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⑷ 失 わ

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 六 ︶ (ページ 66-70)

れた

﹁共 有の 意味

﹂を 求め て︑ 著者 はい う︒ それ は人 類の 到達 した 最高 の真 理で あり

︑芸 術の 自由

・自 律性 とし て成 立し た﹁ 文化 的自 由﹂ であ り︑ それ を失 った のは 現在 の大 衆消 費社 会が 原因 であ るか ら︵ 大衆 音楽 と いう レヴ ァイ アサ ンの 流行

︑︶ それ によ って つく られ た疑 似主 体性 を見 極め て︑ 多元 的文 化性 を出 発点 とし なが ら︑ 社会 と文 化を つら ぬく 意味 の体 系と して の﹁ 共有 の意 味﹂ を︑ われ われ 自身 の﹁ 弁証 法的 理性

﹂に よっ て手 にす る こと であ る︑ と結 ぶ︒

・人 間の もつ 合理 性と 非合 理性 を︑ さら に人 間の 意識 と実 在の 全体 性を 構造 化す る理 性を みい だす こと とい うの が︑ 著者 の主 眼点 であ る︒ しか し︑ この 話は

︑西 洋音 楽史 に関 して のも ので あっ て︑ 繊細 で情 動的 な美 的感 覚の 邦楽 につ いて は︑ その 合理 性・ 非合 理性 をど う捉 える のか とい う音 楽文 化上 の難 題が 横た わる

︒著 者の いう

﹁共 有の 意味

﹂は ヨ に普 及し た洋 楽ク ラシ ック に通 底す る真 理で あり

︑雑 種の 日本 音楽 にも 通用 する のか とい う疑 問で ある

︒し か し︑ 邦楽 につ いて

︑強 いて いえ ば﹁ 共通 の意 味﹂ は感 性か ら悟 性︵ 型 ︶ へ展 開し

︑理 性化

︵ 道

︶し つつ ある とい う よう に現 状を 捉え うる なら

︑﹁ 共有 の意 味﹂ を考 える こと も可 能で ある

︵法 に関 する 比較 文化 論の 一翼 を担 うこ とも

︶︒ もっ とも 伝統 邦楽 には

︑家 元制 度と いう 自由 阻害 の大 隔壁 が立 ちは だか ると いう 難点 があ るけ れど

︒ 著書 には 洋楽 クラ シッ クの 歴史 につ いて

︑色 々と 話題 が提 供さ れて いた が省 略し た︵ 読者 の多 くは 承知

?︶

︒簡 潔に

知ろ うと する 読者 には

︑ベ ルナ ール

・シ ャン ピニ ュー ル︑ 吉田 秀和 訳﹃ 音楽 の歴 史﹄

︵一 九六 九年

︶が 芸術 的・ 文学 的・ 宗教 的・ 政治 的関 係に 配慮 しな がら

︑そ の起 源・ 中世 から 現代 まで

︑時 代を 追う 形で 七章 にま とめ られ てい る︒ 日本 人の もの では

︑岡 田暁 生﹃ 西洋 音楽 史︱

︱﹁ クラ シッ ク﹂ の黄 昏﹄

︵二

〇〇 五年

︶が ある

︒中 世音 楽︵ 謎 めく とい う︶ から 現代 音楽 まで を扱 い︑ いわ ゆる クラ シッ ク期 につ いて は歴 史的 文脈 に重 点を おき

︑古 楽・ 現代 音楽 につ い ては クラ シッ クと 関連 付け ると いう アプ ロー チを する

︒結 果︑ クラ シッ ク時 代の 音楽 家に ハイ ライ トが あた り︑ 副題 に いう よう に︑ 二〇 世紀 後半 には 前半 と同 じ論 法で は語 れな い状 況が 生ま れて いる とい う趣 旨に なる

