• 検索結果がありません。

−友人と親しくなるときに重要視していることと関係のもち方−

ドキュメント内 保健科学研究第1号 (ページ 41-49)

五十嵐 世津子

*1

 木 立 るり子

*2

 井 瀧 千恵子

*1

川 崎 くみ子

*1

 一 戸 とも子

*3

 千 葉 貴 子

*4

田 邊   緑

*5

 蓮 井 孝 子

*5

 石 澤 久美子

*5

岸   紗貴子

*5

 長 内 一 子

*6

 長 内 志津子

*7

佐 藤 美 佳

*8

 小 沢 久美子

*8

 工 藤 美恵子

*9

 中 村 有 子

*9

(2010 年 9 月 30 日受付,2010 年 12 月 14 日受理)

要旨:本研究の目的は,看護系学生と一般青年の対人関係構築を比較することによって,看護 学生の特徴を明らかにし,看護教育上の示唆を得ることである。A県内の看護教育機関である 大学,短期大学,専門学校および高等学校の看護学生に対して,自記式質問紙調査を行い1088 人の有効回答を得た。その結果,一般青年と比較して,看護学生の対人関係構築の特徴は,広 く親密な関係をもとめ,あえて深入りはしない傾向があった。また,男子看護学生は友人関係 で広く浅い関係を志向し,視覚から得られる情報に重点をおく可能性があった。女子看護学生は,

考え方に共感できることを重要視していた。

キーワード:看護学生,対人関係,青年,看護教育

*1弘前大学大学院保健学研究科健康支援科学領域

  障害保健学分野

  〒036-8564 青森県弘前市本町66-1

  E-mail:[email protected]

*2弘前大学大学院保健学研究科健康支援科学領域

  老年保健学分野

*3弘前大学大学院保健学研究科健康支援科学領域

  健康増進科学分野

*4七飯町保健福祉課

*5青森県立黒石高等学校

*6財団法人双仁会厚生病院附属看護学院

*7弘前学院大学看護学部

*8八戸短期大学看護学科

*9八戸市立高等看護学院

Ⅰ.はじめに

 携帯電話やインターネットなどのパーソナル・メ ディアの普及が若者における対人関係に与える影響に ついて,友人関係の自由市場化1),選択的な人間関係 の構築2),対面でのコミュニケーション能力の低下な どが指摘されている。近年の若者たちは,対人関係を 構築するスキルを習得していく学童期から,携帯電話 やメールなどの機器を媒体としたコミュニケーション が日常化している中で成長し,対面によるコミュニ ケーションスキルは未熟であると思われる。患者とよ り良好な関係を築く必要のある看護学生も例外ではな

く,対人不安により対人関係や友人関係が希薄な傾向 にあることが指摘されている3)。このような状況の下,

1997年の保健師助産師看護師学校養成所指定規則の改 正で「人間関係論」の内容を含むように提言され,人 間関係を構築するための教育4)が看護教育に位置付 けられた。

 筆者らは,A県における看護教育上の現状と課題に ついて情報交換し,看護系学生・生徒(以下,看護学 生)におけるコミュニケーションを理解するための文 献学習,および調査を行ってきた5−7)。2004年当時の 調査結果では,日常の必須アイテムとなってきていた 携帯電話の普及が,看護学生の対人コミュニケーショ

ンに少なからず影響があり,教育課程別のコミュニ ケーション教育の必要性が示唆された8)。一方で,看 護学生の約 7 割は,携帯電話を利用することによるコ ミュニケーション能力の低下といった対人関係上のデ メリットを感じていた9)

 看護を学ぶ学生にとって,患者とよりよい関係を築 き,より深く患者を理解するためには,対人関係を構 築していくことは非常に重要なこととなる。本研究で は,個々における対人関係構築の特徴は,友人との関 係をどのように構築しているのかという一側面から把 握することができると考えた。また,現代における一 般の青年(以下,一般青年とする)の傾向と比較する ことによって,看護学生の特性を知ることができると 考えた。

