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脂肪酸 1) 脂肪酸の分類脂肪酸は, 中性脂肪や複合脂質に結合しており, その構造は炭素鎖が連なるカルボン酸である 脂肪酸は炭素の鎖長 ( 長短 ) によっても分類され, 炭素数 2~4 個のものを短鎖脂肪酸 ( 低級脂肪酸 ),5 ~12 個を中鎖脂肪酸, それ以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸 (

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脂質(Lipid)とは

食品中の成分で,1)水に溶けず,クロロフォルムやエーテールなどの有機溶媒に溶け,2)構造上,エ ステル結合やアミド結合の形で脂肪酸を持ち,3)生体で利用される物質を総称して脂質という。 脂質は,生体で体構成成分としてだけでなく,生理活性物質やその前駆体としても重要である。ま た,エネルギー源ともなり,1 g あたり 9 kcal のエネルギーとなる。

脂質の分類

1)単純脂質 脂肪酸とアルコールやグリセロールとのエステルでその他の成分を持たない脂質で,アシルグリセ ロールが代表。 2)複合脂質 アルコールや脂肪酸の他にリン酸,糖,たんぱく質などの極性基を含んでいる脂質。リン脂質,糖 脂質,リポたんぱく質などがこれに分類される。 3)誘導脂質 脂質の加水分解により生じたもの。脂肪酸,コレステロール,ビタミンDなど。

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脂肪酸

1)脂肪酸の分類 脂肪酸は,中性脂肪や複合脂質に結合しており,その構造は炭素鎖が連なるカルボン酸である。脂 肪酸は炭素の鎖長(長短)によっても分類され,炭素数2~4 個のものを短鎖脂肪酸(低級脂肪酸),5 ~12 個を中鎖脂肪酸,それ以上の炭素数のものを長鎖脂肪酸(高級脂肪酸)というが,天然に存在す る脂肪酸は,炭素数が(偶数個)の直鎖状化合物が大部分で,なかでも炭素数 18(C18)のものが多 い。 脂肪酸は通常,飽和アルキル基にカルボキシル基が結合した飽和脂肪酸と不飽和二重結合を含む不 飽和脂肪酸に大別され,さらに不飽和脂肪酸は,不飽和二重結合を1 つ持つ一価不飽和脂肪酸と2 個 以上の不飽和二重結合を持つ多価不飽和脂肪酸に分類される。 また,不飽和二重結合の位置によっても分類される。脂肪酸の炭素鎖には末端にカルボキシ基 (COOH)とメチル基(CH3)があり,COOH の炭素が 1 番,次いで 2 番,3 番となり,炭素数 n 個 の脂肪酸では末端のCH3の炭素がn 番目となる。二重結合の位置をこの番号で示すと,たとえば 9 番 目と10 番目の間にあるなら,Δ9 とする。 一方で,COOH の反対側の末端である CH3の炭素はω(オメガ)位といい,CH3から数えて最初の 二重結合の位置を炭素番号で表すこともある。たとえば,n-6 番目(末端 CH3から数えてω6 番目) に初めて二重結合を持つ脂肪酸の場合,n-6 系(ω6 系),n-3 番目(末端 CH3から数えてω3 番目) に初めて二重結合を持つ脂肪酸の場合,n-3 系(ω3 系)という。

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多価不飽和脂肪酸は,血小板凝集の調節や血清コレステロール濃度の低下作用などによって,高脂 血症や動脈硬化予防,ひいては心筋梗塞や脳梗塞の予防効果が期待されている一方で,不飽和二重結 合を持つことから構造上不安定であり,過酸化を受けて過酸化脂質の基になり,組織の過酸化傷害の 原因となることが懸念される。そのため,多価不飽和脂肪酸の摂取量に応じて,ビタミンEなどの抗 酸化作用を持つ栄養素の必要量も増加する。 また,不飽和脂肪酸は,構造上水素が不飽和状態であることからシス型とトランス型の構造異性体 が存在する。 さらに,飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸によって次のような違いが起こる。 食品 融点 その他 飽和脂肪酸が多い 陸生の動物性食品に多い 高い(常温で固形) 体内で中性脂肪に再合成されて皮下脂肪となりやす いことに加えてコレステロールになりやすい。 不飽和脂肪酸が多い 植物油,魚介類, 水生の動物(鯨など) 低い(常温で液体) 抗血栓,抗高脂血症・動脈硬化・心筋梗塞・脳梗塞 効果 過酸化脂質を生じやすい 2)必須脂肪酸 リノール酸およびα-リノレン酸は,体内で生成が行われないことから必須脂肪酸とされている。 また,アラキドン酸はリノール酸から生成されるが十分な量の生成ができないため,同様に必須脂肪 酸とされている。なお,魚油に含まれ,高脂血症や動脈硬化予防に効果が明らかとされているイコサ ペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)はα-リノレン酸から生成されるが,最近では 必須脂肪酸に入れることもある。 生態の全組織が正常な機能を果たす上で,必要かつ不可欠である必須脂肪酸は,生体内で合成でき ないあるいは合成できても十分な量で合成できないために食物から摂取する必要がある。この必須脂 肪酸は,平滑筋の刺激や血圧調節に関与するプロスタグランジンなどの生理活性物質の合成にも利用 される。 3)多価不飽和脂肪酸と生理活性物質 n-6 系と n-3 系多価不飽和脂肪酸は,それぞれ作用が異なる。とくに n-3 系は次の表のような効果に よって健康の維持・増進に対する期待が高い。