︒ 因み に皆 川達 夫﹃ 中世

・ル ネッ サン ス音 楽﹄

︵一 九七 七年

︶は ヨー ロッ パ音 楽の 原点 に始 まっ て︑ グレ ゴリ オ聖 歌・ トル バド ゥー ルの 中世 音楽 に﹁ ヨー ロッ パ音 楽特 有の 形態

﹂を 見出 せる とい う状 況を 簡明 に描 きだ し︑ デュ ファ イ︑ ジ ョス カン

・デ

・プ レな どの ルネ ッサ ンス 音楽 への 発展 から

︑モ ンテ ヴェ ルデ ィに 至る バロ ック 準備 期ま でを 史的 に扱 い︑ 最後 にシ ャン ソン の誕 生と 一七 世紀 フラ ンス

・オ ペラ の成 立︑ 一六 世紀 のス ペイ ン︵ モラ ーレ ス︑ ビク トリ アな ど︶

︑ド イツ のシ ュッ ツ︑ イギ リス のバ ード

︑ダ ウラ ンド で話 は終 わる

︒隠 れキ リシ タン のオ ラシ ョを 採譜 した のは 皆 川で ある こと を知 る人 もい よう

︒皆 川著 には 古楽 の名 曲名 盤C Dの 解説 書︵ 一九 九二 年︶ もあ る︒

本稿

・本 節内 の論 題は

︑例 の如 く︑ 中井 正﹃ 美学 入門

﹄に した がっ て﹁ 舞台

﹂芸 術に 入る

︒が

︑現 在︑ 広く 知ら れて いる 能・ 狂言

・歌 舞伎 に限 るこ とに する

まず

﹁能

﹂か ら︒

①狂 言と 舞台 を共 にし

︑謡 と囃 子と 舞の 総合 によ る歌 舞劇 であ り︑ 奈良 時代 に唐 から 宮中 に伝 承さ れた 俗楽

︵正 楽は 雅︿ 舞﹀ 楽︶ で︑ 奇術

・軽 業を 主と する 芸能 であ った

︒平 安時 代に は物 真似 も演 じ﹁ 猿楽

﹂と いわ れた が︑ 鎌 倉時 代に 猿楽 者が

﹁座

﹂を 結び

︑滑 稽な 対話 劇と して の﹁ 狂言

﹂の 原形 がで きる 一方 で︑ まじ めな 内容 の歌 舞劇 と して の﹁ 猿楽 の能

﹂が 分化 し︑ 金春 流の 源と なる

﹁円 満井 座﹂ 興福 寺︶ と金 剛流 の源 とな る﹁ 坂戸 座﹂

法隆 寺︶ が成 立し た︒

この 猿楽 の能 が寺 院芸 能︵ 呪師

・声 明な ど︶ の影 響を うけ つつ

︑今 様や 白拍 子な どの 民間 芸も 吸収 して 発達 して いっ た︵ 今日 の﹁ 翁﹂ は呪 師系

︒︶ 他方

﹁田 楽﹂ が一 一世 紀ご ろか ら上 下を とわ ず流 行し

︑﹁ 能﹂ を演 ずる よう にな り︑ 室町 期の 世阿 弥の ころ には 対立 する 猿楽 を圧 倒し た︒ 現在 の能 は︑ 南北 朝に 結城 座︵ 今の 観世 流︶ を興 した 観阿 弥で

︑当 時流 行の

﹁曲

﹂の リズ ムを とり 入れ

︑メ ロ ディ 本位 の能 の音 曲を 革新 した

︒こ うし た観 世親 子の 芸が 足利 義満 の心 をと らえ

︑そ の庇 護の もと で能 を大 成し た ので ある

︒ 世阿 弥の

﹃風 姿花 伝﹄ は︑ いわ ずも がな

︑観 阿弥 の理 論を 祖述 し︑ その

﹁幽 玄﹂ の美 意識 を中 心に 詩劇 とし ての 能理 論を 完成 した もの であ る︒ 世阿 弥の あと は︑ その 甥︑ 音阿 弥が 時代 の寵 児と なり

