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PDF (アクアポリン3)の脂溶性ビタミンによる発現調節 明治薬科大学病態生理学教室 石 橋 賢 一

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Academic year: 2024

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皮膚ケラチノサイトの水・グリセリンチャネル

AQP3

(アクアポリン3)の脂溶性ビタミンによる発現調節

明治薬科大学病態生理学教室 石 橋 賢 一

目的・背景

皮膚の角質層には水・グリセリンチャネルであるアクアポリン3(AQP3)が多く発 現している。AQP3 は角質層のグリセリンと水の量を調整しており、皮膚の保湿にと っても重要な役割をはたしていることが AQP3 ノックアウトマウスの解析からあきら かになった。

われわれはこれまで AQP3 をはじめヒト、マウスのアクアポリンを7つあらたにク ローニングしてきた(AQP3, 7-12)。さらに皮膚のAQP3 についてもビタミンA によっ て 増 加 す る こ と を あ き ら か に し て き た 。 ま た ケ ラ チ ノ サ イ ト の 腫 瘍 細 胞 (keratinocarcinoma)での内因性 AQP3 がソルビトールによっても増加することもあ きらかにしてきた。

一方、皮膚の細かい傷のすみやかな修復はきめの細かい美的肌を保つために必須であ る。AQP3 によってそれが促進されている可能性がありAQP3 の発現を調節する物質 を発見することは将来的に化粧品の開発のシードを提供する。これは老化による皮膚の ダメージからの修復にも関与している可能性もある。さらに医療の現場においても圧迫 潰瘍(床ずれ、褥瘡)など難治性の傷の治療にもつながりうる重要な知見を提供すると 考えられる。

そこで癌細胞ではなく培養正常ヒト皮膚ケラチノサイトを用いて、軟膏薬としてよく 用いられ、AQP3の発現を調節する可能性のある脂溶性ビタミンであるビタミンEとD について検討した。

結果・考察

正常ヒト皮膚ケラチノサイト(NHEK)(PHK16-0b細胞)を用いて実験した。少量の グリセロールで AQP3 の発現が刺激されるが中等量では抑制されるという結果は中等 度濃度のグリセロールは毒性よりもネガティブフィードバックによる制御がおこなわ れている可能性がある。グリセロールに浸透圧とは異なる特異的な細胞作用が存在する ことも示唆している。

また、カルシトリオール(活性型ビタミンD)の添加によりAQP3のRNA発現量は 濃度に依存して増加した。一方、酢酸トコフェロール(ビタミンE)添加(2x10-10M) によっても AQP3 の発現量の同程度の増加が見られた。これに対してトコフェロール のみでは添加濃度を変えてもAQP3のRNA発現量および形態の変化は全く生じなかっ た。さらにトコフェロール添加後の培養が12時間後、24時間後でも共に AQP3 の 発現量に変化は認められなかった。これはトコフェロール単体ではバイオアベイラビリ ティーに問題がある可能性があるので今後検討されなければならない。

以前我々はケラチノカルチノーマ細胞においてビタミンA添加による AQP3 の発現

(2)

変化を認められなかったが、今回正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEK)を用いること で、より正常に近い反応を検討できたのではないかと考えられる。

今回もちいた脂溶性ビタミンは皮膚疾患によく用いられるものなので AQP3 発現調 節にどのように関与するかに興味がもたれる。脂溶性物質の溶解に用いるDMSOだけ でAQP3の発現が増加するのでvehicleの影響には細心の注意を払う必要があり、今回 用いたエタノールは AQP3 の発現に影響をしないのを確認しているが、実際の化粧品 などでは混合物が多いのでそれらの影響も考慮する必要がある。

今後、培養細胞での知見が皮膚組織においても認められるかだけでなく、ケラトカル チノーマ細胞における AQP3 の発現制御が正常皮膚ケラチノサイトと同様であるのか どうかも検討していく必要がある。これは、マウスでは AQP3 を介したグリセリン摂 取が皮膚癌発育を促進するようなので、ケラトカルチノーマ細胞の AQP3 を減少させ るが正常皮膚ケラチノサイトの AQP3 の発現を増加させる物質を同定することがより 安全な化粧品の開発には望まれると考えられるからである。

参照

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