 本研究の目的は,現代の若者である看護学生と一般 青年における友人と親しくなるときに重要視している ことと関係のもち方を比較することによって,看護学 生が対人関係を構築していく時の特徴を明らかにし,

看護教育上の示唆を得ることである。

Ⅱ.研究方法 1 .対象者

 A県内の看護教育機関である大学,短期大学,専門 学校および高等学校の所属長宛に研究協力の依頼を し,承諾が得られた教育機関の看護学生1742人である。

2 .調査期間  2008年11月〜12月

3 .調査方法

 留め置き法による自記式質問紙調査である。承諾の 得られた看護教育機関12校に研究者が赴き,クラス毎 に依頼文書に基づき口頭で研究協力への依頼を行なっ た。教育機関毎に回収箱を設置して質問紙を回収した。

 質問内容は,属性,および友人と親しくなるときに

「重要視していること」と「関係のもち方」である。

これらは,高橋ら10)による『都市的ライフスタイル の浸透と青年文化の変容に関する社会学的分析』(2004 年)の調査項目の一部(共同研究者の許可を得て使用)

を用いた。「重要視していること」は10項目からなり,

『属性重視』( 4 項目),『外見重視』( 2 項目),『内面 重視』( 2 項目),『長期接続性重視』( 1 項目),『短期 接続性重視』( 1 項目)の傾向を知るものであり,【友 だちと親しくなっていくときに重要視していることに ついて,あなたにとって最もあてはまる番号を○で囲 んで下さい】と指示し,重要だ・どちらかといえば重

要だ・どちらかといえば重要でない・重要でないの 4 段階で質問した。「関係のもち方」は,『遠心志向:浅 く広く』『求心志向:深く狭く』『孤独志向:友人にコ ミットしない』『状況志向:深く広く』の傾向を知る ものであり 2 項目ずつ計 8 項目からなる。ただし,孤 独志向・求心志向・状況志向は逆転項目(本研究で は,それぞれ非孤独志向,非求心志向,非状況志向と 表した)を 1 項目ずつ含んでいる。【友人との関係の もち方について,あなたにとって最もあてはまる番号 を○で囲んで下さい】と指示し,あてはまる・どちら かといえばあてはまる・どちらかといえばあてはまら ない・あてはまらないの 4 段階で質問した。

4.分析方法

 高橋ら10)は,都市青年の意識と行動の特性および その変容を明らかにすることを目的として,2002年に 都市在住の16〜29歳の一般若者に調査を実施し,1098 人(女性606人,男性492人)のデータを報告書にまと めた。本研究は,この報告書の中の「友人関係に関す る項目」の結果と比較し,考察を加えたものである。

そのため,重要視していることは,「重要だ・どちら かといえば重要だ」の肯定群と,「どちらかといえば 重要でない・重要でない」の否定群の 2 群に修正した。

関係のもち方も「あてはまる・どちらかといえばあて はまる」の肯定群と,「どちらかといえばあてはまら ない・あてはまらない」否定群の 2 群に修正して,デー タの重み付け後にカイ 2 乗検定を行った。看護学生に おける属性(性別,年齢別)の比較はカイ 2 乗検定を 行い,調整済み残差で有意性を判断した。年齢別によ る比較は,高校生の年代,20歳前後の 2 年間,23歳以 上 と し,18歳 以 下 群,19〜20歳 群,21〜22歳 群,23 歳以上群の 4 群に分けて分析した。統計処理は SPSS  for windows v15.0J を使用し,有意水準は 5 %未満と した。なお,本研究では,看護基礎教育課程における 複数種の学校を対象校としており,一概に学校別,学 年別に検討することが難しいと考えられたため比較検 討は行わなかった。

