきの完了(うごきのおわりの目の達成〉の直後と餐:蕪}しているば  T,C.

あい,それは,完芋の礁後の,主体の状態をあらわす。麟式するとつぎのようになる。

  これも鏑瀦,報告している。例をいくつかあげる。

  11) そんなこと,我慢なんか黒来るものですか!茜は胸の寧で,艇射的にこう選んでいた。

      (一の糸296)

  12> あの.女は螢蓉ではないと思うと團時に,お當は本能的に無縁坂の女だと・・うことをさとつ    ていたのである。(雁65)

  13) 新子は無意識に白いポールを六助にさし出していた。(青62)

  14) 突然震えを帯びた,低い,重い声が焼きつくように耳近く聞こえたと患うと,葉子は倉地        が ヒ

   の大きな胸と太い腕とで身動きも出来ないように抱きすくめられていた。(或る女138)

  15)患わず茜は膝の上のζiガ罫を抱きしめていた。←・一213>

  16) rまあ,志渡守を」茜も思わず叫ぶように云っていた。(……一37⑪>

2.n達威のあとの状態

{D,fJfi, uini:の線,点をの弓こえることをみずからの意瞭とするどうしの状態値は,②の意味,すなわ ち H達成後の状態をあらわす。

II6 @第Ill部 継続相のアスペクト

 17> なんとか撚をあかしてやる方法を考えだしたいと,めいめい思っているのだが,なに一・つ   思いつかないうちに蜘の道を出はずれていた。〈二十四玉6>

 18>参吉は六十を五つ六つも過ぎていた。(金環295>

 19> このお三輪が震災に逢った頃は最早六十の上を三つも四つも越していた。(嵐211)

 20> 大塚さんは五十を越していた。(旧主入188)

 このばあい,のりこえられる線,点は,を格の名詞によって表現されている。

②.どうしの状態体に,まもなく,やがてなど,T.C.の移動をあらわす単語がむすびつくと,そ   こには/r.1の達成/という意味,ニュアンスがつけくわわる。

 21) その気配は,やがて,蒲鰯の上をちょんちょんとふんづけて歩いていた。(林220>

 22) まもなく,富永と和子は星空の下の夜道を歩いていた。(青111)

  歩行の状態とそれ以薗の状態のあいだにはH(これは歩行の状態にとってはじめのnをなし  ている)があって,この状態体は/主体はこのはじめのnをこえて,所与のT.C.1:おいて歩  行の朕態にあったこと/をあらわしている。

 23)敬策が,九度出の誰と名をいわぬのに,花は息を呑み,やがて彼の暗い眼から禮母だとい   うことを悟っていた。(紀71>

  ここにも/主体は,まださとっていない状態と,さとった状態のあいだのrlをのりこえて,

 所与のT.C.においてさとった状態にあった/という/Bののりこえ/のニュアンスがつけ  くわわっている。

 24) そうして時聡が経過していったとき,修一一郎は,頭のなかで ひとつの夢を組みたててい   た。(冬284)

  経過していったときがあらわすT.C.において,主体はおわりの口を達成した,すなわちうご  きが完了したあとにあったことをあらわしている。

㈲.動作体と状態体を爾方もつすべてのどうしは,状態体のかたちで,もう(すでに,いっか,

 いつのまにかetc.)〜しているという購文論的な構造のなかにおかれると/あらわされている  状態はどうしのもつ,なんらかのqを達成したあとの時点における状態である/ということ  をあらわしている。

(4>.継続するうごきをあらわすどうしは,前にものべたように,本質的には①継続の状態をあら  矛)すのだが,これがもう〜しているという構文論的な溝造のなかにおかれると,B(はじめの,

 あるいはおわりの)達成後の状態をあらわすものへと移行する。

 25) たか子の蓋で,寝ころんでラジオをきいたりして,十時ごろ自分の室に帰ってみると,宴   会のあとはきれいに片づいて,床が二つ並べてしかれ,トミ子はもう休んで いた。(賜225)

26)

27)

28>

29>

ギえ?」ときき返す声がしたが,伸子はもう黙って揺られていた。(坤下259)

      

既に営庭の方から溝燈ラッパがなり渡っていた。(真柴上232)

ハ もう岡は涙ぐんでいた。(或る128>

それとともに,妄りに自分でこしらえたこの一場の架空劇をよそ黛に晃て,その荒誕をせ せら笑う理蜘の力が,もう彼の甲心に働いていた。(明下209)

30)

31)

32)

33)

車はいっか,入宋のない鼠.1道のような所を走っていた。(陽31の

曾騰の考えは,いつの間にか木谷を思想犯として考えて背く方にはしっていた。

      ($4 一空!z234)

しかし,相手の箪が横転したのを見履けたときには,彼はもう塵労の車を走らせていた。

      (冬195)

「もう晃てるσ……」(}鷺含39>

これらの例においては,/主体は,非活動の状態と活動の状態とのあいだにある,はじまりの 1.iをのりこえて,所与のT.C.において湧動の状態にあること/をつたえている。

例25)〜33)はアクチオンスアルトのひとつである/〜しはじめている/とあらわす現実はに

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