︑能 は室 町幕 府の

﹁式 楽﹂ と して 扱わ れる よう にな る︒ 布教 の手 段と して 切支 丹能 が生 まれ たの も音 阿弥 の子

︑観 世信 光の ころ

︒能 舞台

・面

・ 装束 の完 成は 桃山 時代 とい われ

︑秀 吉は 徳川 家康

・前 田利 家と 狂言 の共 演を する ほど のマ ニア であ った

︒ が︑ お国 歌舞 伎が 誕生 する 時代 にな ると

︑能 は徳 川幕 府の

﹁式 楽﹂ とな り︑ 観世

・金 春・ 宝生

・金 剛の 四座 と新 設の 喜多 流が 幕府 公認 とさ れ︑ 家元 制度

・分 業制 度に よる 伝承 形態 が確 立す るこ とに なる

︒こ うし て能 は武 家の 専 有と なり

︑そ の演 出形 態も 江戸 中期 に完 成す る︒ しか し︑ 民衆 が能 に接 する のは

︑江 戸城 内で 公開 され た﹁ 勧進 能﹂ だけ

︒に もか かわ らず

︑謡 だけ を楽 しむ

﹁素

は民 間に 大流 行し

︑そ のテ キス ト﹁ 謡

﹂の 刊行 は一

〇〇 種に 及ん だと いわ れて いる

︒ 幕府 の崩 壊は 能に とっ ても 危機 とな った が︑ 能を 国劇 と考 えた 岩倉 具視 らの 援助 があ って 復興

︑芸 能楽 堂の 建設

︵一 八八 一年

︑の ち九 段に 移さ れて 九段 能楽 堂と なる

︶が 行わ れた

︒第 二次 大戦 によ る能 楽堂 の消 失に も拘 らず

︑現 在︑ 観客 の増 加を 背景 に︑ 国立 能楽 堂を 始め

︑地 方公 共機 関に よる 能楽 堂の 建設 が盛 況を 支え てい る︵ 一九 五四 年 ベネ チア 国際 演劇 祭参 加︶

流派 の特 徴と いえ ば︑ 観世 流は 洗練 され た魅 力︑ 宝生 流は 質実 剛健

︑金 春流 は古 格を 守り

︑金 剛流 はは んな りし た風 合い

︑喜 多流 は武 士道 精神 を貫 いて いる

②能 の種 類は

︑シ テの 性格 によ って

︑神

・男

・女

・狂

・鬼 の﹁ 五番 立﹂ に分 かれ

︑江 戸時 代で は順 番に 演能 する とさ れた が︑ 現在

︑一 ない し三 の催 しが 一般 化し てい る︒ 以下 は﹁ 五番 立﹂ の例 示で ある

︒ 初番 目物

﹁脇 能﹂

︵別 格の

﹁翁

﹂︑

﹁高 砂﹂

﹁竹 生島

﹂な ど三 八曲

︶︒ 二番 目物

﹁修 羅能

﹁田 村﹂

﹁屋 島﹂

﹁箙

﹂﹁ 敦盛

﹂な ど一 六曲

︒︶ 三番 目物

﹁鬘 物﹂

︵女 役を シテ とす る幽 玄美 の最 高能

︑﹁ 羽衣

﹂﹁ 松風

﹂﹁ 熊

﹂な ど三 九曲

︶︒ 四番 目物

﹁雑 能物

﹂︵ 残り のす べて で上 演頻 度が 高い

︑準 鬘物

﹁遊 行柳

﹂﹁ 西行 桜﹂ など 四曲

︑準 脇能 物﹁ 雨月

﹂﹁ 三輪

﹂ など 八曲

︑狂 乱物

﹁三 井寺

﹂﹁ 班

﹂﹁ 弱法 師﹂ など 二五 曲︑ 遊行 物﹁ 花月

﹂な ど三 曲︑ 唐物

﹁邯

﹂﹁ 菊慈 童﹂ など 七曲

︑ 執心 物﹁ 通小 町﹂

﹁善

﹂な ど八 曲︑ 怨霊 物﹁ 道成 寺﹂

﹁綾 鼓﹂ など 八曲

︑人 情物

﹁俊 寛﹂

﹁景 清﹂

﹁鳥 追船

﹂な ど九 曲︑ 現 在物

﹁安 宅﹂

﹁小 袖曽 我﹂ など 二〇 曲︶

︒ 五番 目物

﹁切 能物

﹂︵ 鬼・ 天狗

・妖 精が 活躍 する フィ ナー レ用 のテ ンポ が早 い能

︑﹁ 安達 原﹂

﹁石 橋﹂

﹁船 弁慶

﹂﹁ 山姥

﹁野 守﹂

﹁融

﹂﹁ 猩々

﹂な ど五 一曲

︒︶

③能 の文 体に は候 調と 雅文 調が あり

︑前 者は 会話

︑後 者は 散文 と七 五調 一二 音を 基本 とし た韻 文に 用い られ る︒ その 修辞 は掛 詞・ 縁語