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血清脂質改善効果 悪玉コレステロール(LDL)を減少させ,血中のコレステロールを肝臓へ運ぶ善 玉コレステロール(HDL)を増加させたり,血中の中性脂肪を低下させる。 血栓症予防効果 血中コレステロール濃度の低下のほかに,血小板凝集抑制(血液が異常に固まら ないようにする)によって,血栓症ひいては心筋梗塞や脳梗塞を予防する。 糖尿病予防効果 血糖値を低下させるインスリンの受容体感度の改善や,悪玉コレステロールの生 成抑制による末梢組織でのブドウ糖利用向上などによって糖尿病予防に役立つ。 抗腫瘍(発ガン防止)効果と 抗炎症効果 生体内のある種の酵素によって免疫能を低下させたり発ガンを促進させるプロス タグランジンE2 という物質の生成抑制を行う。また,細胞性免疫として細菌や ガン細胞などを攻撃して,増殖や転移を抑える働きをもつマクロファージを活性 化させる。これらの働きによって,喘息やアトピー性皮膚炎のようなアレルギー に対して抗アレルギー作用も期待されている。 また,多価不飽和脂肪酸からプロスタグランジン(PG),ロイコトリエン(LT),トロンボキサンチ ン(TX)といったイコサノイドに属する生理活性物質が生成される。

リポたんぱく質

1)リポたんぱく質の種類 通常結晶中には,400~700mg%の脂質(トリグリド,リン脂質,コレステロール,遊離脂肪酸)が 含まれているが,脂質の多くは本来水不溶性であり,リポたんぱく質の形でのみ血中を移行できる。 すなわち,疎水性のトリグリセリドやコレステロールは,親水性のアポたんぱく質とリン脂質によっ て構成される膜の中に油滴(ミセル様構造)を形成して,水溶性の球状のリポたんぱく質となること で移行できるのである。

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リポたんぱく質は,比重によって次の表のように分類されている。 カイロミクロン 超低比重リポたんぱく質 (VLDL) 低比重リポたんぱく質 (LDL) 高比重リポたんぱく質 (HDL) 比重 <0.96 0.96~1.006 1.019~1.063 1.063~1.21 トリグリセリド 85% 55% 10% 4~5% コレステロール(エステル) 5% 12% 37% 12~18% コレステロール(遊離) 2% 7% 8% 3~6% リン脂質 6% 18% 22% 23~29% たんぱく質 2% 8% 23% 42~58% 2)リポたんぱく質の機能 【カイロミクロン】 消化管から吸収されたトリグリセリド(外因性トリグリセリド)を末梢の脂肪組織や筋肉へ運ぶ。 外因性コレステロールを肝臓へ運び,体内コレステロールの合成の調節に関与する。 【VLDL:超低比重リポたんぱく質】 主に糖やアルコールから合成された脂肪酸を材料として肝臓,腸で直接作られた内因性トリグリセ リドと内因性コレステロールを脂肪組織や筋肉に運ぶ。 【LDL:低比重リポたんぱく質】 肝臓や腸からのコレステロールを末梢組織へ運ぶ。また,リン脂質の転送を行う。一般に悪玉コレ ステロールともいわれる。 【HDL:高比重リポたんぱく質】 コレステロールを末梢組織から肝臓へ転送する。コレステロールエステルを生成し,トリグリセリ ドの異化に関与する。血清中のHDL 濃度が低いほど心筋梗塞になりやすいという疫学調査からも,善 玉コレステロールといわれている。

脂質の消化・吸収

1)トリグリセリドの消化・吸収 脂質の消化はほとんど小腸十二指腸に分泌される膵液中のリパーゼによって加水分解され,トリグ リセリドから脂肪酸が分離されて吸収される。 脂質は,胆嚢から十二指腸に分泌される胆汁酸塩によって乳化されてミセルを形成し,膵液から分 泌されたリパーゼの作用を受けやすくなり,リパーゼによって大部分がモノグリセリドに,一部が脂 肪酸とグリセロールに分離される。 その後,モノグリセリドや脂肪酸と胆汁酸の結合ミセルとなって吸収される。グリセロールは水溶 性なのでそのまま小腸から毛細血管に吸収されやすく,脂肪酸は腸管壁でトリグリセリドに再合成さ れた後,リポたんぱく質中のカイロミクロンとしてリンパ管から胸管に入り,鎖骨下静脈から大静脈 系に入って全身に運ばれる。なお,短鎖脂肪酸は分子が小さいことから腸管で毛細血管に吸収され,

