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ʔɛ́dì/ ʔɛ́dà

ドキュメント内 現代ビルマ語における指示詞の研究 (ページ 40-43)

3. 口語体ビルマ語の指示詞

3.2. 口語体の現場指示

3.2.2. ʔɛ́dì/ ʔɛ́dà

online-ABL sell-nc.RLS-Q

オンラインで売っているの?

A: ʔé mă-houʔ-pʰú dì-hmà-lɛ́ là+wɛ̀-lô yâ-t̬ɛ̀

INTERJ not-right-vs.NEG here-LOC-DIS.also come+buy-because get-vs.RLS

dàbèmɛ̂ ʔùɴláiɴ-hmà-lɛ́ yâ-t̬ɛ̀

but online-LOC-DIS.also get-vs.RLS

うん。違う。ここに来て買ってもいい。でも、オンライン上でも大丈夫。

2016/3/7収録の自然会話

以上の(15)~(21)の例から分かるように、dì/ dàは物理的に近い対象を指す場合に使われる。

このような物理的距離が近いと感じられる場合のdì/ dàを近称と呼び、近称のdì/ dàは常に

遠称①のhò/ hòhàと遠称②のʔɛ́dì/ ʔɛ́dàと対立をなす。

従って、dì/ dàは現在話し手がいるところを含む場所や話し手に接近あるいは近いとこ

ろにある対象物を指し示す場合に用いられる。

(23) {pètó ʔáyâwáɴt̪à t̪àɴ-jeiʔ-hnîɴ lé-ŋá-hláɴ ʔă-kwà-k̬â lɛʔsʰîɴkáɴ+yù-yàɴ

NAME.person happily iron-hook-INS four-five-step NMLZ-far-ABL hand.over+take-PURP

lɛʔ ʔă-hláɴ}

hand NMLZ-step

“ʔɛ́dì páɴ-c̬ʰeíɴ-k̬ʰălé-k̬ò t̪ù-nɛ̂-ʔătù yɔ́+t̪ăjò+pé-p̬à-Ø.”

that2.DET flower-basket-DIM-ACC [3]-COM-together mix+cremate+give-PLT-vs.IMP

ペートウはほくほくして、鉄フックから四、五歩離れた所で、受け取ろうと手を差し伸 べやママ矢先......、

「その花籠は彼女と一緒にしてください。...」

(KMT2004: 115), (MDM1998: 177)一部改変

(22)のʔɛ́dìは、受け手である奥さんが自分から離れているところにある指示対象であるタ

メインを掴み取る場面であり、(23)のʔɛ́dìは、話し手が自分の手から受け取る側のペートウ の方へ離れていく花籠に対して言及する場面である。ʔɛ́dìで示される対象物は、基本的には、

話し手から離れているものであるが、(23)のように離れていく瞬間の対象物を示すこともあ る。

(24) {yà-bɛʔ bé-hmâ ʔăkʰáɴ-k̬ò hnyúɴ-ywê}

right-direction side-ABL room-ALL point-SEQ

“ʔɛ́dì-hmà nyâ-nyâ bìdìyò pyâ-t̬ɛ̀-lè.”

there2-LOC night-night video show-vs.RLS-FP

右側の部屋を指して...

「あそこで毎晩ビデオを上映するの」

(KMT2004: 14), (MDM1998: 35)

(25) {t̪ù-k̬â dá-t̪̬wá-k̬ò lɛʔ-nɛ̂ puʔ+sáɴ-yíɴ dăzòuɴtăkʰû

[3]-NOM knife-blade-ACC hand-COM rub+test-while something

càɴsì+nè-pòuɴ+yâ-t̬ɛ̀. nauʔ cămâ ʔăkʰáɴ-t̬ʰè-k̬ò myɛʔs+ɡăzá-yíɴ}

intend+stay-figure+get-vs.RLS then [1f] room-inside-ALL eye+play-while

“ʔɛ́dì sàywɛʔ-twè-k̬â bà-t̬wè-lɛ́”{-t̬ɛ̂}

that.DET paper-PL-NOM what-PL-Q-HS

彼は刀の刃を手で触りながらあることを意図しているようである。そして私の部屋を 見回して「その資料はなんだ」と(私に尋ねてきた)。

(MKM2010: 73)