5.倫理的配慮

 調査協力依頼は,強制ではないこと,回答は無記名 で行いプライバシーを保護すること,拒否により成績 に不利益は生じないこと,学会等での公表について文 書と口頭で説明して行った。また,同意書に記名を求 めたため,個人が特定されないように,回答用紙およ び同意書は別々にして,回答者自身が回収箱へ投函し た。弘前大学大学院医学研究科倫理委員会による承認

41 看護系学生・生徒の対人関係構築に関する研究( 1 )−友人と親しくなるときに重要視していることと関係のもち方−

を得て行った。(2008-074)

Ⅲ.結  果

 1742部 配 布 し た う ち1395部 回 収 で き( 回 収 率 80.0%),分析項目に不備がなく,就職経験がないと 答えた1088部を分析した。

1 .対象者の属性(表 1 ) 

  対 象 者 は, 高 校 の 看 護 科 に 在 籍 す る 生 徒206人

(18.9%),高校専攻科生徒124人(11.4%), 2 年課程 専門学校生(昼間コース)24人(2.2%), 2 年課程専 門学校生(夜間コース)75人(6.9%), 3 年課程専門 学校生180人(16.5%),短期大学学生211人(19.4%),

4 年制大学学生268人(24.7%)であった。性別は,

男性126人(11.6%),女性962人(88.4%)であった。

全体の平均年齢は19.5±2.0歳であり,男性は20.2±2.3 歳,女性は19.4±9.6歳であった。年齢構成は,18歳以 下は290人(26.7%),19〜20歳は503人(46.1%),21〜

22歳は228人(21.0%),23歳以上は67人(6.2%)であっ た。臨地実習経験は,ありが660人(60.6%),なしが 412人(37.9%),記載なしが16人(1.5%)であった。

2.看護学生と一般青年との比較(表 2 )

 (1)友人と親しくなるときに重要視していること  重要視していることについて,属性重視項目のうち,

「相手が同性であること」(看護学生36.6%,一般青年 25.9%,p<0.001)が重要であると答えた割合は,看 護学生が一般青年よりも有意に多かった。

 外見重視項目では,「相手の容姿や顔立ちが自分の 好みであること」(看護学生16.1%,一般青年21.0%,

p<0.01),「相手のファッションが自分の好みである こと」(看護学生19.9%,一般青年25.1%,p<0.01)

において,重要であると答えた割合は,一般青年より も看護学生のほうが有意に少なかった。

 内面重視項目では,一般青年と比較して有意な差は 認められなかった。

 長期接続性重視項目では,「つきあいが長く続きそ うだと思うこと」(看護学生64.9%,一般青年59.7%,

p<0.05),短期接続性重視では「その場その場での りがよいこと」(看護学生60.2%,一般青年48.3%,

p<0.001)において,重要であると答えた割合は,

看護学生のほうが一般青年よりも有意に多かった。

 (2)友人との関係のもち方

 関係のもち方は,「いつも友だちと連絡をとってい ないと不安になる(非孤独志向)」と「お互いに顔見 知りでない友だち同士をよく引きあわせる(非状況志 向)」の 2 項目は,一般青年と同様に,あてはまると 回答した割合が少なかった。

 看護学生があてはまると答えた割合が一般青年と 比較して有意に多かった項目は,「友だちをたくさ        表1 対象者の属性     

n=1088

項 目 人 数 %

所属学校の種類

高校 206 18.9  高校専攻科 124 11.4  2 年課程専門学校(昼間コース) 24 2.2  2 年課程専門学校(夜間コース) 75 6.9  3 年課程専門学校 180 16.5  短期大学 211 19.4  4 年制大学 268 24.7  性別

男性 126 11.6  女性 962 88.4  年齢構成

〜18歳 290 26.7  19〜20歳 503 46.1  21〜22歳 228 21.0  23歳〜 67 6.2  臨地実習経験

あり 660 60.6  なし 412 37.9 

記載なし 16 1.5 

ドキュメント内 保健科学研究第1号 (ページ 41-49)