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2)コレステロールの消化・吸収 食品中のコレステロールはエステル型が多いが,これも胆汁酸塩によって可溶化されてミセルとな り,膵液中のコレステロールエステラーゼによってコレステロールと脂肪酸に分解される。 3)胆汁酸の腸肝循環 胆汁酸は,構造に-OH や-COOH をもつため親水性に富み,脂肪の可溶化に重要であるが,役割 を果たした後は,腸管(回腸)で再吸収された後,門脈を経て肝臓に戻る。これを胆汁酸の腸肝循環 という。

脂質の代謝

1)エネルギー利用(脂肪酸のβ酸化) 脂質が燃焼するときには,まず加水分解を受 けてグリセロールと脂肪酸部なる。グリセロー ルはリン酸エステルとなって解糖系に入ってい くが(授業資料:糖質を参照),脂肪酸は,その 中の炭素分子が1つおきに酸化されるβ酸化と いう過程に入って,CoA の仲介を経た後,アセ チルCoA を生じて TCA 回路に入って代謝され る。なお,この代謝経路ではビタミンB1を必要 としないため,脂質をエネルギーとして利用す ることは,ビタミンB1の節約となる。 2)トリグリセリドの合成 体内脂質のほとんどはトリグリセリドであり, 摂取脂肪の消化による脂肪酸や,代謝されてで きたアセチル CoA から脂肪酸が合成された後, トリグリセリドが合成される。なお,アセチル CoA は,脂肪酸代謝からできるほか,解糖系で 糖質から生成したピルビン酸や,たんぱく質代謝から生成したアミノ酸から脱アミノを受けた物質か らも作られる。 た ん ぱ く 質 脂 質 糖 質 脂 肪 酸 ケ ト 酸 ピ ル ビ ン 酸 アセチル CoA アシル CoA トリグリセリド マロニル CoA

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3)ケトン体 糖尿病や飢餓時には糖利用が低下し,ミトコンドリアでのオキザロ酢酸量の不足が起こるため,脂 肪酸から生成されたアセチル CoA が肝臓で完全に酸化されにくくなり,アセチル CoA からアセトア セチル CoA が発生する。このアセトアセチル CoA からアセト酢酸,β-ヒドロキシ酢酸,アセトン などのケトン体が生じる。ケトン体は脳や筋肉ではエネルギー源に利用されるが,肝臓では酵素がな いために代謝されない。そのため,ケトン体の濃度が高くなると,中枢神経の嘔吐中枢を刺激するだ けでなく,ケトン体が蓄積されて,血中ケトン体や尿中ケトン体が増加する。この状態をケトン症(ケ トーシス)という。また,ケトン体は酸性であることから体液のpH が低下してアシドーシスとなり, ケトン尿や呼気へのアセトン排出がみられる。このようにケトーシスによって生じた代謝性のアシド ーシスをケトアシドーシスともいう。

脂質栄養学的意義

1)エネルギー源 三大栄養素(糖質,脂質,たんぱく質)がヒトにおけるエネルギー源であるが,これらのうち,脂 肪は最も効率が良い。すなわち,アットウォーター係数(生理的燃焼値)で,糖質とたんぱく質は生 体内でそれぞれ1 g あたり 4 kcal のエネルギーを発生するが,脂質は 1 g あたり 9 kcal と効率が良い。 2)細胞構造と膜の機能 脂質の大部分はそのほかの物質と結合して細胞内や組織内にある。特に細胞の膜はリン脂質の二重 層とたんぱく質から構成され,物質に対して選択透過性を示している。リン脂質や投資質はコレステ ロールやたんぱく質とともに細胞膜に存在し,膜のイオン輸送や選択透過性などの重要な機能を果た している。また,脳神経細胞を構成し(スフィンゴミエリン),神経機能を正常に保っている。 3)貯蔵脂肪 皮下脂肪などの脂肪組織で代表される貯蔵脂肪はほとんどがトリグリセリドであり,クッションの ように各臓器を保護し,身体の内外の温度差からも保護している(保温)。また,血中脂質を調整しな がら,エネルギー代謝の面で糖質,たんぱく質などのエネルギー源とバランスを保っている重要な部 分でもある。 4)脂溶性ビタミンの担体 ビタミンA,D,Eなどの脂溶性ビタミンは,脂肪とともに混合ミセルに溶解して吸収・宇野案さ れる。また,脂溶性ビタミンは脂質の存在下で吸収が促進される。

参照

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