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⑼ 第 二

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 六 ︶ (ページ 157-160)

部第 五章 は文 芸・ 文学 にお ける 日本 語の 働き であ る︵ 著者 は﹁ 高文 化﹂ とい う︶

︒ 外来 の高 文化 を吸 収・ 同化 し︑ ユニ ーク な日 本高 文化 を花 咲か せた こと は︑ 他の 場合 と同 じ︒ しか し︑ 文化 的エ リー トと 常民 との 間の 隔絶

・断 絶が 小さ く︑ 高文 化が 常民 に普 及す る度 合い は高 かっ たと いう 点が 特色 であ る︒ 前 者の 例に

︑文 字︑ 仏像

︑音 楽を あげ

︑高 文化 の重 層性 を説 き︑ 後者 につ いて は︑

﹁日 本の 最高 級の 文化 の形 態も

⁝⁝ 一般 的空 気に 支配 され てい る﹂ 如是 閑︶ こと

︑貴 族文 化と 庶民 文化 の交 流関 係の 実例

︵歌 舞伎

・邦 楽︑ 短歌

・ 俳句 につ いて

︶を 説く 小西 甚一 を引 用し

︑高 文化 の大 衆性 を可 能に した のは

︑カ ナ文 字の 普及 と大 衆娯 楽に よる

耳 学問

に あっ た︵ 二七 五頁 と︶

①こ れま で言 語は 美に 形を 与え るた めの 手段

・道 具で ある

︵岡 崎義 恵︶

︑音 楽が 音の 芸術 であ るよ うに

︑文 学は 言語 の芸 術で ある

︵吉 田精 一︶ と考 えら れて いた のに 対し

︑人 間生 活の 万般 に役 立っ てい る言 語が 芸術

︵文 芸︶ に も用 いら れる こと を考 える と︑ 文芸 は言 語作 品の 一部 であ るか ら︑

﹁文 学は

⁝⁝ 折目 正し い言 語で あり 綾あ る言 語 であ る﹂

︑そ して

﹁言 語の 匂ひ ゆく 姿﹂ に文 学を みる

︵時 枝誠 記︶ とい う考 えが あり

︑言 語が 全体 で文 学は 部分 と する 見方 が明 白に 読み とれ る︒ 広大 な言 語の 世界 があ って

︑そ の中 に文 芸を 発見 する とい うの であ る︒ 前者 の考 え 方は ヨー ロッ パ流 で散 文に よる 文芸 を念 頭に おい てい るの であ るが

︑後 者は 詩歌

・律 語を 文芸 の代 表と 捉え る日 本 的な 考え 方で ある

︒そ こに は︑ 散文 と詩 歌の 違い

︑即 ち︑ 前者 は説 明的 で後 者は 感覚 的と いえ るが

感覚 的な 訴 え

こそ 日本 言語 文化 の特 色と いう こと にな る︒

欧米 人は バイ ブル に由 来す る常 用句 を愛 用す るの に対 し︑ 日本 人は 古来 の詩 歌の 文句 を日 常会 話に も用 いる 伝統 があ るが

︑同 時に

︑欧 米人 にと って 散文 こそ

︑複 雑な 思想 を表 現し 近代 社会 を分 析す るに 適す る事 情が あっ たと 考 えら れる

︒も っと も︑ 日本 の場 合も 内面 的・ 思想 的美 が文 芸の 要素 であ るが

︑情 緒・ 感情 が精 錬さ れて 文学 とな る には 心理 上の エッ セン スを 取り 出す こと が必 要で あり

︵ 美的 径路 と いう

・本 間久 雄︶

︑そ の径 路で 精錬 され るの は 内容 に止 まら ず︑ 言語 が選 ばれ

・練 られ

・磨 かれ て︑ 美し い言 語空 間が 生ま れる ので ある

︵竹 内寛 子︶

︒ 科学

・哲 学な どの 学問 は知 識の 伝達 を主 とし てい るが

︑文 学は

﹁読 者の 想像 を喚 起し 感情 を刺 激し て読 者を 動か す﹂

︵本 間久 雄︶ 言語 芸術 で︑ その 美的 世界 が他 に卓 越し てい ると ころ に作 品の 文芸 性が ある

︒﹁ 物語 文学 の芸 術性 も詩 歌や 音楽 と同 じで ある

﹂︵ 伊藤 整︶ など

︑美 的径 路の 観点 から 文芸 の本 質を 見定 めれ ば︑ 散文 も詩 歌も 文芸 の 本質 で分 かれ るこ とな く︑ 文芸 と言 語と の関 係に つい て対 立は あり えな いと いう こと にな る︒

﹁言 語が なけ れば 人 間に おい て美 は発 見せ られ ない

﹂︵ 今道 友信

︶と いう 美学 的見 地に 立て ば︑ 美は 言語 と同 時存 在す るも のだ とい う こと にな る︒ つま り︑ 言語 は美 の手 段・ 媒体 にす ぎな いと いう 岡崎 文芸 学に は隙 があ った とい わざ るを えず