・序 詞・ 引歌 を駆 使し て︑ イメ ージ の連 鎖反 応を 狙っ た連 歌的 文学 発想 とな って いる

︒ その 構成 は一 場の 単純 なも の︵ 例﹁ 猩々

﹂︶ から 二二 場に 変化 する もの

︵例

﹁烏 帽子 折﹂ ま︶ であ るが

︑結 局は 前シ テ・ 後シ テと 変わ る﹁ 複式 能﹂ で終 わる

︒そ れは

︑引 幕・ 舞台 装置 もな い能 舞台 では

せ りふ

だ けで 場面 転換 を し︑ また 回想 形式 をと るか らだ

︵﹁ 夢幻 能﹂ とよ ばれ

︑シ テの 独演 でワ キや ツレ は傍 観者 と︶

︒こ の手 法に より 時間 は 自由 に停 止し 圧縮 され

︑異 次元 の存 在も 自由 に舞 台に 登場 する こと にな る︒

これ に対 し︑ 現実 の人 間が 現実 の時 間を 舞台 で再 現す る能 は﹁ 現在 能﹂ とい われ るが

︑夢 幻が 登場 する 演目 もあ って はっ きり した 区別 はつ けら れな い︒

④能 の演 技の 基本 は﹁ 構

え﹂ であ り︑ 重心 を腰 にた め四 方に 気魄 を発 する 強さ であ る︒ 次が 足の

﹁運 び﹂ で摺 り 足︑ 安定 感と リズ ム感 を強 調し た直 線運 動・ 円運 動に よっ て踊 るの では なく 舞う ので ある

︒能 の動 きに は︑ すべ て

﹁型

﹂が あり

︑形 の美 しさ を保 つ舞 踊的 なも の︑ 演劇 上特 定の 意味 のあ るも のと ある が︑ 重な る部 分が 多く あっ た り︑ 用い 方で 様々 な表 現効 果を あげ るの が普 通で ある

︒能 の﹁ 型﹂ は常 に流 れ︑ つな がり なが ら大 きな テー マを 表 現し てい るの で︑ 歌舞 伎の

﹁見 得﹂ のよ うな 停止 はな い︒ つま り︑ 能の 演技 は極 端に 切り つめ たも ので

︑わ ずか な 型に 捨象 され た動 きの 総量 が凝 集し てお り︑ それ を支 える のは 演者 の精 神力 であ る︒ また 能の 幽玄 美は 男性 的な 力 強さ だけ によ って 支え られ てお り︑ 歌舞 伎の 女形 のよ うな 写実 的方 法は 全く とら れな い︒ 今日

﹁能 楽堂

﹂と いわ れる 呼び 名は 明治 以降 のも ので

︑江 戸時 代に おけ る家 元の 稽古 能を 公開 して いた とき の形 をう けつ いで いる

︒そ うい われ れば

︑三 間四 方の 舞台 の四 隅に 柱を たて て屋 根を 支え ただ けと いう 簡素 な形 も納 得 がい くし

︑能 の美 学に も適 うと 考え られ る︒ 方形 の舞 台は 額縁 舞台 と違 い立 体的 演技 を要 求さ れる

︒背 景な く舞 台 装置 なき とこ ろで は︑ 観客 はあ らゆ る情 景を 頭に 描き ださ なけ れば なら ず︑ その ため 観客 も演 劇に 参加 する こと を 要求 され てい ると いえ よう

︒ 舞に は︑ 地謡 の文 に従 って 舞う もの と︑ 序の 舞な ど器 楽演 奏に よる 抽象 的舞 の﹁ 舞事

﹂の 二種 があ る︒ 序の 舞・ 中の 舞・ 男舞

・早 舞・ 袖舞

・急 舞は 基本 の譜 が共 通で

︑テ ンポ と演 奏の 位が 異な る︒ 独自 の譜 に神 楽・ 楽・ 羯鼓

・ 獅子

・乱 など があ るが

︑﹁ 翁﹂ の舞 は楽 器・ 楽式 とと もに 異質 の古 態を 伝え てお り︑ また 特殊 なも のに

﹁道 成寺

﹂ の乱 拍子 があ る︒ 囃子 と謡 は八 拍子 で︑ リズ ムの 基本 は三 種︑

ドキュメント内 法 文 化 論 序 説 ︵ 六 ︶ (ページ 66-70)

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