(24)のʔɛ́dìは、右横の部屋を漠然と何の前提もなしに指しており、(25)のʔɛ́dìは、相手の部

屋の中を見回して、突然視界に入ってきた対象物を指している。

(26) {dì méiɴmâ myàɴ-myàɴ seiʔ+pyɛʔ-yìɴ myàɴ-myàɴ this.DET woman quick-RDPL mind+destroy-COND quick-RDPL pyàɴ-hmà-p̬ɛ́-hû hyɛ́ʔúzwà t̪ăyɛʔpìɴ-k̬ò twê-lè-yà}

return-nc.IRR-FOC-QUOT fast NAME.tree-ACC see-FP-place

“ʔɛ́dà t̪ăyɛʔpìɴ kʰɔ̀-t̬ɛ̀”

that2 NAME.tree call-vs.RLS

この女、すぐ嫌になればさっさと帰ってくれるだろうと、最初にふっとマンゴーの木 に目をやって

「それ、マンゴーの木と呼ぶ。」

Po Kya ‘ရ ုဇီခင်တင့််ထ ျား’「ロージーキンティントゥン」より

(27) hê t̪àɴjáuɴ ʔɛ́dà bà-lɛ́.

INTERJ NAME.person that2 what-Q

おいタンジャウン、あれは何だ?

(MTT1995: 122), (MDM1983: 112)

(26)は庭を案内する場面の例であり、話し手はそれ以前に言及したことのないマンゴーの

木をʔɛ́dàを用いて指しており、(27)のʔɛ́dàは、突然耳に入ってきた何らかの音を指している。

次の(28)はアンティーク雑貨屋での自然会話で、店員 A が Cの質問に対応する場面であ る。この時、AはBとDに違う話題について話しており、Cは一人で店内を回りながら突 然、近くにある珍しいものを指して話しかけたのである。Aはその指示対象の珍しいものが 自分から少し離れている場所にあるため、ʔɛ́dà を用いてCの話に対応する。A は実際に物 理的に離れている場所にある珍しいものを指している。この珍しいものとは一度 C が指し た対象であり、AはCの話を受けて答えようとしている。従って、Aが用いた第一のʔɛ́dàを 現場指示として解釈することはやや不適切かもしれない。しかしながら、第二のʔɛ́dà は A が対象についての説明に取り込もうとして指したものであり、対象に焦点を当てている場 面であるため、現場指示の解釈は可能である。

(28) アンティーク雑貨屋での会話 C: dì ʔouʔsà-lé-k̬â tʰúzáɴ-t̬ɛ̀.

this.DET thing-DIM-NOM strange-vs.RLS

これは珍しい。

A: ʔíɴ, ʔɔ̀, ʔɛ́dà mă-houʔ-pʰú ʔɛ̂dà ŋá pʰáɴ-t̬ɛ̂-hà

INTERJ, ADM, that2 not-right-vs.NEG that2.OBL fish catch-attr.RLS-FN

うん、あ、それ違います。それは釣り具。

(中略)

ŋá pʰáɴ-t̬à-lè dàbèmɛ̂ dì-hmà t̪ù-k̬â mílóuɴ taʔ-pí ʔă-hlâ louʔ-tà fish catch-nc.RLS-FP but here-LOC [3]-NOM bulb put.on-SEQ NMLZ-beautiful do-nc.RLS

釣り用だよ。でも、ここで、彼・彼女(/これ)が、電球をつけて飾るのよ。

2016/3/7収録の自然会話

以上、ʔɛ́dì/ ʔɛ́dà は指さし行為やそれに相当する行為さえあれば、漠然とした指示対象を

何の前提もなしに指すことができるということを確認した。

ドキュメント内 現代ビルマ語における指示詞の研究 (ページ 40-43)