︑今 道 説は 時枝 説の バッ クア ップ をし た結 果に なる ので はな いか

②と ころ で︑ 文芸 の創 作と 鑑賞 には 民族 の姿 と心 が反 映し

︑民 族の 文化 の重 要な 側面 をな して いる

︒﹁ 文芸 の国 民的 様式 は︑ 他の 芸術 にお ける より も︑ 遥か に顕 著に して 重大 なも ので ある

岡崎 義恵

︶と いわ れ︑ 日本 文芸 の 国民 様式 は﹁ 国語

﹂と

﹁国 民性

﹂を 根拠 とす ると され た︒

﹁常 凡な 群衆 の文 学﹂ も民 族語 と民 族性 のワ クの なか に ある 以上

︑そ の創 作文 芸の 様式 も

日本 人ら しさ

の 一側 面で ある

︑と

︒ こう いう 前提 のも とで 文芸 の日 本的 性格 を考 える と︑

﹁さ さや か﹂

︑つ まり

︑小 粒で 洗練 され た作 品を 好む

︵﹃ 源 氏物 語﹄ は例 外中 の例 外︶ こと が第 一︑ 思想 的統 一や 論理 的構 成の 軽視

︑つ まり 絶え ず移 動す る視 点の 変化 を好 む

︵余 韻と か神 韻縹 緲と か︶ こと が第 二︵ 例外 は森 鴎外

・夏 目漱 石︶ であ る︒ それ は︑ 感動 させ る生 命の 意識 に敏 感だ

が︑ 社会 関係 でも のを 考え るこ とが へた で︑ それ を嫌 う傾 向が 強い から と︒ 第三 は虚 構性 の乏 しさ で︑

﹁私 小説

﹂ を好 むと いう 点で ある

︒﹁ 自然 主義 文学

﹂を 生ん だの も虚 構の 観念 の弱 さに 由来 する

︒﹁ 日本 文学 は⁝

⁝象 徴性 に富 みな がら

︑宗 教的 な深 みを もた ず︑ 超現 実的 な神 秘性 に欠 けて いる

﹂︵ 吉田 精一

︶と

③総 合芸 術の 日本 的様 式に つい て︑

﹁﹁ 伝統 的日 本演 劇の 一大 特色 は﹃ 宗教 心の 稀薄 さ﹄ で︑ 現実 主義 の楽 天生 活 を送 った 農耕 の民 は哲 学的

・宗 教的 懊悩

﹂が なく

⁝⁝ 運命 観な どに 成る もの は皆 無﹂

︵高 野辰 之︶

︒小 津作 品の 映画 が随 筆的 だと 評さ れる のも 虚構 性の 稀薄 さに よる

︒演 劇・ 映画 こそ

︑そ の根 源に ある もの は言 語で ある

︵三

〇五 頁︶ と本 書を 結ぶ

・本 書の 帯封 に﹁ 碩学 の名 講義

﹂と ある

︒筆 者の 読後 感を いえ ば︑ 確か に﹁ 言語 文化 論﹂ の名 講義 に相 異な いと 思う

︒そ して 著者 はい う︒ 本書 は﹁ 日本 学﹂ の基 礎だ と︒ ただ し︑ 筆者 の立 場は 文化 の比 較に つい て︑ 一般 に誰 でも 見て 気が つ くも のを 表層

︑日 常的 に話 した り︑ 考え たこ とを しゃ べっ たり 論じ たり する こと を基 層︑ 表層 と基 層の 根底 にあ って

︑ 無意 識で もそ れを コン トロ ール して いる 伝統 的性 格の 潜在 意識 を深 層と 規定 して

︑本 論文 の構 成を 考え てき た︒ この 観 点か らみ れば

︑芳 賀論 文は 基層 文化 から 論じ た﹁ 日本 学﹂ とい うこ とに なろ うか

︒ 目次 から 明ら かな よう に︑ 拙稿 では

︑表 層を 第七 章︑ 深層 を第 八章 で論 ずる こと にし てい る︒ 誰が みて も気 がつ くの は︑ 都市

・建 築・ 庭園 など 外観 上の 違い であ り︑ これ を表 層と いい

︑目 には 見え ない 潜在 意識 的自 我の 違い を深 層と 措 定し てい る︒

さて

︑﹁ まと め﹂ とし ての 言語 文化 論で 不充 分と 筆者 が感 じた のは

︑美 術︵ 学︶ であ る︒ とく に現 代美 術に つい て︑ 西洋 画・ 日本 画の 区別 がつ くの か︑ ある いは 必要 かと いう 疑問 があ るか らで ある

︒そ こで

︑こ の点 から の 補足 とし て︑ それ の自 意識 がど んな 仕組 みで 成り 立っ てい るか を論 じた

︑佐 藤道 信﹃ 美術 のア イデ ンテ ィテ ィー

︵二

〇〇 七年

︶を 参照 した いと 思う

︒美 術の 話で ある が︑ 本稿 での 論旨 を読 まれ た読 者に は推 察可 能だ ろう

︒つ ま

り︑ 西洋 美術 史の 背後 には キリ スト 教共 同体 の意 識が ある が︑ 日本 美術 史で はど うか を論 じて おり

︑自 我を 論ず る 本稿 には 一瞥 を欠 かせ ぬ著 書で ある

︒ その 内容 は四 章編 成で

︑﹁ 一 国家

・民 族・ 宗教

﹂︑

﹁二

歴史 の上 の﹃ 近現 代﹄

﹂︑

﹁三

﹃現 代﹄ の上 の﹃ 現在

﹄﹂

﹁四

人間 のア イデ ンテ ィテ ィー

﹂︒

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 六 ︶ (ページ 157-160)

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